全日空客室乗務員の正社員採用に関する見解


 全日本空輸は2013年8月19日、「14年度入社以降の客室乗務員の採用形態を契約社員から正社員に切り替える」と発表しました。最初から正社員として雇用することで、品質向上のため優秀な人材を確保し、客室乗務員の保安要員としての意識をより高めるためとしています。

 正社員採用への切り替えは、私たち客室乗務員連絡会(以下客乗連絡会)の雇用と安全に関わる要求に沿った制度変更であり、空の安全に向けて大きく前進した、評価できる内容と考えています。

 1994年に日本航空で、1995年から全日空でコスト削減を目的に、それまでの正社員採用から契約制客室乗務員の採用に切り替えられました。当初は3年で雇止めの制度でしたが、日航客乗組合やJAS労組客室乗務員(ともに現日本航空キャビンクルーユニオン:略称CCU)、客乗連絡会、民航労連(現在の航空労組連絡会)が、国会への働きかけをはじめとする国民的な大運動を展開する中で3年後の正社員化が実現されました。

 現在、日本の航空会社における客室乗務員はすべて契約制での採用になっています。また、格安航空会社や外国籍の航空会社で乗務する日本人客室乗務員は1年契約で3年、長くても5年で雇い止めの制度になっており、不安定雇用が一層増している状況です。

しかし、そもそも客室乗務員の任務は航空法で明確に定められており、正社員も契約社員も何ら違いはありません。賃金など一部の労働条件を除いて、業務内容やその責任、毎年実施される訓練や合格基準についても全く同じです。

客乗連は、契約制客室乗務員の導入当初から一貫して「不安定な雇用形態ではモチベーションの低下を招くとともに、契約制の身分から意見を具申しにくくなること、チームワークの阻害にもつながる等、安全上問題であること」を指摘し、契約制ではなく正社員として採用とするよう関係各省庁に改善を求めてきました。

諸外国では本国の客室乗務員はほとんどが正社員であり、更には多くの国で国家ライセンス制度を確立しています。

 私たち客乗連絡会は、空の安全と働く者の雇用を安定させる立場から、日本のすべての客室乗務員について、今後予定されている新人採用を正社員採用に切り替え、また現在の契約制客室乗務員を早期に正社員にするよう、各航空会社に求めるものです。

 同時に、全日空、日本航空を含め、日本の航空会社の客室乗務員は、休憩が付与されない状態での長時間勤務、日常的な勤務変更など、労働基準法に違反した状態で過酷な勤務を強いられている実態があります。また、諸外国では例を見ない賃金に連動した評価制度、昇給・昇格差別など、人権侵害を指摘せざるを得ない実態もあります。更に、日本航空ではベテランの大量解雇問題に加え、パワハラを受け雇い止めされた契約制客室乗務員が職場復帰を求め裁判を行っており、これらの問題の改善、早期解決が求められています。

 客乗連絡会は日本の客室乗務員が抱える諸問題を一つ一つ解決し、保安要員として健康で人間らしく働き続けられる職場を実現するため、引き続き関係機関への働きかけ等、取り組みを強めていきます。客室乗務員の働く環境の改善は、空の安全と企業の健全な発展に大きく寄与するものと確信しています。そして、今回の正社員採用の流れが航空だけでなく他産業にも広がり、誰もが安定した働き方のできる、正社員が当たり前の社会になることを展望し力を尽くしたいと思います。


                          2013年8月26日

                         客室乗務員連絡会