phoenix281号 PDF281


■主な記事から■

▼2014春闘 下がる賃金膨れ上がる内部留保

▼航空連、第33回航空政策セミナー開催。LCC、経営分析などテーマに学習

▼重要局面を迎えた日東整解雇撤回裁判―JAL大西会長を証人尋問

▼年休取得は業務命令!?―無知か、意図的か。会社に意識改革を求める厚労省

▼国交省も乗り出すパイロット不足対策

▼SKYのミニスカ制服、保安要員にそぐわない!客乗連が国交省などに要請

  


 2月17日に発表された13年10〜12月の国内総生産(GDP)は実質で前期比0・3%増。民間予想を大きく下回りました。個人消費が実質0・5%増という、低い水準にとどまったことが影響しました。翌18日に発表された厚労省「毎月勤労統計」では、昨年12月の給与(基本給+残業代)は前年同月比0・2%減。19カ月連続減となりました。給与が減っているのですから、個人消費が低迷するのは当たり前。アベノミクスのほころびが見えてきたようです。


 いまや、「景気回復には賃上げが必要」は共通認識になっています。その実現のための賃金引上げや職場改善に向けた交渉が本格化しています。航空連は回答指定日を3月5日、山場を3月20日に設定し要求前進をめざします。
 日本航空と全日空は1月31日、2014年度の第3四半期決算を発表しました。両社とも国内線・国際線とも旅客収入が増え、売上高は第3四半期としては過去最高となりました。一方、円安による燃料費コスト増加により、両社ともに増収減益となりました。(表参照)

 日本航空の売上高は5・1%増の9899億円、営業利益は1374億円となりました。好調な旅客需要に支えられて、3月期の通期連結業績見通しは中間決算に引き続き上方修正。売上高は前回予想より50億円増の1兆2910億円に、営業利益は30億円増の1580億円としました。
 ANAHDは、国際線の旅客収入が大幅に伸び売上高は7.1%増の1兆2120億円。しかし、費用の約4分の1を占める燃油費が円安で25%増加したため営業利益は690億円にとどまりました。通期予想は据え置いています。

 米国からの報道によると、米航空大手3社の2013年12月通期決算は、好調な旅客収入を背景に営業収入は全社で増収となっています。合併アメリカン航空グループが前年比4・7%増の404億1900万ドル(約4兆1500億円)。
 ユナイテッド航空(UA)は純利益を前年比84%増の11億ドル、特別項目を含む純利益を5億7100万ドル計上しました。2013年通期の社員向け利益分配金は1億9000万ドルで、2月14日のバレンタインデーに支給されたそうです。
 利益目標達成のために日々効率化・稼動強化が求められていますが、安全で安心して働くための労働環境改善はまったなしです。
 日本航空では客室乗務員の稼動強化が進むなか、勤務変更や休憩時間のあり方が労基法に抵触していると指摘されています。
 JALグループのグランドハンドリング現場でも、休憩時間確保が労使の懸案課題になっています。「会社も人員不足があることは分かっているが、目標管理に縛られ、いつも小手先のことでとりつくろうとしている」(JGSグループ労働者)

 整備現場では、航空機の稼動を上げるため、整備作業を昼間帯から夜間帯に移行しています。勤務もより夜間偏重なっており、健康不安を訴える声は昨年の40%から58%に急増しています。改善を求める上位3項目は「労働時間短縮」64%、「仮眠制度」54%、「夜勤回数削減」47%となっています(日航ユニオンのアンケート)。

 労働条件は安全を支える基盤です。賃上げとともに勤務改善は喫緊の経営課題です。

281TOPへ


 都心が46年ぶりの大雪にみまわれた2月8日。航空連は33回目を迎えた「航空政策セミナー」を品川区の南部労政会館で開催しました。セミナーでは「LCCを軸に本邦LCCや新興航空会社の現状・米国大手航空会社の経営状況」「日本航空・全日空の経営分析」「労働法制改悪と安倍『雇用改革』の全貌と批判的検討」をテーマに3つの講演が行なわれ、学習を深めました。航空労働者など80名が参加しました。

 最初の講演は労働弁護団の鷲見(すみ)弁護士。安倍首相の進める労働法制改革の問題点を明らかにしました。

 二つ目の講演は中川航空連政策委員。「LCC元年のその後」「新興航空会社等の現状」「米国の現状と外航の経営分析」が報告されました。関西空港を拠点として運航するピーチの優位性と、成田空港を拠点に運航するジェットスタージャパンがなぜ第三者割増をせざるを得なくなったのかを解明し、植木日本航空社長の「(増資)想定内」の欺瞞性を指摘しました。新たに、米国大手航空会社の経営内容について取り上げました。このテーマは引き続き掘り下げられていきます。
 最期の講演は諏訪航空連政策委員。テーマは「日本航空と全日空の経営分析と14春闘」。JAL・ANAの現状と中期計画を基に、各種経営指標を比較しながらJALとANAの経緯状況を分析しました。労働者向けには生き残りや競争激化を理由に不安を強調するものの、実態は、他産業や海外航空会社と比較し、好調さを表す数値になっていることが分析で見えてきました。
 日航の客室乗務員の平均年収が10年で244万円も引き下がるなど、両社ともに客室乗務員の平均年収は400万円台になっており、人件費切り下げの裏で、内部留保はしっかり溜め込まれています。日本航空の労働条件切り下げ理由は「更生計画の達成」でしたが、再建2年目から決算見通しは上方修正の連続。経営が目指している目標と労働者が置かれている状況をしっかり見据える必要性を強調しました。14年3月期決算の見通しについては、これまで発表された数値(前売金の変化など)から上振れが予想されるとしました。

 諏訪政策委員は日航に導入された部門別採算性にも触れ、「会社が利益を確保してから、残りを配分する仕組み。労働条件が下げられすぎている」とし、春闘で賃上げを実現しようと強調しました。
 前田副議長は閉会挨拶で、「悪天候のなか集まったのは、『どげんかせんといかん』との思いからではないでしょうか。労働法制改悪については労働組合がイニシアティブを発揮し、この春闘で取り組まなければならない課題です。自ら学び、自ら分析し、自ら展望を見出す努力がこの政策セミナーの歴史です。正規・非正規にかかわることなく、航空産業に働く人々の将来展望につながる高い目標をもって今春闘を頑張りましょう」と、セミナーを締めくくりました。

281TOPへ


 日本航空再建にあたってJALグループで唯一、会社ごとつぶされ全員解雇された日東航空整備。日東整労働者が解雇撤回とJALグループへの職場復帰を求めている裁判が2月10日東京地裁で開かれ、大西日航会長や労働組合役員への証人尋問が行われました。

 大西会長は原告側代理人の質問に、JAL・JAS統合の過程で、当時JASの子会社だった日東整を「技術力が非常に高い」と認め、引き継ぐ意向を持っていたことを認めました。原告側が証拠として提出した内部資料については、日東整の扱いについて話し合われていた整備分科会での名称と一致することを認め、文書の信憑性を裏付けました。日東整を排除した理由については、日東整の50%の株式を所持していた日本飛行機が、「日東整を活用したい」と株式を手放さないことが原因と主張しました。しかし日東整は、実際には何ら活用されないまま会社解散しており、事実と矛盾した証言となっています。
 原告側証人として証言した元日東整書記長の野口幸博さんは、「日東整はJALの支配の下で、JALの航空機を整備するためにつくられた子会社だ。(JALからの)仕事がなくなったからと言って、JAL以外から仕事を取ってこれる一般企業とはまったく(企業性格が)違う」と証言しました。
 日航ユニオン前委員長の藤枝さんは、子会社・系列企業に対する日本航空の管理・監督について、「JALが社長はじめ役員を子会社に送り込んできた。JALの事業計画、運航計画、機材計画が整備子会社の事業計画として決定される」と、日本航空の支配構造と子会社の役割を証言しました。日東整はJAL以外に、整備業務の委託先を開拓することはできないとも証言しました。
 元日航ユニオン書記長の坂井さんは、日本航空がJAL・JAS統合の前後に日東整労組を嫌悪し、日東整を整備グループの統廃合計画から排除した、経緯が書かれた社内文書の入手経過を証言しました。文書の内容が、「JALTAM・日東整の年収ベースモデル賃金やスケジュールなどは一般職では書けないものだ。JJ統合時からJALの労務政策ばかりが優先され、日東整の将来検討も含めて、不当労働行為が行われてきたことが分かった」と証言しました。
 証人尋問を通して、日東整潰しによる全員解雇が、労働組合を嫌悪した不当労働行為であることが明白になりました。
 2月27日の裁判では、原告側からは泉・佐藤の両原告が、会社側からは日東整解散当時の椛島社長と現JALECの佐藤企画財務部長が証言台に立ちました。

281TOPへ


  年次有給休暇(年休)取得について労基法は、規定日数が労動者に付与され、事業者(会社)は「有給休暇を労働者の申請する時季に与えなければならない」と定めています。しかし現実には、「忙しい」「人がいない」などの理由で、取得しにくい状況があります。なかには法を捻じ曲げ、勝手に基準を作ってしまう事例もあります。航空で起きたいくつかの事例を紹介しつつ、有給休暇(年休)を考えます。

 その1。「取得命令は会社の会議で決めた」
 中国系A航空会社は、年休の運用は会社の権利としています。「会社の年休取得命令に従う。これは会社の会議で決めた」として、命令に従うことを強制しました。年休取得に、原則として、会社は制限を加えることはできません。
 その2。「年休の私用は認めない」
 Bケータリング会社は、年休取得には届出用紙の提出を求めています。用紙には「年休の私用は認めないかもしれない」と書いてありました。年休取得は私用や休養のためにこそ使うものです。「私用での取得は認めない」は明白な労基法違反です。この会社は、公用を年休でさせていたのでしょうか。
 その3。「赤字なので年休ありません」
 「うちは経営が赤字なので年休はありません。取ったら首です」と上司が言っていた会社がありました。年休付与は会社の義務であり、赤字・黒字はまったく関係ありません。ましてや「取ったら首」などは、言った人が首になるほどの重大な法違反です。
 その4。「年休取得は私の思いやり、感謝を」
 かつてバリグブラジル航空で働いていた契約社員に、人事担当者が言った言葉です。発言自体が問題のうえに、調べてみると規定の日数より少なく付与されていたことが判明。SNWの追及で直ちに是正されました。

 厚生労働省は、年休取得は「労動者の過重労働や疲労の蓄積から健康障害を防ぐこと」として会社に、有給休暇取得の促進と意識改革を求めています。しかし会社はコスト削減による職場の日常的な人員不足を補うため、法を捻じ曲げ、あるいは法違反を承知のうえで制限を加えてきます。労動者の側には、ごまかされないための正しい知識を身につけることが求められます。SNWは、「疑問などがあったらSNWに」と呼びかけています。

281TOPへ


 日本航空に解雇撤回と職場復帰を求めた裁判(パイロット原告団70名、客室乗務員原告団71名)の高裁判決は、客室乗務員裁判が5月15日に、パイロット裁判は6月5日に判決が出されます。不当な地裁判決を覆し勝利判決を勝ち取るべく、原告と各地の共闘会議・支援団体が一緒になって精力的に取り組みを進めています。

 2月18日には東京総行動の一環として日航本社前宣伝が行われ、19日と26日には裁判所前宣伝が取り組まれました。
 3月24日・25日・27日には2回目の裁判所座り込みが、4月7日・8日・10日・11日には3回目の裁判所前座り込みが予定されています。500名超の支援者が集まった1月の座り込みを、さらに上回る参加で成功させようと原告団は決意しています。
 昨年12月の高裁での証人尋問で、日本航空がパイロットと客室乗務員の解雇を強行した当時、解雇の根拠とした人員削減目標が、超過達成されていたことが明らかになりました。解雇撤回裁判とは別に進められている不当労働行為裁判の証人尋問では、そのことを裏付ける証言がされました。日本航空が削減目標達成の事実を労働組合に隠し、不必要になったにもかかわらず解雇に踏み切ったことは明らかな解雇権乱用です。事実を隠し、組合活動を妨害した不当労働行為が管財人代理(弁護士)らによって行われ、それらが証人尋問で明らかになりました。
 「私たちが不当解雇された2010年12月31日には人員削減目標は達成していたし、1月には自然退職も加わり270名の超過達成となっていました。日本航空はそのことを把握していながら隠していました。解雇は作為的意図をもった明白な不当労働行為でもあります。整理解雇4要件に照らしても整理解雇は成り立ちません。日本航空の違法な不当解雇と不当労働行為は厳しく糾弾されなければなりません」(客室乗務員裁判原告団事務局長の杉山さん)

 民間航空では、航空需要の拡大に伴いパイロット不足が深刻化しつつあります。そのため国と航空会社は、2009年から中断されている自衛隊パイロットからの共有〈自衛隊割愛制度〉を再開するとしています。この制度は民間航空が急速に発展した時期に、無秩序な自衛隊パイロットの引き抜きを正すために設けられた制度です。JAL不当解雇原告には、この割愛制度で日本航空に移った自衛隊出身のパイロット24名が含まれています。40歳前後で移った人たちは、機長昇格訓練開始時期が整理解雇年齢基準に該当してしまったことから解雇されてしまいました。不当解雇は、国策を無視したものともいえます。

281TOPへ


 客室乗務員の職種について、一般的には「機内でサービスする人」との捉えの方が大きいようですが、国際法と航空法では「保安要員」であるとの定義付けがされている事をご存知でしょうか。

 客室乗務員の役割について、国際民間航空条約(第6付属書第12章)ならびに、準拠した航空法(第104条及び施行規則第214条)では、航空運送事業者は客室乗務員の職務、編成、訓練などに関して運航規定に定めることが義務付けられています。その任務は、「PIC(指揮権を持つ機長)を補佐し、特に客室における搭乗者の安全性および快適性の確保に努める」とされています。
 このため、すべての航空会社は客室乗務員に対し、年に一度保安に関する訓練と技能審査を行うことが義務付けられています。その内容は、緊急時の避難誘導と脱出、火災発生時や急減圧時の処置、急病人への処置、ハイジャック時の対応などですが、それらの実技評価や筆記試験で合格点に達しない場合は乗務する事ができず再チェックとなります。

 萩原客乗連事務局長は、「人命を預かる職種であるにもかかわらず、日本は運航乗務員や整備士のような航空従事者との位置づけがされておらず、国家ライセンスが付与されていない現状があります。諸外国では、アメリカやドイツ・フランス・イタリア・スペイン・デンマークをはじめ、北欧・南米・中東諸国で客室乗務員に国家ライセンスが付与されています」と述べています。

 航空連客室乗連絡会(客乗連)は、条約や法律が求める保安要員としての位置づけを実態的にも保障し、機内の安全品質を向上させるために、日本のすべての客室乗務員にライセンスを付与するよう国土交通省に求めています。客室乗務員の機長権限の代行について(OMから抜粋)

1.運航乗務員との飛行前briefingへの参加
2.救急用具、客室用備品の装備状況および機能の点検
3.EXITの点検
4.搭乗者および搭載物に関する情報の把握およびPICへの報告
5.搭乗者に対するsafety instructionの実施
6.緊急避難に係わる誘導
7.機内火災の鎮火
8.乗客の持ち込み手荷物の搭載場所などの確認
9.機長の指揮監督下の安全
10.PICへの所要事項の報告
11.その他所定の業務およびPICの指示による確認

281TOPへ


 世界的にパイロット不足が進行しています。日本国内でも航空政策のテーマになっています。昨年12月24日には国交省が「第1回交通政策審議会 基本政策部会 技術・安全部会 乗員政策等検討合同小委員会」という長いタイトルの委員会を開催し、パイロット不足に対する検討を開始しました。

 委員会資料によると、世界のパイロットの需要見通しについて、「世界的な航空需要の増大に伴い、国際的に2030年には現在の2倍以上のパイロットが必要とされる」とし、「アジア・太平洋地域では、2030年に現在の4・5倍のパイロットが必要とされ、年間約9000人のパイロット不足が見込まれる」としています。
 国内のパイロットの需要予測では、国内航空会社のパイロットの年齢構成が40歳台に偏っており、15年〜20年(2030年頃)が経過すると、パイロットの高年齢化が進むとともに大量退職時期が到達する、今後計画的なパイロットの確保が求められるとともに加齢乗員等の現役パイロットの有効活用が重要、としています。
 JAL・ANA以外の航空会社ではパイロットの高齢化により機長の多くが数年で退職するため、機長候補となる人材の確保が喫緊の課題と分析しています。
 航空局が航空需要予測に基づきパイロット需要予測を実施した結果、2022年には約6700〜7300人のパイロットが必要になり、年間約200〜300人の新規採用を行なう必要があるとしています。「現在の新規パイロットの供給量を考慮すると、今後の新規パイロット採用の需要を満たすことが困難であり対策が必要」としています。
 人員不足はパイロットだけではありません。整備士確保も喫緊の課題になっています。(つづく)

281TOPへ


 スカイマーク(SKY)は4月から就航するエアバスA330―300型機導入に伴い、路線ごとに半年間、計1年半にわたり着用する新制服を発表しました。新制服は膝上25センチのデザインとなっており、保安業務遂行への支障が懸念されています。航空連客乗連絡会は声明(全文は「航空連HP」および「CAのひろば」)を発表するとともに、2月25日、保安要員としてそぐわない制服の見直しを指導するよう国土交通省と厚生労働省に要請しました。

 声明は客室乗務員の制服について、「高位置、低位置での確認作業、緊急着陸時のスライド滑走、緊急着水時のラフト操作、火災発生時や急減圧の際の処置等、保安任務を遂行するにあたって支障を生じさせない事を前提とした制服デザインが求められ(る)」と、制服は保安任務遂行が前提にあるべきとしています。さらには、航空法が規定する安全阻害行為のなかには「性的嫌がらせ等」も含まれていることから、「迷惑行為等を誘発しかねないデザインであるとの危惧を持たざるを得ません」と指摘し、SKY新制服への懸念を表明しています。また、制服が「集客につながる」と宣伝すること自体、女性を商品として扱うことであり、「『安全第一』を使命とする航空会社としての見識を疑わざるを得ません」として、再検討を求めています。
 客乗連は、「『機内での苦情は一切受け付けません。ご理解いただけないお客様には定時運航順守のため退出いただきます』で批判を受けたSKYが、今度は客室乗務員にミニ丈の制服を着せ集客をする。安全より営利優先の姿勢は問題」と指摘します。


281TOPへ

ページ先頭へ 前へ 次へ ページ末尾へ