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■主な記事から■

▼妊娠した客室乗務員の地上勤務希望に、「ポストが無いから休職を」ってマタハラじゃない
▼関空−仁川2往復乗務、1年契約3年雇止め。こんな働かせ方ってあり?!
▼JAL不当労働行為、東京高裁が結審、判決は6月18日
▼監視される客室乗務員−カタール航空
▼安倍政権が進める安全保障法制と航空産業
▼安全会議だより(78)福岡空港、施設改善で利便性向上


エミレーツ航空西日本支店で働いていたスカイネットワーク(SNW)組合員3名が「解雇は不当」として、解雇撤回と解雇後の賃金支払いなどを求めていた裁判で、大阪地裁は3月31日、「解雇権を乱用した」として、エミレーツ航空会社に対し3名にの賃金支払い(毎月20万円〜30万円)を命じる判決を下しました。

 この裁判は、エミレーツ航空西日本支店でコールセンター業務を担当していた3名が、社内でのパワハラや残業代未払問題を契機に、SNWに加入し会社と団体交渉を行い問題解決を目指していましたが、昨年5月にエミレーツ航空は、広州コールセンターが代替できることを理由に大阪コールセンターの廃止を発表し、組合員排除を狙い組合員を含む従業員を対象に早期希望退職等を提案してきました。
 組合員は団体交渉による解決を求めましたが、会社は、大阪コールセンター廃止を強行し、組合員に自宅待機を命じ、同年9月に解雇しました。
 組合員3名は、同解雇は整理解雇の要件等を欠き無効として、地位保全・賃金仮払を求めていたものです。
 大阪地裁は仮処分決定するにあたって、整理解雇に該当するとして、@人員削減の必要性、A解雇回避努力、B人選の合理性、C解雇手続の相当性の4要素を総合的に考慮して判断すべきとしました。
 そして、人選及び解雇手続については不合理、不相当とは言えないが、本件解雇は経営戦略に基づくもので人員削減の必要性、緊急性に乏しく、そのような場合にはより高度の解雇回避努力の履行が求められるところ、十分に努力が尽くされたとは言えないとし、これらを総合すれば解雇は無効であるとして、解雇前の賃金の大部分について仮払いを命じました。仮処分手続きの制約から裁判官は不当労働行為については判断しない旨意見を述べています。

 「事実経過に照らし、人選の合理性と解雇手続の相当性を否定しなかった点に問題が残るものの、本件解雇を無効と判断したのは評価できる」と弁護団。

 今後の展望について弁護団は、「本件決定により、組合員は今後の闘争の大きな足がかりを得た。不当労働行為救済申立事件及び本訴も継続しており、それに取り組むことは当然であるが、これらの手続きの救済を待たずに運動で解決することが重要である」

 原告3人は、「大阪地裁の『解雇権の濫用であり、無効』とする仮処分決定にまずは安堵しました。人員削減の必要性・緊急性が低く、解雇回避努力が尽くされていないとの判断から解雇後の賃金支払いが認められたことでじっくり闘うことが出来ます。また、4月10日の日本支社要請に於いて、日本支社長は『裁判をすることなく早期解決』の姿勢を示し、団体交渉の開催を労働組合と確認しました。私たちは、最後まで手を緩めることなく職場復帰を勝ち取ります。航空連に結集する組合員皆様方の引き続きのご支援とご協力をお願い致します」と職場復帰に向けた決意を語りました。

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 日本航空では客室乗務員が妊娠した場合、休職か地上勤務が選択できるようになっています。昨年8月、妊娠が分かった神野知子さんは会社に地上勤務の希望を伝えましたが、会社の返事は「ポストがないので休職して下さい」。働き続けたいとの、神野さんのたたかいが始まりました。

 はじめに相談に行ったのは市役所。雇用機会均等室の連絡先を教えられました。次に労基署。担当者は、「妊娠したらいきなり無給というのは社会問題じゃないですか」。労基法第26条には「会社都合で休職させた場合は、平均賃金の6割を支払わないといけない」とあります。さっそく会社に6割の賃金保障を請求することにしました。
 日本航空キャビンクルーユニオン(CCU)執行委員でもあった神野さんは同じような悩みを抱えている人がいるかもしれないと考え、組合ニュースに経過を報告しました。すると沢山の人たちから励ましの声が寄せられました。ところが喜びも束の間、いきなり始まった無給生活がズシリとのしかかります。給与天引きだった生命保険料は一括請求され、住民税の請求もウン十万円。社外の友人は「妊娠したら無給にして仕事も与えないなんて、ありえない会社だね。それってマタハラじゃない」。社内の友人は「無給では出産費用や生活費がまかなえないので、退職して退職金を費用に充てる人が少なくないようよ」。
 経営協議会では植木社長に訴えました。植木社長は「女性に少しでも輝いてほしい。希望すれば全員にというのは非常に難しいが、皆さんの期待に添えるような努力をするのが会社の務めだと考えています」。
 しかし一向に改善の兆しが見えないことから、神野さんは厚労省の雇用機会均等室に調停を申し込みました。調停はすぐに受理されました。そのまま進めば調停日に本人と会社側が呼ばれ、両者の言い分を調停委員が判断し和解案などが出されるはずでした。神野さんの要求は@出産日ギリギリまでの地上勤務、A妊娠がわかってから今まで本来働いていればもらえるはずの賃金満額。ところが会社は調停への出席を拒否。均等室の担当者は何度も会社を説得したようですが会社は拒み続け、結果、調停は打ち切りになりました。まれに、調停に呼び出されても出席しないブラック企業があるとのことですが、JALのような大企業が出席しないケースは驚きだったようです。
 神野さんは言います。「2010年の破綻後、2000名の客室乗務員を採用していますが、一方で年間600人も退職しています。女性が多く活躍するJALという会社で、本気で女性の活躍を考えているのであれば、妊娠による不利益などあってはならないと思います。多くの方が私と同じつらい思いをしないように、泣き寝入りをしないで、会社や厚労省に解決を求めていきます」

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3月24日に起きたドイツのJCCジャーマンウイングス事故。副操縦士が故意に機体を降下させ、墜落させた可能性が高いとされています。対策として、操縦室にパイロットが1名になる際は交代要員として客室乗務員を操縦室に入れる案が出されています。

 2001年9月11日の米国同時多発テロを契機に航空機の操縦室ドアが強固になったことを受け、米国や欧州の一部航空会社では、パイロットの健康上の問題などの万が一の事態にそなえ、客室乗務員が中に入りドアロックを解除する手順になっているようです。「万々が一の想定としてはいいかも知れませんが、JALでもANAでも編成人員に余裕がなくなってきている昨今、果たして現実的なのかどうか」と懸念の声が。一方では、「それよりも乗員を3名編成にすべき」との声も上がっています。痛ましい事故から私たちは多くの教訓を引き出し、二度とこうした事故が起きないよう、様々な角度から議論していく必要があります。
 心身の健康やモラルを維持するうえでモチベーションは大切です。それを支える、勤務や賃金水準が適切なのかどうかということも重要です。LCCも大手航空会社も、そこで働く人たちが安全を担う任務は同じはずですが、LCCは極端に低い賃金や高稼働、雇用不安などが特徴とされています。
 例えばANA系LCCのピーチ。客室乗務員は1年契約3年までの有期雇用で正社員登用制度はありません。先任とOJTインストラクターを取れば契約延長があるといいます、雇用不安が続くことに変わりはありません。手取り賃金は20万円もいかない水準と言われています。勤務はどうかといえば、関空―仁川(韓国)の2往復乗務もあるようです。「ありえない勤務。使い捨ての構図」と現役客室乗務員は言います。
 客乗連絡会は、@正社員採用Aほぼ同じ賃金水準B健康で定年まで働ける勤務条件の確立をめざしています。根本的にはライセンス制度の獲得が重要と考えています。次回は「ライセンス制度がなぜ必要」を考えます。

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 3月26日、東京高裁で不当労働行為救済命令取消訴訟の第2回口頭弁論が開かれました。この事件は、JAL管財人がスト権投票を行った組合に対し、「スト権を確立したら機構は3500億円を出資しない」と恫喝したことが地労委から不当労働行為と認定され、救済命令が出された事件です。命令を不服としてJALは東京地裁に訴えましたが、地裁はJALの請求を棄却。JALがさらに東京高裁に控訴しました。

 JALは元管財人を証人申請しましたが、裁判長は「元管財人の証言があっても不当労働行為かどうかとは関係がないし、整理解雇事件とは別問題」として証人採用を却下し裁判は結審。判決日は6月18日となりました。
 最高裁の不当判決後も、当該の労働組合は解雇撤回の要求を掲げ交渉を続けています。最高裁判決前は「係争中なので話ができない」としていたJALは、判決後は「解雇者を戻さないのは経営の判断だ」と開き直っています。
 JALはこの3年間で2000人以上の客室乗務員を新規採用し、パイロットの訓練再開と新規採用を行なっています。その一方で、165人のベテラン乗務員たちを戻さないし、そのための話し合いもしていません。
 JALの職場では社員流出が止まらない状況が続いています。客室乗務員は年間500〜600人が退職。パイロットもグループ内で250人が他社へ移っています。全世界的にパイロット不足や整備士不足が取り沙汰されているなか、JALには、解雇問題の自主解決が求められています。


 2月12日と13日、4人の代表者がジュネーブのILO本部を訪問しました。目的は、昨年10月に提出したJAL不当解雇問題の追加情報と、最高裁決定を含めたその後の新しい状況を報告することです。最高裁の決定に対しては原告団はじめ当該労組、日乗連、全国の支援組織が自主解決をめざして運動を強化することや、IFALPAからの要請文、ITFからの決議文を伝えました。
 ILOは、「最高裁の決定はあくまでも手続き上の決定であり、本件訴えに対する具体的内容の審理は行われていない」としたうえで、話し合いのための道を作ることがILOの仕事であると表明しました。また、JALというメジャー・エアラインが非人道的な施策を強要し続けていることが問題であり、結果的に安全を脅かす状況になっている点は憂慮され、パイロット不足に対応できないことは危機管理ができない航空会社となっていると付け加えました。

 今後ILOは追加情報をもとに議論を進めていきます。日本政府とJALに対しては、第3次勧告が出されるよう運動を続けていく必要があります。

 ILO勧告は4月15日の衆院厚生労働委員会でも取り上げられ、原告ら7名が傍聴しました。

 初鹿明博議員(維新の党)は「2回目の勧告を(政府は)どのように受け止めているのか」「救済制度が機能していないから二次勧告が出されている」「政府は勧告が出ても何もしないのか」と迫りました。塩崎厚労大臣の答弁は「会社からは再雇用に関する事項についても労働組合との間でやり取りを行っていると聞いており、今後の状況を見守って、話し合いがしっかりされるかどうか注視していきたい」。大臣答弁に対し初鹿議員はさらに、「見守るとか注視するのではなく、解雇された労働者の話もきける協議の場を実現させるよう(政府として)もっと積極的な関与をしてほしい」と強く訴えました。

JAL解雇原告団への問い合わせ先原告団事務局 03―5705―5716

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 2月26日と27日にロンドンで開催されたキャビンクルー委員会。カタール航空の人権侵害の実態が告発されました。

 カタール航空は6大陸140か所以上に就航。日本では成田・関空からドーハへの直行便があり日本人CAが乗務しています。社員2万1千人のうち90%が外国人で、2013年ワンワールドに加盟しました。

 カタール航空の社員は寮に住んでいますが、勤務12時間前には寮に戻っていなければなりません。来訪者の門限は22時で、この門限を15分過ぎたことで解雇された実例が報告されました。寮の出入りはカメラや警備員等で常に監視され、乗務中に勝手に部屋が物色されていることもあるそうです。外泊は理由にかかわらず禁止。訓練中の男女の会話も禁止。入社3〜5年は結婚禁止。結婚する場合は会社の事前承認が必要とされ、しかも認められない場合もあります。カタール航空についてコメントしたり感情を表したりすることは禁じられており、仕事中も監視されています。社外の人間を乗客に紛れさせ、「会社についてどう思うか」などの質問をさせたりするので、いつも「今までで一番素晴らしい会社です」と答えるしかありません。

 ITFは2013年9月、モントリオールで開かれたICAO総会で、カタール航空の外国人キャビンクルー問題に焦点をあて、以降、ILOにも働きかけながら人権侵害問題に取り組んできました。今回の報告者もカタール航空のCAではなく、元社員などから実態を集めてまとめたITFの仲間です。

 ITFでは今秋にはサポートシステムを立ち上げます。また、2022年のカタールでのFIFAワールドカップ開催を大きな機会と捉えています。実態を集めて労働者のネットワークを作り、組合結成、権利と労働条件向上に繋げることをめざしています。航空連にもITFから協力要請がありました。

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安倍政権は昨年7月、憲法解釈を変えて集団的自衛権の行使を容認したり、他国軍への後方支援を拡大したりする閣議決定をしました。その方針にそって新しく作ろうとしているのが安全保障法制です。5月中旬の法案提出、今国会中の強行成立を狙っているとのこと。何が問題なのか。新聞報道などでは、以下の5点が問題視されています。

 @集団的自衛権=米国などを攻撃してきた第三国に反撃する。戦争中にぺルシャ湾などのシーレーンで機雷を掃海する。
 A米軍などの後方支援=日本周辺だけでなく、世界のどこでも米軍や他国軍に給油・輸送など後方支援ができる。
 B国際的な平和協力活動=国連平和維持活動(PKO)以外の人道復興支援、治安維持活動に参加する。
 Cグレーゾーン事態=訓練中の米軍や他国軍を守る。
 Dその他=どこでも船舶検査ができる。
 なかでも、とりわけ危険と言われているのが海外での武器使用の拡大です。これまで自衛隊は、海外派遣での武器使用は「自己防衛」に限られていましたが、敵の妨害排除や駆け付け警護(他国軍の戦闘への参加)のための武器使用を認めようとしています。こうした危険性については国民からも問題視する声が高まっており、時事通信の世論調査(4月10日〜13日)では「今国会で成立させるべき」14・1%、「今国会にこだわらず、時間をかけて議論すべき」63・6%と、8割近くが慎重・反対でした。

 集団的自衛権の行使容認には101の地方議会が反対などの意見書を採択しています。憲法9条をないがしろにする安全保障法制には多くの国民が危惧をいだいています。

 民間航空は平和あっての産業です。平和を脅かす法制化は問題です。

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 福岡空港では、「平行誘導路二重化事業」に先立ち、用地確保の為平成25年12月より平成26年6月末まで立体駐車場の建設が始まりました。工事の内容としては、先ず第3ターミナル前の駐車場の一部に立体駐車場を新たに設け、現在の第1ターミナル前駐車場の位置まで空港ビルをセットバックし、その後、誘導路を二重化にするという計画です。
 また、今回の立体駐車場の設置により、安全会議が要請を続けてきた、ターミナル前のタクシー降車場と屋根付きの一般車両の降車場を設けることにより路上駐車を減少することが出来ます。更に、立体駐車場と空港ビルを結ぶ連絡橋も建設されることにより、車椅子の人でも雨に濡れることなく空港ビルへ行くことが可能になり、安全会議が要請し続けてきたバリアフリー化が実現することとなります。
 このように、福岡支部ではランプ内や空域の安全だけでなく、常にお客様視点に立ち、安全で安心して利用できる空港作りにも活動をおこなっています。
 今後、福岡空港は滑走路増設問題も控えていますので、今まで以上に安心して空港を利用できるよう活動していきます。

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