<声明>民間航空の軍事利用に反対し平和と空の安全を守る立場から安全保障関連法の廃止を求める


2015年9月26日

航空労組連絡会

 9月19日、安全保障関連法案の強行採決が行われた。私たち航空労組連絡会は、この暴挙を糾弾するとともに同法の廃止を求めるものである。

時の政権の判断で憲法解釈を変え、集団的自衛権の行使を容認し、日本を「海外で戦争する国」に作りかえるこの法案に対し、憲法学者や法曹関係者、元内閣法制局長官など、多く専門家が「違憲」と指摘した。また、圧倒的多数の国民が今国会での成立に反対の声を上げ、同法案の廃案を求める声と運動が高まる中で強行採決は行われた。

 安全保障関連法の成立により、政府が存立危機事態と判断すれば、日本が攻撃されていないにもかかわらず、自衛隊を派遣し、米軍等ととともに武力行使を含めた軍事行動に踏み出すことが可能となる。安全保障関連法に基づき、兵員や武器・弾薬をはじめとする軍事物資等の輸送などで民間航空が利用されるなら、日本の民間航空が相手国から敵視され、テロや報復、攻撃の対象にされかねず、その危険性は同法の成立により飛躍的に高まることとなった。それは、世界の民間航空が、国際紛争や戦争に巻き込まれ、報復やテロ、ハイジャックの対象にされ多くの犠牲を強いられてきた歴史が示している。

 国会の審議においては、イラクへの自衛隊派遣(イラク戦争)時、自衛隊員に加え、武器・弾薬の輸送に民間航空を利用していた実態が明らかにされた。かつてのパンアメリカン航空は、ベトナム戦争中の兵員輸送に留まらず、平時に於いても軍事物資の輸送を行っていたことで、アメリカを象徴する航空会社として、紛争相手国や反米組織等から、ハイジャックやテロ、報復の標的にされた。同社は、アメリカ軍のリビア空爆に対する報復テロによるスコットランド上空での爆破事件(1988年12月)、その後の湾岸戦争等による利用者激減等により経営破綻し、事業の清算に追い込まれた。民間航空の軍事利用が如何に危険をもたらすかの典型事例である。

 イラン−イラク戦争ではイラン航空の定期旅客便が、1988年4月、アメリカ軍の誤認によりホルムズ海峡上空にて撃墜された。また、最近の事例では、2014年7月、マレーシア航空17便がウクライナ上空にて地対空ミサイルにより撃墜された。これらのことは、国際線を運航して事業を営む航空会社は自国の平和のみならず、世界の平和が前提であることを雄弁に物語っている。

 安全保障関連法では、成田、羽田、関空、中部といった主要空港をはじめ、日本のほとんどの空港、95空港が、有事の際に米軍等による優先使用が認められている。また空域についても、出撃する軍用機等を優先するために、民間航空の航行を制限することも可能である。これらの条項が発動されるなら、日本の民間空港が軍事行動の発進基地として使用され、民間機の発着は大幅に制限される事態も想定される。ユーゴ空爆の際、ドイツやイタリアの民間空港や空域から民間機の締め出しや利用制限がされた事例が示す通り、公共性の維持に不可欠な路線や便数の確保、定時制の確保などに重大な支障をきたすことになる。

 そもそも世界の都市と都市とをつなぐ民間航空は、国と国、そこに住む人々、そして、その人々が育んできた文化の交流の架け橋になり、世界の平和に貢献するという役割を担っている。その民間航空が戦争に動員されるなら、平和に貢献するどころか、一転して世界に脅威をもたらす産業に変質してしまう。

 だからこそ私たちは、平和産業である民間航空とは両立しえない安全保障関連法案に断固反対し、平和と航空安全を守れ、憲法9条を守れと主張し、廃案を目指して運動を進めてきた。また、航空各社が加盟する定期航空協会においても、周辺事態法が成立した1999年5月の時点で、航空の安全を守る立場から、「協力依頼の内容が航空法に抵触しないなど、法令に準拠したものであること」「協力を行うことによって関係国から敵視されることのないよう、協力依頼の内容が武力行使にあたらないこと」等とする見解を表明しているのである。

 与党の強行採決という暴挙で安全保障関連法は成立したが、民間航空を軍事に利用し、平和と航空安全を脅かす同法を容認するわけにはいかない。

 私たち航空労組連絡会は、運航の安全と、利用者国民の生命財産を守るため、安全保障関連法の発動に断固反対するとともに、広範な人々と力を合わせ、同法の廃止に向け全力あげて奮闘する決意である。