phoenix300号 PDF300


■主な記事から■
▼コスト削減・稼働強化の下で劣化するグラハン。労働環境改善まったなし
▼JALマタニティ裁判始まる。本人が意見陳述
▼JAL解雇原告団集会「このままでは終われない」。三位一体の運動強化で解決めざそう。
▼10月の裁判案内
▼航空安全会議の新議長に七田大さん
▼国の2016年度予算100兆円。防衛費4年連続増加

  

 今年度前半も順調な輸送実績を示すANAとJAL。上期決算も好調が予想されます。一方、社会的課題に目を転じれば、多くの専門家が違憲と指摘し、6割を超える国民が今国会での採決に反対するなか、安倍政権は安保法案(戦争法)を強行採決しました。安保法案をめぐってはかつてない規模で国民運動が広がり、強行採決後も抗議行動はやむことなく続けられています。海外メディアも平和主義の後退懸念を伝えています。労働法制では、「世界で一番企業が活躍しやすい国」にするために派遣法を改悪し生涯派遣を可能にしました。安倍政権は平和憲法をないがしろにし、貧困と格差をさらに拡大させるものです。

 ANA・JALの第1四半期実績(4月―6月)は、ANAは営業収入4139億円(前期比107%)、営業利益167億円(前年同期3億円)。JALは営業収入3120億円(同101・6%)、営業利益は362億円。営業利益は予算比で100億円も上回りました。営業利益の通年予想はANA1150億円、JAL1720億円です。両社ともに燃油費減の効果が営業利益を押し上げています。その影響額はANA164億円、JALは186億円。夏の繁忙期も好調、シルバーウイークの予約も好調と報道されています。燃油価格も安定しており、このままで推移すれば、15年度決算は増収増益で史上最高益を更新しそうない勢いです。 報道によると海外各社も好調で、デルタ航空の4―6月期売上高は107億1千万ドル、純利益は14億9千万ドル(前年同期8億100万ドル)。今夏の旅客数は記録的な実績を上げたとして、8月23日のニューヨークタイムズ紙に、社員への感謝を伝える全面広告を掲載しました。
 こうした経営状況とは裏腹に、置き去り状態にあるのが労働者の実態です。デルタ航空では成田空港キッチン部門の売却、旅客部門では人員削減に伴う希望退職を募集、予定の希望退職者数がそろわないときは「解雇」もあり得ることを表明しています。経営状況からみれば、解雇が許されないことは明白です。
 国内各社では人員不足のなか、稼働強化をねらう勤務改悪が相次いでいます。こうしたことが不安全行為の背景要因になっています。
 パイロットの現場では、JALでは昨年同様に、年間乗務時間制限に抵触するため、乗務できなくなるパイロットが出てくることが予想されています。整備現場では、人員不足や夜間偏重勤務が不具合事例を誘発する要因になっています。客室乗務員の現場では、コロコロ変わる勤務問題や、乗務中の休憩時間問題が一向に改善されていません。ひどい勤務実態が客室乗務員の低い勤続年数に現れ、それがスキルの伝承の阻害要因になっていると指摘されています。グラハンの現場では、JGSグループの18歳の賃金が時間給換算で最低賃金を下回る状況が報告されており、改善はまったなしです。1時間の休憩時間が確保されない状況や、人員不足、あるいは安定的に人員が確保されない非正規社員増を懸念する声も広がっています。

 15年末闘争は一時金にとどまらず、勤務改善や健康問題など多くの課題への積極的な取り組みが求められています。
 これから年末要求作りが行われます。健康で長く働き続けられる労働条件の確保に向けた、大事な闘いの場です。しっかり取り組みましょう。

300 TOPへ


「労働条件を引き上げることで定着化が図られ、安全性を高めてきた」―あるグラハン経営者の言葉です。

 航空機が到着してから出発するまでの間には、航空機の誘導、乗客の乗降用ステップ・ボーディングブリッジ装着離脱、貨物・手荷物の取り降ろしや受け渡し、機内清掃などさまざまな地上準備作業が行われます。これらの業務を総称してグランドハンドリング(グラハン)といっています。航空機の安全運航には、グラハン作業が安全かつ迅速に行われることが求められています。
 こうした期待とは裏腹に、グラハン労働者の置かれた状況は、日々厳しさを増しています。
 航空局羽田空港事務所のまとめによると、今年度、羽田空港制限区域内で発生した車両事故は29件に上ります。なかでも特徴的なのが、居眠り運転による事故です。昨年、全日空グループのグラハン会社でも居眠り運転が何件か起きています。
 この夏、羽田空港で全日空のグランドハンドリングを行っているANAASでは、「手荷物の重量がバランスシートに反映されてなかった」「貨物搭載ポジションの間違い」「未チェックイン旅客搭乗による不一致」などが短期間に連続して発生しました。社長は管理職向けの「緊急社長メッセージ」で、「この事態を引き起こした本質的な要因はなにか、なぜ基本業務が組織として徹底できないか」「業務実態、職場実態を含め『現場』をしっかり見つめ、しっかり立て直していく」と述べています。

 ANAASでは今年度約300名が採用されました。しかし退職者が後を絶たず、実増は90名程度と言われています。現場からは退職率を下げる施策が必要との声が出ています。約400名が配属されている職場では出面を確保するため、年休枠を1日3名程度に制限することもあるようです。作業グループの編成を問題視する声もあります。あるベテラン労働者は「その日その日で作業グループの編成が変わる。コミュニケーションには問題のあるやり方だ。こうした作業環境が不具合事例の背景要因になっている」と話します。

 JALのグランドハンドリングを行っているJGSグループのAさん。長く貨物・手荷物の搭降載業務についています。「一時は改善されたが、部門別採算制度が導入され、一段と仕事がきつくなった。1時間の休憩時間がきちんと確保できてないし、5勤務・1休・5勤の勤務パターンは身体にきつい」と話します。ある若手労働者からは「朝5時半出勤、6時出勤に体が慣れないので、夜も寝付けずもんもんとした状態で出勤し、仕事をすることは日常茶飯事」との声。

 グラハン連によると、二次下請け会社の労働者の基本給は9万円で、シフト勤務と残業でようやく20万円。JGSグループのある会社の18歳の基本給は、時間単価に換算すると東京都の最低賃金(15年9月より時給907円)を下回ります。

 航空会社は好業績を上げていますが、下請労働者の実態に改善はみられません。「航空機の安全運航を第一に、定時性、快適性など運航の基本要件を満たすために、グランドハンドリングには質の高い作業が要求されます」(日本航空技術協会)にふさわしい労働条件が求められます。

300 TOPへ


 妊娠中の地上勤務を拒否され、無給休職を余儀なくされた日本航空客室乗務員の神野知子さん。雇用機会均等法や労働基準法に違反するマタニティーハラスメント(マタハラ)だとして、日本航空の休職命令無効と未払い賃金・慰謝料を求める訴えを東京地裁に起こしました。その第1回口頭弁論が9月2日開かれ、本人と弁護士の意見陳述が行われました。

 弁論に先立つ裁判所前の宣伝行動には、「裁判を応援したい」「原告を励ましたい」との思いを持つ多くの仲間たちが参加。横断幕やプラカード・うちわを手に、「安心して妊娠・出産し働き続けたい!」「ママに優しいJALへ!」などを訴えました。航空内外の支援者に加え、現場の先輩後輩なども多く参加し、赤ちゃん連れのママさんの姿もありました。テレビ取材もあり、この問題への関心の高さがうかがえました。法廷に入りきらない多くの傍聴者が詰めかけるなか、原告と弁護士の意見陳述が始まりました。
 原告は、「昨年8月に妊娠が判りました。客室乗務員は妊娠すると母性保護の観点から、乗務を続ける事ができなくなるので、出産するまでの間、地上で勤務する制度を選択しましたが、会社から『現在、地上勤務のポストがない』という理由で休職発令され、無給になってしまいました」「妊娠が分かってすぐの昨年の9月から会社に対し改善して欲しいと訴え、労組(CCU)を通しても何度も交渉しました。しかし、会社から改善策が示されることはありませんでした。更に市役所にも行き、妊娠による不利益を受けた事を相談し、労基署や雇用機会均等室にも足を運びました。労基署では妊娠による一方的な休職発令について説明すると、すぐに会社に対し事実確認と改善を促してくれましたが、会社が助言を聞き入れることはありませんでした。均等室では調停斡旋が開かれることになりましたが、会社が調停への出席を拒否し、打ち切りとなりました。様々な方法で解決を見出そうと努力しましたが、今日に至るまで解決することはありませんでした」「新しい命を授かることができ、本来であれば心から喜び、安心して出産の日を迎えたいと思っていました。しかし、妊娠した途端に生活の糧である収入は途絶え、目の前が真っ暗になりました。今後も出産する客室乗務員が同じような辛い思いや悲しい思いをして欲しくないと強く思いました」と陳述しました。 弁護士からは、女性労働者の職業生活の充実に逆行するものであり、このような不利益扱いは違法無効であることなどが述べられました。
 

次回裁判は11月11日11時東京地裁527号法廷。

300 TOPへ


2010年12月31日の不当解雇から4年9カ月を迎えた9月6日、都内でJAL不当解雇撤回原告団集会が開かれました。集会では、家族から語られた苦しい胸の内、年老いた親の介護をかかえてたたかう悩み、人間関係の悩み、裁判で負けた悔しさ、JALへの憤り、裁判で負け折れそうになる心との葛藤など、一人ひとりが胸の内を率直に語り合い、「このままでは終われない」を全員で確認しました。

 裁判での解雇撤回闘争は、最高裁の上告を不受しました。一方、再建をめぐる過程で管財人代理が行った行為は違法な不当労働行為として、東京地裁・東京高裁が認定しました(最高裁で係争中)。ILOや国会ではJALの対応が注目されており、労使交渉ではストライキを背景に不当解雇撤回を追及しています。JALでは15年末闘争は職場問題の解決とあわせ、不当解雇問題も重要な争点になります。
 ILO勧告を受けた国会審議で塩崎厚労大臣は、「解雇された原告らとの話し合いを含めて解決に向け労使交渉がなされるべき」「ちゃんと話し合い(労使交渉)が行われることを我々としても注視する」と発言しています。大臣発言を実行するため、政府のより強い対応が求められます。
 ILOへの追加情報提供も急務です。JAL再建の過程で管財人代理が行った行為が、不当労働行為として東京都地方労働委員会・東京地裁・東京高裁で3度も認定されたことを追加情報として提供する必要があります。とりわけ高裁判決が指摘した、管財人の行為は憲法28条で保障した団結権を侵害する行為と結論づけたことは、極めて重要な意味を持ちます。追加情報提供により、日本政府の対応やJALに対する国際的な糾弾は避けられません。 団体交渉の場での継続的な追及も欠かせません。

 3月13日の社長出席の経営協議会でJALは日航乗員組合の追及に、「解雇問題は労使春闘で話し合って解決策を決めて行かなければならないという組合主張は、その通り」と発言しました。続い、5月21日の団体交渉では「今のところ示すことができる解決策はないということだが、今の状況を放置するとも言ってない」。6月2日の団体交渉では「今までの考えと違う考えがあるのであれば、将来的には原告団と直接の協議の場を持つこともあるだろうが、現時点ではない」。塩崎厚労大臣の国会発言については6月15日の団体交渉で、「(大臣の)一連の国会発言については知っているし、理解している」と発言しました。6月16日のCCUとのストライキを背景にした交渉の場では、「何度も社長には伝えている。今後も協議するということを再回答として受け止めていただきたい」と回答しました。

 6月17日の株主総会では株主から解雇問題やILO勧告に関する質問があり、経営陣はコメントを差し控えるとしながらも、「会社における組合との協議については、きちんと誠意をもって対応していきたい」と応じました。

 この1年、ILO勧告、国会質疑、労使交渉、共闘会議等の支援行動等の積み重ねによりJAL包囲網が強化され、JALの対応にも変化が生まれています。原告団集会では、こうした一つひとつの取り組みの到達点を確認しました。解決への流れをより確かなものにするため15年末闘争、16春闘では職場問題の解決と結合し、原告・当該労組・共闘会議と連携した運動を力強く進めていきます。引き続きみなさまのご支援・ご協力をよろしくお願いいたします。

300 TOPへ


 航空では、JAL不当解雇撤回裁判をはじめ多くの労働者が働く権利を守り、会社の不当な対応を改めさせるためのたたかいが続けられています。 10月も多くの裁判が開かれます。
引き続きみなさまのご支援・ご協力をよろしくお願いいたします。

●10月5日(月)
JCCアリタリア航空マタハラ裁判13:30〜/東京地裁631号法廷
妊娠を理由に契約制客室乗務員を雇止め。
●10月7日(水)
SNWエミレーツ航空不当解雇撤回裁判14:30〜/

大阪地裁809号法廷

●10月8日(木)

SKY猪俣さん労災認定裁判(過労死裁判)

10:00〜/東京地裁705号法廷/個人・団体署名取り組み中。

300 TOPへ



10月1・2日、航空安全会議第50回定例総会が開かれ、50期がスタートしました。今期から議長を務める七田です。出身はANAグループ乗員組合。B737に乗務しています。
 1966年2月から3月にかけて、日本の空で3機の航空機が相次いで墜落したことを契機に航空安全全会議が設立されて50年が経ちます。
 この50年の間に航空機は、DC8・B707等の今では懐かしい初期型ジェット旅客機からB727・コンベア880・DC9・B747・DC10などを経て、今ではむ最新のB787やA350に置き換わろうとしています。航空機の航続距離は大きく伸び、気象条件が厳しいなかでも着陸を可能にする計器の精密化や航空機操縦の自動化も進んでいます。管制機器や方式、航空保安施設も大きく発達しました。50年前にはなかったGPSは、地球上のあらゆるところでの機位測定を可能にし、その高い精度は、地上からの電波誘導を必要としない空港への進入をも可能にしています。
 このように航空機の運航を取り巻く環境は大きな発展を遂げましたが、航空安全会議が果たす役割がなくなったかというと、そうではありません。高度に進んだ航空機システムも故障時には、運航乗務員や整備士の正確な対応が必要であることは今も変わりません。最先端の航空機と管制機器や技術は飛行中の航空機の間隔を狭めることを可能としましたが、結果として経路や高度の逸脱を許容しなくなりました。管制官は管制指示の間違いを起こさないように、運航乗務員は管制指示と違った航空機の操作をしないように、重圧に耐えながら業務を行っています。
 客室乗務員、旅客・貨物を扱う地上スタッフはギリギリの人数で、安全運航と定時運航のサービスの両立を求められています。
 すべての航空労働者が結集して航空事故の撲滅をめざすという航空安全会議設立の目的は、現在においても色あせるものではありません。航空安全のための不安全要素の解消への取り組みにすべての職場からの参加をお願いします。 

300 TOPへ


 2016年度の概算要求がまとまりました。戦後最大の総額102兆円。100兆円超えは2年連続です。一方、国債や借入金の残高は1000兆円を突破する深刻な危機状態です。財政再建の名の下で社会保障費は削られていますが、財政を立て直す見通しはみえません。

 政府は高齢化に伴う医療費や年金などをできるだけ抑える方針ですが、防衛費は2・2%増の5兆911億円と過去最大。安倍政権誕生から4年連続の増額になり、安倍政権の突出した姿がみてとれます。外務省が盛り込んだODA(政府開発援助)は11%増の4075億円。アベノミクスで掲げる成長戦略のために「新しい日本のための優先課題推進枠」を設け、3・9兆円程度の別枠も設けています。一般枠では抑制しても特別枠では増額を認めるもので、形をかえたバラマキともいわれています。
 一方、内閣府発表では、14年度の国内総生産(GDP・季節調整済み)は、物価変動の影響を除いた実質で前年度比1・0%減。09年度のリーマン・ショック以来、5年ぶりにマイナスに転落しました。マイナス0・5%程度としていた政府の見通しを大幅に下回り、消費税率引き上げが経済を縮小させたことが改めて示されました。
 15年4〜6月期の国内総生産(GDP・季節調整済み)速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比0・4%減。3四半期ぶりにマイナスに転落しました。この伸びが1年間続いた場合の年率換算では1・6%の減。GDPの主な内訳で見ると、約6割を占める個人消費が前期比0・8%の減少でした。個人消費がマイナスになったのは、消費税増税直後の昨年4〜6月以来。実質の雇用者報酬が0・2%減になるなど、物価上昇のなか、実質賃金が連続的に減少し生活苦が広がっていることが背景になっています
 労働法制改悪による生涯派遣や残業代ゼロはさらに個人消費を冷え込ませます。大企業優遇政策から国民生活を豊かにさせる予算への転換が求められます。300 TOPへ

ページ先頭へ 前へ 次へ ページ末尾へ