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■主な記事から■
▼JALに続きデルタ航空も契約制客室乗務員の正社員化を発表。賃金や勤務改善課題
▼みなさんの協力と支援でTFKの社員になりました
▼JALマタハラ裁判
▼JAL解雇争議―広がる支援と連帯。年間で44000人が取り組みに参加
▼北海道でJAL争議を支える会が結成総会を開催。共闘組織は全国で19に
▼日東整裁判
▼危険なレーザー照射。安全会議が7項目の対策提起
▼読書のススメ―「格差社会ニッポンで働くということ」
  


大企業は過去最高の利益を上げ、内部留保は300兆円を超えています。一方で労働者の状況はといえば、非正規労働者は全労働者の約4割2000万人超で、年収200万円以下の労働者は1100万人を超えています。これではGDP(国内総生産)の6割を占める個人消費が盛り上がるはずはありません。経済成長には労働者の賃上げと安定雇用が必要です。16春闘が始まります。

 日銀の黒田総裁は昨年10月の日銀政策委員会で、2%の物価安定目標達成に向け「一番重要なのは、来年の春闘に向けてどういった賃金の上昇がみられるか、極めて注目している」と強調。甘利再生相も過去最高の企業収益という原資が「適切に活用されないところに一番問題がある」とし、「なかなか難しいとする企業は、自身の余力を使っていないということになる」と言い切りました。「溜め込みすぎた大企業の内部留保を賃金・労働条件の改善に活用することが日本経済発展のカギ」との認識が社会的に共有化されています。
 連合は昨年に続き「2%以上のベア」、中小は10500円以上、非正規は誰もが時給1000円。全労連は月額2万円以上と時間給150円以上、最賃月額17万円以上の要求を掲げています。
 JAL・ANAの中間決算は好調でした。営業収入は、全日空は過去最高の9112億円(前年同期8548億円)。日本航空は6879億円(同6837億円)で、5期連続で中間期に通期営業利益を上方修正しました。原油低下・訪日旅客増も加わり、両者とも3月期決算では大幅利益が予想されています。2015年中間決算時点の内部留保(利益剰余金+退職給付債務+資本剰余金)は、ANAは6694億円(15年3月期6320億円)、JALは8566億円(同7957億円)となっています。
 日本航空は4月からパイロットの賃金制度を見直すことで、概ね破綻前の水準に戻ります。整備職や客室乗務員、すべてのJALグループ社員の賃金引き上げは最重要課題です。株主には大幅配当しながら、社員の賃金据え置きは許されません。
 日航ユニオンの諏訪書記長は、「5%カットや賃金制度を元に戻し大幅賃上げしてもJALには十分余裕がある」と話します。昨春闘でJALは2000円、ANAは1000円のベースアップを実施しました。昨年以上のベアをしっかり要求しましょう。
 国際線はパリでのテロ事件もあり、依然として不安材料を抱えていますが、米国航空会社は第4四半期が好調だったことから通年で最高益が予想されています。アジア系航空会社では、日本路線のインバウンドがアウトバンドの約6〜7倍とも言われており、好業績が予想されています。
 航空の職場は、サービス残業や過密・長時間労働、確保されない休憩時間や低い年休取得率などの改善が遅々として進んでいません。それどころか、人員不足は一層深刻化しており、改善を目指すたたかいはとりわけ重要になっています。
 全日空は1000人規模の客室乗務員採用を計画しています。年間500名超が退職しており、大量採用しなければ運航を維持できないのが実情です。退職の背景には過酷な勤務や、パワハラなどの労働環境が指摘されています。
 日本航空は昨年12月に契約制客室乗務員の正社員化(正社員採用)を打ち出しましたが、過酷な勤務や労働環境が改善されたわけではありません。引き続き労働環境改善に向け手をゆるめることなく取り組む必要があります。
 少子化対策・子育て支援問題では、遅れている客室乗務員に対する子育て支援策をどれだけ拡充させられるか注目されますが、JALやアリタリアのマタハラ裁判からは経営側の改善に向けた姿勢はみえません。
 グランドハンドリングの現場では、最低賃金(時給)並みの賃金や定められた休憩時間が取れない勤務、後を絶たない離職問題の改善も急務です。ANAグループのANAAS(羽田)は、上期終了時点で計画人員に対し160名を超える人員不足を認めています。JALグループのJGSでは羽田空港国際線業務の生産体制が整わないため、間接業務からの応援が行われています、委託先会社の人員が整わないことから、委託業務の自社化をせざるを得ない状況も生まれています。
 整備現場では航空機の稼動を上げるため、整備作業を昼間帯から夜間帯に移行しています。勤務も、より夜間偏重なっており、勤務改善や業務の軽減化はまったなしです。
 安倍首相が賃上げ要請しても結局のところ、労働者・労働組合がしっかり要求し闘わなくては改善を勝ち取れません。16春闘は生活改善のみならず、経済の健全な発展をめざすたたかいでもあります。労働組合の社会的責任が問われる春闘と言えます。

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日航キャビンクルーユニオン(CCU)などが1995年の導入時から一貫して反対し、正社員化を求め続けてきた契約制客室乗務員問題が大きく前進しました。日本航空は昨年12月15日、@4月から客室乗務員(CA)の契約制採用を廃止し正社員採用とするA在籍している契約制CAは正社員化する、と発表しました。理由は「やりがいや働きがいを感じて乗務することで、安全運航と高品質なサービスを提供し続ける役割を担ってもらう」。1月15日には、米系大手のデルタ航空が契約制CAの正社員化を発表しました。全日空は14年4月から正社員採用と契約制CAの正社員化に見直しています。国内大手2社に続き、米系大手航空会社も契約制CAの正社員化を打ち出したことになります。日本航空は1月18日に人事賃金制度の見直し案を労働組合に提示し、実施に向けた協議に入ります。
 1995年の契約制客室乗務員導入は、雇用形態を見直したい経済界の想いを先取りするものとしてセンセーショナルに報道され、それまでの「正社員採用が当たり前」から契約制採用の流れをつくる役割を果たしました。以後、日本では、派遣法も改悪され、非正規労働者は増加の一途をたどりました。今回の日本航空の制度見直しは、不安定雇用は短期的には企業に利益をもたらしたとしても、長期的には企業成長の阻害要因となることを、経営自らが証明したといえます。
 正社員化と同時に労働環境の改善も急務です。全日空は2014年4月に正社員化に踏み出しましたが、年間500名もの退職が後を絶ちません。コロコロ変わる勤務や、国内線・国際線混合(混在?)勤務やパワハラ、子育て支援など労働環境の整備も大きな課題です。
 航空連の前田副議長(客乗担当)は、「競争激化を理由にコスト削減の一環として契約制客室乗務員が導入されました。契約制という不安定雇用もとで多くの若い女性が退職に追い込まれ泣く泣く辞めさせられて行く事実を目の当たりにした20年間でした。客室乗務員の保安任務や経験に裏打ちされたスキル向上を図るためには、経験のある客室乗務員が必要となります。
 正社員になっても低い賃金ときつい勤務に悲鳴が上げているのが現状です。この労働条件の回復こそが生き生きと働き続けられる保証です。正社員化の流れをLCC含めたすべての客室乗務員に広めること、また客室乗務員の労働条件の改善が待ったなしです」と話します。

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TFK羽田支店では15名の派遣社員が働いていましたが、派遣法に抵触していたことがあり、TFKへの雇用を希望した者11名が2月からTFKの契約社員として直接雇用されることになりました。当事者のAさんは、派遣法に基づいて直接雇用を労働局(需給調整事業部)に申し立て社員化を求めるなど、直雇用化の先頭に立ってきました。今回社員化が決まってほっとしている、と話しています。 「派遣が3年過ぎておかしいと思い、同僚に相談し、組合の人にも相談して、労働局に申し立てに行きました。労働局はATSとTFKへの立ち入り調査を実施し、『退職日を通知していなかった』点に違法がみつかったとして『直接雇用の意思を表明しなさい』といわれました。労働局の指導で会社が動き始め、少し時間はかかりましたがTFKで直接雇用されることになって本当に良かったです。組合の皆さんにはお世話になりました」
 TFKの契約社員となって食券が3500円出るようになりましたし、ボーナスも出るなど、派遣社員との違いが出ています。しかし一番の違いは、やはり雇用の安定です。
 TFK労組とスカイネットワークTFK分会は職場の人員不足の問題で、派遣社員の人員確保などについて会社と交渉してきました。そのなかで、どうも派遣法違反があるようだ、ということになり、連携しながら取り組みを進めました。年末の餅つきでは航空の仲間の皆さんにも祝ってもらいました。

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 JALマタハラ裁判第3回口頭弁論が1月13日に開かれました。被告である日本航空は、「客室乗務員(CA)の労働契約にある業務は『乗務』と一部の地上業務であり産前地上勤務は労働契約に入っていない。妊娠は使用者の責ではない不就業であるからノーワーク・ノーペイの原則が適用され無給の休職になるのは当然である」と、均等法には触れずに問題を矮小化しています。それに対して原告側は、CAには常時約200名の地上勤務者が存在すること、CAの業務が乗務に限定されているか否かに関わらず労基法65条に基づき、地上勤務への軽易業務転換請求ができると訴えました。裁判長からは、客室乗務員の労働契約内容や地上勤務の範囲などについて質問があり、次回弁論までに原告・被告双方が示すこととなっています。
 報告集会では、「労働契約のなかでしか議論がされないのはおかしい。均等法ができて30年経過するが、その頃と同じような議論をしているようでは困る。全く遅れている」との意見が出されました。日航キャビンクルーユニオン(CCU)は、「契約社員の正社員化は20年来の悲願達成です。客室乗務員は正社員で、として契約社員の導入を反対し運動をしていた人たちが、いま解雇された原告です。正社員化を勝ち取り、マタハラ裁判や不当解雇もすべて解決する年にしたい」と報告しました。原告の神野さんは「安心して長く働き続けられる職場をめざして、この裁判は負けることはできません。皆さんに応援してもらっていることが一番の励みになります。これからも頑張っていくので応援よろしくお願いします」と話しました。 第4回口頭弁論は3月23日10時、東京地裁527号法廷。

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2010年12月31日の整理解雇から5年。時間は否応なく過ぎました。当時と現在の写真やビデオがその年月を物語っています。原告の多くが、本来なら定年退職となる年齢に達しました。この間、家族の状況も変化しました。親が要介護となったり、他界した家族もいます。職場復帰をともに闘ってくれた家族は、喜びの報告を待ちに待っていました。
 提訴から「今年こそ解決」と何度も言い聞かせながら乗り越えてきた5年。原告の1人は東京地裁判決から4カ月目にクモ膜下出血で倒れ、還らぬ人になりました。彼女は53歳で解雇されました。誕生月が数カ月遅れれば乗務できていました。病気欠勤の基準で解雇された原告も、数日の欠勤日数で対象になるかならないかでした。病気基準では「これまでの貢献度が低い」、年齢基準では「年齢の高い者は今後の貢献度が低い」と、会社は人選基準の正当性を主張しました。
 整理解雇後の客室乗務員の現場では「今後の貢献度が高い」と期待された若い層が毎年500人前後辞めていきました。パイロットの職場では、グループ全体で300人もの中堅層・ベテラン層が他社に移っていきました。経営破綻から6年経過した現在の職場には、経験豊かな人財を対象とした希望退職の実施と、必要のなかった整理解雇を強行した後遺症が蔓延し、人財確保が困難な状況となっています。
 会社はその対策として、賃金の見直しや客室乗務員の正社員採用を決断し関係労組に提示しましたが、それで事は足りるのか。現場を正確に把握するためには労使関係改善が必須です。連続事故や未曾有の犠牲者を出した123便事故、そして経営破綻の教訓が今こそ生かされなければなりません。航空経営を熟知しない管財人主導で行われた再建と、今も踏襲されている労務政策中心の経営方針が問題を深刻化させてきました。決断のタイミングを逃さず、労使関係の正常化と安定化の努力が求められています。
 その一歩としてまずは、不当解雇撤回争議の解決です。11月に出されたILO第三次勧告はそのことを要請しています。不当労働行為の行政訴訟事件や日東整解雇事件も労使関係に起因しています。マタハラ裁判は、女性を差別する企業としてイメージダウン必至です。2016年は、すべての争議を解決する年としてアピールし、真の再生の姿を航空内外に示すことです。
 私たちは支援と連帯を強めています。JAL闘争を支援する共闘組織としては19番目となる「不当解雇とたたかう日本航空労働者を支える北海道の会」が結成されました。2015年の各種取り組みには延べ約44000人が参加しました。新年の旗開きには162団体(1月20日現在)から招待されました。私たちは不当解雇撤回に向け2016年も全力で取り組む決意です。

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 JAL不当解雇撤回闘争を支援する共闘組織は全国で18つくられていますが、19番目の「不当解雇とたたかう日本航空労働者を支える北海道の会」(JAL闘争を支える北海道の会)が結成され、1月8日に結成総会が札幌市内で開催されました。結成総会には原告団から山口パイロット原告団長、石賀客乗原告が参加しました。
 2010年12月31日に日本航空のパイロットと客室乗務員165名が解雇され6年目になりますが、解雇者を職場に戻そうとする運動はさらに広がっています。
 原告団代表らは、結成総会に先立ち札幌市内の労働組合や民主団体、弁護士事務所など18ヵ所を訪問し、解雇撤回闘争の現状報告や、日航が上告中の不当労働行為裁判の最高裁宛て団体署名の協力を呼びかけました。
 訪問先では「自分たちも何かしなくてはと思っていた。北海道にJAL闘争を支える会≠ェできて良かった」との言葉をいただきました。
 山口団長は結成総会で「『働く権利』と『空の安全』を守る闘いは6年目に入りました。この時期、北の大地に新たな『支える会』を発足していただき、改めて身の引きしまる思いです。立ち上げにご尽力していただいた皆さま、本当にありがとうございました。
 司法での闘いが終結した後も『不当な解雇を許さない』という多くの支援者の皆さまに支えられ、原告団は新たな情勢の中、解雇撤回・職場復帰≠目指してまいります」と決意を述べました。

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  昨年7月に最高裁に上告した日東整不当解雇撤回裁判は第一小法廷に係属することになりました。現在は、最高裁で取り扱うべき事件なのかの判断に強い権限を持つとされる、調査官による訴訟記録の調査が行われているところです。日東整争議団は東京争議団や国民救援会が主催する最高裁前宣伝や要請行動に積極的に参加して、東京地裁・高裁での不当な審理と判決の実態を訴えて裁判のやり直しを求めています。
 最高裁への要請行動に争議団はこれまで8回参加しました。また、元日東整労組の相澤さんと野口さんは、日本エアシステム(JAS)時代からの支配従属関係とJAL時代における役員選挙への介入などの実態を、整備連の針谷さんは航空法に基づく整備の受委託の実態を、スカイネットワーク(SNW)の松尾委員長は航空業界全体の親子関係の実態を、元AGS労組(現JGS東京労組)の金高委員長はJAL経営支配の下での劣悪な労働環境がもたらした実態と責任などを、文書で提出しました。
 要請行動では署名(492団体、個人5445筆)を提出し、裁判のやり直しを強く求めています。

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航空機に対するレーザー照射が大きな問題になっています。

 大阪空港でのレーザー照射が報道された後、航空局は「羽田空港など都市部に近い空港を中心に、民間の旅客機がレーザー光線の被害にあった事案が過去6年間で少なくとも計152件(12月7日現在)発生」を明らかにしました。大阪空港の事例は威力業務妨害の疑いで捜査されています。
 パイロットには、見張義務が課せられています。特に夜間のアプローチ時は目をならす目的で、操縦室のライトや計器パネルの明るさを極力絞りこみます。手元の書類は照明を当てなければ読むことができないほどの暗さになります。パイロットはそのなかで外部監視をしています。
 アメリカ連邦航空局(FAA)は、レーザー照射を受けた際の、レーザー強度ごとの滑走路の見え方を実験しました。実験では、夜間にレーザー照射が行われた場合、視界が容易に遮られてしまうことがわかりました。
 加えて、レーザー光を眼球で受けた際の視力の一時的低下も報告されており、最悪失明の危険もあります。このように危険なレーザー照射が着陸の最終段階で起こった場合、パイロットが一時的に何も見えない状態となり、安全に着陸できない可能性が考えられます。
 アメリカでは、航空機へのレーザー照射には5年以下の禁錮や25万ドル以下の罰金が科せられます。賞金を懸けて、犯人特定につながる情報の提供を募るなどの対策も実施しています。照射を受けたパイロットは、即時管制官への通報が義務付けられており、管制官は警察と協力してレーザーの発射元の発見・抑制などの対応にあたります。
 レーザー照射問題で航空安全会議は、@法制化による予防(航空機だけでなく管制塔への照射も含める)A空港周辺の危険地帯の洗い出しと警備に加え、監視カメラによる監視B照射対策をパイロットのみでなく管制塔で働く管制官も含めるC照射を受けた場合の管制官への通報手順の確立D通報があった場合の、捜査機関への連絡体制の確立E羽田旧タワーなどの実施設を使用しての実験Fレーザービームへの対抗策と危険性などの啓蒙宣伝、などに重点をおいた対応の必要性を提起しています。 レーザー照射は、航空の安全を著しく阻害する行為です。速やかに、効果的な対策が構築される必要があります。

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