談話 100427


談 話 2010年4月27日

スカイマーク社の業務改善勧告について

航空労組連絡会


事務局長 津惠 正三



 2010年3月9日の朝日新聞の報道によると、スカイマークの機長が、体調不良で声が十分に出ない客室乗務員(CA)を交代させようとしたところ、西久保慎一社長と井手隆司会長が認めず、逆に機長を交代させて運航を強行していたとのことである。


 そもそも航空法は機長に乗員への指揮権を与えており、個々の運航では機長の判断が最優先され、同社の運航規定でも、安全に対する最終決定権は機長にあると定められている。また、CAは保安要員で、非常時に大声で乗客を避難誘導する役割がある。


 この機長の判断を経営者が覆したことについて、国土交通省は「前代未聞。安全にとってゆゆしき事態」として文書で厳重注意した。

 同省によると、問題が起きたのは2月5日の羽田−福岡便においてであり、チーフ格のCAは風邪の治りかけで大きな声が出せない状態だった。出発前に気づいた外国人機長 が「避難誘導などに支障をきたす」と交代を指示した。


 ところが、事態を聞きつけた西久保社長は「健康上、問題はない」として認めず、安全統括管理者の井手会長も「会社の命令」として交代なしに運航するよう指示したという。機長は「安全が確保できない以上飛べない」と拒否したため、社長らは機長を交代。別の機長がCAの交代なしの運航を受け入れ、約1時間遅れで出発させたという。 更に、当該機長は契約を解除され解雇に至るという結果になった。


 この案件につき、航空連の見解を以下に明らかにしていく。


運航の現場を軽視する、同社の経営姿勢が象徴されている

国土交通省は、他にも様々な安全上の問題が発覚した同社に対し、3月15日から3週間に渡る監査を行い、4月6日、「安全管理」、「運航」、「整備」の3点で「業務改善勧告」を出した。2006年3月、一連の整備上の不具合により発出された「勧告」に続き2回目となる。

数々の安全上の問題が指摘される中で、航空連は、監査のきっかけともなった、「安全上の指摘を無視して運航を強要、及び当該機長の契約解除」の事案こそが、同社の持っている本質的な問題を如実に表していると考える。

同社は、以前から現場労働者の意見を無視し、不当労働行為を繰り返してきた。


 今回の事案で、運航現場を無視する経営姿勢が一層明らかとなり、改めて、同社が安全運航を堅持する理念から極めて遠い実態が浮き彫りとなった。

 この事案で見逃されてはならないのは、声の出ないとされた客室乗務員がなぜ病欠をしなかったのか、病欠をすることに過度の圧力を感じる実態がなかったか、事実関係を併せて調査する必要を感じる。

公共交通機関としての自覚を持たせる必要がある

 

 2000年2月に航空法が改正され、路線の「参入撤退の自由」が認められるようになった。同社は06年4月に東京−鹿児島線、東京−徳島線から突然撤退し、地元などから不満と批判の声があがった。2006年4月11日に行われた衆議院国土交通委員会では、西久保スカイマーク社長は委員より「利益主義一辺倒でいいのか」とも指摘されている。また、他の委員から「航空法第1条とは何か」と質問された際、同社長は「申し訳ございませんが、業界の経験が浅いもので、お答えできません」と答弁している。(第1条の要旨:航空機の航行の安全、利用者の利便の促進、それをもって公共の福祉を増進するという、航空法制定の「目的」が謳われている)


 今回の事案は、公共交通機関として最も重視しなければならない安全を軽視したものであり、同社の経営姿勢として安全重視へ抜本的に改められなければならないと考える。航空連は、これからも同社と、それを取り巻く関係者の動向を注視していく。


以上



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