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日本航空の整理解雇 仮処分裁判申立

整理解雇させないために仮処分を申し立てる

 日本航空乗員組合の87名は、「『ブランクデイ勤務』を命じること通じて退職強要をしてはならない」として、11月4日に東京地裁へ仮処分の申立を行いました。

当日は、裁判所前で当該乗員をはじめ60名近い人たちによるビラまきと記者会見を行いました。

以下に、申立にあたっての「日本航空乗員組合の見解」を掲載いたします。

退職強要禁止仮処分申立に関する日本航空乗員組合見解

 2010年11月4日 日本航空乗員組合は、東京地方裁判所に退職強要禁止仮処分命令の申し立てを行いました。本件申し立てに関する日本航空乗員組合の見解を以下に述べます。

 日本航空インターナショナル(以下会社という)においては、2010年1月19日会社更生手続きが開始され同2010年8月31日に更生計画案が東京地方裁判所へ提出されました。その更生計画における人員数は、平成21年度末48714名から平成22年度末に約32600名にする予定と書かれています。運航乗務員に関する人員施策については、2010年3月以降、2回の特別早期退職、2回の希望退職で合計約620名が応募しました。更生計画全体における人員施策という点では10月末時点で99%が達成されていますが、現在、運航乗務員としての残りの目標削減数は130名とされ、整理解雇を示唆しながら11月9日を締め切りとする希望退職措置最終募集が行われています。

 会社は、運航乗務員の人員施策に関し、少なくとも2010年6月には具体的な計画を立ており、現在のような状況になる事を予想していました。しかし、2010年夏の繁忙期を乗り切る為、その間、何ら施策を講じることもなく、突如、2010年9月27日に合理性のない整理解雇人選基準(案)を示し、一部の運航乗務員に対して10月の勤務割を「乗務を指示しない勤務」いわゆる白紙のスケジュール(以下ブランクスケジュール)にし、もっぱら退職を迫る面談のみを勤務割に編入するという極めて不当な扱いをしました。

 ブランクスケジュールを配布して仕事から外すというのは、隔離部屋に配置して仕事を与えないという措置に相当します。一方的な整理解雇基準を示して、仕事をはずし、面談等を通じて整理解雇対象者である事を強く認識させ、面談を繰り返し、希望退職に応じなければ整理解雇されるというメッセージを当該者に強く植え付けて退職を迫っています。また、あたかも当該者が退職しないことで会社に残る約32600人の社員と年金受給OBの生活が危機にさらされているかのような主張をし、当該者に不当な圧力をかけています。

 11月の勤務割でも同様にブランクスケジュールが配布され、幾度にもわたる退職強要で傷ついた当該者の心にさらに精神的苦痛を与え続けている事実は、明確に人格権の侵害にあたると思われます。整理解雇基準案で対象となっている組合員の精神的苦痛は受忍限度をはるかに超えています。

 9月29日より7回に及ぶ団体交渉でも、「このような手法は退職強要にあたり違法性が高い」「希望退職措置であり、意思表示を明確にしたものについては、直ちに通常のスケジュールに戻すべきである」と主張し続けてきましたが、是正されることはありませんでした。労使交渉では、改善の余地が全く見られず、また緊急に是正する必要があると判断し、やむなく第三者機関へ「ブランクデイ勤務を命じることを通じて退職強要をしてはならない」という仮処分申し立てに至りました。

 日本航空乗員組合は真の日本航空の再生を目指しています。真の日本航空の再生とは、政府の方針にもある通り引き続きネットワークを維持し、安全で安心して利用できる国民の空の足を確保し、継続的安定的に利益をあげ、社会に貢献できる会社に再生することだと認識しています。

 会社更生法適用下においては、痛みを伴う改革が必要であることは認識しています。しかし、個人の人格権を侵害する行為があってはなりません。会社は、更生計画では求められていないような非常に短期間で、性急な人員削減施策に固執するあまり、人格権を侵害する行為に至っていると考えられます。このような手法は、現場への影響は測り知れず、再建後の労使関係や社内の融和にも禍根を残す事になり、真の再生には逆行することになります。

 また、ブランクスケジュールの問題には、人格権侵害だけではなく、資格の維持や技量の維持等の問題もあります。会社は、ブランクスケジュールにより乗務をさせないことで、資格維持や技量維持を妨げ、再就職を妨害し、個人の不利益を極めて大きなものとしています。

 現在の手法は運航乗務員の職場には適さないと言わざるを得ません。このような手法ではなく、実効性のある回避努力を実施する必要があります。乗員組合はしっかりと時間をかければ労使で解決出来る問題だと認識しています。真の日本航空の再生の為に、職場が疲弊してしまうような手法や未来に禍根を残すような手法ではない形で妥協点を模索する事が必要だと考えています。安全運航を大前提とした再建には職場の活力やチームワークが必要になります。それが真の日本航空の再生に繋がるものと考えております。

 真の日本航空の再生の為、広く皆さまの理解を得て運動を進める事が不可欠であると認識しております。今回の人員削減施策の手法となっているような、整理解雇をちらつかせ、仕事を与えず、もっぱら退職を迫るという人格権侵害にあたる違法行為を改めさせるために、やむを得ずこのような方法に訴えることになりましたが、上述の主旨について皆さまのご理解をお願い致します。

                   以上

2010年11月4日

                          日本航空乗員組合



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