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産別全体でもうひと踏ん張りを

日本航空は、これ以上の人員削減は必要ない

日航乗組とCCUは、裁判所に上申書提出

 日航乗組とCCU(日本航空キャビンクルーユニオン)は、11月11日に、東京地方裁判所民事第8部に対して、「日本航空の整理解雇問題に関わる補充上申書」を提出しました。

 両労組は、@人員削減目標数(1,500名に対して1,520名が応募)はすでに達成されている事、A人員削減をしなければ経営が成り立たない状態でない事、B金融機関は整理解雇まで要求していない事、C整理解雇の回避の最大限の努力が払われていない事の具体的説明を記述し、上申書にて訴えました。以下、その内容を紹介します。

日本航空の整理解雇問題に関わる補充上申書

 貴職もご存知のように、2010年8月末に日本航空再建に関わる「更正計画(案)」が裁判所に提出され、11月末において認可される前提で事態が進行しております。この案に基づき日本航空では、グループ全体の約3分の1にあたる従業員を削減し、「平成22年度末までに約32600名体制」(「更生計画(案)」P23)を作り上げるため、「特別早期退職制度」、それに引き続く「希望退職制度」が提示され、更には「整理解雇」についても検討がなされる事態に至っております。その手法につきましては、希望退職制度を提示しながら、一方で整理解雇の人選基準(案)を職場に示し、その基準に合致している従業員のもとに、運航乗務員に対しては「会社による面談日以外は白紙の月次スケジュール」、客室乗務員に対しては「会社による面談日以外は、自宅スタンバイ(自宅待機)だけの月次スケジュール」を配布して乗務をさせず、面談で会社より「貴方の職場はない」と、希望退職への応募を強く求められるという内容であり、実体上「退職強要」が行われているに等しい状態です。このような「ハラスメント」とも言える措置が行われる中、今なお削減数が不足しているとして、「日航 整理解雇へ」(11月10日「朝日」)をはじめ各紙が整理解雇を会社が本格的に検討していると報じております。

 私ども日本航空乗員組合(以下、日航乗組)と日本航空キャビンクルーユニオン(以下、CCU)は、会社が「整理解雇を11月12日にも決める方向で最終調整」(11月10日「朝日」)と報じられていることから、次に述べます事実を取り急ぎ、裁判所にご認識いただきたく書面をもってお伝えする次第です。

1.人員削減目標数は既に達成されている

10月22日の第2次希望退職締め切り時点における応募が、乗員240名、客室乗務員650名、整備520名、一般地上職110名、合計1520名と、当初日航本体の削減目標としていた「1500名」(10月21日「日経」)に達している状況になっています。また、会社は日航乗組との団体交渉において、グループ全体の人員削減予定数である約16000名の99%は達成していると答弁しています。しかしながら、客室乗務員については「稼働数」という頭数とは全く別の概念を持ちだし、頭数であればあと10名で削減目標に達するにも関わらず、「稼働ベース」で見ればあと140名削減が必要であるとの理屈を立てて、削減目標を拡大させています。

2.人員削減をしなければ経営が成り立たない状態ではない

日本航空の稲盛会長が10月26日に記者会見で発表した通り、2010年4月?9月の営業収益が1096億円に上り、同上期前年比1851億円増加を達成したとのことです。この数字は、本年2月の段階における2010年度末の営業収益の計画値250億円に対し、実に800億円も上回ったことになります(なお、4月?6月の業績を反映して、当該計画値は640億円に上方修正されています)。しかもこの数字は、整理解雇もせず、約3割減とされる新人事賃金制度施行前の段階におけるものです。整理解雇を実施してまで人員削減をしなければ、企業が存続し得ないとは到底言えない状態です。

3.金融機関は整理解雇まで要求していない

2010年10月7日、日航乗組との団体交渉において、

組合:債権者が整理解雇しろと言っているのか?

管財人代理:もちろんそんなことは言わない。債権者自らそんな首を絞めるようなことはいわない。

と管財人代理は発言しており、報道においても「メガバンクも政府系金融機関も担当幹部は『整理解雇まで要求した覚えはない。むしろ経営陣を刷新してほしい』と口を揃える。」(2010年11月15日号「AERA」P27)、「日航 年度内に更生終了 4行、3000億円融資方針」(10月19日「朝日」)と新規融資に応じる方針が報じられています。すなわち大口債権者である主要金融機関は「平成22年度末までに約32600名体制」が達成されれば融資が実行可能となり、整理解雇までは要求していない姿勢であることが明らかとなっています。

4.整理解雇を回避する最大限の努力が払われていない

経営状況が悪化、あるいは破綻した場合、諸外国では「一時帰休」や「ワークシェアリング」といった手法が採られ、いわゆる「整理解雇」がいきなり実行されることはありません。しかしながら会社は日航乗組からの「一時帰休」や「ワークシェアリング」の検討要求に対し、そのような方策は採りえないと答弁し、また、運航乗務員については、白紙のスケジュールを配布された対象者以外のものに対しても、会社が再就職支援を積極的に行い、客室乗務員についても希望退職募集対象制限(年齢制限)を撤廃すれば、目標数の達成も可能という意見も一顧だにしておらず、整理解雇を回避するための最大限の努力を果たしているとは言えません。

 以上のことから、整理解雇をしなければ会社が再建出来ない状態とは言い難い中で、万が一整理解雇が実施された場合は極めて違法性が高いと思われます。

 また、万が一「整理解雇」が強行された場合、日本航空の再建への影響に留まらず、航空業界全体の安全運航や日本労働界全体への影響とその大きさは、計り知れないものがあります。裁判所が更生計画(案)の認可を裁定するに当たり、管財人等から上記の事実関係を説明されていない恐れがあるため、取り急ぎ上申させていただくものであります。                  以上

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