見解 101117


日本航空の整理解雇という暴挙に断固抗議するとともに全グループ社員の雇用と安全運航の確保に全力を上げて闘う


 11月15日、日本航空は250名の整理解雇を実施すると関係各労組に提案(通告)してきた。航空連は整理解雇という暴挙に対し断固抗議するとともに、同提案(通告)の白紙撤回、全ループ社員に雇用の確保に全力を上げて闘う決意を表明すると同時に、私たちの闘いに対する大きな支援を賜りたく、心から訴えるものである。

1.整理解雇は不当であり許されない暴挙

 会社更生法のもとで再建を進めている日本航空は関連子会社の売却をはじめ、3月の「特別早期退職」、そして9月から「希望退職処置」等、全グループ社員の3分の1に相当する16,000人に及ぶ人員削減計画を推し進めてきた。今回の整理解雇は、希望退職による人員削減が目標に到達しなかったことをその理由にしている。

 私たちはこうした会社の対応は以下の点で極めて不当で許されない対応であると考える。

@ 人員削減数をはじめとした人員削減計画の必要性そのものの説明が極めて不十分であり、いまだその根拠は不明確なままである

 日本航空が8月31日に東京地裁へ提出した更生計画では、人員削減目標はグループ全体で16,000人としており、内外にも削減数を示してきた。その削減計画は、09年9月時点で6,800人(有識者会議に提出の改善計画)、09年10月8,400人(タスクフォースの調査報告書)、10年1月19日の会社更生法の適用申請時点では3年間で15,661人(1月20日付日本経済新聞)、そして10年3月末にまとめた新再生計画では10年度末までに16,452人(4月14日付日本経済新聞)と日を追う毎に削減人数が急激に膨張してきた。

 日本航空は、なぜここまで削減数が膨張したのか、削減人数の算出根拠等の疑問に対し、整理解雇を直前に控えた今日においても、「事業規模縮小に伴う適正化」「再建のためには債権者や金融機関の理解を得る必要がある」等とする抽象的な説明を繰り返すのみで、削減必要数の具体的かつ明快な根拠を示していない。こうした現状は、人員削減計画の正否=合理性そのものが曖昧にされたままであることを示しており、整理解雇に踏み出すことは到底許されない。

A削減目標を達成しなければ経営が成り立たないという状況ではない

日本航空の稲盛会長が10月26日に記者会見で発表した通り、2010年4月〜9月の営業収益が1,096億円に上り、前年同期比で1,851億円の増益を達成した。この数字は、本年2月の段階における2010年度末の営業収益の計画値250億円に対し、実に800億円も上回っている(現在では、4月〜6月の業績を反映して、当該計画値は640億円に上方修正されている)。しかもこの数字は、整理解雇もせず、約3割減とされる新人事賃金制度施行前の段階におけるものである。こうした状況は、整理解雇を実施してまで人員削減をしなければ、企業が存続し得ない状況とは到底言えない。

Bすでに会社のいう削減目標は達成されており、そもそも整理解雇を実施する必要性がない

11月9日の最終希望退職締め切り時点での応募数は、乗員260名、客室乗務員730名、整備520名、一般地上職110名、合計1,620名と、当初日本航空本体の削減目標としていた「1,500名」(10月21日「日経」)をすでに超過達成していることは明確な事実である。また、会社は日本航空乗員組合との団体交渉において、グループ全体の人員削減予定数である16,000名の「99%は達成している」とも答弁している。こうした中で、客室乗務員については「稼働人数」という「頭数」とは全く別の概念を持ちだし、「稼働人数で見ればあと90名目標に足りない」等として削減目標を上乗せする対応は、“病欠・休職の経歴を持つ社員や高齢者はなんとしても締め出す”という異常な対応といわざるを得ない

C金融機関は整理解雇まで要求していない

 2010年10月7日の日本航空乗員組合との団体交渉において、労組の「債権者が整理解雇しろと言っているのか?」との質問に対し管財人代理は「もちろんそんなことは言わない。債権者自らそんな首を絞めるようなことはいわない」と答えている。また報道においても「メガバンクも政府系金融機関も担当幹部は『整理解雇まで要求した覚えはない。むしろ経営陣を刷新してほしい』と口を揃える。」(2010年11月15日号「AERA」P27)、「日航 年度内に更生終了 4行、3,000億円融資方針」(10月19日「朝日新聞」)と新規融資に応じる方針が報じられている。こうした報道が事実であれば、「平成22年度末までに約32,600名体制」が達成されれば、大口債権者である主要金融機関からの融資も可能となり、整理解雇そのものの必要性が消滅したことを示すものである。

D整理解雇を回避する最大限の努力がされているとは到底いえない

 経営状況が悪化、あるいは破綻した場合、一時帰休やワークシェアリング等の手法が模索され、いきなり「整理解雇」が実行されることはない。しかし日本航空は、労働組合の一時帰休やワークシェアリングの検討要求に対し「そのような方策は採りえない」と検討すら拒否した。また、客室乗務員の希望退職募集対象制限(年齢制限)の撤廃の提起も無視した。その上、対象となる運航乗務員については白紙の勤務スケジュールを、客室乗務員には自宅スタンバイの勤務表を配布して乗務からはずし、整理解雇の可能性を露骨に示して退職を強要してきた。こうした対応は、違法・不当な退職強要に加え、整理解雇の回避努力の放棄という違法に違法を重ねる暴挙である。

E労使交渉が十分つくされた状況とはいえない

 以上1〜5項で述べた点は、整理解雇実施以前に労使間で十分協議されるべき事項である。しかし今日、多くの問題点が積み残されたままであり、労使交渉が十分につくされた状況とはとてもいえる状況にはない。

F異常に異常を上乗せする会社対応は、再建に不可欠な安全運航を脅かすとともにスムースな再建を困難にする

 希望退職制度を提示しながら、一方で整理解雇の人選基準(案)を職場に示し、その基準を脅しに使った退職強要、運航乗務員や客室乗務員に対する乗務はずしによる退職強要、そして曖昧な人員削減目標を根拠に回避努力をも放棄した整理解雇方針の提示という違法な対応は、決して許される行為ではない。また、整理解雇の強行という事態となれば、不要な労使対立を生み、安全運航の確保とスムースな再建をより困難にするだけであり、国民・利用者が期待する日本航空の再建とはなりえない。

2.整理解雇の撤回と航空政策の見直しを要求する

私たち航空連は、人員削減目標が達成したといえる今日、日本航空の再建に向けて求められることは、現状の体制を有効活用し、労使がともに知恵を出し合い、安全運航を確保しつつ、経営・全グループ社員一体となって再建に取り組む体制を築くことであると確信する。

にもかかわらず、企業再生支援機構は「争議権を降ろさなければ融資をしない」「裁判所が更生計画を認可しても、争議権を降ろさなければ融資はしない」という脅しをかけて、労組の争議権投票に介入を行っている。このような行為は、整理解雇を押し付け、さらには脅しをかけて労働者から争議権を奪い去るきわめて異常な不当労働行為である。

私たちはスムースな再建のために、日本航空に対し不当労働行為を直ちに中止すると共に整理解雇方針の白紙撤回を要求する。

また同時に私たちは、日本航空の再建については、政府も深く関与をした中で進められている経緯を踏まえ、政府に対しては、安全・公共性確保―国民の足を守る立場から、日本航空はもとより、企業再生支援機構、銀行等の関係者に対する指導強化と合わせ、日本航空破綻の一要因ともなった航空政策の問題を是正に踏み出すことを強く求めるものである。


3.雇用と安全運航確保の闘いに大きなご支援を

整理解雇方針という重大局面に向かえ、私たち航空連は日本航空とその関連企業に働く労働者の雇用を守るために全力を上げて闘う。また、航空労働者としての良心に従い、いかなる環境に置かれようとも、国民の足を守る立場から安全運航の確保のために全力を上げて取り組む。

私たち航空連の、「雇用と安全運航の確保」をめざす運動に対するご支持とともに、今までにも増して大きなご支援をお寄せくださるよう心から訴える。

以 上

2010年11月17日

航空労組連絡会

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