phenix244号


■主な記事から■

▼企業再編、契約問題、労働条件低下に歯止めをかけよう。

グラハン労組全国三役会議

▼JGS、安全品質低下に追い討ちかける希望退職募集

▼深夜労働で懸念される健康破壊と安全性の低下

▼厳冬の千歳で航空安全シンポジウム開催

▼SNW斉藤さん本を出版

※お詫びと訂正
 フェニックス243号(1月1日付)2面「ゲート業務・客乗連が国交省に緊急要請」の記事に間違いや誤解を与えかねない表現がありました。
 ゲート業務に関して、国土交通省に中止を申し入れたのは、搭乗中の機内における客室乗務員の「保安任務の重要性」についてです。偽装請負の疑いに関しては東京労働局でした。
 また、ゲート業務が「労基法第34条施工規則32条(みなし休憩時間)に違反」している、とありましたが、「機内清掃業務」の間違いでした。関係者にはご迷惑をおかけしました。お詫びして訂正します。

■JALは不当解雇を撤回せよ

パイロット客室乗務員146人が集団提訴

 日本航空を不当解雇されたパイロット74名と客室乗務員72名の146名は1月19日、解雇は整理解雇4要件を満たしておらず無効として東京地裁に提訴しました。昨年末に不当解雇されたのはパイロット81名と客室乗務員84名。約9割が原告団に加わりました。当日は地裁前で宣伝行動が取り組まれ230名が参加しました。提訴後、記者会見と支援者による「励ます会」が開かれました。原告団は声明、「日本航空不当解雇撤回裁判提訴にあたって」を発表しました。

 原告団全員が出席して開かれた記者会見で近村航空連議長は、「管財人や会社は、更生会社は4要件を守らなくてもよいと言わんばかりで許しがたい。安全を支えてきた労働者の解雇は安全文化を根底から覆すもの」と解雇を強く批判しました。山口原告団長は、「米国の圧力で日航にジャンボ機を113機も買わせ、採算のとれない地方空港を乱造した国の責任を不問にしていいのか。今の日航は労働者をコストでしか考えてない」「管財人は『破綻の原因は社員にもあった』と言うが、(私たちは)これまで何度も放漫経営の問題点を指摘してきたが、会社は改めなかった。原告団に参加できなかった人の思いも含めて闘っていく」と訴えました。
 夜には「日本航空の不当解雇撤回をめざす国民支援共闘会議」による原告を励ます会が開かれ、労働組合や女性団体など300名が集まりました。支援共闘会議の呼びかけ人のひとり全労連の大黒議長は、「日航の社会的責任を問い、国民的世論で包囲していこう」と呼びかけました。全国港湾労働組合連合会、自由法曹団、婦人団体連合会の各代表からもあいさつがありました。

 原告団を代表してパイロットの山口原告団長が原告団声明を読み上げました。声明は、@整理解雇は整理解雇4要件を根底から覆す無謀・非道なもので断じて許されないA現在進められている再建計画では「安全性」と「公共性」が後回しにされ、金融機関等のための利益確保最優先で進められているB破綻の原因は歪んだ航空行政や放漫経営にあり労働者に一切責任はない。労働者犠牲の再建は誤りであり、国民の期待する再建に逆行するものC整理解雇の特徴は、労働組合役員を排除する意図が明瞭になっている。違法・不当な労務政策こそ決別すべきもの、と指摘したうえで、裁判を「労働者の権利を守る闘い」「利用者に信頼される再建をめざす闘い」と位置付け支援と協力を呼びかけています。

1月19日、解雇無効と東京地裁に提訴する原告団と弁護団



JAL整理解雇問題でILOが政府に書簡


 ILO(国際労働機関=国連の専門機関、本部はジュネーブ)が日本航空の「整理解雇」問題で、ILO条約違反の有無に関する書簡を日本政府に送ったことがわかりました。これは日本航空キャビンクルーユニオン(CCU)と日本航空乗員組合(JFU)のILOに対する申し立てを受けて行われたものです。
 書簡は国連事務総長代理としてクレオパトラ・ドウムビア=ヘンリー
国際労働基準局事務局長名で出されたもので、日本航空が再生過程でILO第87号条約および第98号条約を遵守しているかどうかを調査することを求めています。
 書簡では具体的に「CCU並びにJFUは、殊に企業再生支援機構(以後「再生機構」)が両組合との団体交渉において、予定されている人員削減の問題に関して両組合の行った提案に対する回答を行わず、また労働組合員がストライキ権確立の投票を行った場合、会社に対する金融支援を停止する旨の脅迫を行った、と述べています。同文書の写しをここに添付いたします」とし、「貴国政府におかれ、今回の件に関する情報ないしコメントあるいは意見、殊に両条約が包含する権利を保障するため如何なる方策が取られたかにつき、お知らせ頂くことを喜びと致すものです」と結んでいます。


※ 第87号条約=結社の自由および団結権の保護に関する条約。基本条約の1つでもあります。第98号条約=団結権及び団体交渉権についての原則の適用に関する条約

再編・契約・労働条件を討論


攻勢的運動へ転換させる春闘に

グラハン連 全国三役会議を開催

 1月16、17日の2日間の日程でグラハン連主催のグラハン労組全国三役会議が北海度千歳市で開催されました。会議では日航再建下で強行された不当解雇問題やグランドハンドリング(GH)会社の企業再編や運航会社との契約問題、引き下げられた労働条件を取り戻す闘いなどをテーマに、直面する「11春闘」を攻勢的に闘うための論議が熱心に話し合われました。会議には7労組、3地連が参加しました。

 会議当日の気温はマイナス6度。JGS札幌支部の上原副委員長は、「今日は暖ったかいぐらいですよ。昨日はマイナス22度で、まつげも凍る中での作業でした。凍結や積雪したランプでのコンテナの搭降載は、足場も悪く力も必要になるので通常より大きな力が必要になる」と話します。
 JALグループの各労組からは早期退職や希望退職に関する職場状況が報告されました。

 「2度にわたる早期退職の募集、そして現在行われている希望退職の募集は、面接を受けた人は落ち込み、職場の雰囲気も暗くなっている」「ベテランが退職することで技量やノウハウの伝承ができずスキルが低下している」「会社は、ダウンサイジングや減便で作業量が減ったと言うが、それ以上に人員が減っている。小型機は貨物や手荷物がバルク搭載(バラ積み)なので、コンテナでの搭降載より体に負担がある」。JGS九州の伊藤委員長は「一時金(ボーナス)が出なくなり、さらに賃金カットなどで年収200万円台が増加している」と生活悪化の実態を報告しました。JAS新労組の村上副委員長はJALの業務縮小の中で起きている成田空港の現状について、「JGS(JALグループのGH会社)が外航の業務から撤退したことで、他のGH会社の業務が拡大している。JASCO(独立系GH会社)は経験のある人材を集め業務を拡大している。外航がGHに求めるものは@オンタイムパフォーマンス、A安全と品質、B人員になる」と報告しました。
 JGS大阪の平井委員長からは、関西3空港の行政側の動きについて報告があり、「整理解雇」問題では、グラハン労働者の実態を訴えていくことが現状を切り開く力になるとの提起がありました。

 同時に「日航の不当解雇撤回国民共闘会議」へ主体的に参加する必要性が提起されました。

 討論を踏まえ「11春闘」を、労働条件引き下げに歯止めをかけ、労働条件を取り戻すための転換点にするために、積極的に要求を掲げる運動を進めることを確認しあいました。


寒さ厳しい千歳で熱い論議をかわした三役会議



JGSコスト優先が安全品質低下へ

追い討ちかける希望退職



 日本航空の整理解雇が大きな社会問題になっているなか、一歩遅れた形でグループ会社の雇用問題が進行しています。




 JGSグループは昨年12月、定配員差(余剰人員)が約500名あるとして第2次特別早期退職募集をしました。しかし目標を100名程度不足として、1月には希望退職を募集しました。希望退職募集は、それを満たさなかった場合は次のステップ、整理解雇に踏み切らざるを得ないとの前提で行われたものです。JGSの特早退募集は30歳以上が対象でしたが、希望退職募集では年齢制限を取り払いました。目標は「必達」とされ、達成されればJGS社員は1年で半減となります。1月26日現在、整理解雇基準は示されていません。




 加えてJGSでは、委託会社の契約解除も進んでいます。昨年10月のKAOに続き、2月末には東急ファシリティサービス(TFS)が完全撤退します。




 こうしたなかJGSでは安全品質の劣化が懸念されています。昨年12月開催のJGS東京支社安全・衛生・品質会議における安全・業務情報室長の報告は、「災害事故の発生件数では、4・5月、事故も無くグラフは平行に保ったが、5月以降は、右肩上がりとなって上昇している」「(イレギュラー)件数では……10・11月と急激な件数増となっている」「品質も、同時にグラフが平行線をたどったのは、4・5月のみであった。しかしながら、現段階では急激な上昇をしている」。


 JGSでは、特早退などで昨年5月までに社員の3分の1、約500名が辞めています。多くは比較的年齢の高いベテランクラス。その影響が安全品質の低下となって顕在化していることは明らかです。


 第2次特早退と希望退職募集は、現状にさらなる追い討ちとなります。コスト削減最優先の下、安全品質はますますの低下を余儀なくさせられようとしています。




到着から出発までの短い時間内で作業が行われます





深夜勤務と疲労と安全 



働くルール置き去りの24時間空港

蝕まれる健康と安全

 羽田空港の本格的な夜間運用開始で深夜発着の国際線運航が始まりました。今後便数の増加に伴い深夜勤務の増加が見込まれます。関空・中部・北九州・那覇などの24時間化も進んでいます。深夜勤務が労働者の健康面にどのような影響を及ぼすのか、中長期的視点で対応していく必要があります。




夜間勤務への各国の取り組みと規制



 ILO条約や世界各国の状況をみると、夜勤労働は健康にとって有害であり、労働者の家庭生活や社会生活に著しく悪い影響を与えるとして、様々な規制が行われています。北欧諸国やスイス・ベルギーなどは、医療や航空など夜業がどうしても避けられない職種を除いては原則禁止しています。アメリカ・オーストラリア・イギリス・フランス・オランダなどの多くの国では、夜間割増賃金を100パーセントとすることで、深夜勤務をコスト面から規制しています。


 一方、日本では、労働安全衛生規則で半年に一度の健康診断を義務づけているのみで、賃金も22時〜5時までの間25%の割増しに止まっています。法律に基づく深夜勤務規制は行われておらず、労使の「自主的な努力」に依存している状況です。


 このような現状では労働者の健康と生活は守れないとして、各組合や団体からは、夜間労働時間や休日・勤務形態などについて様々な提言が出されています。




「夜間不規則勤務」により悪性腫瘍リスク増大



 「夜勤交代制勤務者には年齢を問わず、乳がん、前立腺がんの定期検診を義務付けなければならない」。昨年1月、日本医労連が発表した「長時間労働・夜勤規制に関する提言」の一つです。


 提言に至った背景には疫学根拠が存在します。日勤者と夜勤を含む交代制の不規則勤務者(主に看護師を対象)を比較した場合、後者の乳ガンのリスクは約1・48〜1・79倍、前立腺ガンのリスクは約3倍との調査報告があります。


 夜勤の及ぼす乳ガン・前立腺ガン発生のメカニズムとしては、メラトニンというホルモンを介した機序が考えられています。メラトニンは体内リズムの調整に密接に関与するホルモンです。体内リズムの乱れによって、本来夜間の睡眠中に行われるメラトニン分泌が抑制されることにより、抗酸化作用や抗腫瘍作用が低下することが報告されています。性ホルモン分泌亢進の影響や免疫系を介した機序も考えられ、体内リズムの乱れは複合的な機序により悪性腫瘍リスク増大に関与していると考えられます。


 WHO下部機関のIRAC(国際がん研究機関)は07年12月、夜間勤務を「人に対しておそらく発がん性がある」に指定しました。


 夜間不規則勤務がおよぼす健康への影響は、虚血性心疾患や高血圧などの循環器系、糖尿病、自律神経系、睡眠障害、その他様々な疾患との関連が報告されています。


 (労働科学研究所『労働の科学』他より)




国や航空会社の、疲労管理策が急務!



 夜間勤務増大が予想されるなか、労働者の健康と安全を考慮した夜間労働時間の短縮、月間夜勤日数の制限、仮眠対策、疲労管理に関する教育の実施など、疲労管理と健康管理の対策がこれまで以上に求められます。夜勤がもたらす慢性疲労を防止するには、個人の努力だけでは不可能です。


(次号に続く)





安全会議だより(31)



雪と氷と闘う冬の北海道

千歳で航空安全シンポジウム開催



 航空安全会議札幌支部の活動と新千歳空港に新設されたデアイシングエプロンについて報告します。


 昨年12月8日、千歳市で日乗連と航空安全会議札幌支部共催の「航空安全シンポジウム」を実施しました。航空の安全に関わる様々な出来事を、航空関係者だけでなく、乗客の皆さんも一緒になって考える機会として開催しました。日乗連からは「日本航空907便裁判」、航空安全会議札幌支部からは「METAR通報に関わる気象観測機器の紹介と観測のしくみ」を講演しました。当日は立ち見が出るほどの大盛況となり、最後には活発な議論・質疑応答も行われました。シンポジウムを通じて、交流を深めるよい機会となりました。


 昨年12月16日午前0時。新千歳空港において、日本で初めてのデアイシングエプロンが供用開始されました。デアイシングエプロンとは、航空機に付着した雪や氷を除去するとともに、離陸時における雪の再付着を防止する防除雪氷作業を行う専用のエプロン(駐機場)をいいます。滑走路等の除雪作業のため出発機が離陸待ちとなり、その間に防雪氷剤の効果が時間切れとなった場合は、再びエプロンへ戻り再デアイシングを行わなければなりません。今回、滑走路の近くにデアイシングエプロンが供用となったことで、今後はエプロンに戻ることなく再デアイシングが実施できることになります。スムーズなスポット運用と航空機の遅延減少が期待されています。


 デアイシングエプロン設置は安全会議が求めていました。




 千歳空港の南側に造られた航空機の除雪用ディアイシングエプロン。今後の効果が期待されます




 シンポジウムで講演する日乗連の高本さん





ページ先頭へ 前へ 次へ ページ末尾へ