phoenix249号


地域・自治体・航空会社が一体となった取り組みを

―― 沖縄で航空政策シンポジウム ――


離島航空輸送の拡充・発展

沖縄の地域振興に必要

 航空連沖縄地連は6月11日那覇市内で、公益性の高い離島航空輸送の拡充と発展、地域振興のために地域航空会社の役割は何かを考える「沖縄の航空政策を考えるシンポジウム」を開催しました。県選出国会議員や県会議員、生産者などが参加し活発に意見交換されました。

 片岡稔航空連副議長は基調講演「離島航空輸送の現状と問題点〜地域発展のための提言〜」で、離島路線は高い賃率や機材の縮小・就航率が問題と指摘。海外の支援施策等を紹介し、離島航空路も本土内路線と遜色ない状態をめざすため補助金制度を充実させるべきと訴えました。

 中村隆夫沖縄地連議長のテーマは「地域航空会社の役割とは〜JTA、RACのあるべき姿〜」。赤字に陥り易い離島路線からの撤退が目立ち、それにより離島経済振興の妨げになっている現状を指摘したうえで、自治体・地域・航空会社が一体となって取り組んでいく必要性を述べました。

 パネルディスカッションでは、笠井誠人氏(海老養殖場エポック場長)は、「久米島の養殖海老の出荷量は年間250トン、国内のおよそ2割を占めるまでに発展してきた。温暖な気候や海水以外に、航空路の有利性が養殖産業を支えてきた。久米島から35分の那覇空港と全国各地の市場に結ばれているおかげで、出荷先の選択制にも長けていると」発言しました。
離島航空の発展に向け活発な意見がかわされたシンポジウム

 獺口浩一琉球大学准教授からは、「ナショナルミニマムの観点から、現代では路線が繋がっているだけではなく、航空機の持つスピードも担保される時代にある。国からの支援も必要だが、ある程度自由度を持った政策が県の行政もできるように地方分権化を進めていく必要もある」。

 参加者からは、「海外で認められている交通権の観点からも島民の足を確保するため、地域行政が地元航空会社と一体となって拡充を図るべき」「地元会社であるJTA・RACの株式が、JALの保有する割合が高いのが会社の発展、地域発展の弊害になっている」などの意見が出されました。

 シンポでは、離島の経済振興のためにも航空輸送はなくてはならないもの、沖縄地域振興のため県独自の航空政策と航空輸送システムの整備発展が必要であり、そのためには地域自治体が一体となった取り組みが不可欠、などが確認できました。

賃金引き下げせず希望者は再雇用SK再雇用

 国の年金支給が段階的に65歳になるに伴い、企業は労働者を65歳まで再雇用することになっています。しかし多くの企業では、賃金を大幅に引き下げる、身分を契約社員に変えるなど、再雇用の門を狭くするケースがみられます。スカンジナビア航空(SK)労使は、希望者は全員再雇用し、賃金は労働にあわせ支給することで合意しました。

 SKでは、2006年4月1日〜2013年3月31日までの間、定年が段階的に60歳から65歳に引き上げられるに伴い、60歳定年を迎えるすべての従業員が、任意退職か再雇用のいずれかを選択できます。1947(昭和22)年生まれの場合は、年金(基礎年金+比例報酬)が支給される64歳までの再雇用となります。再雇用を希望しない人には、特別報奨金(賃金12カ月分)が支給されます。

 再雇用の労働条件は、定年退職時の60%の就業(週3日)になり、賃金も60%になります。昇給は他の従業員と同じです。時間単価は従前と同じです。社会保険料は支払われます。休日・祝日・特別休暇は、就業時間の割合に応じて対応されます。最終退職一時金も支払われます。

 SK労組が再雇用に関する要求書を会社に提出したのは2005年春闘。学習を重ねながら会社と交渉し合意に至りました。

 SK労組は年金制度の特別ルールで、労働時間が従前の75%未満の場合は収入にかかわらず年金(比例報酬部分)が得られることに着目し、60%労働で最終的に合意しました。社会保険料(厚生年金・健康保険料)などの支払い義務もないため高齢者にとって満足できる労働環境となりました。今春闘では、1953(昭和28)年4月1日生以降の人は65歳まで再雇用条件で働くことで労使が合意しました。 みなさんの会社では、法律に従い60歳以降も、年金支給の65歳まで安心して働ける労働条件は整っていますか。

■主な記事から■

▼整備連・成田交流会を開催。元整備教官によるB737整備特別コースを学習

▼成績改ざん、パワハラ明らかに。契約CA雇止裁判

▼JAL解雇撤回、京都支援共闘会議を結成

▼JAL不当解雇問題で、IL0・ITF・IFALPAを訪問

▼安全会議、安全要求で関係省庁と交渉


賃金や勤務、職場問題で意見交換

リストラで細る整備体制 B737整備特別コースを学習

整備連成田交流会

 整備連絡会は5月28日、成田整備交流会を成田商工会議所で開催し学習と交流を深めました。

 学習のテーマは「B737整備特別コース」。B757も一部加えました。

 職場報告・討論では、「会社はデルタになったが、ID番号はデルタとノースの二つ使っているのでログ記入時に間違いやすい。10年経ても一つにならないのではとの不安がある」(ノースウエスト航空労組)「若い整備士は昇進がないので賃金が上がっていない。ポーラエアカーゴの整備を請け負ったのでシフトを組むのが大変になり、5勤2休が検討されている。人員を増やしたいが、計画が香港で決められる難しさがある」(キャセイ航空労組)「労働協約を締結できない状態が10年以上続いている。就業規則の改悪で休日4日削減などがあり、裁判で休日削減阻止を闘っている」(フェデラルエクスプレス航空労組)「コンチネンタルとの合併に伴う就業規則については、どちらに合わせるかなど、具体的なものは発表されていない。対等合併のはずだが、予約や旅客・財務のシステムがコンチネンタル方式採用に伴い、人員に余剰≠ェ出た場合には、雇用の不安がUAサイドの従業員にある」(ユナイテッド航空労組)などが報告され、外航整備現場への認識を深めることができました。

 日航ユニオンからは整備全体の状況のほか成田支部の人員減、エンジン整備の方針変更などが報告されました。不当な企業閉鎖・解雇撤回と闘うスカイネットワークNTM分会からは、事業閉鎖に至る状況と裁判で争う方針について報告されました。
 交流会には日航不当解雇撤回争議の原告5名が参加し訴えました。

学習会で講演する元B737整備教官の木須さん(写真奥中央)

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再建と安全運航

京都でも支援共闘会議結成

国民の望み 安全第一の日航

 日本航空が昨年12月31日に、パイロットと客室乗務員の165名を不当解雇して半年、解雇撤回を求めて闘う原告団を支援する動きが全国に広がっています。昨年12月27日に全国支援共闘会議が結成されて以降、1月31日に大阪支援共闘会議、4月25日には福岡支援共闘会議、6月21日には京都で「日本航空の不当解雇撤回をめざす京都支援共闘会議」が結成されました。同日、京都市内で宣伝行動が取り組まれ、稲盛和夫日航会長の出身企業でもある京セラ本社前で空の安全を守るために解雇撤回への支援と理解を求め、稲盛会長に話し合いに応じるよう求めました。この宣伝行動には東京、大阪、福岡から原告と支援者らが参加しました。


 京セラ本社前の宣伝行動では、岩崎祐治京都総評議長が「京都商工会議所会頭などを歴任した稲盛氏が、空の安全と労働者の権利を踏みにじるのは許せない」と強調し、大黒作治全労連議長と金澤壽全労協議長が国民支援共闘会議を代表して挨拶しました。


 山口宏弥パイロット原告団長は「160人を残すことが経営上不可能ではない」(2月8日の記者クラブでの講演発言)と解雇に必要性がなかったことを認め、「訴訟になっても誠意をもって話していきたい」(1月19日記者会見)としながらも原告と会おうとしないと指摘し、「国民が望んでいる安全第一の日航にするため、私たちの前に出てきてほしい」と訴えました。関心も高く声をかける市民もあり注目を集めていました。


 当日夜は市内で京都支援共闘会議の結成集会が開かれ約200名が参加し、代表世話人に脇田滋龍谷大学教授(労働法)、事務局長に梶川憲京都総評事務局長を選出しました。集会では、不当解雇撤回アピールバッチの普及や署名の取り組みを確認しました。


◇同月20日夜、大阪では大阪支援共闘会議主催の学習決起集会が開催され170名が参加しました。集会では内田妙子客室乗務員団長や吉田全・日航乗組副委員長の報告、そして不当解雇撤回・裁判勝利を確認しあいました。

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TG橋本さん勝利和解

様々な取り組みが成果に

 タイ国際航空(TG)を不当に解雇され、裁判で争われていた橋本律さんの争議は5月9日、大阪高裁で勝利和解が成立しました。

 橋本さんは27年間タイ国際航空に勤務していましたが、上司が交代して以降パワハラを受けるようになり、病気休職中に退職勧奨を受けた挙句、解雇されました。
 裁判ではタイ航空は、元同僚らの陳述書を大量に証拠として提出し、勤務態度に問題があったことを印象づけようとしました。書類審査の仮処分では、反対尋問を経ない陳述書が「数の力」となり事実認定されました。仮処分の事実認定は、本訴においても高いハードルとなり、闘いを困難なものとしました。

 そうしたなか、自主解決を求め様々な取り組みも行ないました。東京・大阪支社前での抗議要請行動やタイ王国大使館・領事館への要請、成田・関西空港での宣伝行動などを旺盛に展開しました。成田空港タイ国際航空カウンター前でのビラ配りには乗客からの反応もよく、効果的でした。
 タイ航空は当初、交渉には応じるものの不誠実な対応に終始し、解決に背を向ける姿勢をとり続けました。しかし、裁判のなかで宣伝行動に言及するなどの変化もあらわれ、最終的に和解に至りました。裁判だけに頼らず、法廷外の闘いと相まって得た成果と言えます。
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JAL契約制CA雇止撤回裁判

成績の改ざん、パワハラ明らかに

 日本航空の契約制客室乗務員が、3年目の契約を更新されず雇い止めされたことは不当として東京地裁に訴えている裁判は、5月2日と16日に証人尋問が行われました。原告は雇い止め以前に、上司からパワハラと退職強要を受けていました。
 2日の裁判では、原告にパワハラを行なった元マネージャーへの尋問が行なわれ、入社6カ月以降に行なわれる業務習熟度チェック(P1チェック)の適正が焦点となりました。
 原告のP1チェックが、本人に実施日を通告しないまま数日間にわたり行われるなど通常ルールに違反していたことや、原告に対する客室責任者の評価を元マネージャーが修正液で改ざんし、低く評価し直した事実が明らかにされました。元マネージャーは修正を認めました。P1チェックが低く評価されたことにより原告は「経過観察期間」となり、退職強要が始まります。元マネージャーへの尋問で、P1チェックそのものの信憑性は破綻しました。

 パワハラの実態も追及されました。原告は乗務後、指導≠ニ称する元マネージャーとの面談を頻繁に受けました。そのなかで元マネージャーは、「(原告の)存在そのものが業務妨害」「あなたは治らない。本当に不愉快」「自分で身を引くのが美学」などの発言を繰り返し、「職を辞する」の文言を入れた反省文を何度も強要しました。元マネージャーは頻繁に面談をしたことは認めたものの、「退職強要をしたわけではない」とパワハラを否定しました。

 16日の裁判では、評価シートに元マネージャー・次長・部長が同じ日付で稟議した印鑑が押されていたことについても作為が明らかにされました。元マネージャーは2日の裁判で、「私と次長・部長は同じ列に並んでいるので当日に稟議できた」と証言しましたが、グループ長は、当日、元マネージャーが名古屋に宿泊していたことを証言しました。16日で証拠調べは終了しました。

 その後、裁判長から和解が打診され和解協議が2回おこなわれましたが、会社が和解内容を拒否したため8月15日最終弁論陳述後、結審、判決となります。
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ILOへ解雇無効を訴え

「結社の自由委員会」で被解雇者らが意見陳述

国際的に解雇撤回の支援が広がる

「会社更生下でも解雇は避けるべき」

ILO事務局長補佐がコメント

 宇賀地日航乗組(JFU)委員長を団長とする航空労組11名は、「ILO条約の批准を進める会」の牛久保弁護士、「JAL不当解雇撤回国民支援共闘会議」の布施全労連国際局長、非正規労働者や民営化問題でILOへの取り組みを長年継続している郵産労などと総勢29名で、5月23・24日の両日、スイス・ジュネーブのILO本部を訪問しました。3月24日にJFUとCCUが共同提出し、4月5日付でILOより受理通知のあった、日本航空の不当解雇に関する申し立てについての要請が目的です。不当解雇はILO第87号条約(団結権)と第98号条約(団体交渉権)に違反しており、日本政府への勧告や指導を求めて「結社の自由委員会」に提出したものです。

 「結社の自由委員会」のカレン・カーチス労働基準局次長との懇談では、宇賀地団長が訪問の目的と申し立ての趣旨を伝え、被解雇者3名が意見陳述しました。カレン氏からは有意義ないくつかの助言を得ることができました。
 ILOで責任ある立場にあるガイ・ライダー事務局長補佐とクレオパトラ国際基準局長との個別会談も急遽実現しました。ガイ氏からは、「会社更生下であっても解雇は避けるべきものである。皆さんの健闘を祈ります」との発言がありました。ILOが、日本航空の不当解雇に大きな関心を払っていること、一刻も早い問題解決が必要であるとの認識を持っていること、などが確認できました。

 労働者の活動を全面的にサポートしている労働者活動局(ACTRAV)のベアトリス・ヴァコット事務官からは、申し立てへの補充とその具体的ポイントについて助言がありました。

 ILO第122号条約(雇用)や第111号条約(差別)の担当者、フランコ・アマト事務官とフェデリカ・ニンニ事務官からは、これら条約違反への取り組みについて具体的説明がありました。

 「結社の自由委員会」が申し立てにそった勧告を出す前段において、政府からの回答が必要とされています。政府には、慣例として2回の回答猶予機会が与えられていますが、日本政府は最終期限にようやく回答する姿勢を続けてきたとのこと。政府回答を、猶予期間限度である来年3月まで待つのではなく、少しでも早期に政府に回答させるべく、支援共闘会議と手を携えた運動が必要です。

 訪問団はその後ロンドンに移動し26日にITF(国際運輸労連)本部を、27日にIFALPA(パイロットの国際組織)本部を訪問しました。訪問団はILOへの申し立てに対する支援への謝辞を伝え、引き続く支援を要請しました。

 訪欧を通じて訪問団は、不当解雇撤回の闘いは世界に確実に広がっていることを実感しました。同時に、国際活動の重要性をあらためて実感しました。
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安全会議だより36

安全確保のため直接現場の声を聞き改善を

国土交通省や航空局との直接交渉を開催

 航空安全会議は5月と6月に、国土交通省航空局や地方航空局・空港事務所・気象庁・厚生労働省・運輸安全委員会などに対し、民間航空の安全確保に関する交渉を行いました。 例年、安全会議の要請には「ユーザーの声を聞きつつ対応している」と答弁するケースが多く見受けられますが、情報や意見収集は大手航空会社を通じたものであるため、認識が現場の実態と異なることが少なくありません。安全施策を行ううえで、議論の場に現場の意見を取り込むことは大切であり、安全会議の対官交渉はまさにこの目的にそったものです。今年も交渉の場では、現場の実態を生の声で担当者に伝えました。

本省航空局

 空港の分野では、羽田空港がD滑走路供用と国際線展開で運用上の大きな変更がありましたが、現場ではそれに伴う種々の不安全要素が報告されており、それらについての指摘と是正を求めました。国管理外の空港に関しては、答弁する立場になく都道府県や空港会社に直接要請されるべきとして、羽田空港以外の答弁はありませんでした。

 日本航空の現状については、安全運航への影響を懸念する労働者の声を直接伝えました。特に、整理解雇が強行された点については、今後の安全運航の維持に大きな影を落とす不安全要素と伝えました。

 整備の分野では、人員不足の問題や委託先の検査体制不備を指摘しました。「人員の配置は企業の判断なので関知しない。人材教育・育成・技量伝承がなされているかは、安全監査で確認する」との回答でした。

 整備に限らず、他の分野においても今年の局の姿勢として特徴的だったのは、不安全要素の指摘に「安全監査の時に不具合があれば是正させる」との回答に終始した点です。本来航空行政は、現場からの指摘を積極的に精査し、能動的に安全対策を講じていくべきですが、不具合が発生してから対処するとの姿勢は変わっていません。安全管理システム(SMS)の基本概念である、予防的な安全確保という視点からは大きく外れている印象を受けました。

運輸安全委員会

 「有識者がまとめた事故調査システムの改革に関する提言があり、今後、その内容を参考にしてどのように具体化していくかを模索中」との回答でした。提言は安全会議が求めている方向性と一致している部分が多く、「事故調査と刑事捜査の分離」にしっかりと踏み込んだ改革になるのか注視していく必要があります。

気象庁

 今回の交渉には、鹿児島支部から現場のパイロットが参加し、離島で行われている気象業務における不具合について実体験をもとに議論がありました。気象庁の担当者からも、「現場の意見を聞く機会としてありがたい。今後も航空の職場から直接コミュニケーションをとれるようにしたい」との発言がありました。

 その他、厚生労働省や東京航空局などとも交渉を行いました。

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