251号 2011/09/01 ■主な記事から■


更生中でも権利侵害許されない都労委、日航の不当労働行為を認定
▼稲盛日航会長が9月30日の解雇撤回裁判で証言
▼JGS札幌で冬季燃料費補助廃止提案、労働者は2万円の負担増に
▼「ヒューマンエラーを罰しても社会は安全にならない」4団体がシンポ開催
▼FX休暇カット裁判
▼契約制CA雇止裁判が結審、10月31日に判決
▼空の安全を語る会

更生中でも権利侵害許されない都労委、日航の不当労働行為を認定

解雇撤回裁判にも大きな追い風

懲りない旧態依然の労務姿勢

 日本航空乗員組合(JFU)と日本航空キャビンクルーユニオン(CCU)の争議権投票に対する支援機構の発言、「争議権が確立された場合、撤回されるまで、予定されている3500億円の出資はできない」は不当労働行為として、両労組が東京都地方労働委員会(都労委)に救済申し立てをしていた事件は8月3日、組合側勝訴の救済命令が出されました。都労委は発言を不当労働行為、組合に対する支配介入と認定しました。
 あわせて都労委は日本航空に、「当社が、平成22年11月16日、貴組合に対して、貴組合の争議権に関し、争議権の確立ないし行使等を制約する言動を行ったことは、東京都労働委員会において不当労働行為であると認定されました。今後、このような行為を繰り返さないよう留意します」との謝罪文(新聞紙2頁大)10日間掲示を命じました。 都労委は、管財人機構を使用者と位置づけたうえで、「会社の主張を考慮しても更生3社の再建に不可欠な3500億円の出資を行うことができないという言辞を用いて、本来組合が自主的に決定すべき内部事項たる争議権の確立に係わる一般投票が行われている最中に飯塚ディレクターらからなされたことなどの各事実を総合的に考慮すれば組合員に対する威嚇的効果を与え、組合の組織運営に影響を及ぼすもので支配介入に当たる」と明快な判断を下しました。
 救済命令を受け両労組は、「更生手続き中であっても労働者の権利が制限されることはありません」としたうえで、「裁判所から任命された管財人が、違法行為を行ったという事実は由々しき事態」と厳しく指摘し、これまで数々の不当労働行為を繰り返してきた日本航空が「東京都労働委員会の判断を真摯に受け止め、すみやかに命令を履行し、労使間の信頼関係構築にむけ労務姿勢を改めることを求めます」との声明を発表しました。

 両労組は、都労委命令を受けた当日、稲盛会長・大西社長宛てに緊急申し入れを行い、命令の履行と団体交渉の開催を要請していました。しかし会社からは何ら対応はなく、8月12日には再申し入れを行っていました。

 この間、両労組は会社に検討結果を連日電話で確認を行いましたが、会社は「検討中である」としていました。日航、東京地裁に 取り消し提訴 しかし日本航空は8月17日、都労委命令の取り消しを求める訴えを東京地裁に起こしました。再生にあたり「過去との決別」を表明した日本航空でしたが、労務姿勢は旧態依然のままです。 両労組は、「第三者機関で争われた事件は常に会社側の違法性が断罪され、是正が求められてきたにもかかわらず、反省のないまま現在にいたっている」「提訴はいたずらに係争を長期化させるだけであり、国民、利用者からも批判の的となるだろう」「航空会社の存立基盤は安全運航であり、その要は正常な労使関係を築くこと」との声明を発表し、日本航空に提訴撤回を求めています。

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リストラ許すな!外航労組の闘い

指名解雇は撤回せよ

未払一時金は2回に分けて支給IR労組

 イラン航空(IR)の夏季一時金未払い問題(250号既報)で日本支社は、夏季一時金3・5カ月分を8月末と9月末の2回に分けて支払う回答をしました。その一方で6名の解雇を打ち出しました。
 IR日本支社は就業規則で決められた一時金を資金がないので支払えないとする一方、退職金8割カットを条件に希望退職を募集しました。一人の募集もかったことから、8月31日付で6名の労働者の指名解雇を打ち出しました。
 IR労組は日本支社に、指名解雇撤回と、希望退職条件に退職金24カ月割増を要求しています。日本支社長は、「本社が決めたことなので私はそれを実行するだけで権限はない」と不誠実な対応をとり続けています。支社長は、「皆さんで会社を作り、GSA(総代理店)として会社を設立すれば全面的に支援する」と、とんでもない施策を打ち出しています。 現在イラン本国では、イラン航空を民営化するとして55%の株売却、9000名従業員の2500名削減、外国支店(フランクフルト・ロンドン・パリなど)のGSA化など、を進めています。
 IR労組は、本国の状況はあるものの、不当解雇撤回にむけ、団交と平行して法廷闘争の準備を進めています。
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NZは松田さんを職場にもどせSNW

 ニュージーランド航空(NZ)の松田さんは希望退職に応じなかったところ、「あなたのポジションはない」ないとして本来業務から外され、15ヶ月間にわたりトレーニングタスクと呼ばれる名刺の整理や、これまでに経験したことのないリサーチ手法やビジネスプラン作成やプレゼンテーションなど、20数項目の業務を命じられてきました。松田さんはそれらをまじめに行ってきましたが、NZは「真面目に受け止めず無責任に行ってきた」「あなたのパフォーマンスと能力はニュージーランド航空では業務を準備できない」とし、評価は5段階評価で一番低い「1」が半分以上も付けられていました。
 この間、スカイネットワーク(SNW)の団体交渉で同社は、「松田さんには与える仕事がない。希望退職なら応じる」との回答を繰り返しています。松田さんは義母の介護と身体障害を持って働けないお兄さんの生活の面倒を見ながら働いています。松田さんは家族の生活を守るためにも、NZで引き続き働かせて欲しいと訴えてきましたが会社は8月24日の団体交渉で、「業務の能力がないのだから整理解雇ではなく通常解雇である、企業も震災以降困難な状況であり人道的配慮はとれない」と拒否してきました。会社は8月29日に松田さんの最終パフォーマンス・レビューを行い解雇も視野に決める、と発言しました。

 SNWは、解雇は認めないこと、引き続き雇用を確保することを強く要請しました。 最近、パワハラやリストラ、退職強要が増えていますが、泣き寝入りせず闘う労働者も増えています。
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JAL不当解雇撤回裁判稲盛日航会長を証人採用9月30日客乗裁判で証言予定

 1月19日の提訴から7カ月が経過したJAL不当解雇撤回裁判。大きな山場を迎えようとしています。9月はパイロットの裁判が5日と26日、客室乗務員の裁判が16日と30日。計4回の証人尋問が予定されています。原告側は、証人尋問を通して解雇の不当性を鮮明にしていきます。
 証人採用で最も注目されたのは稲盛日航会長。稲盛会長は整理解雇を強行した責任者でありながら、2月8日日本記者クラブで、「160名を残すことが、経営上不可能かというとそうではない」と、整理解雇の必要性を否定する発言をしています。 稲盛会長の証人採用にあたって日本航空は、「経営上の問題は片山管財人で対応できる」「稲盛会長は、9月5日と26日は海外出張のため出廷できない」と強く反対しました。裁判所は、原告の「整理解雇を強行した経営のトップが証言するのは当然」との強い主張を踏まえ、9月30日の客乗裁判での証人採用を決定しました。稲盛会長は原告団が提訴した1月19日の記者会見で、「(解雇問題については)申し訳ない気持ちでいっぱい。誠意をもって話をしていきたい」とも発言しています。 6月のパイロット裁判の進行協議において、原告側が、経営に関する証人として醍醐東大名誉教授の採用を求めていたことについて、裁判所は当初認めない方向でした。しかし8月8日の進行協議で、会社側から菊山証人(日航前経営企画本部副本部長)が認められたことから、原告側は醍醐教授を証人として認めないのは不公正と主張。最終的に、醍醐教授の証人採用も決まりました。醍醐教授は財務の面から、整理解雇の必要性がなかったことを明らかにします。
 ◇JAL不当解雇撤回国民会議と原告団は8月16日、全国から寄せられた不当解雇撤回署名を政府に提出。不当労働行為を認定した東京都労働委員会命令を機に、政府としても争議解決にしかるべき対応をとるよう要請しました。提出した個人署名は約19万人分。要請には大黒・東海林支援共闘共同代表、津惠支援共闘事務局長、井上全労連事務局次長、近村航空連議長、内田CCU委員長、三星日航乗組副委員長、山口原告団長、清田原告事務局長が参加しました。

 菅総理宛の署名を受け取った総務省の担当者は「署名と要請書、訴えの内容については官邸に届けるとともに、政府の関係する部署に写しを届ける」、国交省・厚生労働省の担当者は「要請内容を上司に伝える」と応じました。

厚生労働大臣宛の署名を手渡す大黒支援共闘共同代表
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冬季燃料費補助JGS札幌で廃止提案労働者は月2万円負担増に

 千歳空港でJALのハンドリングを行っているJALグランドサービス札幌(JGSS)では、冬季燃料手当廃止への不満が高まっています。JGS札幌労組は、「冬季燃料手当が廃止になれば生活のやりくりは一段と厳しくなる」として手当廃止撤回を求めています。 JGSSでは、10月〜翌年3月までの期間を対象に、灯油2000リットル分を補助する冬季燃料費補助手当を支給していました。ところが、JGSグループの大幅なコスト削減を目的とした改革推進計画の一環として冬季燃料費補助手当廃止が打ち出されました。提案以降、JGS札幌労組は廃止撤回を求めてきましたが会社は、「(JAL破綻で)リセットをしなきゃならない」として社員の生活に目を向けようとしていません。
 JGS札幌労組の斎藤委員長は、「北海道は冬が一番お金がかかる。灯油は生きていくために欠かせないし、車の冬タイヤ、冬靴、除雪器具などの買い替えも必要。燃料手当が廃止されれば毎月2万円くらい負担増になる」と話します。 30代で妻と子供のいるAさんの月の手取りは社会保障費等を引くと約16万円。「昨年4月に日航破綻を理由に賃金が3%カットされた。9月になれば寒い日もありますがストーブは使わず我慢します。いまでもギリギリのやりくりなのに、燃料手当廃止で月2万円もの負担が増えたらと考えると、どうしてよいかわからなくなります。JALは1800億円も利益を上げたのに、それでも燃料代をカットするのかと言いたい」。JGS札幌労組の試算では、全社員(約300人)の燃料手当補助は約3600万円。
 北海道庁によると、道内地場企業の71%が燃料手当(寒冷地手当)を支給しています。真冬になればマイナス10度、15度もめずらしくない千歳市です。 JGS札幌労組は、「廃止一辺倒で代替措置もなく、一方的に廃止するやり方は許されない。廃止は撤回すべき」と主張しています。
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日航907便事故でのシンポジウム

開催ヒューマンエラーを罰しても社会は安全にならない

刑事捜査より事故調査を優先させる科学的な事故防止の文化と制度の確立を

 日航907便事故裁判は昨年12月に管制官2名の有罪が確定しました。判決を踏まえ航空安全推進連絡会議・航空労組連絡会・日本乗員組合連絡会議・全運輸労働組合は8月6日、「ヒューマンエラーを罰しても社会は安全にならない」をテーマにシンポジウムを開催しました。参加者は136名でした。 全運輸は事故発生の経緯や各裁判所の判断について報告を行い、刑事捜査と事故調査の分離を求める取り組みを、航空労働者が一丸となって進める必要性を訴えました。
 米倉弁護士は、高裁判決と最高裁決定の問題点について報告。司法は、必罰主義を貫くことで社会秩序は維持できるという思考から脱却できなかった点を強調しました。客観的事実ではなく、規範主義的発想が司法判断を導き出し、「予見すべき」だから「予見可能」、意識を集中すればエラーは起きないからエラーがあれば責任をとれ、という短絡的な発想が裁判官を支配していると指摘しました。
 桑野日本ヒューマンファクター研究所所長は基調講演で、司法のヒューマンエラーの捉え方の誤りと、組織事故の視点の欠落が影響を及ぼす危険性を指摘しました。再発防止を図るためには警察捜査より事故調査を優先させることが重要であり、司法関係者の理解を深めることや、被害者・遺族への継続的な支援制度の構築が必要であると述べました。
 桑野・米倉両氏と河野龍太郎自治医科大教授によるパネルディスカッションのテーマは、組織事故を防ぐためにはどのような社会システムを構築することが必要か。
 桑野氏は、「過失犯を有罪にして刑罰に税金を投入するより、徹底した事故調査で再発防止を図ることに税金を使う方が社会全体の安全につながるということを国民に知らせるべき」「司法関係者に過失犯を有罪にしても再発防止に何ら寄与しないことを理解させることが必要だ」。
 米倉氏は「司法は事故があれば誰かを処罰するという秩序維持を優先している。再発防止を優先しようとするのであれば、『誰も処罰されない』という事態を受け入れる必要がある」。
 河野氏は「司法が過失の有無の線引きを行うと、システム性事故の場合、真実とは異なった線引きとなる。線引きに専門家の意見を反映させることが必要」と発言しました。 刑事捜査より事故調査を優先させる、科学的な事故防止の文化と制度を日本社会に確立できるよう、今後も取り組みを強めていくことが重要です。
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就業規則の不利益変更は認めない!フェデックス労組「休日削減」反対裁判

 フェデラルエクスプレス(FX)日本支社は2009年6月、年4日の休日(メーデー・従業員の誕生日・クリスマス・12月30日)を削減する就業規則改悪を強行しました。FX労組は、就業規則の不利益変更は認められないとして、休日を取り戻すべく東京地裁で争っています。FX社はこれまでの裁判のなかで、「4日を削っても従業員には影響がない」「有給休暇が余っていることが解消される」「傷病休暇を年間12日も与えているので有給休暇を減らしても問題がない」と主張しています。 8月24日の法廷では、会社側からは加藤マネージングディレクターが、組合側からは大沢前委員長が証言しました。

 加藤氏は、リーマンショックの影響による業績の落ち込みや将来にわたる固定費削減の必要性、組合には3回の団体交渉で説明、従業員にも十分な説明を行ったと証言しました。
 大沢前委員長は、人事部長が2000年から5人も変わる異常な労務政策を説明。「3回の団体交渉で説明」には会社から十分な説明がなかったことを、「有給休暇が余っていること」には、FX労組の調査では組合員のなかで有給休暇を失効したものは病気療養中の組合員を除き一人もいなかったと反論しました。
 裁判は9月21日に一端和解協議が行われ10月26日に最終弁論が行われます。 FX労組は、配送部門であるフェデックスジャパン社の大阪南港・名古屋ステーションで新たな組合員20名を迎えました。配送部門のドライバーは、免許停止になれば会社を追い出される不安もあります。
 外航では、就業規則の不利益変更が多くみられます。FX労組は、「私たちの闘いが外航経営に対する警告となれば」と語っています。
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8月24日JAL雇止め裁判再び乗務してお客様の笑顔が見たい

注目しよう!東京地裁判決は10月31日

 終戦記念日の8月15日、JAL契約制客室乗務員雇止撤回裁判が結審しました。東京地裁前ビラまきには68名、傍聴・報告集会には100名の参加がありました。 結審を目前にした8月1日付で担当裁判官が変更。原告側からは再度の証人尋問を要請しましたが、採用には至らず、15日で裁判は終結、結審となりました。 山口原告代理人の意見陳述に続き、原告が意見陳述しました。裁判官は正面をじっと見つめ耳を傾けていました。
「私に対してなされた雇い止めが認められてしまったら、たった一人の上司の一存で人の雇用や人権がどうにでもできてしまう世の中になってしまいます。同じような思いを後輩や同僚にさせたくありません。私が受けたようなことが許されてはならないと強く思います。同期の仲間は国際線に移行し正社員になりました。私は職場に戻り、一人置いて行かれた2年間を取り戻したい。多くの仲間や先輩と再び乗務員として空を飛び、お客様の笑顔が見たい」

 裁判のなかでは、原告の成績を低位に書き直す、上司による改竄などが明らかにされました。

 報告集会で弁護士は、「原告の再度の証人尋問が採用されなかったのは残念だが、書証は最終準備書面をもってすべて出し尽くした。あとは新たな裁判官がこれまでの書証をしっかり読み込み、録音もきっちり聞いて頂ければいい。判決までにどれだけ運動を盛り上げられるかにかかっている」と、判決に向けた取り組みの重要性を訴えました。

 判決は10月31日13時30分、東京地裁527号法廷。支援団体は勝利判決獲得に向け、公正な判決を求める要請ハガキと団体署名に全力で取り組みます。
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安全会議だより(38)大盛況だった「空の安全を語る会」

152名で黒豚BBQ(鹿児島支部)

 航空安全会議鹿児島支部は8月5日、今年で14回目となる「空の安全を語る会(黒豚BBQ)」を霧島市国分、天降川リバーサイドステージにて開催しましたが7月末に発生した台風9号が心配されましたが問題なく実施することができました。152名の参加者で大盛況となりました。
 「空の安全を語る会(黒豚BBQ)」は当初、鹿児島空港で働く安全会議加盟労組員の交流を深める目的で企画されましたが、最近は安全会議加盟労組以外からの参加も多く、南国交通・鹿児島空港ビルディング・官庁食堂・使用事業など、鹿児島空港で働くすべての官民労働者の交流の場となっています。JAC客室乗務員と子供たちによるフラダンスも披露されました。
 また、ここ数年は鹿児島空港外からの参加者も増え、全国規模で交流を深める、安全会議の活動を広める場ともなっています。
 この会は年1回の開催ですが、楽しい雰囲気のなか、様々な職場の交流が深められることで、航空の安全に寄与する催しとなっています。
 鹿児島支部は、「今後も空の安全を語る会を続けていきたい」と抱負を語っています。
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