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JAL解雇裁判で東京地裁が不当判決

 「法と証拠に基づけば敗訴はあり得ない。労働者不在の判決だ。安全な日航を取り戻すため勝つまで闘う」(山口宏弥パイロット裁判原告団長)

 「会社の主張だけを丸飲みにした誤った判決だ。企業の利益を守るだけで人間の尊厳を無視している。国内外の世論に訴え安全と雇用を守るため闘い抜く」(内田妙子客室乗務員裁判原告団長)。

  両原告団長は報告集会で、不当判決に対する怒りと控訴して闘う決意を表明しました。日本航空による不当解雇撤回を求め昨年1月19日にパイロット・客室乗務員148人が東京地裁に集団提訴。判決が3月29日(パイロット裁判・民事11部)と30日(客室乗務員裁判・民事36部)に言い渡されました。いずれも原告の訴えを棄却する不当判決。判決後の報告集会では、勝利判決をめざし、この日を新たな出発点に、闘いをいっそう強めていく決意を参加者全員で確認しました。


 裁判では「整理解雇の4要件」――@解雇の必要性A解雇回避の努力B解雇人選基準の合理性C解雇に至る手続きの妥当性――が争点になりました。両判決は、@更生計画の要請として人員を削減する必要性があったA希望退職など一定の解雇回避努力がなされたB人選基準はほぼ無条件で肯定C手続きの妥当性は労働組合との交渉で足りる、として、整理解雇4要件はすべて充足しているとの日本航空主張を丸呑みしています。「結論ありき」の判決と言えます。


 パイロット裁判判決は、解雇時点までに年間営業利益目標640億円を大幅に上回る1586億円を達成していること、人員削減目標も1500人を上回る1733人が希望退職に応じていることなど、解雇の必要性に関わる根幹部分をいずれも無視しています。


 稲盛会長(当時)の客乗裁判での証言「そのときの収益力から誰が見ても雇用を続けることは不可能でない」については、パイロット裁判判決は黙殺。客室乗務員裁判は「苦渋の決断としてやむなく整理解雇を選択せざるを得なかったことに対する主観的心情を吐露したにすぎない」と、経営状況・収益力を熟知したうえでの証言であったことを無視した、おもいやりある解釈となっています。


 ベテランを解雇した人選基準は安全を脅かすとの原告主張を、パイロット裁判判決は「にわかに想定し難い」「主張は根拠が乏しい」と切り捨てています。客乗判決は原告の「人選基準は差別的」との主張をいっさい認めていません。年齢の高いことを理由にした解雇は、欧米では差別として禁じられています。


 不当判決を受け原告・弁護団は声明を発表しました。


 「稲盛会長が法廷で述べたとおり解雇の必要性はなく、真の狙いが会社更生手続きに乗じて特定の組合役員を排除し、長年にわたる差別的労務政策を完成させることであったことが明らかにされたにもかかわらず、判決はそのことに目をふさぎ、整理解雇法理の適用を緩めて、使用者に解雇に関する大幅な裁量権を与えた。失業や雇用不安により日本経済が冷え込む中で……不当判決は経営側を整理解雇4要件から解放しようとする財界・管財人弁護士に手を貸すもので、絶対に容認できない。利益を優先する職場では物も言えぬ雰囲気が蔓延し、不安全事例が多発し、現役労働者が流失する現状に対する認識不足を浮き彫りにした。私たちは不当判決の誤りを広く訴え、首切り自由を許さない社会、安全最優先の真の債権に踏み出すため、原告全員が職場復帰を勝ち取るまで闘う」


 30日の報告集会では日本共産党の志位和夫委員長が挨拶し、「自己矛盾・自己破綻した判決」「空の安全に対する理解も見識もない判決」と批判しました。 判決までに、公正判決を求める署名は15万8千筆が裁判所に提出されました。【関連記事】


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■主な記事から■

▼改善への変化を確認。ギリギリの交渉続く12春闘、後半戦へ

▼安全技術規制緩和問題で、航空連・日乗連が国交省に質問と面談を申し入れ

▼日東整争議団2名が雇用の確保求め提訴

▼『世界の航空事情』―IAMが新ユナイテッドの従業員代表に。

▼契約CA雇い止め裁判で裁判長の忌避申立


12春闘

下げるだけではモチベーション低下

職場の団結で改善へ変化争議構えギリギリの交渉

 12春闘は3月16日の先行組の山場が過ぎ、今後は外航や産業航空労組の闘いへと移行していきます。先行組の成果と課題、特徴的な闘いを報告します。


 JALグループでは引き下げられた労働条件の回復、ANAグループでは再編・競争を口実にした労働条件引き下げを許さない闘いを進めています。経済要求では具体的前進に至らなかったものの、JALグループでは改善への変化を確認しています。


 JTA乗組は、沖縄の航空ネットワークを危うくさせる機体削減問題(16機から12機へ)や賃金制度改悪をめぐり、ギリギリの交渉を続けられています。


 JALでは、EF制度(社有機利用制度)凍結解除要求に、新制度「JALスタッフトラベル制度」が出されました。新制度は、JALグループ全体を包括する統一的な制度となっています。


 夏期一時金2カ月回答は、唐突な形で出されました。2年連続1800億円超の営業利益が見込まれる企業業績を背景に、期末手当への期待が高まる職場世論を無視できなかったところがあります。


 日航乗組は、ライセンス未取得者訓練生の訓練中止撤回を求め争議権を確立。4月11日に山場を構え前進をめざします。


 JGSグループ労組では、昨年10月に強行廃止されたJGS札幌の冬季燃料手当廃止撤回を求める動きが、組合の枠を越え広がっています。


 ANAグループでは、4月のANAとエアーニッポン(ANK)との合併に伴う乗員養成(機長養成等)や勤務問題をめぐり交渉が続けられています。ANKでは経営側が勤務協定更新を拒否し、乗員組合(AGPU)との交渉を打ち切りました。勤務問題はANAでも乗員組合との交渉が続いており、乗員組合は職場領域に関する争議権を確立しています。


 JAS新労組(成田空港でUAやデルタなどのグラハンを行う労働者で組織)は、勤続年数による1%〜3%の賃上げと、年間一時金3カ月〜4・25カ月の回答を引き出しています。


 航空各社は、LCC参入や競争激化など経営事情最優先に、労働条件のさらなる改悪や様々な「合理化」を推し進める計画です。経営の現状を正確に把握すると同時に、運航の安全を支える労働者の現状を正確に見据えることが何より大切です。


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安全技術規制緩和に問題あり

航空連・日乗連が要請書提出

 国土交通省が国際競争力強化を名目に航空会社に安全技術規制緩和策を募り、航空会社から129項目の要望が出され同省の「安全に関する技術規制のあり方検討会」で検討されていることは本紙255号(2月1日)でお知らせしました。航空労組連絡会(航空連)と日本乗員組合連絡会(日乗連)は国交省に、129項目中10項目は「緩和すべきでない」、60項目に対しては内容確認含め質問の申し入れを行いました。


 航空連・日乗連が「緩和すべきでない」とした項目は、耐空証明の有効期間に関するものや予備品証明制度2項目、装備品の搭載義務1項目、飛行間点検、燃料給油業務の位置づけ、機長審査や整備士資格など資格審査3項目、乗務時間に関する運航1項目です。問題点の指摘や質問・内容確認の60項目は、耐空証明(6項目)や型式証明制度(1項目)、認定事業所制度(10項目)、装備品の搭載義務(2項目)、点検(2項目)、給油(2項目)、資格審査(16項目)、運航(7項目)、技術規制緩和以外の要望(9項目)です。 航空局は、整備規程や認定事業場における妥当性の確認、予備品証明を有しない重要装備品の本邦外における交換作業に関する項目を航空機検査業務サーキュラー(通達)によって行おうとしています。検討会は3月下旬に3回目、4月下旬に4回目の検討会を開催し航空会社から出された要望について結論を出していく予定です。


 129項目の安全技術規制緩和要望の中身は、約3割が技術規制緩和以外の要望となっています。あらゆる面で規制緩和を求めていくことで、今後の経営戦略に役立てようとの航空会社の思惑がみえます。要望を出したのは大手2社をはじめとする16社。約半数の58項目が全日空から、次いでピーチアビエーション31項目、NCA23項目、日航15項目、スカイマーク7項目等となっています。監視体制を緩め組織体制や実績がなくても認めろというもので、そのツケは利用者が負うことになりかねません。


 24時間空港と同時に航空機の高稼働化が進んでいます。できるだけ整備時間を減らし整備士も減らす、こんな動きが進んでいます。到着から出発の間に行う飛行間点検やダブルチェックは安全運航を担保する基本でしたが、飛行間点検・ダブルチェックは省略の対象になっています。パイロットの乗務時間を緩和しようとしていますが、米国では、パイロットの疲労と安全に関する規制を、管制官や整備士にも適用すべき、との意見も出されています。


 国交省は「検討会」の趣旨について、「安全に関する技術規制について、技術の進歩や国際基準の動向を勘案し、安全性の確保、国際競争力の強化、利用者利便の向上等の観点から、その最適化を検討する」と述べています。ねらいは、コスト削減のための安全技術規制緩和にあります。


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JALは解雇を撤回せよ

日東整争議は裁判の場へ

 JAL再建下、会社ごとつぶされた日東航空整備(日東整)。長年日東整で働いてきた泉聖二さんと佐藤二郎さんは3月14日、日本航空など3社を相手取り、解雇撤回と損害賠償を求めて東京地裁に提訴しました。法廷を舞台に、JAL再建リストラに対する新たな闘いが始まりました。 原告は、@泉さんのJALエンジニアリング(JALEC)社員としての地位確認とバックペイの支払いA佐藤さんのバックペイの支払いB日航・JALEC・日東整の3社による損害賠償、を求めています。原告の主張は以下のとおりです。


 @日本航空と日東整・JALECは支配従属の関係にある。支配者である日本航空の方針の下、日本航空と日東整の委託契約は合意解除される一方、日東整の業務については日本航空とJALEC間で新たな委託契約が締結された。外形的には個社間の受委託契約だが、実態は日東整からJALECへの事業譲渡の合意に当たる。

 Aこの事業譲渡において、日東整従業員の労働契約を排除(解雇)することは不当労働行為であり、公序良俗に反する違法行為である。

 B会社分割に当たり、労働契約を継承させる旨定めている労働契約継承法3条は、今回のような事業譲渡の場合にも累推適用されなければならない。

 C上記のとおり、原告らはJALECに労働契約が継承されJALECで働く権利を有していたが、日本航空の方針の下、3社共同で解雇を実施し上記権利を侵害した。 この闘いは、@日東整の整備作業を引き継いだJALECに雇用も引き継がせるA日本航空の利益第一主義、労働組合敵視の政策を改めさせ、安全・安心のJALを築くB子会社・労働者使い捨ての日航・大企業の横暴を許さない、という大きな意義を持っています


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世界の航空事情

アメリカで闘う航空労働者IAMが新UAの従業員代表に

 米国からホットなニュースが届きました。航空連と組合アライアンスを締結しているIAM(国際機械工・航空宇宙産業労働組合=組合員約70万人)が、3月7日にNMB(国家調停委員会)によって行われた選挙で新ユナイテッド航空(UA)の旅客サービス及び予約係従業員約17000人の代表権を獲得しました。


 選挙結果についてIAMの運輸副会長シト・パントーヤ氏は「この選挙はIAMが合併前のUA従業員の代表権を保持するためのものであり、またコンチネンタル及びコンチネンタル・ミクロネシアから加わった同僚にもこの(IAMが代表権を持つことによる)メリットを広げるものである。本日の勝利はUAの全てのIAM組合員に航空会社が合併によって得ようとする規模と力による優位性を与えるものである」と述べました。


 IAMはUAのランプサービス及び倉庫係従業員14800人も代表しており、旅客サービス及び予約係に対する交渉権を新たに加えたことで、統合されたUAで31500人の従業員を代表することになりました。


 IAMディストリクト(地区)141のリッチ・デラニー委員長は「投票した人達は、およそ1000人のIAM指示票が無効になるような企てを含む強硬な反組合キャンペーンを乗り越えなければならなかった。UAの分断戦術があっても、我々は待ち受ける難題に取り組むためにより良い会社を築くこと、従業員の力を一つにすることに努力を集中するつもりだ」と決意を語りました。


 今回の朗報を受け航空連はIAMにお祝いの書簡を送りました。パントーヤ副会長からは「(日本航空不当整理解雇事件)不法行為が正されるため、裁判所の決定を注意深く見守っております。われら両組合は地図の上では遠く離れていようとも、働く者の権利を守る闘いでは密接に結ばれている」と返礼がありました。※米国では、従業員の選挙によって過半数を得た組合が従業員代表権を得ます。


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JAL契約CA雇い止め裁判

乱暴な青蜊ル判長を忌避申し立て

 3月6日、東京高裁でJAL契約制客室乗務員雇い止め撤回裁判控訴審第2回口頭弁論が開かれました。42の傍聴席に137名が並びました。裁判は、青蜊ル判長の強権的な言動に原告弁護団が裁判官交代を求める、忌避申し立ての展開となりました。忌避申し立ては高裁の別の部で審議され、14日に却下の判断が出されましたが、原告は最高裁に特別抗告しました。


 法廷では冒頭、証拠書面の原本について裁判官と原告・被告、双方の弁護士との間で確認のやりとりが行われました。被告が改竄した書類については、原告側指摘を踏まえた取り扱いが確認されましたが、この間裁判長は、「改竄と決めつけてはいけない」などの発言をしました。原告が求めている4人の証人採用については、弁護士が必要性を訴えている途中で「もう結構です」と発言を強権的に禁止しました。原告が採用不可欠としていた2人の証人採用は却下されました。(CCU元委員長の飯田氏の証人採用は認めました)


 これを受けて原告弁護団は、@改竄された評価表の原本確認について裁判長は、「改竄と決めつけてはいけない」「いちいちやっていられない」等の不当発言をし、確認はおざなりに終わったA証人採用の必要性を説明しようとした原告代理人に、「もう結構です」と発言そのものを強権的に禁止したB会社が主張する雇い止め根拠について、原告は職場の多数の陳述書を元に比較検証を訴えたのに対し「比較検討する必要はない」と、合理的・客観的根拠の判断をしようとしなかった、を理由に当該裁判官のもとでは公正な裁判は望めないとして裁判官の忌避を申し立てました。 原告(CCU執行委員)は、労使間で開催された経営協議会場で植木新社長に、「誰もが働きやすい会社にするためにいじめやパワハラをなくして欲しい」と訴えました。


 次回期日は未定。重要な証人の採用を求めて、「公正な裁判を求める要請団体署名・個人ハガキ」が取り組まれています。


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