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 デルタ航空(DL)日本支社の予約部門廃止をめぐる労使交渉は、職場確保などの雇用問題で重要な局面を迎えています。2010年1月にノースウエスト航空(NW)とDLが経営統合し「デルタ航空」になりましたが、日本国内では、労働組合は引き続き「NW労組」で活動しています。
 9月20日現在、まだ29名の従業員が雇用確保されていません。将来不安から、予約課従業員は精神的に不安定な状況に追い込まれています。予約課のNW労組員は2名ですが、NW労組は全従業員の職場確保・雇用確保を求め、会社と精力的に交渉を重ねています。これまでに20数名が新たな部署に異動しました。
 
今年3月31日、DL日本支社は日本地区予約課(千葉県富里市)を、同年10月31日をもって閉鎖する旨発表しました。廃止理由は、アジア・太平洋地区における予約部門をシンガポールに一本化し運営コスト削減と効率化を図るというもの。発表当時、予約課には管理職・正社員・契約社員あわせて約80名が業務に従事していましたが、雇用に関する同社の対応は不誠実なものでした。
 少なくとも80名以上枠の異動先確保が必要にもかかわらず、示された異動枠は2〜3名。不十分な情報の下でのシンガポール地区予約課への斡旋。とても十分とは言えない早期退職プログラム。当初は、2〜3名枠の異動先に20〜30名の応募が殺到する事態になりました。

 NW労組は、「DLは史上最高の収益を上げています。10月31日の期限に向け、異動先が確保されない従業員に対し、管理職が退職強要しているとの報告もあります。会社の計画で予約課を廃止するわけですから、会社の責任で異動先を確保するのは当然のことです」と強調します。NW労組は、雇用確保のためにも組合への加入とあわせ、弁護士相談を通して必要な対応を検討しています。
 今回の予約部門廃止発表直後に就任した新支社長。航空業界での経験は全くなく、当初は誠意をもって対応する旨の表明がありましたが、時間の経過と共に変化を見せ始めコストカッター≠ニして就任したとの情報も寄せられています。
 DLは反組合的な労務政策を採っており、米国での従業員代表をめぐる組合選挙では、従業員代表を争ったIAMに対し猛烈な反IAM活動を行った前歴があります。日本国内でもコスト削減の一環として客室乗務員5名を地上職に強制配転した事件がありました(2008年3月に東京高裁が配転無効判決)。予約課廃止問題は、コスト削減と同時に、組合の弱体化を狙った労務政策も見え隠れします。


■主な記事から■

▼止まらない退職。年休・休憩・食事もとれない客乗。事故相次ぐグラハン

▼航空連・近村議長らがIAM大会に参加

▼違法な親会社の圧力〜働くホットライン

▼消費税増税でどうなる暮らしと経済

▼JAL上場で解雇裁判原告団が見解発表

▼国公労組羽田支部が50周年レセプション

  


 9月19日に再上場を果たした日本航空。売り出し価格は1株3790円。1億7500万株(3500億円)を保有していた企業再生支援機構は3000億円超の売却益を得ました。昨年3月に第三者割当増資を受けた京セラなど8社も多大な利益%セることになりました。 会社の「V字回復」の陰で、働く者の処遇は遅々として進んでいません。
 乗員職では、機長訓練を中止されたパイロットの流失が後を絶ちません。毎月10名もの退職があると言います。日本航空乗員組合は「このままでは、今の規模で推移したとしても、10年後には乗員不足によって運航が維持できなくなる」と指摘します。
 人員不足によりまったくと言っていいほど有給休暇が取れない客乗職。関係部門合同の社内会議で、「機材変更があっても客室乗務員の手当ができない」旨の報告もめずらしくないとも言われています。
 「ボーイング787で運航するボストン線の編成は8名。サービスが途切れなく続くので休憩が取れない。Cクラス担当は到着までまったく食事が取れません。先日、ボストン到着後、CAがドーナッツとクラムチャウダーを食べていたとの指摘が社内であった。言い分はもっとも……答えは簡単。飲まず食わずで、本当に空腹なのです……新人の頃、先輩から、緊急事態に備えて食事はきちんととり、体力を備え……保安要員としての自覚を忘れないよう、ともアドバイスされた」(CCUに寄せられた職場の声)
 ベテランCAによると、「ボストンまでは13時間の乗務。成田を11時30分に出発し、ボストンに到着するのは現地時間の11時過ぎになる。国際線のCAは出発時間の3時間ぐらい前には出社し準備をするので、乗務中に休憩がとれなければ心身ともに本当にきつい」と話します。

 羽田空港事務所は空港内の事故が相次いだことから、9月11日緊急事態として各社に安全を訴えています。背景となった6件の車両事故のうち5件はJALグループ、うち4件は地上支援業務を行っているJALグランドサービス(JGS)で起きました。「経費を最小に利益を最大に」は、より弱いところにしわ寄せされ、様々な形で職場を蝕んでいます。

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 航空連は9月9日から3日間、カナダ・トロントで開かれたIAM(国際機械工・航空宇宙産業労働組合‥70万人)第38回定期大会の招待を受け、近村議長と山下顧問・山口日航解雇争議パイロット原告団長が出席しました。 大会開催は4年に一度。今年は組合結成124年目にあたります。航空連への招待は前大会に続き2回目。航空連とIAMはアライアンス(相互協力)協定を結んでいます。IAMはITF(国際運輸労連)に最も影響力のある組合で、ILOにも発言力を持っています。6月にILOから日航不当解雇問題で勧告が出されましたが、ITFはサポーターとしてILO勧告の実現に大きな力を発揮しました。
 大会挨拶でバッフェンバーガーIAM会長は、「企業の多国籍化や経営統合で経済のボーダーレス化が秩序なく進んでいる。経営側は常に連携を強化しているが、労働者側の団結は遅れている。労働者の地球規模での団結が求められている。労働者は闘わなければ賃金や権利は守れない。ストライキ権は人権を守る権利だ」と強調しました。
 来賓挨拶ではスウェーデンの代表からは、「近年のメディアはひどい状況だ。テレビ・新聞・雑誌など労働組合の闘いを全く無視している。有名な企業であるIKEAなどでは公然と労働組合潰しが行われているが、多くの市民は企業のイメージ戦略に騙されている」。運輸・通信労組の代表からは「ストは労働者の生命線だ。ストを躊躇すべきでない。毎日・毎日、組織の強化と拡大に取り組み、ストライキで闘わなければ労働者の明るい未来は開けない。労働運動こそが希望ある未来を拓く」。労働者の権利を守る闘いの報告が相次ぎました。
 バッフェンバーガー会長は基調講演で、「アメリカ国内の闘いだけでは米国民の生活を向上させるためには不充分だ」「他国の労働者の賃金・労働条件を引きあげることを支援しなければ、このグローバリゼーションの中ではわれわれの生活も向上しない」と訴えました。IAMは、発展途上国で今も行われている不正・不当な人権侵害、危険な児童労働や長時間・低賃金労働をやめさせるためには、団結権・団体行動権など労働者の基本的人権の確立を急がせるための国際連帯が必要不可欠と主張しています。

 IAM大会のスローガンは「額に汗して働くすべての人に希望を!」。貧富の差が拡大しているなか、すべての労働者が組合に結集することで現状を打開しようという強い決意がうかがえるものとなっています。大会のなかでは何度となく、「われわれは闘う機械工組合だ」の言葉が元気よく繰り返されました。

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NHK朝ドラ「梅ちゃん先生」のワンシーン。父親の下村建造と集団就職で東京に出てきた光男君との会話。時代は1960年直前。 下村「いま、どんな本を読んでいるのかね」。光男「はい、蟹工船を読んでいます」。下村「蟹工船は良い。いまも労働者の現状は過酷だからな。蟹工船の時代と変わっていない」。 半世紀後の現在、労働者の状況はどうでしょうか。非正規労働の広がり、過労死、心の病の増加、自殺者3万人以上、リストラ・解雇……。下村先生が「過酷」と言った状況より、むしろ悪くなっていると思える実態が蔓延しています。 戦後まもない1947(昭和22年)4月に制定された労働基準法は謳っています。「労働条件は、労働者が人間らしい生活ができるものでなければならない」「(労働基準法)の条件を下まわって労働者を働かせてはならない」「この基準を理由として 労働条件を低下させてはならない」。しかし、SNWに持ち込まれる相談からは、数多くの労基法違反の実態が浮かび上がります。 A社は就業規則を改悪して労働条件を改悪しました。団体交渉で、親会社から「労基法を上回る条件については基準法の水準に下げよ」というきついお達しがされていることが明らかになりました。労基法の精神がないがしろにされています。

 B社では、管理職が「仕事は時間内に終わるように」と従業員に命じています。時間内に終わらないことは百も承知のうえです。目的は、「会社は時間内に仕事を終わらせるよう指示している。それなのに時間内に仕事を終わらせられないのは本人の問題」とのアリバイづくり。残業しても手当ては支払われず、職場からは「せめて残業代くらいはほしい」という切羽詰った話です。

(以下次号)

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 9月12日、醍醐聰東大名誉教授(会計学)による消費税学習会が都内で開催されました。
 タイトルは「消費税増税の大罪」「民富みてこそ国も富む」。
主催はJAL退職者懇談会。同教授は8月6日、参議院の社会保障と税の一体改革に関する特別委員会が開催した中央公聴会に出席し意見を述べました。著書に『消費税増税の大罪』(柏書房)があります。 

醍醐氏は消費税増税が家計や事業者に与える影響について指摘します。 まずは逆進性。消費税10%では年収200万円の人の消費税負担額は年14・4万円、負担率7・2%。一方年収1500万円では負担額34・4万円、負担率2・3%。収入の低い人ほどより高い税負担を強いられます。 中小零細事業者への影響も深刻です。「増税してもすべて価格に転嫁できる」と答えた事業者は資本金1億円以上では52%ですが資本金500万円以下では20%。中小零細企業の8割は増税になっても価格への転嫁ができず、その分は持ち出しにならざるをえない状況におかれています。 消費税増税の背景とされる財政難や少子高齢化についても、具体的数字を基に問題点を明らかにし、「政府に求められるのは悲観的な将来見通しを振りまくことでなく、支える人口を増やす雇用政策に力をいれるべき」と指摘しました。 同氏は消費税増税に代わる財源についても提案します。総額12・1兆円。内訳は@所得税を消費税創設時に戻し分離課税されている金融所得等を総合課税にする(2兆円)A法人税5%減税の中止(1・2兆円)B特別会計の積立金・決算剰余金の活用による国債の繰り上げ償還(1兆円)と特別会計の恒常的な不用額(7兆円)C医薬品メーカーに異常な高利益をもたらしている薬価の2割引き下げ(0・9兆円)など。

 最後に、雇用環境改善と雇用・社会保障で経済界が応分の負担を引き受けることが日本経済再生のカギと強調しました。

 独法労働政策・研修機構の試算
労働市場への参加がやや進むケース
 1人の現役が支える人口
  2010年現在   :1.94人
  2030年(予測) :1.97人(1.02倍)
労働市場への参加が進むケース
  2010年現在   :1.928人
  2030年(予測) :1.887人(0.979倍)

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 JAL不当解雇裁判原告団は9月18日、JAL上場にあたって見解を発表しました。(全文掲載)

 明日、9月19日に日本航空の株式が東京証券取引所に再上場されます。日本航空は2010年1月19日に経営破綻し、僅か2年8ケ月で再上場することになります。日本航空の再建は政府の指導で、「我が国の航空ネットワーク確保」を目的に、会社更生法下、企業再生支援機構の支援によって進められてきました。そして2011年3月には、史上最高益が記録される中で更生手続きが終了しました。業績は好調で、2010年度に営業利益1,884億円、2011年度には2,049億円を計上、その後の2012年度第1四半期(4〜6月)の営業利益についても前年同期の171億円を大きく上回る314億円と過去最高を記録しています。 しかし、私たちは今回の日本航空の株式再上場を無批判で眺めているわけにはいきません。如何なる理由があろうとも、日本航空に165名の生活と働く権利を奪った無謀な解雇事件を解決する姿勢が全く見られないからです。現在日本航空は5つの係争事件「パイロット81名(控訴人71名)の解雇事件・客室乗務員84名(控訴人71名)の解雇事件、契約制客室乗務員の雇止め事件、整備子会社潰しによる解雇事件、都労委を相手取った行政訴」を抱えています。日本航空では経営破綻以前にも係争事件が後を絶ちませんでした。しかし同時期にこれほどの事件を抱えたことはありません。経営破綻の背景に労働組合を敵視する日本航空特有の労務政策があった事を私達は指摘してきました。再上場に当たり、過去の労務政策と決別する経営の決意と、5つの係争事件の解決を求めます。そのことは将来リスクの軽減であり株主への責任であると同時に最低の企業倫理とも言えるものです。

 日本航空の不当解雇事件については、東京高裁で間もなく審理が開催されます。希望退職で目標を上回る人員削減が達成し、史上最高の利益を上げる中で整理解雇4要件を踏みにじる理不尽極まりない解雇でした。稲盛会長(当時)が法廷で証言しているように、2010年12月に165名を解雇する必要性など全くありませんでした。私たちは控訴審を通じて、この解雇が経営破綻を利用して、これまで安全運航を支え、経営にモノを言ってきたベテランの組合役員を根こそぎ排除する狙いがあったこと、そしてこの解雇が、これまで繰り返されてきた日本航空の組合敵視の労務政策の延長線上あることを立証していきます。

 私たちの解雇問題が今日の状況に至ったことについては政府の責任も重大です。私たちは、これまで度々政府に事態の解決を図るよう要請してきました。こうした中で、去る4月11日の国土交通委員会で前田国土交通大臣(当時)が「円満解決を図るよう指導もしていきたい」との考えを明らかにしました。また羽田国土交通大臣も6月20日の国土交通委員会で同様の気持ちであることを明らかにしています。ところが政府にも解決する姿勢は全く見られません。

 この間、日本航空の解雇問題について、6月15日にILOから日本政府に対して4項目の勧告が出されました。このILO勧告について羽田国土交通大臣は8月21日の国土交通委員会で「厚生労働省とも連携しながら、適切に対応したい」と答弁しています。しかし現在に至っても政府の動きはありません。

 一方、日本航空が史上空前の利益を上げ事業拡大も進められようとしている中で、職場の人員不足は過去にない深刻な事態となっており、年次有給休暇については労基法39条違反が常態化しています。またこれまでに例のない安全トラブルの発生など、不当解雇の矛盾が吹き出している状況です。

 パイロットの職場では、航空身体検査による乗務中断者が31名(7月末現在)にも及んでいます。また昇格訓練の中止や大幅な労働条件の切り下げで将来展望を失い、解雇後の1年8カ月間に90名の乗員が同業他社に流出しています。運航のモチベーションの低下が危惧されています。また客室乗務員については、4月以降710名(その後更に約100名追加)の新規採用が発表され、7月からは510名の訓練が開始されました。84名の客室乗務員を解雇した一方で、新規に大量の客室乗務員を採用するなどということは、社会のルールや企業倫理にも反するものです。行き過ぎた人員削減の結果生じた人員不足を新たな採用で置き換えて行くという日本航空の人員採用の仕方を許すならば、日本の雇用破壊を益々増長させる結果となります。

 航空会社の存立基盤は安全であり、それを支えているのは現場の労働者です。私たちは、政府と日本航空に対して、再上場を契機に「安全と公共性」の確保という航空会社の原点に立ち返り、全ての争議を直ちに解決するよう強く求めるものです。


 2012年9月18日

 JAL不当解雇 撤回裁判原告団

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国土交通労働組合羽田航空支部は、1962年に全運輸省労働組合結成と同時に全運輸羽田航空支部として誕生しました。以来50年にわたり要求で団結し、航空の安全、労働者の生活と権利、平和と民主主義を守るために諸先輩方が苦労を積み重ね、そして、皆さまのご協力をもとに、今日まで歩んできました。 羽田航空支部では、このたび、50周年を迎え、8月27日に羽田空港国内線第1ターミナル「GALAXY HALL」において、羽田航空支部50周年記念レセプションを開催しました。航空安全会議をはじめ民間労組の方々、公務労組の方々などに出席していただき、盛大に開催することができました。また国土交通労組・安藤中央執行委員長をはじめ、多くの来賓の皆さまより激励と連帯のあいさつをいただきました。

 羽田航空支部の歴史と伝統を築きあげてきた歴代役員の皆様から思い出話があり、これまでのとりくみを振り返る懐かしい写真を集めたスライドショーと相まって大いに盛り上がりました。また、50周年を盛り上げるため、そして、仲間との団結を確かめ合うためにとりくんできた「50周年記念ボウリング大会」の成績上位者の表彰も行いました。豪華な商品?に受賞者も大変満足していたのではと思います。

 今回のレセプションをこれまでの歩みを振り返り、今後の発展をめざす新たなスタートとするとともに、羽田航空支部はこれからも日々奮闘してまいりますので、引き続

きご支援、ご協力をよ

ろしくお願いいたします。

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