phoenix266号 PDF266


■主な記事から■

▼年休の強制取得迫る中国東方航空支社長                   
▼通年利益を上方修正した日本航空、もっと安全に投資してほしい    
▼県営名古屋空港4代目管制塔が解体へ                      
▼小さくても正々堂々と交渉 引き継がれる労働組合
▼ITF会議で客乗のレスト・年休問題を報告                         
▼高裁で勝利判決必ず! 12月6日パイロット裁判、同14日客乗裁判 
▼CCU新委員長紹介 



 全日空の上半期連結営業利益は前年比4割増の753億円。過去最高を更新しました。通期見通しは当初計画目標どおりの1100億円。日本航空の上期連結営業利益は1121億円でこちらも過去最。通期では150億円増の1650億円に上方修正――好調な上期決算とは対照的に状態悪化が進む職場環境。勤務問題や年末一時金、諸課題に取り組んだ成果を報告します。

 退職強要をはらんだデルタ航空日本支社予約部門廃止問題は、労働組合の粘り強い交渉の結果、組合員2名含めた14名の雇用確保という成果を上げました。 外航では、本国でのコスト削減の動きが強まっており、雇用問題への影響が懸念されており注視が必要です。 

 一時金交渉の中心はJALグループ各労組。破綻により強権的な手法で引き下げられた労働条件を回復させ、後を絶たない退職に歯止めをかけさせる極めて重要な交渉でした。過去最高の上期決算にもかかわらず回答は夏と同じ2カ月。職場からは「過去最高の上期利益、通期では減収見通しにもかかわらず利益は上方修正。これで夏と同じ2カ月というのはおかしい」との声が出されています。

 日本航空は機長昇格やパイロット訓練生の訓練の中断・中止を発表していましたが、止まらない他社への流出(自主退職)や労働組合の追及のなか、訓練再開を決めました。CCU(日航キャビンクルーユニオン)は客室乗務員の年休制限や休憩問題では違法性の追及や労基署相談などを実施。年休問題では残日数提示を約束させ、グループミーティングの中止による取得環境の改善など、これまでの頑なな経営姿勢に変化をみせています。

 新千歳空港で日本航空のグランドハンドリングに携わっているJGS札幌の冬期手当廃止問題は2回目の冬を迎えようとしており、要求への切実さはますます深刻になっています。

 全日空では、運航乗務員の勤務問題をめぐり解決に向けた取り組みが続いています。エアーニッポン乗組では、冬季ムンバイ線乗務編成でマルチプル運航化に向け前進回答を引き出しました。運航乗務員は、健康面からも勤務(乗務編成)に強いこだわりを持っており、それが要求前進の原動力になったと言えます。
 賃上げ交渉を継続しているフィリピン航空労組は、一律4500円の賃金引き上げと4年間継続した契約社員を正社員に登用するとの回答を勝ち取りました。
 一人ひとりの頑張りによって日々の安全運航が支えられ各社は好業績を上げていますが、働く者の労働環境はより深刻になっています。日本航空では1年あまりで千人が退職しました。
 労働組合の存在意義が、あらためて確認できた年末闘争でした。

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 10月以降、中国東方航空東京支店でリストラが強まっています。4月に着任した銭(セン)支社長は着任早々、「着任したばかりで私は社員の査定ができないから夏の一時金はゼロだ」と切り出し社員を唖然とさせました。驚いた社員は組合(SNW)を立ち上げ、4回の団体交渉で夏の一時金「一律1・6カ月」を支払わせました。
 10月に入り尖閣問題で輸送量が減少すると、組合に何の説明もせず、年休取得を強要してきました。個人面談で支社長は「年休をたくさん持っている社員は11月より、残日数4〜6日を残して全部休むように」と指示し、年休届に押印を迫りました。組合員は「会社の厳しい状況は理解しており、何日かの年休はとって会社に協力してもよい」と答えましたが、支社長は「それではだめだ。私の言うとおりにせよ」と強く迫られました。組合員は支社長の強引な態度に、しぶしぶ11月の年休は支社長の指示通りの申請に応じました。その結果、数人の組合員が会社指定による年休で連続休暇に入っています。

 しかし会社は、年休取得を組合員に強要する一方で、10月以降3名以上の新規社員を採用しています。支社長専属のドライバーも採用しています。HPでは、東京・名古屋・松山・広島で新規の社員募集をしています。

 11月9日に中村支部委員長と松野書記長が「年休に関する団体交渉要求書」を提出したところ支社長は面談に応じず、組合員を支社長室に入れて「年休問題では合意したはずだ。団交には応じないぞ」と大声で叫び続けました。当日は支社長が団交を拒否したため、労使間での話し合いはできませんでした。

 組合は、支社長がこうした法律違反をとり続ける状況では労使間での冷静な話し合いは無理と判断し、東京都地方労働委員会(都労委)に11月13日、団体交渉斡旋申し立てを行いました。

 組合は全員集会を開催し、年末一時金2・4カ月、契約社員の正社員化、外運健保加入、退職金制度の復活、就業規則改定などの要求を決めました。

 組合は団体交渉で要求前進をめざします。

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 11月13日、日本航空で6つの労働組合に対する合同決算説明会が開催されました。
 上期連結営業利益は過去最高の1121億円。増収増益となりました。通期では、営業収入は50億円減収としつつも、営業利益は150億円増の1650億円に上方修正しました。上方修正の理由は「250億円の経費削減に努めた。50億円の収入減と燃油費が計画より50億円増になったことから150億円の上乗せとなった」。労組の「上方修正する前に安全や人への投資をしないのか」との質問には「ここは説明の場で交渉の場でない」と回答拒否。
 航空機の減価償却年数を短縮したことで17億円費用を膨らませ、利益を減らす決算対応をしていますが、11月17日の日経新聞は償却年数の短縮で50億円の利益を圧縮と報じました。組合は、「従来公表していたデータを出さなくなった。減価償却年数の短縮に関する質問には説明拒否。労組の質問には答えられなくても新聞記者の取材には答える。これが公明正大な経営なのか」と会社の不誠実な対応を強く批判しています。

 転職の話題が絶えない整備現場。経営側は儲ける整備を掲げています。羽田空港では11月からデルタ航空とハワイアン航空の整備を受託しました。人員不足の現場からは「新たな負担」との声が聞かれます。

 海外エアラインの飛行間点検作業(AFRS)を行う際には、そのエアラインの資格認定者になる必要があります。資格を取得したら負担も増えます。作業者からは「最初はよくわからず資格をとったがやるもんじゃない」と言った声があがっています。AFRS資格者が少ないため専属的な作業にならざるをえず、JAL機材のスキルやモチベーションへの影響が懸念されています。

 日航ユニオンは、外航機(A330)は新たな機種であることから手当の支給を求めていますが、経営は「苦労は理解する」としつつも手当支給には応じていません。利益の上方修正はしても人への投資は後回しです。

 日本航空の安全推進本部が発表した「2012年度JALグループ安全目標の達成状況(上期実績)」によると、重大インシデント=1件(年間目標0件)、イレギュラー運航件数36件(同52件以下)、お客様のお怪我件数=15件(同21件以下)、ヒューマンエラーによる不具合件数=29件(同48件以下)でした。

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   名古屋飛行場管制塔の取り壊し工事が行われています。管制塔としては4代目。2011年9月に滑走路東側の自衛隊敷地内に新しく5代目管制塔が完成したことに伴い役目を終えていました。
 2005年2月の中部国際空港(セントレア)開港に伴い、ほとんどの旅客機はセントレアに移りました。同時期、管制業務は国土交通省から自衛隊に移管され、自衛隊管制官が民間側敷地内にある管制塔にきて管制業務を行っていました。
 管制塔の歴史をひもといてみると、初代・2代目は滑走路東側の自衛隊側に建てられていました。その後3代目・4代目は滑走路西側の民間側に建てられ、5代目で再び自衛隊側に戻ったことになります。2代目以来、46年ぶりとのこと。
 転勤・寄港で名古屋空港を訪れたことのある方のなかには、印象が残っている方もいるのではないでしょうか。
 小牧空港が国内・国際線で賑わっていた頃、空の交通をコントロールしていた管制塔はまもなく姿を消します。

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   先日、スカイネットワーク(SNW)の小さな分会の分会長が退職をすることになりました。分会長は「私は労働組合とは全く関係がなかったのですが、前任者から分会の継続のために受け継いで労働組合のことを経験しました。職場の仲間や組合の皆さんに助けられながら会社と交渉し、改善できたものがありました。こうした経験をこれかの人生に何らかの形で生かしていきたい」と、退職に際して話していました。
 分会長が去った後の分会がどうなるか心配もありましたが、残った組合員に、しっかり受け継がれていくことになりました。組合員の一人は、「組合がなければ会社に何も言うことができないので、これからもいろいろ勉強しながら頑張っていきたい」と言いました。彼は団体交渉にも参加し、少ない組合員の分会でも会社と正々堂々と交渉できること、そのなかで実現できる問題もあることを感じていたのでしょう。
 さらには、職場には不満を持っている人もいるので組合員も増やせるのではないか、と考えています。すでに立派な労働組合の活動が始まっていたのです。
 労働組合の活動に係わるきっかけは色々あると思いますが、「組合なんか私には関係ない」と思っていた人はけっこう多いようです。しかし、先輩や仲間の影響とか、組合が要求を勝ち取ってくれたなど、何らかの形で労働組合の役割を感じて係わるようになった人も多いはずです。それは、労働組合が働く者にとってなくてはならない、生活と権利を守るための正義の闘いができる、憲法で保障されている唯一の組織だからではないでしょうか。SNW副委員長の相沢さんは、「職場に労働組合があるのとないのとでは大きな違いがある。ぜひ組合に加入してほしい」と訴えています。
 一人で悩んでいないで組合に加入しましょう。SNWは労働相談も受けつけています。

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 10月3日、ロンドンのITF本部でグランドスタッフ委員会(GSC)とキャビンクルー委員会(CCC)が開催されました。4日と5日にはセクション委員会総会が開かれ日本航空キャビンクルーユニオン(CCU)が出席しました。航空連国際活動委員会、整備連絡会、客乗連絡会がアドバイザーとして参加しました。総会では、CCUからJAL争議の支援に対するお礼と現状報告を行いました。JAL争議支援決議が総会でも承認されました。

 GSCでの主な議題は@空港での空気汚染と健康上のリスクについてA整備、修理、オーバーホール(MRO)についてB機種ごとのグランドスタッフの配置人数Cグランドサービスの主な動向、など。

 @については、航空機エンジンやAPU(補助動力エンジン)、牽引車等のディーゼルエンジンの排気から放出される超微粒子が空港内の空気を汚染し、汚染濃度は高速道路周辺よりはるかに高い数値が出ている。ランプ内だけでなく客室内でも高い数値が検出されたとのこと。世界中の空港での測定と対策が必要との意見が出されました。

 Aについては、MROをメーカーが行うようになっており、航空会社における整備士の雇用の喪失、組織率の低下につながっている、Bについては、今後基本的なデータをつくる、Cについては、新規業者の参入により賃金が低下している、などの問題提起がありました。

 機内持ち込み手荷物の問題については、「アジアやLCCでは荷物の重量化がすすみ、乗務員が収納の手伝いをするため非常に苦慮している。ITFで調査が必要」との意見が出されました。客乗連からはJALのレストのない香港日帰り便の実態を説明し、日本の客室乗務員の勤務の異常さを訴えました。契約制での採用の実態や評価制度、過重なサービスの実態についてはレポートを配布し説明しました。

 総会ではLCCの状況報告、未組織労働者の組織化の課題、2013年2月に開催されるILO民間航空グローバル対話フォーラムについてなどの提起がありました。

 引き続き世界の労働者と連帯し、航空労働者の雇用と労働条件を守る取り組みを強めていくことが求められています。

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 JAL不当解雇撤回裁判の控訴審口頭弁論が始まります。パイロット裁判は12月6日、客室乗務員裁判は同14日。いずれも午後2時30分、101号法廷で開かれます。


控訴審を前に支援共闘会議は「JAL不当解雇撤回闘争の勝利めざし全国から大きな結集を」と題する呼びかけを発表しました。控訴審を「すべての労働者の雇用と権利を守る闘い」「利益第一主義を改めさせ、安全・安心の日本航空を築く闘い」「経営破綻の原因である歪んだ航空政策をただし、国民の足を守る闘い」「組合つぶしを許さず、労働組合の活動を保証させる闘い」と位置づけ、控訴審で必ず勝利判決を手にするため全力を上げて取り組みを進める決意を明らかにしています。
 争議への理解と支援の輪をより大きく広げることを目的に、11月21日からはJAL闘争東海道キャラバン行動がスタートしました。姫路駅前を出立し、兵庫・大阪・京都・滋賀・岐阜・愛知・三重・静岡を経て、12月6日池袋みらい座での「JAL控訴審勝利をつかむ大集会」(開場18時)がゴールとなります。
 9月10日には、大阪・福岡・京都に続き新潟で支援共闘会議が発足しました。同会議は10月15日、新潟労働局に「早期に労使協議の場の設定の要請があった事を本省へ上申して下さい」との要請も行いました。支援の輪は大きく広がっています。

 JALは2005年10月、アナン国連事務総長(当時)が提唱した「国連グローバル・コンパクト(UNGC)」に参加しました。UNGCは、各企業・団体が責任ある創造的なリーダーシップを発揮することによって社会の良き一員として行動し、持続可能な成長を実現するための世界的な枠組み作りに参加する自発的な取り組み。参加は10の原則に賛同し、実現に向けて努力を継続していくことを約束・宣言したことを意味します。原則には「組合結成の自由と団体交渉の権利を実効あるものにする」「雇用と職業に関する差別を撤廃する」が謳われています。

 不当解雇撤回争議に関連し6月に出されたILO結社の自由委員会は「人員削減の過程において、労働組合と労働者の……代表者が役割を果たせるよう……当事者間で協議が実施されることを確実に保障するよう、日本政府に要請する」「再建計画……が労働者に及ぼす悪影響を可能な限り最小限に止める上で……委員会は、労働組合と十分かつ率直な協議を行うことの重要性を強調する」ことを勧告しました。

 JALの整理解雇は、国際的にも不当性が浮き彫りになっています。


 全国各地で取り組まれる一斉宣伝行動、各地での取り組みは多くの支援者と原告らで行っています。福岡では原告は一人だけですが、天神や博多駅、小倉駅前での宣伝を支援共闘会議の仲間や多くの支援団体のみなさんと一緒にマイクで訴えビラを配布し元気に宣伝行動を取り組んでいます。

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  「女性が経済的自立できる職業として航空業界に就職を決めました」と話す古川麻子さん。今期から日本航空キャビンクルーユニオン(CCU)委員長を務めています。
 出身は宮城県仙台市。三人姉弟の長女。高校ではフェンシング部に所属し、大学では法律を学びました。1987年、東亜国内航空に客室乗務員として入社。国内・国際線の先任資格を取得し、指導客室乗務員として新人の教育や後輩への指導・育成に携わってきました。現在は国内線を乗務しています。
 
 委員長を引き受けるきっかけは「高校生の娘に背中を押されました」。「委員長という重責を担うことに、色々と思い巡らす日々を送っていたところ、娘に『何をグズグズ悩んでるの。仲間のために頑張るんじゃないの』と言われて決心しました」 委員長として初めて迎えた年末闘争を振り返ります。
 「年休アンケートには多くの声が寄せられました。所属組合の壁を超えた年休闘争のきっかけとなりました。現場は日々安全運航を支え、質の高いサービス提供に力を尽くしています。真面目に働いている現場の頑張りを少しでも経営に届けたてとの思いで、職場の実態や声を伝えることを一番に据えて年末交渉を進めました」
 今後の抱負も語ってもらいました。
 「労働組合とは働く者を労わる寄り合い。職場の仲間を励まし、互いに思いやれる、労わり合える組織でありたいと思います」「日本航空が健全かつ継続的、安定的に発展するためには『安全の確立』『安心して働ける職場環境』『すべての争議の自主解決』、そして『労使の信頼関係』が不可欠と思っています」

 職場問題や解雇裁判など解決しなければならないことは山ほどありますが、「娘と過ごす時間が何よりのストレス解消」と笑います。

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〈お詫びと訂正〉


 フェニックス265号(11月1日付)でお知らせしましたジャパン・キャビン・クルー・ユニオン(JCC)の連絡先を03―3742―5431と記載しましたが、03―3742―5341の間違いでした。ご迷惑をおかけしました皆様にお詫びし訂正いたします。

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