phoenix269号 PDF269


■主な記事から■

▼13春闘―生活が苦しいが5割超。安全基盤支える労働条件の引き上げを
▼残業代払え!SNWにエミレーツ分会誕生
▼客室乗務員なら誰でも一人でも加入できるJCCU。只今、奮闘中
▼「解雇のための解雇」―JAL解雇裁判、控訴審で4名の意見書提出
▼緊急報告―国家公務員賃下げ問題(下)



JAL・ANA経営分析、LCCの現状などテーマ

 2月16日、32回目を迎えた航空連「航空政策セミナー」が都内で開催され、LCCの現状や全日空・日本航空の経営分析、全日空の持株会社化問題、アライアンスと外航・グランドハンドリングなど、直面する課題に学習を深めました。航空労働者、学者など110人が参加しました。

 最初のテーマは「日航・全日空グループの経営分析の再確認」と「LCCの現状分析」。報告者は中川政策委員。
 「日航・全日空グループの経営分析の再確認」では、中期計画や輸送実績から日航と全日空の動向を分析し、供給力増が競争力向上に表れていることを説明しました。
 「LCCの現状分析」では、ピーチアビエーション、ジェットスター・ジャパン、エアアジア・ジャパン、スカイマークの4社の輸送実績を基に現状を分析。これまで好調だったスカイマークの苦戦の原因を明らかにしました。長期間にわたる運賃動向調査を基にしたLCCの運賃動向の特徴については、「早く情報をキャッチした人、学習した人」が安い運賃を得られることを示しました。
 二つ目のテーマは「日航・全日空の経営分析」。@JAL・ANAの各種経営指標や大手2社以外の各社の特徴AJAL経営破綻の再検証B蓄積される企業体力と悪化する労働条件比較C12年度決算見通しと13春闘、について諏訪政策委員が報告しました。
 最高益を上げた2007年と2008年のリーマンショックを境に日本航空が経営悪化していく過程を分析し、会社更生法適用の是非に踏み込む検証をしました。引き下げられた労働条件に関しては、2兆円を超える公的資金を注入された銀行では賃金引下げがなく、日航は大幅に引き下げられた現実を指摘。さらには、破綻した日航も好調な全日空も、共に同じように労働条件を引き下げている共通点を明らかにしました。諏訪政策委員は「JALもANAも金余り状態。13春闘で労働条件を取り戻そう」と強調しました。

 三つ目のテーマは「全日空の持株会社化の職場に与える影響は」。片岡副議長が報告しました。

 @持株会社の歴史と背景A持株会社と航空法の関係B持株会社を作る方法CANAの持株会社への移行D持株会社のメリット・デメリットE持株会社の問題点F持株会社と労使関係G他産業の持株会社化HANAの持株会社の経営体制IANA持株会社への懸念事項JANA持株会社による統括ポイントK事業会社として今何をすべきか、などにいて丁寧な分析を交え報告しました。全日空乗組とAGPU(全日空グループ乗員組合)が会社との交渉状況などを報告しました。

 最後のテーマは「アライアンスと外航・グランドハンドリングの現状」。報告者は佐々木副議長。

 成田空港におけるアライアンスとグランドハンドリングの現状について、調査を基に作成した一覧表を示し特徴を明らかにしました。アライアンスと合併をめぐる外航の状況を職場の変化などを踏まえ報告。2014年羽田空港の発着枠拡大は相当数の人員確保が必要になると結びました。

 セミナーではボーイング787型機の相次ぐトラブルを受け、「787型機のトラブルに関する見解と航空労働者からの問題提起(案)」が報告されました。近村航空連議長は閉会挨拶で、「ボーイング747―400導入の際、安全問題を相当議論した。787のトラブルを受け、現場で安全を支えている航空労働者として運動を広げよう」と呼びかけました。

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デフレ脱却には賃上げが必要――いまや多くの人たちの共通認識になっています。

 2月12日には安倍首相が経済3団体代表に「働く人の得の増大……が出来るかどうか。そのことによって、本格的なデフレ脱却に向かっていくわけで(す)」「業績が改善している企業においては、報酬の引き上げを行うなどの取組みを是非ご検討いただきたい」と要請しました。同日、麻生財務大臣は記者会見で、「企業がこの20年間にわたって労働分配率を引き下げて、その分を内部留保を厚くし……ずっとため続けてきた」「状況はよくなってきているのだから……経営者のマインドとして給与に回す等々の配慮があってもいいのではないか」と発言しています。
 航空では賃金引上げや職場改善に向けた交渉が本格化しています。航空連は回答指定日を3月5日、山場を19日に設定し、要求前進をめざします。
 日本航空・全日空が発表した今年3月期(12年度決算)の業績見通しは、日本航空営業利益1860億円、全日空同1100億円としています。両社ともB787型機運航停止の影響を強調しますが、見通しは好調です。日本航空は中間決算と第3四半期決算時、それぞれ利益を上方修正しました。配当も18%を計画しています。
 航空連の統一アンケートでは、生活実感について「かなり苦しい」25%、「やや苦しい」33%と、過半数が生活の苦しさを訴えています。仕事は「忙しくなった」50%、「変わらない」42%と、半数が忙しくなったと感じています。業務の安全については、「向上」7・7%に対し「低下」39%と、4割の人が、現状に懸念を感じています。関心事について3つ挙げてもらったところ、「労働条件不安」66%、「健康不安」47%、「雇用不安」41%が上位となりました。年休取得については、約2割の人が希望通りに取得できないと答えています。

 アンケート結果は職場状況を反映しています。経営破綻や競争激化を理由にこの間、賃金カットや賃金制度見直しによる賃金抑制、労働時間の延長、勤務改悪、正規社員から非正規社員への雇用の入れ替えなど、労働環境は低下し続けてきました。さまざまな不安を抱えながら日々の仕事に励んでいる。アンケートからは、そのような姿が浮かび上がります。

 安全運航を支えるのは現場の労働者です。生活や労働条件に不安があったのでは安全は支えられません。

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 1月26日、SNW(スカイネットワーク)エミレーツ航空大阪分会の結成大会が開かれ、役員選出と要求を決めました。31日には同社西日本支店に労組結成を通知。要求書提出と団体交渉開催を申し入れました。同社の本社はアラブ首長国連邦(UAE)のドバイにあり、現在、日本には関空と成田空港に乗り入れています。6月3日からは羽田空港へのデイリー直行便を予定しています。
 昨年12月、エミレーツ航空西日本支店に勤務する女性からSNW本部に、「残業代未払い問題について相談したい」とのメールが入りました。「過去ユナイテッド航空に勤務していた。労働組合があり、労働環境が整備されていた会社との違いに戸惑いと憤りを感じている」とも話していました.
 相談者の仕事は予約電話受信と発券カウンターでの接客対応。勤務時間は午前9時から午後6時までですが、勤務前後の制服への着替え、事前にメールに目を通す時間、遅延などがあった場合の始業前ブリーフィングや終業後の事後処理などによる早出・残業が日常的に発生しています。東京の日本支社人事へ改善を求めましたが前進していません。パワハラによる退職の事例も訴えられました。

 現在大阪労基署に残業代未払いと立ち入り調査を求めていますが、2月18日に行った団体交渉で会社は、「労基署の勧告に従う。就業規則は次回までに文書で出す」と回答しました。交渉は始まったばかりですが、さっそく改善に向けた回答をひきだしました。
 分会は「日本人の雇用と安定を図り働きやすい職場をめざす」との要求を掲げ、前進をめざしています。

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 客室乗務員の職場は、契約制での不安定雇用、健康で長く働き続けることが困難な勤務、パワハラなどさまざまな問題を抱えています。こうした状態を少しでも変え、より良い職場にしていきたいとの思いから昨年10月、一人でも入れる客乗職の組合、JCCU(ジャパン・キャビン・クルー・ユニオン)が結成されました。

 ソラシドエア(スカイネットアジア航空)では、これまで2回の団体交渉が開かれています。テーマのひとつは「1日4回乗務」。羽田―宮崎―沖縄―鹿児島―羽田のパターンは勤務時間9時間50分(乗務時間6時間20分)ですが休憩時間は明示されていません。駐機中のインターバル35分も機内清掃にとられ、乗務のあいまに食事をとらざるをえない実態にあります。労働基準法第34条は、「使用者は、労働時間が6時間を超える場合においては少なくとも45分、8時間を超える場合においては少なくとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない」と定めています。法違反は明らかです。組合では4レグパターンや機内清掃の改善をめざし、ねばりづよく交渉しています。
 安易にスケジュールを変えられる問題では、「1カ月変形労働制のもとでの勤務変更は労働基準法違反」との主張を行い、会社から「一方的に勤務変更を行なった例があればお詫びする」(強制的な勤務変更は行わない)との発言を引き出すなど、交渉の成果も現れています。有休が取れにくい実態の改善やママさんの要求もかかげ、少しでも働きやすい環境にしていくことをめざしてJCCUは頑張っています。

 外航の職場では、契約制日本人客室乗務員が妊娠休職中にもかかわらず、契約期間満了で雇い止め(解雇)を通告された事例があります。当事者はJCCUに加入し、現在、労政事務所があっせんを行い、育児休業法に基づく措置をとるよう日本支社に働きかけています。

 JCCUは、内航・外航を問わず、未組織客室乗務員の受け皿として問題解決をめざします。

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 日本航空に不当解雇撤回と原職復帰を求めているパイロットと客室乗務員。その裁判が東京高裁で開かれています。2月7日のパイロット裁判第2回口頭弁論では飯田祐三機長が意見陳述し、3名の法学者が意見書を提出しました。

 飯田機長は、「日本航空の社員は御巣鷹山(事故)がトラウマになっている」(稲盛会長)「京セラのように1兆円の内部留保ができてから安全を語れ」(加藤管財人代理)などの発言は、日本航空を支えてきた社員の努力を無視した安全軽視の姿勢と厳しく批判。経営悪化の原因は、労働組合が指摘してきたリゾート開発やドル先物予約などの放漫経営と、空港乱造などの航空行政の問題と指摘しました。管財人代理に旧経営陣と中枢スタッフが含まれ陰湿な労務政策が今も続いていること、管財人らのウソ発言や誤魔化しの人員削減数などを、事実を基に証言しました。
 法学者の立場から出された意見書では、高橋賢司立正大学法学部教授は、「解雇の人選基準が社会的保護に値する者を保護すべき観点を欠いたもの。年齢基準、傷病基準、不当労働行為など国際労働法の公序に反し、憲法の合理性に欠いたもの」と指摘しました。
 根本至大阪市立大学大学院教授は、会社更生手続下における整理解雇法理のあり方およびその適用上の諸論点について、一審判決の判断法合理性と不当性を明らかにしました。
 田頭章一上智大学法科大学院教授は、会社更生手続と整理解雇法理との関係、倒産法的観点からみた更生手続下における整理解雇法理の適用のあり方およびその適用上の諸論点について、一審判決の不合理性と不当性に言及しました。

 2月14日には、数多くの倒産事件を、管財人などの立場から会社再建を手がけた清水直弁護士の意見書が追加提出されました。「(倒産に)労働者にはそもそも非がないことを忘れてはならない」「会社更生手続下にあるから人員削減の必要性がより認められることではなく、経営側の失敗という事情を経営に関与することのできない労働者の雇用に転化することは最小限度にとどめなければならない」「利害関係人との利害の調整を図るべき更生管財人が整理解雇という最後の手段まで用いて、本件整理解雇を実施しなければならなかったことを正当化するほどの必要性は認められない…本件整理解雇は、JALのその当時の経営実態と乖離した単なる『解雇』のための『解雇』でしかなかった」と述べています。
 3月1日には客乗裁判の第2回口頭弁論が東京高裁で開かれます。

 東海キャラバンに続く2回目の「山陰・山陽キャラバン」が、3月26日から行われます。

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政府は国家公務員の賃下げ理由に、厳しい国家財政と震災復興の財源確保をあげています。国家公務員が賃下げをガマンすれば財政赤字は解消し、復興財源が確保できるとでも言いたいようです。

 国の財政赤字はこの10年で250兆円以上増大しました。復興事業に必要な予算は2011年度から5年間で25兆円とされています(使途には様々な問題点が指摘されています)。一方、今回の賃下げによって生み出される財源は年間約2900億円。効果は誤差的です。

 財源的には誤差的でも、国家公務員の賃下げが及ぼすパフォーマンスは絶大です。政府は地方公務員にも国家公務員なみの賃下げを強く求めていますし、独立行政法人の職員への影響も直線的です。今後本格化する民間労働者の賃金交渉では、「公務員も賃下げをしている」が賃金抑制の口実のひとつとされるでしょう。

 国家公務員の賃下げ問題は公務・民間を問わず、日本全体の賃金水準に否定的影響を与え、民間の賃金抑制は公務員賃下げに根拠≠与えるという、賃金のマイナススパイラルをもたらします。

 賃金抑制は消費の冷え込みと国内生産の縮小、税収減少、デフレ深化をいっそう悪化させます。労働総研は、国家公務員の賃下げは625万人の労働者賃金と地域経済に悪影響を及ぼし、家計消費は2・6兆円、GDPは3兆円、税収は5400億円落ち込み、財政赤字解消とは逆行するとの試算を発表しています。

 政府の措置は恣意的でもあります。自衛隊員には「震災復興への貢献」を理由に賃下げ実施時期を遅らせる特例措置がとられていますが、東日本大震災被災地で限られた予算と人員のなか、不眠不休で救援と復旧復興業務にあたってきた公務員に同様の措置は考慮されていません。

 「公務員の賃金は高い」「身を削れ、血を流せ」という意図的な公務員バッシングのねらいと、国家公務員賃下げの影響を正確に読み解くことが、目前の春闘を闘う私たちにも求められています。

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