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▼ANAグループ、再編で引き下がる賃金

▼787トラブル、徹底した原因究明を申し入れ

▼JAL解雇原告団が全国キャラバン第2弾「山陰・山陽キャラバン」実施

▼JALが求める不当労働行為認定取り消し裁判で、会社のウソが発覚

▼空港制限区域内事故防止対策検討会に安全会議・航空連代表がオブザーブ参加


13春闘は3月19日の先行組の山場が過ぎ、今後は外航や産業航空労組の闘いへと移行していきます。先行組の成果と課題、特徴的な闘いを報告します。

 今春闘は「デフレ脱却には賃上げが必要」が多くの人たちの共通認識になり、安倍首相が経済3団体代表に賃上げ要請するなど近年にない追い風のなかで始まりました。

航空では日本航空、全日空が発表した13年3月期の業績見通しによると、日本航空は営業利益1860億円、全日空は同1100億円としています。787型機のトラブルで収益への影響を強調していますが、内実は好業績を見通しています。日本航空に至っては厳しさを強調しながら2度も上方修正し、更に18%配当も計画しています。

 一方、職場状況はどうでしょうか。経営破綻や競争激化を理由に賃金カットや賃金制度見直し、労働時間の延長、土曜日曜手当廃止、シフト手当減額、勤務改悪など、多くの労働条件を引き下げてきました。政府は2%インフレターゲットを掲げていますが、2%も物価上昇したら生活への影響は甚大です。
 このような情勢を踏まえ航空連は「労働条件は生活と安全を支える基盤」を前面にたたかいを進めました。

 JALグループでは引き下げられた労働条件の回復、ANAグループでは4月からの持株会社化移行が大きな争点になりました。

 全日空乗員組合では、持株会社との交渉の可否をめぐり、持株会社との協議条項を引き出し、シニア乗員の社員優待搭乗制度の改善回答を得ました。一方エアーニッポン乗組には出向に関する改悪提案が出され、持株会社との交渉など、4月1日を山場に設定し要求の前進をめざします。

 JALグループでは引き下げられた労働条件回復に向けた取り組みは、確かな変化を確認しています。その大もととなったのが、争議権を背景とした労働組合の攻勢的なたたかいといえます.昨春闘で社有機利用制度(EF制度)が復活した「JALスタッフトラベル制度」が年度繰越と子供使用分が大人の半分に設定されました。年休の繰越分を積立てる「特別目的積立休暇制度」(新設)、日航乗組では勤務や編成で改善を引き出し、「13年度上期中に、人事賃金制度の今後のレビューについて考え方を示す」との回答を引き出しました。日航ユニオンでは整備確認主任手当の対象にAFRS(外国社の整備資格)を加える回答を引き出しました。CCUでは大きな問題になっていた年休取得に関し、固定休日運用を含めた施策を検討中との回答を引き出しました。

 夏期一時金について、前年回答に0・2カ月上積み回答が出されました。
 JGSグループ労組では、時短休日増の要求に対し「羽田発着枠拡大の展開時期を目途に準備に着手」とし、強行廃止され2度目の冬を迎えたJGS札幌の冬期手当を求める動きは、組織の違いを超えJGSグループ全労組の共通要求になり「真摯に必要な協議を行っていく」との回答を引き出しています。また人員問題についても積極的な交渉が行われ前向きな回答を引き出しました。
 夏期一時金について、JAL同様の回答が示されました。

 JAS新労組(成田空港でUAやデルタなどのグラハンを行う労働者で組織)は、勤続年数による1%〜3%の賃上げと、年間一時金4・25カ月(勤続年数差あり)の回答を引き出しています。

 キャセイ航空労組では、1・3%昇給+α、一時金年間6ヶ月、育児休業制度・転勤住宅制度・契約社員の年休で改善回答を引き出しました。

 航空各社は、LCC参入や競争激化など経営事情最優先に、好業績を上げても更なる効率化、労働条件の見直しを計画しています。職場の安全、生活改善をめざし引き続き攻勢的な取り組みで要求の前進を目指しましょう。

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オペレーション機能の強化に向けて、一空港一運営会社体制を打ち出した全日空グループ。主要7空港(千歳・成田・羽田・中部・伊丹・関空・福岡)を対象に、空港部門(旅客・STC・顧客サポート等)とグランドハンドリングを統合させるというもの。これまでに5空港での一社化が完了。今年4月には成田が、来年4月には羽田が一社化し、7空港の一社化が完了します。

 羽田は来年の一社化に向け、今年4月からANAエアポートサービス(ANAAS)が営業開始します。ANA(旅客・STC・顧客サービス・羽田総務等)とグランドハンドリングの旅客部門(AAH)を先行統合するものです。ANAASの年間労働時間は1980時間で、現行より23時間短縮されます。年間労働時間は7空港で統一されており、全日空からの大量出向者に配慮したものと思われます。年間休日数は104日。労働時間と休日は今年4月実施ですが、その他シフト手当・祝日出勤手当・役職手当・家族手当などは来年4月からとしています。

 賃金制度はグラハン系と旅客系の二本立の賃金体系としています。会社の説明資料によると、50代の年収カーブはAAH約660万円に対しANAASのグラハン系は約590万円。旅客系は約610万円としています。グラハン系は70万円の引き下げになります。

 全日空グループの羽田空港でのグランドハンドリングは長年IAUが行ってきました。2006年の新グラハン会社「ANAGS」設立により2社体制となりましたが、2011年10月には、今度はIAUとANAGSが統合してAAH(ANAエアポートハンドリング)が設立。再び1社体制となりました。

 ANAGS設立を契機に、IAUでは労働条件の引き下げが図られました。結果的にみればANAGS設立は、より人件費コストの低いグランドハンドリング会社へ、誘導する役割を果たしたと言えます。

 働く者にとって、企業再編は労働条件引き下げの歴史でもありました。それがまた、繰り返されようとしています。

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  バッテリートラブルにより運航停止になっているボーイング787に関し航空連は3月6日、国交省に異常運航に関する申し入れを行いました。「787型機のトラブルに関する見解と航空労働者からの問題提起」として、「徹底した原因究明を行い有効な再発防止策を講ずる」ことと、「より安全な旅客輸送サービスの実現をめざし必要な検討・検証、見直し」を求めています。
 
具体的には、@リチウムイオン電池を使うことの是非の再検討、引き続き採用する場合の新たな安全対策の検討、A電源系統の主要個所である配電盤の焼損等への対応策、Bコンポジット材、カーボン素材の特性に対応した点検方法等、C多岐にわたる部品メーカーに分散し、ボーイング社で組み立てる製造方法と品質管理の状況の検証、D飛行記録方式の再検討、E開発段階での実機による試験と検証の在り方(重要な事項のコンピューターによるシミュレーションの是非)、F新技術の弱点も明確にした、航空従事者などへの教育、Gエンジンを基本としたETOPSによる運航基準設定の再検討、H整備による飛行間点検の必要性、I非常ドアと客室乗務員の配置の問題、@型式証明・耐空証明の国による検証・検査の在り方、KB787型機の運航停止に伴う代替運航と乗員の資格維持、です。
 申し入れに航空局担当者は、「現在原因調査中なのでそれを踏まえて検討しながら対応していく。現時点では、国交省としては米国連邦航空局FAAやボーイングと連携しながら安全上の諸課題に取り組んでいきたい」と述べました。

 申し入れ後の記者会見には10社が参加。「耐空証明は如何かを問うているが、ボーイング社などへの申し入れはしないのか」「FAA・航空局での検討に対して組み入れられたかということを確認するのか」「配電盤の焼損・故障について、旅客を乗せているときか」「飛行間点検は整備の頻度を高くすれば解決できるのか」などの質問が出されました。
 FAA(米連邦航空局)は3月12日、リチウムバッテリーシステムに問題のあったボーイング787型機に、改善を施したバッテリーシステムを搭載する、認証計画を承認しました。しかし、バッテリーの熱暴走がなぜ起きたのか、原因の特定はできていません。 航空局への申し入れ詳細はHP参照。

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JAL不当解雇撤回裁判原告団の全国キャラバン第2弾、「山陰・山陽キャラバン」が3月26日に始まりました。
 支援団体などと一緒に、各地で宣伝行動が取り組まれました。
 山陰キャラバンは3月26日に鳥取をスタートし、3月30日までの間に米子・出雲・浜田と全4地区で宣伝行動を行ないました。米子と出雲ではJAL不当解雇撤回全国キャラバン集会が開催されました。国労米子地方本部や自治労・県教組・農業団体など地域の団体などから多くの支援が寄せられました。パイロット原告団からは山口・清田・斉藤・福永さんらが、客乗原告団からは西岡・飯田・斉藤さんらが参加し、各地で不当解雇撤回と支援を訴えました。
 斉藤さんは、「各地で暖かく迎えられ嬉しかった。交流会では多くのみなさんと話し、交流を深めることができ本当に元気付けられました。宣伝行動でも励ましや質問を受けたりと、いろいろ声をかけられました。飛行機を利用している方に直接訴えることもあり、キャラバンを通して関心の広がりを感じました」と感想を語っています。

 山陽キャラバンは3月28日の岡山県倉敷を皮切りに、4月4日まで広島・周防・下関を回ります。市役所前や駅前での宣伝行動に取り組みました。客乗原告団からは斉藤・林・宍戸さんらが、パイロット原告団からは清田・榊原・福永さんらが参加しました。国労の岡山・広島両地本、倉敷市職労、呉地区労など多数の協力がありました。また、広島では岸田文雄衆議院議員(自民党)、斉藤鉄夫衆議院議員(公明党)への要請も計画されています。

 高裁勝利に向けた個人署名は18万筆を超えました。原告団は「引き続き多くのみなさんのご支援をお願いいたします」と訴えています。

 次回高裁は、パイロット裁判は5月23日、客乗裁判は5月31日。いずれも午後2時30分開廷です。裁判所前の宣伝行動も予定されています。

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「企業再生支援機構としての正式な見解を述べさせていただきます。(中略)争議権が確立された場合、それが撤回されるまで、更生計画案で予定されている3500億円の出資をすることはできません」
 2010年11月16日、整理解雇反対の要求を掲げ、争議権投票を行っていた日本航空乗員組合(JFU)と日本航空キャビンクルーユニオン(CCU)の役員を急遽呼び出して開催された事務折衝で、当時日本航空の管財人でもあった企業再生支援機構の飯塚ディレクターはこう切り出しました。発言後、争議権投票への介入行為がすさまじい勢いで繰り広げられました。CCUは投票を継続し争議権を確立しましたが、介入によって職場の混乱が生じ、正常な投票行動が行えないと判断したJFUは苦渋の投票中止を決めました。
 
 その後両組合は、この問題を東京都地方労働委員会(都労委)に訴え、2011年8月、都労委は、管財人・機構による不当労働行為と認定する救済命令を出しました。日本航空は都労委命令を不服として、都労委を相手に、救済命令取り消しを求め東京地裁に提訴しました。裁判は3月7日までに9回の口頭弁論が行われ、この間、日本航空は主張を変えてきました。
 飯塚発言は、「支援機構の正式な見解」から、「機構の見解ではなく機構執行部の見解」と言い換えてきました。しかし機構に「執行部」という組織は存在せず、「どういった組織で、権限や構成員なども明らかにしてほしい」との組合からの求めに、日本航空は明快な回答をしていません。裁判所からも、再度きちんと答弁するよう求められています。

 支援機構の出資にかかわる決定機関として、機構法で「企業再生支援委員会」が定められています。その委員会で出資と争議権投票についてどのような議論がなされたのかを確認するため、裁判所も議事録の提出を求めました。機構は、議事録提出は拒否したものの、発言内容について「事前に委員会において検討、決議は行っていない」ことを認めました。出資に関する重要事項でありながら、委員会の確認も経ていないものを、飯塚氏は「機構の正式な見解」として組合に通告したことになります。飯塚発言が、争議権投票に対する明らかな恫喝、介入を目的としたものであったことは明らかです。

 第10回口頭弁論は5月16日午後1時30分、東京地裁527号法廷で開かれます。

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国交省は3月14日、2012年度第2回空港制限区域内事故防止対策検討会を開催しました。議題は上期のランプ事故発生状況や羽田空港における事故発生の整理分析など。航空連・航空安全会議・航空連合の代表がオブザーブ参加しました。

 事務局報告では、上期の事故件数は全国で299件(前年同期251件)を上回り、特に羽田空港での事故が34件増加しています。時間帯では06時〜11時、13時〜15時、20時〜22時台に多く発生しています。コンテナドーリーによる作業員の損傷事故など、エプロンでの重大事故が多いことが特徴となっています。ドーリー連結における事故は国際的にも問題となっていますが「解決策がない」ことも報告されました。「周知徹底について注意喚起した当日も事故を起こしている。航空局として事故防止の喚起文書を出し、各社で文書が末端まで届いているか現場で抜き打ちの聞き取りをしているが、文書についてはほとんどが知っている。それでも事故は減らない」とも述べていました。
 各委員からは、「ヒューマンエラーが多い。内容の細部が分からないと対策のしようがない」「関空では多様な雇用形態の人が多い。ハンドリング会社は5社あるがハンドリング者数は増えていない。そのわりに便数が多い」「原因が本人の不注意と書かれているがなぜそうなるのか。分析がされてない」「何種類もの車両を運転している。一人ひとりが熟知しなければならないが、経験が少なく作業員の負担が多い」などの意見が出されました。PBB(旅客搭乗橋)のタイヤガード設置状況の確認、伊丹空港でのベルトローダー車両無人走行についても報告されました。

 検討会にオブザーバー参加した丸山航空連事務局次長は強調します。
 「事故をなくすためには現象面の分析だけではなく、事象とその背景、働く環境(労働条件含む)の実態調査など踏み込んだ分析が必要。ハンドリングの現場では、効率や競争、生き残りを理由に労働環境が悪化している。安全を担保するには労働条件や環境改善が不可欠」。
 航空連はランプ安全や労働環境改善に向け、航空局に引き続き働きかけをしていきます。

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