phoenix272号 PDF272



■主な記事から■

▼JAL・ANA2013年3月期決算分析。スッキリしないのは労働者

▼JCC、アリタリア航空機内通訳の雇い止め撤回、雇用延長勝ち取る

▼JAL解雇原告団全国キャラバン第3弾、九州縦断キャラバン553q

▼日東整争議、勝利を勝ち取る集会を開催

▼安全会議、対官庁要請始まる。新関空会社へ初要請

▼LCCの研究  LCCの運賃はいつも安いの?その運賃メカニズムを調査




グランドハンドリング労組連絡会(グラハン連)は5月7日から9日にかけて訪米調査団を派遣し、シカゴ・オヘア空港を中心に、米国グランドハンドリング労働者の労働実態や作業環境などを調査しました。調査団は事務局から白石・丸山、JAS新労組から本田・村上、国際委員会から濱島、通訳として大田(SK労組OB)各氏の計6名。5月7日午前成田空港を出発し、シカゴには現地時間5月7日午前到着しました。IAM役員のピーター氏(IAM戦略資源部・先任リサーチエコノミスト)とクリス氏(ミネアポリス支部代表)、濱島航空連国際活動委員が出迎えてくれました。 5月7日。昼食を摂りながら自己紹介と調査内容などの懇談。午後はIAM空港地区やユナイテッド航空(UA)の整備・乗務員訓練センターなどを見学し説明を受けました。IAM空港事務所の施設内には労働者の闘いの歴史を知る掲示物もあり、一室では支部選挙投票が行われていました。ターミナル外にも関わらず、労働者が随時投票に来ていました。ここでローラIAM141支部副議長と合流。
 5月8日。9時ホテルロビーに集合後、UAの心臓部ともいえるすべてを統括しているセクションの見学のため移動。ミシガン湖近くの立ち並ぶ超高層ビル群の一角にあり、入館に際しては厳重なセキュリティー検査を受けます。27階全部がUAのオペレーション管理を統括しているセクションでした。
 国内外のUA航空機のプランが各エリアセクションごとに作成され、各空港へ24時間体制で情報やプランが発信されています。グラハン業務もこれを基に行っているとのことです。
 大型スクリーンにはすべての航空機の現在地が映し出され、静かなフロアーのなかに緊張感がありました。各担当デスクは仕切られ、中央エリアには軽い食事が取れる施設もあり利便性を感じました。
 午後はミシガン湖に繋がる運河を観光船で見学。運河に架かる橋はすべて開閉式。ボーイングの本社ビルや世界1、2位の超高層ビル群の絶景は印象的でした。



 5月9日。IAM141支部を訪問。昼食をはさんだミーティングとなりました。航空連からは組織の現状とANA/JAL系のグランドハンドリングの組織形態、羽田空港の勤務実態などをパワーポイントで紹介しました。

 質疑では保安関連の実態と基準や規定、契約の問題、グランドステイタイム、労働者の勤務スケジュールの流れ、車両資格基準などが出され、実態を知ることができました。航空会社とグラハン企業の職種、賃金・勤務体系も知ることができました。事前に提出していた質問への回答書もいただきました(帰国後翻訳)。

 大手航空会社のグランドハンドリングは航空会社の従業員が行っており平均年収は4万1000ドルです。UAの労働時間は、IAMとの労働協約で一日8時間、オーバータイム含め最長10時間と決められています。業務を下請に委託しているときはFAAによる業務監査も行われます。

 規定に違反して作業を行ったさいは、事業者に25000ドルの罰金が課せられます。 短時間のミーティングでしたが、労働者の現状を知ることもできた有意義なものでした。

 5月10目。8時30分ホテル玄関集合後オヘア空港へ。出発までの時間ターミナルを見学しました。最後に再会を約束し、帰国の途につきました。

 訪米調査を終えた白石グラハン連事務局長は、「IAMによって組織化され、労働協約が結ばれている場合はしっかり労働環境が守られているが、アウトソーシングなどによって労働者が組織化されてないところは日本と同様に低賃金・労働強化が進んでいる。労働環境改善のために組織の拡大強化は日米共通の課題」と語りました。

※今回の訪米調査は、航空連と労働組合アライアンスを締結しているIAM(国際機械工・航空宇宙産業労働組合=組合員70万人)の協力によって行われました。

写真左から白石グラハン連事務局長、丸山航空連事務局次長、ピーター・グリンバーグ氏(IAM専任リサーチエコノミスト)、クリス・ハンナ氏(IAMミネアポリス支部代表)、本田JAS新労組委員長、大田元SK労組委員長、村上JAS新労組副委員長、濱島国際活動委員

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JAL・ANA決算を読み解く 中
JAL・ANA決算を読み解く 下
 B787型機のトラブルで収益への影響を強調していた日本航空と全日空。4月30日、2013年3月期決算を発表しました。日本航空は2度の上方修正をさらに上回る1952億円の営業利益。全日空は昨年の史上最高営業利益(970億円)をも上回る営業利益1038億円を計上し、経常利益とともに史上最高を更新しました。一方、好業績とは対照的に、働く者には賃金抑制や勤務改悪問題が相次いでいます。働く者の視点で決算の特徴を検証します。
 全日空の連結業績は、営業収入1兆4836億円(前年同期1兆4115億円)、営業利益1038億円(同970億円)、経常います。

 「全日空は2年連続して史上最高の営業利益を上げ、篠辺修新社長は『世界のリーディングエアラインを目指していきましょう』と社員に訴えている。社内誌では、『世界のエアラインと比較しても相当高位な成績をおさめることができた……にもかかわらず、何故かスッキリした気分にならない……それは、突然に蘇ったライバルのとても手が届かないような成績と、事あるごとに比較される』と述べている。両社の業績は国際比較でも相当の位置にあるのに、社員には更なるコスト削減や稼働強化を進めるために都合の良い主張をしている」(航空連政策委員)

 利益770億円(同684億円)。当期純利益は53%増の431億円となり、1株4円配当として 昨年の決算発表で伊東全日空社長(現ANAホールディング社長)は、日本航空の法人税免除に注文をつけていました。これから進めるさらなるコスト削減を合理化するため、社員の不満を日本航空に向けています。

 日本航空の連結業績は、営業収入1兆2388億円(前年同期1兆2048億円)、営業利益1952億円(同2049億円)、経常利益1858億円、当期純利益1716億円となりました。一株あたりの配当は、予想を10円上回る190円とする予定です。

 自己資本比率は、2016年までの中期計画で目標としていた50%にほぼ匹敵する46・4%となっています。世界の航空会社で日本航空を上回るのはシンガポールくらい。世界トップクラスのルフトハンザやカンタスは30%。全日空は30%と、国際比較でも日本航空は抜群の状態にあります。社内からは、「あまりに収支状況が良いので国際比較を言わなくなった。言うのは去年より減益になったことや、計画の達成状況だけ」との声も。

 両社の好業績の一方で、労働環境は悪化傾向にあります。全日空の整備現場では深夜、午前2時30分終業勤務が導入されました。日本航空の中長期間の整備を行なう重整備職場では、これまでは夜勤を含む勤務と含まない勤務がありましたが、ほとんどの人員を、夜勤を含む勤務に改悪しました。

 「JAL破綻に便乗し全日空は労働条件を引き下げた。数年前、全日空の一時金は期末手当含め年間6カ月だった。今は史上最高の利益が出ていても年間4・2カ月。支給基準の利益ハードルを引き上げることで支給係数を下げてきた。加えて稼動強化で勤務はどんどん悪くなる。スッキリした気分になれないのは当然だ」

次号につづく

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 昨年10月に結成されたジャパン・キャビン・クルー・ユニオン(JCC)は、アリタリア航空(AZ)で通訳として乗務していた山本さん(仮名)の雇い止め撤回と雇用延長を勝ち取りました。

 山本さんは1年契約3年までの雇用契約で、今年1月31日に雇用期間満了、雇い止めとされました。山本さんは昨年12月から妊娠休職に入っていましたが、同じ契約の同期は2年延長されていたこと、昨年入社の人たちは1年契約5年までとされていることが明らかになり、JCCはAZ日本支社と本社に、@妊婦に対する差別は男女雇用機会均等法に反する、A本人が雇用の延長を期待する状況があったことから「改正労働法第19条(雇い止めはできない)」を適用し雇用延長すべき、と主張しました。
 会社の当初の対応は「妊娠を理由に差別したわけではない。契約満了になったから」でしたが、5月21日の団交で「山本さんの雇用を2年間延長する。雇用期間は2月に遡って適用し、2015年1月31日までとする」との回答が出されました。山本さんはこの回答を受け、「自分の雇用がどうなるかと不安でした。これで安心して出産できます」と話しています。

 日本の客室乗務員は、外航・内航とも、もともと正社員として採用されていましたが、1994年から契約制採用に切り替えられてきました。日本航空の契約制導入に、当時の日本航空客乗組合やJAS労働組合は反対し、正社員採用を求めて10万人署名やシンポジウム開催など、大きな運動を展開しました。この結果当時の運輸大臣が「契約制客室乗務員は、よほどのことがない限り3年後に正社員とする」と国会で答弁しました。

 AZでは客室乗務員を通訳≠ニして採用し、正社員にさせないまま3年、5年で雇い止めしています。乗客が急病になった場合や緊急着陸時など、「通訳だから」とアナウンスのみ行う訳にはいかず、保安任務もサービスも行っている現状にあります。

 JCCは、日本人乗務員を「通訳」ではなく、「客室乗務員」として乗務させるべきと主張しています。今回の成果をステップとして、「安定的雇用をめざして引き続き取り組んでいく」としています。

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5月13日〜17日、J


 JAL不当解雇撤回裁判原告団の全国キャラバン第3弾「九州縦断キャラバン」が取り組まれました。13日は鹿児島中央駅東口で出発式と街宣行動。キャラバンは都城・宮崎・延岡・大分・中津・北九州・門司・直方と九州東側を北上し、締めくくりはJR博多駅。走行距離は553キロメートルにおよび、各地で集会や要請オルグを行い、争議解決に向けた支援と協力を訴えました。

 キャラバンには福岡地区で頑張るパイロット原告団の榊原氏を始め、東京からは山口原告団長と福永氏が、客乗原告団からは宝地戸・下村両氏が参加しました。福岡支援共闘会議からは西本元国労門司争議団長・寺島航空連福岡地連事務局次長・水流国労北九州地本・加藤国労博多地区本部新幹線分会長・蛇嶋県国公議長ら各氏が参加しました。各地では国労や県労連、争議団などの協力がありました。

 キャラバンは引き続き九州西側コースの計画も進められています。さらには、北陸・新潟・秋田・青森の日本海キャラバン。四国キャラバンへとバトンタッチされる予定です。

 5月23日午後、東京高裁で、JAL不当解雇撤回裁判パイロット裁判の第3回口頭弁論が行なわれました。裁判官一人(左陪席)が交代したことにともない、弁論更新の手続きが行われました。原告側弁護団からは、上条弁護団長と堀弁護士があらためて原告の主張を整理して陳述しました。整理解雇が権利濫用であること、労働組合活動家を排除するための不当労働行為であることを強調しました。
 堀弁護士は、「航空の安全の観点を絶対に欠落させてはならない」と述べ、経験や技術を蓄積したベテランパイロットや、運航の安全のために病欠したパイロットを解雇する不当性を強調しました。
 上条弁護士は、「機長の削減目標130人に対し、154人が退職して目標を達成しながら18人を解雇した事実は、『何人』削減するかでなく、『誰(活動家)を』解雇するかが問題だった」と主張しました。

 三輪裁判長は、不当労働行為などの立証のためパイロット原告団の山口団長と日航乗員組合の三星副委員長を証人採用しました。

 当日の高裁前宣伝には222名が、傍聴を求める抽選には161名が並び、裁判後の報告集会には183名が参加しました。

 原告団事務局のまとめによると、裁判を支援する弁護士(控訴審代理人)は851名にのぼっています。5月16日には東京高裁に、団体署名9450筆、個人署名21万5000筆を提出しました。

 次回口頭弁論では証人弁論を行いますが、主尋問、反対尋問の時間や弁論期日は後日決定されます。

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「JALの子会社つぶしは許さない!日東航空整備不当解雇撤回争議の勝利を目指す5・21集会」が5月21日夜、190名の参加で、大田区生活センターで開催されました。集会では裁判の意義と争点、取り組みなどを確認しました。
 主催者を代表して挨拶した小玉信一日東整争議対策会議事務局長(航空連議長)は、日本航空がJALの再建にかこつけて日東整を会社ごとつぶし、全従業員の雇用を奪った経過や、子会社や非正規労働者が法的にも保護が十分でない状況などに触れ、「安全運航を支えてきた誇り、家族の生活を守るため、この解雇を許してはならない」と訴えました。
 「裁判の意義と争点」を報告した安原弁護士は、裁判のキーワードは事業譲渡と不当労働行為と指摘しました。日航が強い支配力をもって、日東整に委託していた仕事をJALエンジニアリング(JALEC)に移させたことは、日東整からJALECへの事業譲渡に当たることを解明しました。

 不当労働行為性については、労務的な観点から日東整を排除した事実を裏づけた文書と、それに対する被告側反論への感想を述べました。再建途上に加え、整理解雇をも強行した会社が、返済が見込めない13億円もの資金を日東整へ流したことは、それだけの金を出しても日東整を排除したかった意思の現われと指摘しました。

 裁判は証拠調べに入っていきます。JALの責任を内外に明らかにしていくこと、JAL不当解雇撤回争議とかみ合ってこそ展望が開けてくると述べ、支援を訴えました。

 竹島航空連事務局次長からは、日東整争議の到達点と今後の運動について提起があり、全体で確認されました。また、5団体(東京争議団、大田区労協、大田労連、品川労協、日航ユニオン)から連帯の挨拶がありました。

 集会では、「『不当解雇撤回と、日航グループへの雇用』を勝ち取るために、全力を挙げて取り組む」とする決議文が採択され、署名とともに裁判所に提出されます。

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 航空安全会議大阪支部は4月16日、関西国際空港内会議室で、新関西国際空港株式会社(以下「関空会社」)への初めての要請行動を行ないました。関空会社からは安全推進室室長のほか運用部・技術施設部・伊丹本部の施設運用部の担当者など7名が出席。要請は午前10時から始まりました。
 CABからの移管時、安全会議の要請行動も引き継ぎされたとのこと。スムーズにことは運び開催にこぎつけました。要請書は約一カ月前に渡していたこともあり、各部で真摯に検討されたと思える答えが用意されていました。
 PBBタイヤ巻き込み防止のための防護柵については、これまでは「新規または改修の際に」という答弁に止まっていましたが、「今年秋以降に着工し、来年9月末までに設置の予定」という、満額ともいえる回答がありました。誘導路の段差に関しても「一カ月後には補修されている」という、フットワークの軽さも見られました。

 大阪支部は、「官公庁への要請では、いわゆる紋切り型の回答が多かった。とても新鮮でやり甲斐のある要請行動でした。来期からも有効な回答を頂けるよう、良好な関係を維持していきたい」との感想を述べています。

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LCC(格安航空会社)は「関空―成田、×××円」といった超格安運賃を販売し、マスコミも取り上げます。これは宣伝費がわりの戦略商品といえます。こうした運賃の一方で、季節や時間帯、購入時期によっては必ずしも安くない実態があります。LCC運賃のメカニズムを探ります。
 LCCの運賃は、格安であるがために、様々な制約も課せられています。座席指定は有料、一度購入すると「払い戻し不可」だったり、取り消し手数料が有料なのは当たり前です。その他にも預け手荷物料や座席指定料、預け手荷物は事前予約をしないと倍の料金設定もあります。
 ピーチアビエーションの運賃を例に見てみましょう。どの路線も「ハッピーピーチ」と、約25%高めの「ハッピーピーチプラス」の2種類の運賃が設定されています。運賃が高いハッピーピーチプラス運賃の取り消し手数料は1050円ですがハッピーピーチ運賃の取り消し手数料は100%です。安い運賃は一度購入したら「払い戻しは不可」を覚悟しておく必要があります。数ヶ月先の安いキャンペーン運賃を購入しても、数ヶ月先には時刻は変更されることもあり、数十分程度ならまだしも数時間の変更となると利用価値が失われてしまいます。

 政策委員が長期間にわたる運賃動向調査しました。それによると一ヶ月前くらいから運賃は変動を始めます。残席が少なくなれば値上がりし、なかには極端な値上がりを示したLCCもありました。政策委員の一人は「LCCの運賃動向に比べると低価格運賃を売りにしているスカイマークの運賃が硬直的にさえ見える」と話します。

 さて、こうしたLCCの運賃は「リアルタイム運賃管理システム」と言われており、総コスト、座席数、運航距離を絡めて、一座席/km当たりのコスト指数を弾き出す企業秘密のアルゴリズム(計算式)で成り立っています。運賃は株価のように変動し、早く情報をキャッチした人、学習した人が安い運賃を得られることになります。LCCのなかには専門家を採用している企業もあるようです。これらは「ゲーム理論」と言われ、ゲーム理論では、予測したり、過去の行動を客観的に評価します。相手の戦略を考慮し、行動を予測し、自分にどのような影響を与えるか考えます。こうした理論で設定された運賃ですから、「早く日程が決まり、少ない荷物」であれば安い運賃にありつけますが、「日程決定が遅い、荷物が多い、予定の変更が予想される」ときは、既存の航空会社の割引運賃を上回ることも考慮しなければなりません。

 公共輸送を担う航空運賃は、子供からお年寄りまで、理解と納得が得られる運賃体系でしたが、LCCを利用する際は、安い運賃を購入できるか、高い運賃をつかまされるかは、利用者の学習次第になったようです。本当にこのような運賃の仕組みでよいのか、運賃のあり方が問われています。



お詫びと訂正

 271号(5月1日付)1面で掲載した「LCCの研究」の記事の中で、ジェットスタージャパンの機材計画の「B737型7機体制を14年には24機体制」は「エアバスA320型機(1クラス180席)で、国内線就航当初は3機、数年間で24機体制」の誤りでした。また、エアアジア・ジャパンの機材計画の「B737型機3機体制を15年には30機体制」は「A320―200型3機体制を14年末時点で10機体制にし、13年にA330型機導入を計画しています」の誤りでした。お詫びして訂正いたします。


フォーラム羽田 バーベキュー

◇日時:6月29日(土)13:30〜16:30

◇場所:そなエリア東京バーベキューガーデンゆりかもめ「有明駅」徒歩3分

 主催 航空労組連絡会 フォーラム羽田実行委員会

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