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■主な記事から■
▼中国東方航空不当解雇事件 労働審判で「解雇は無効」と判断
▼契約制CA雇い止め裁判の公正な判決求め、客室乗務員らが最高裁に要請
▼HAC移転問題 新千歳空港に移転すべき
▼利益偏重からバランスのとれた成長へ、労働条件改善は喫緊の課題
▼IFALPAの合同会議に向けた準備始まる
▼裁判勝利へ、山場を迎える9月の証人尋問
▼ドップラーレーダー・ライダーってなに?
▼読書のススメ 「日本の「労働」はなぜ違法がまかり通るのか」


 東京地裁(労働審判)と東京都地方労働委員会(都労委)で争われている、中国東方航空の組合結成を理由にした、東原組合員への降格・不当配転・不当解雇問題で6月25日、東京地裁は第2回目の審判で、「申し立て人が相手側に対して、労働契約上の権利を有する地位にあることを確認する」との、解雇無効・原告全面勝利判決を出しました。判決後組合は、「控訴せず早期解決を行うよう」中国大使館に要請行動を行いましたが、会社が7月4日に東京地裁に異議申し立てをしたことで、今後は東京地裁で本裁判が行われます。

 同社の銭(セン)支社長は2012年4月に日本支社支社長に就任。直後、「就業規則上ボーナスは0〜4カ月と書いてあるからゼロでも法的に問題ない。私は評価時期に日本にいなかったから、査定もできないので夏のボーナスはゼロにする」と社員に通告しました。7月末にSNWに相談があり組合を結成。東京支店の多くの社員が組合に加入しました。
 8月15日第1回団体交渉。当初支社長は「就業規則に従っている」と強気でしたが、組合の追及に「支払わないとは言っていない」「あと45日したらいつ支払えるか言える」などと対応を変化させました。8月27日の第2回団体交渉には会社側代理人(弁護士)が出席し、支社長は「11月に夏・冬分をまとめて支払う」と答弁。9月10日の第3回団体交渉で「9月14日までに1・6カ月を一律支払いたい」との回答が出されました。

 しかしその後、会社は組合の活動を嫌悪し、河野分会長や年長のリーダーである東原組合員に対して様々なパワハラを行ってきました。11月には組合員に、年休の強制取得や日祝日の出勤強要をしてきました。その件で団体交渉を申し入れたところ銭支社長は河野分会長を一人支社長室に呼び出し、「お前がリーダーで組合問題を担当している。お前が問題を起こしている。要求をキャンセルしろ」などと怒鳴りました。以降、会社は組合の団交開催要求に応じず、組合がやむをえず都労委に斡旋を申し立てたところ、ようやく年明けの団体交渉開催に応じました。

 この間、組合との団交が開かれないまま、会社は一方的に年末一時金1カ月の支払いを強行しました。しかも河野分会長には0・3カ月、東原組合員には0・5カ月という差別支給をしました。また、年明けの1月7日には、東原組合員を営業部長から課長に降格し、クレーム処理を行う旅客サービス課への不当配転を強行しました。組合は団体交渉で強く抗議しましたが、会社(弁護士同席)は法的にまったく問題ないと開き直りました。組合は都労委に不当労働行為救済申し立てを行い団体交渉を継続しましたが、2月28日には東原組合員に解雇(雇止め)を通告してきました。

 都労委は3月25日の第1回調査で、三者委員から会社に、「組合員の雇止めに関して真摯に協議するなどして紛争の拡大を防止するよう格段の配慮を払われたい」との異例の要望書が出されました。しかし会社は3月31日付けで東原組合員の不当解雇(雇止め)を強行してきました。

 組合は東京地裁に、解雇無効を求める労働審判を起こしました。労働審判は通常3回開催されますが、異例なことに、2回目の審判で「解雇無効」の全面組合勝利の審判が出されました。あまりにも露骨な不当労働行為に、裁判所も「即決」の判断をしたものと思われます。
 会社が判決に従わず本裁判に持ち込んだところには、裁判を引き延ばしする間に職場に圧力をかけ、会社言いなりの職場支配を続けようとする狙いがあります。SNWと分会は東原組合員の早期職場復帰と、不当労働行為のない働きやすい職場をめざし取り組みを強めていきます。幅広い支援を訴えています。

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 日本航空の不当な雇い止めによって解雇された、JAL契約制客室乗務員(契約制CA)雇止撤回裁判は、現在最高裁で争われています。7月26日には日本航空キャビンクルーユニオン(CCU)と客乗連絡会が合同で、雇い止め撤回を求める最高裁要請を行いました。前回の要請には要請はフィンランド航空の客室乗務員が参加。今回はノースウエスト航空労組(現デルタ航空)、エジプト航空の仲間が参加しました。
 2008年5月に契約制客室乗務員として日本航空入社したAさんは2010年4月、適正≠理由に解雇されました。それ以前には、勤務終了後に指導≠ニ称して、人格を否定するパワハラや退職強要が繰り返されていました。Aさんは、雇い止めは納得できないと裁判に訴えました。東京地裁・東京高裁はパワハラを一部認定し、日本航空に損害賠償支払いを命じたものの、解雇撤回は認めませんでした。その裁判が、現在最高裁で争われています。

 客室乗務員は、1994年までは全員正社員採用でした。その後契約制が導入されましたが、当時の日航客乗組合やJAS労組の客室乗務員(現CCU)をはじめ、航空労働者と世論の大きな運動の結果、「3年で正社員」を勝ち取りました。契約制で採用されても客室乗務員としての役割と任務や訓練、その後の定期訓練などは、すべて正社員は同等に行われています。Aさんも航空法に基づく乗務要件、資格要件を満たし乗務していました。そのAさんに対し長時間の面談を行い、人格を否定するパワハラと退職強要を繰り返し、あげくに解雇を強行してきました。

 要請団は最高裁の担当官に、「この裁判は契約制客室乗務員全体にかかわる問題であり、一審、二審の判決の誤りを認め一日も早くAさんを空に戻してほしい」と訴えました。最高裁要請は毎月予定されています。

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 経営悪化に直面している北海道エアシステム(HAC)の問題で7月6日、HAC乗組と航空連代表が北海道庁に経営改善に向けた質問と申し入れをしました。HAC乗組からは上原委員長・鍛冶書記長・新津執行委員が、航空連からは片岡副議長と菊池顧問(政策担当)が出席しました。道庁総合政策部航空局の竹花参事、中田主幹(HAC担当)らが対応しました。HACの主な株主は北海道(出資率36・5%)、日本航空(同14・5%)・札幌市(同13・5%)・函館市(同5%)となっています。
 質問と申し入れは、@丘珠空港を拠点空港とすることを改め新千歳空港に変更する、A道内就航の航空事業との提携による事業計画の検討、B離島路線の朝晩1日2便化と全体の就航率の向上を図るため現3機体制から4機体制への移行、C航空行政として日本航空へのHAC支援の施策実施、D拠点空港を新千歳空港に変更までの間、丘珠空港へのアクセスの改善と駐車場料金の無料化、E安全運航を担保する働く気概が醸成できる就労環境、の6項目です。
 上原委員長は、人件費削減施策が打ち出されるなかでも安全運航を堅持しているとしたうえで、「2005年〜6年に乗員が流失し欠航が出たが、現在も同様な状態にあり将来展望が見えない。債務超過報道で客乗6名、パイロット4名が辞め、地上職も新人が増えている。乗員の賃金は日航の50%。労働条件切り下げが労働意欲を削いでいる。人件費含めた事業計画の策定が必要」と訴えました。またHAC経営に、経費削減策として本社部門のハンガーへの移転、拠点空港の新千歳空港への移転、奥尻便の曜日運航等を申し入れていることを紹介しました。

 道庁は「基地移転によって経営が悪化したかは精査していない。経営悪化は奥尻のインシデントもあるが、機材故障による欠航で客離れしたことが大きな原因。信頼回復に力を入れている。経営悪化については、監査法人(あずさ)の分析も同様だ。丘珠を拠点にしたのは他社との競合がなく、あずさの調査結果によるもの」と応えました。 HAC乗員の労働条件は道議会の予算特別委員会でも取り上げられています。航空連はHAC乗組と連携し、HACの経営健全化を求めていきます。

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JAL・ANA決算を読み解く 上

JAL・ANA決算を読み解く 中

ANAとJALの2013年3月期決算の特徴を2度にわたり見てきました。ANAは2年連続の史上最高営業利益更新。JALは史上2番目の営業利益を上げ、自己資本比率(46・4%)は中期計画目標50%を一年目でほぼ達成しました。
 好業績とは対照的に、労働者の置かれた状態のひどさも浮き彫りになりました。労働時間は労基法最低水準に延長され、休日も減らされました。夏期休暇も取り上げられました。度重なる勤務改悪によってゆとりは奪われ、休憩時間が確保されないことが日常茶飯事の職場もあります。JALの客室乗務員の職場では休みが取れず「父の通夜に帰れなかった」「友人の結婚式に出席できなかった」。こうしたことが「世界のエアラインと比較しても相当高位な成績をおさめた」(篠辺ANA社長)背景にあります。
 伊東ANAホールディングス社長は、これから進める更なるコスト削減を合理化するため、「突然に蘇ったライバルのとても手が届かないような成績と、事あるごとに比較される」と、社員の不満を日本航空に向けさせています。ANAグーループは中期計画で、有利子負債を13年度1073億円減らし9819億円とする一方、1975億円(機材1295億円)の投資を計画しています。赤字の貨物事業は拡大による黒字化を目論んでいます。

 JALはさらなる営業費用の圧縮を目論んでいます。ANAと同規模の航空機を保有しているにもかかわらず、破綻時の財産評定によって航空機資産は半分程度の3852億円。減価償却費も半分程度になり費用を圧縮する効果をあげています。
 13年度の業績予想によると、JALは営業収入を300億円上積みし1兆2720億円とし、営業利益1400億円を計画しています。ANAは営業収入を1264億円上積みし1兆6100億円とし、営業利益1100億円を計画しています。計画を達成すると3年連続で史上最高を更新することになります。ANAは中期計画で営業利益率10%以上を目指すとしています。

 企業の成長度合いと労働者の状態はあまりにもバランスを欠いています。そこには、労働条件は安全を支える基盤という視点はみえません。JALグループでは、強権的に引き下げた労働条件の回復が喫緊の課題となっています。

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 日本航空に不当解雇撤回と原職復帰を求めているJAL不当解雇撤回裁判は5月末に第3回口頭弁論を終え、証人調べの期日が決まりました。客室乗務員裁判は9月12日、パイロット裁判は同26日となりました。証人の採用にあたっては全国から3万枚の嘆願葉書が高裁へ届けられたこともあり、複数の証人採用を実現させることができました。
 裁判の今後について、弁護団長の上条弁護士は次のように語っています。 「1年前に弁護団に参加したときは地裁の不当判決に攻め込まれており、高裁も証人調べはしないという態度でした。しかし、弁護団からの書面、証人採用を求める嘆願葉書、団体・個人署名の提出によって、高裁も証人を採用せざるを得ない状況となりました。あらためて地裁判決をみると、不当解雇が始まる2010年9月27日から解雇日である12月31日の狭い期間しか見ておらず、更生手続き上、特別な解雇であると逃げています。高裁では、破綻してから解雇までの期間、労使関係がどうであったのかをきちんと見直さなければなりません。破綻後すぐにJALは労働組合に、整理解雇はせずに一時帰休やワークシェアなどを行うと約束をしていました。その約束をわずか9カ月後に反故にし、整理解雇方針を一方的に発表したのでした。それからは形式的な団体交渉の連続、一時帰休・ワークシェアなどの解雇回避措置の拒否、対象者には乗務させないという仕事はずしを強行し、オーバーザヘッドといわれる組合を無視する行為の連続でした。そして、交渉期限を3カ月も前倒しにして解雇を急ぎました。さらに極め付けとして、整理解雇に反対する労働組合の争議権投票に対して、それを妨害する不当労働行為を行ってきました。こうした不当労働行為が連続して、しかも同時進行的に行われた事実を積み上げると、信義則違反であることが明確にされてきます。団結と運動の力で局面は開かれると確信しています」

 6月19日には、破綻後初の株主総会が行われました。原告と支援者75名は会場近くでビラ配布をしました。総会では株主から、「会場近くでビラを受け取りました。この人たち、ベテランを航空機に乗せないでおいて新人を採用しているのはおかしい」「ILO(国際労働機関)からひどい解雇だといわれ、勧告が出されているそうだが、その内容はどういうものなのか。また政府からどう聞いているのか」など、解雇問題を追及する質問が出されました。引き続く銀座パレードには59名の参加があり、「解雇撤回、差別撤回、ILO勧告守れ」の声が昼の銀座に響きました。

 6月26日には、原告団と支援者9名が京都にある稲盛名誉会長の自宅に伺いました。京セラ本社への取り組みと、街頭宣伝行動に引き続き行われたものです。稲盛名誉会長は不在でしたが奥様が門まで出てこられ、原告団の山口・内田・小森氏が自己紹介をして要請書を渡し、名誉会長とお会いして話しをしたい旨を伝えました。

 現在の進行状況からは、「年内結審」「年度内判決」も見通される情勢にあります。そうしたなか、10月25日夜には文京シビックホール・大ホール(定員1800人)での大集会が計画されています。東京高裁で何としても勝利判決を勝ち取るべく、原告と支援団体は取り組みを強めています。

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航空機事故が相次いでいます。
 7月6日正午(現地時間)、サンフランシスコの国際空港で、乗客乗員300人余りが乗ったアシアナ航空機が着陸に失敗、炎上する事故が起きました。原因はわかっていません。
 7月12日にはロンドン・ヒースロー空港で、エチオピア航空のボーイング787型機が出火事故を起こしました。英航空事故調査委員会(AAIB)は、墜落時などに位置を知らせる信号を発信する、航空機用救命無線機(ELT)のバッテリーが原因になった可能性があるとする中間報告を発表しました。発火がバッテリー内部からの放電か、電気ショートによるものかは不明のようです。B787に搭載された米ハネウェル社製のELTの使用を停止し、ELTを使っている他の航空機でも安全検査を行うよう勧告しました。

 7月22日午後(現地時間)にはニューヨークのラガーディア空港で、サウスウエスト航空の737―700型機が滑走路に着陸する際に前輪が損傷し、機首を滑走路にこすりつけながら着陸する事故を起こしました。原因は分かっていません。
 7月に立て続けに事故が起きていることが気になります。競争やコスト至上主義によって安全が後回しにされてないだろうか、懸念されるところです。

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 10月21日から24日にかけて、東京都内のホテルでIFALPA(国際定期操縦士協会連合会)の合同会議が開催されます。この会議には「労働条件」「法務」「本部財務」の各委員会が参加します。合同会議の日本招致については、昨年のアイルランドで行われた合同会議において、JAL不当解雇問題をIFALPAとしても重視し、きちんと支援の取り組みを行うためにも開催が必要と判断されたからです。
 IFALPAは世界100カ国10万人のパイロットを組織しています。1国1加盟組織の原則があり、日本からはALAP―Japan(日本乗員組合連絡会議)が加盟しています。IFALPAには11の専門委員会があり、航空運送の安全かつ秩序ある発展と定期航空操縦士の労働条件向上を目的に活動しています。また、IFALPAはICAOの諸会議を通じ、パイロットの意見を反映させるオブザーバーの役目も持っており、こうした活動を通して国際民間航空の安全の発展に大きく貢献しています。
 東京の会議では各委員会が、それぞれの課題で議論します。個別課題の方針の作成、ICAOへの提案、開催国からの特別報告、その他諸問題への対応策の議論が行われます。現在のところ労働問題委員会には約50名、法務委員会には約25名、財務委員会には約20名の参加が予定されています。少なくとも20カ国の代表が集まる会議となります。現在、議題や報告事項について、IFALPA本部と日乗連において検討が進められています。

 これまで、IFALPA本部役員と日乗連の合同の取り組みとして、2000年にJAL勤務裁判問題で国土交通省と会談、2006年にJAL706便事故調査に関して法務省への要請行動があります。今回も同様な取り組みが期待されています。
 具体的準備はこれからですが、世界中のパイロットが日本の諸問題に注目している状況の下、会議の持つ意義は重要になっています。

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 天気予報の解説等でお馴染みの気象レーダー画像。アンテナを回転させながらマイクロ波を発射し、半径数百キロメートルに存在する雨や雪を観測したものです。発射した電波が戻ってくるまでの時間から雨や雪までの距離を測り、戻ってきた電波(レーダーエコー)の強さから雨や雪の強さを観測しています。この観測機器を気象ドップラーレーダーといいます。
 ドップラー効果とは、救急車やパトカーが近づいてくるときはサイレンの音が高く、遠ざかるときには低く聞こえるという現象のこと。このドップラー効果を活用することで大気中の雨粒など動きを捉え、その場所の風向や風速を推定(計算)することができます。
 電波を放射し、大気中の雨や雪に反射し返ってくる電波を分析する点は一般の気象レーダーと同じですが、気象ドップラーレーダーの最大の特徴は風の分布が観測できることです。気象ドップラーレーダーは、積乱雲などからのダウンバーストによる風の急激な変化を解析し「マイクロバースト」「シアーライン」を検出することができます。竜巻などのメソサイクロン等の観測にも有効利用されています。

しかし、雨粒が観測される荒天時には有効なドップラーレーダーも、雨雲などのない好天時では風の観測ができないという欠点があります。そこで開発されたのがドップラーライダー。電波の代わりにレーザー光を使って大気中に浮遊するちりなどの微粒子を観測するものです。ドップラーレーダーと同じように風の分布が観測できます。

 ドップラーライダーは日本では、まだ東京・成田・関空にしか整備されていません。観測できる範囲は約11キロメートルとドップラーレーダーの10分の1程度ですが、晴天時における滑走路周辺の風の観測に主に利用されています。悪天時にはドップラーレーダー、晴天時にはドップラーライダーと2つのレーダーを併用することで、航空機の離発着時の安全運航に貢献しています。


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