phoenix275号 


■主な記事から■

▼アリタリア航空で60歳定年を迎える組合員の再雇用、乗務継続が実現

▼航空連代表団がIAMAW北米会議に参加。グローバル化への対応共通課題

▼ドラマでも、職場でもブラックが問題に

▼「アベノミクスと労働法制規制緩和」―日乗連が労働法講座開催

▼ウオッチング―TPPでどうなる暮らし

▼JAL解雇裁判、注目される高裁証人尋問

▼鹿児島空港「安全を語る会」に130人集う



全日空は8月19日、客室乗務員を採用する際の雇用形態を、2014年度以降、契約制社員から正社員(長期雇用社員)採用に切り替えると発表しました。現在の契約制客室乗務員については、希望に応じて14年度から正社員化する方針です。 正社員採用に改める理由について、全日空は「グローバル競争の激化、今後の当社事業展開を見据え、長期社員としての採用に変更し、安定的に長く働ける環境を整え…人的価値向上を図ります」としています。

 契約制客室乗務員は、1994年以降、日本航空や全日空で人件費削減を目的に導入されました。全日空の正社員採用について、客室乗務員連絡会(客乗連)の萩原事務局長は「客室乗務員の正社員採用は、客乗連が長年掲げてきた中心課題の一つであり、歓迎すべきこと。ANAの決断は他への影響も含め、大きな前進といえる。今後は、すべての航空会社が客室乗務員を正社員として採用するよう引きつづき求めていくと同時に、現在の労働基準法に違反する働き方や人権侵害につながる評価制度などの是正を求め、すべての客室乗務員が保安要員として健康で長くはたらき続けられるよう、労働条件、職場環境の改善に引き続き取り組みたい」と語りました。
 しかし一方で、今まで以上に正社員客室乗務員の所定内労働時間を増やす動きがあります。
 正社員化を決断させた背景の一つに退職の増加が指摘されています。今回の変更について職場では、「正社員になるのを嫌がって契約社員のまま辞めて行く人が多く、先任層(客室責任者)が育たない」「乗務時間制限の延長、評価賃金制度などで不満がうっ積している」「正社員採用になっても、今のきつい勤務や、息の詰まるような職場雰囲気を変えないと、流出は止まらないと思う」「ブランド力を維持するために打ち出したと言っているが、今の勤務では長くは続かない」などの声が出されています。

 契約制客室乗務員導入後、コスト競争を理由に労働条件は年々引き下げられ、ベテラン客室乗務員は「40年前の水準に戻った」と言います。日々の仕事を通して正社員のきつさを目の当たりにしてきた契約制の人たちのなかには、3年後に正社員を希望しないこともめずらしくないとも言われています。

 今後は、労働条件改善が喫緊の課題であると同時に、空の安全を守るためには、日航での契約制雇い止めや不当解雇が撤回され、すべての航空会社で正社員化が実現されることを求めていきます。

275 TOPへ


AZ客乗

 定年後再雇用で乗務継続に

〜外航ではSASに続き2社目〜


 JCC(ジャパン・キャビンクルー・ユニオン)に所属するアリタリア航空の乗務員が、60歳以降の再雇用による乗務継続を実現しました。6月14日に会社から送付された契約書には地上職勤務と提示されていましたが、翌15日にはJCC対策会議を実施、その後、行政相談や弁護士会議などを重ねながら要求づくりを行ってきました.。

 7月18日のJCC団交後、会社に「梅野組合員の再雇用問題で後日交渉したい」旨伝えました。その後、7月19日に会社は「乗務継続を認める」との契約書を本人に提示してきました。

 定年後の再雇用制度に関しては、政府から次のような指針が出されています。
@高年齢者の意欲、能力に応じた多様な選択が可能な制度となるように努めること。
A高年齢者の雇用及び生活の安定にも配慮した、計画的かつ段階的なものとなるよう努めること。

B短時間勤務制度、隔日勤務制度など、高年齢者の希望に応じた勤務が可能となる制度の導入に努めること。

C職業能力を評価する仕組みの整備とその有効な活用を通じ、高年齢者の意欲及び能力に応じた適正な配置及び処遇の実現に努めること。等

 またILO条約第122号は、「労働者が(中略)自分の技能と才能を利用することにつき、最大限に可能な機会があること」が確保されなければならないとしています。さらに労働契約法は、「労働契約は使用者、労働者が対等の立場における合意に基づいて締結するべきもの」と明記しています。会社の一方的な地上職への提示はこれらに反するものです。

 乗務継続を実現させた梅野さんは、「30数年間この仕事をしてきたので、定年後も続けられて本当に嬉しい。賃金は新人の契約制客室乗務員より切り下げられている部分があるので、今後会社と話し合いを継続していきたい」と述べています。

 JCCは、「一人で悩まずJCCに相談下さい」と呼びかけています。

(JCC・航空連 03―3742―3251)

275 TOPへ



航空連と組合アライアンスを締結している米国航空宇宙機械工組合(IAMAW、組合員70万人)の2013年北米運輸会議が8月20日〜23日の間、米ラスベガスで開催され、航空連から近村一也議長を団長に、山下茂久・濱島斌・岩田捷男・菊池富士夫国際活動委委員が参加し交流を深めました。
 北米運輸会議には、IAMAWが組織する米国・カナダの航空と鉄道部門支部役員と本部役員等400名が参加しました。会議は、全体会議と三小委員会(1航空・鉄道合同@組織化、A法制・MNPL[機械工無党派政策リーグ]、2航空@団体交渉、AJATS[航空安全共同委員会]、Bカナダ、3鉄道@鉄道調整委員会・苦情処理、A鉄道退職法に関する法律と健康福利厚生、BTCU)で構成され、航空連代表団は全体会議に参加しました。

 全体会議は、シトー・パントーヤ運輸部門副会長が司会を務め、トーマス・バッフェンバーガー会長の基調講演に始まり、航空と鉄道の法制・教育・財政・組織化・JATS責任者、IAMAWが加盟するナショナルセンターAFL・CIO(米国労働総同盟・産別会議)運輸部門責任者、IAMAW国際関係部門責任者オーエン・ハーンシュタット氏、ITF(国際運輸労連)グローバル組織化担当責任者インゴ・マロウスキー氏が講演しました。
 「グローバルな組合連合」をテーマに講演したオーエン・ハーンシュタット氏は、「日本からはるばる来てくれた」と航空連代表団を紹介し、代表団も立ち上がりこれに応えました。インゴ・マロウスキー氏は「グローバルな組織化」と題した講演のまとめとして、13年ソフィアにて開催されるITF第43回世界大会のスローガン「グローバルの正義・労働者の反撃」を紹介し全員で「ガンバロー」を唱和しました。
 会議の合間にはジョゼフ・タイベリ氏(運輸部門幹部)やオーエン・ハーンシュタット氏、ピーター・グリンバーク氏(チーフ調査担当)を交え懇談し、日本航空解雇問題への支援や航空連のITF加盟申請へのサポートに対しお礼を述べました。またITF加盟後の連携した取り組みについて、今後意見交換をして行くことも話し合いました。IAMからは、航空連のITF加盟について引き続きサポートを約束しました。

 インゴ・マロウスキー氏との懇談では、ITF加盟申請についてスティーブン・コットン書記長代行への書簡について説明し、10月の執行委員会の決定を待ちたいと述べました。
 「会議では、バッフェンバーガー会長やロバート・ローチ書記長・会計、シトー・パントーヤ副会長から丁重にフレンドリーに対応していただいたことも印象的でした」(代表団)。
 IAMAWは今年の5月に創立125周年を迎えました。125年を綴る小冊子の表紙に「組織化、共同、教育」が刻まれていました。

275 TOPへ



今後の労使交渉に役立ててもらうことを目的に、日乗連主催の労働講座が8月2日、フェニックスビル(航空三団体本部事務所)で開催されました。第1回のテーマは「アベノミクスと労働法規制緩和」。梅田和尊日本労働弁護団事務局次長が講演し、深谷信夫茨城大学名誉教授が問題提起しました。

 梅田弁護士は、政府が設置した経済財政諮問会議や産業競争力会議、規制改革会議にどのような人たちが選出されているかを見る必要性を強調。そして、それぞれの会議がどのような答申をだしているかを明らかにしました。
 アベノミクスの雇用分野では、成熟産業から成長産業へ人を動かすための「雇用の流動化」改革として、@正社員改革A民間人材ビジネスの規制改革Bセフティーネット・職業教育訓練の整備・強化―の3本柱を打ち出しています。その具体策がジョブ型正社員(限定正社員と無限定正社員)、解雇の金銭解決制度、労働者派遣制度の見直しなど。しかし、セフティーネットや職業教育訓練の整備・強化の具体策が出されてないところに財界の狙いを見て取ることができます。

 梅田弁護士は、「答申として打ち出されたネーミングが与える印象に惑わされず、答申が実行されたときに起き得る事態を、想像力を発揮させ考えることが必要」と強調しました。
 深谷氏は学者の立場から、労働規制改革を憲法問題として考える必要性を提起しました。制度改革が実行されたらどういう現実が生み出されるのか、制度改革が憲法と労働法に照らして認められるのか否か、からの提起です。深谷氏は「労働規制改革のひとつとして、限定正社員問題が浮上しているが、中身は『有期契約の正社員』ということ。『非正社員の有期契約労働者』とは、何が違うのか。有期契約であるという雇用の不安定さは解消されない」と指摘。労働者・労働組合がすべきことについては、「情報を伝えること。なにが起きているかを理解すること、そのために学ぶこと。異議を申し立てること。プランを提示すること」を強調しました。

 次回講座は10月開催を予定しています。

275 TOPへ


 ブラック企業に立ち向かう労働基準監督官を主役にしたドラマが10月から始まるそうです。出演は竹内結子さん。きめ台詞は「それ、労働基準法違反です!」。サービス残業やパワハラなどを取り締まるために、ブラック企業にさっそうと立ち向かう監督官という設定。ひどい職場で働いている人には元気が出てくる内容かもしれません。労働基準法についても広く知る機会になり、職場で話題にでもなればと思っています。
 こうしたドラマが出てくる背景には、参院選あたりから急速に広がった、ブラック企業に対する世間の批判の高まりがあります。ワタミやユニクロのブラック度が注目を浴びました。選挙後に厚生労働省は、4千社に立入調査に入ることになりました。ぜひ実行してもらい、基準法違反をなくして欲しいものです。
 ブラック企業は航空も例外ではありません。組合のない職場では信じられない実態が広がっています。スカイネットワークへの労働相談や加入の背景には、有給休暇や残業代未払い問題などがあります。パワハラによる精神的なダメージから心の病に至ってしまう例やマタハラ(マタニティーハラスメント)など、人権を踏みにじる横暴な行為も目立っています。その解決のために労働組合に加入し、横暴なやり方に立ち向かっています。団体交渉での追求や労基署への申告も活用するなど、労働組合の取り組みによって改善がはかられています。個人では、会社の横暴な職場支配に対抗するには困難が伴います。労働組合だからこそといえる事例が実証されています。

 ワタミで自殺した26歳女性は入社2カ月でした。手帳には「体が痛いです。体が辛いです。気持ちが沈みます。早く動けません。どうか助けてください。誰か助けてください」と記してありました。その1カ月後マンションから飛び降りて亡くなります。毎日午前3時〜4時まで働かされ、残業は月140時間を越えていました。休日は研修とボランティアに強制され、休むこともできなかったと言います。 自殺は「業務による心理的負荷が原因」として労災認定されましたが、父親は「労働組合があれば娘は救われたはず」と語ったそうです。

275 TOPへ


注目される9月・高裁での証人尋問

解雇をめぐる不当労働行為が明らかに

JAL解雇争議高裁勝利に向けて

 日本航空のパイロットと客室乗務員141名が不当解雇撤回と職場復帰を求めている裁判は、9月12日に客室乗務員裁判が、26日にパイロット裁判が開かれ証人尋問が行われます。客乗裁判では日航キャビンクルーユニオン(CCU)の深田副委員長など4名が証言。パイロット裁判では山口原告団長(解雇当時機長組合執行委員・元航空連議長)と日本航空乗員組合副委員長(当時)の三星氏が証言します。裁判では解雇当時の労使交渉の経緯や、会社が本当に回避努力を行ったのか、さらには解雇をめぐる不当労働行為が明らかにされます。
 7月27日朝日新聞「私の視点」に、「再建企業の再雇用 技術持つ解雇労働者優先を」と題する山口団長の投稿が掲載されました。
 「政府の成長戦略の柱に『世界で一番企業が活動しやすい国にする』として解雇規制の緩和が検討されているが、将来の日本社会に及ぼす負の影響が議論されてない。企業側の論理に沿って雇用の新たなルール作りは、雇用不安を一層あおる。一部の企業では、業績悪化を理由に、違法な退職強要や隔離部屋などの嫌がらせによって労働者が会社から追い出されている。私が解雇された2010年12月、JALは『更生計画』上の人員削減目標や利益目標を達成した。JALの業績は、ライバル会社のトップが批判するほど急回復したが、解雇された165人の立場はそのままだ。客室乗務員は1000人以上が新規採用された。

 整理解雇は企業の都合で行われた解雇だ。企業が再建された場合、解雇された労働者を優先的に戻す制度を導入すべきだ。労働者のセフティーネットとしての役割を果たすだけでなく、熟練労働者の持つ技術やノウハウを生かし、伝承することにもつながる。

 雇用問題は、勤労権、生存権、基本的人権が守られるかが重要だ。政府は『企業を支えているのは労働者』との認識に立って雇用問題に取り組んでほしい」

 2009年8月の雑誌『選択』は就任まもない全日空・伊東社長と日本航空の今後について、「仮に民事再生法の申請となれば高コストの元凶である労働組合は否定され、債務カットで財務も改善。ゾンビのように復活してしまう」(全日空幹部)との見方を紹介していました。
 その見方どおり日本航空は再建しましたが、その過程で、経営トップ自身が「そのときの収益から、誰が見ても雇用を続けることは不可能ではない」(2011年9月30日、東京地裁・稲盛会長証言)と認識していたにもかかわらず、日本航空は整理解雇を強行しました。そして東京地裁判決は整理解雇を追認しました。

 8・9月は労働組合の大会シーズンでもあります。東京高裁での大きな山場を前に、原告団の支援の訴えも大忙しです。訴えは300団体以上(原告団事務局・実施済み含む)。長澤原告団事務局は話します。

 「昨年3月の不当な東京地裁判決を契機に、もっともっと大きな運動が必要とのことで、東海・山陽・山陰・九州などで全国キャラバンを展開してきた。そうした取り組みもあり、様々な労働組合や団体から声を掛けていただき、訴えをさせてもらった。財政支援カンパや物品販売もさせていただいていた。本当にありがたい。この大きな支援に応えるためにも、高裁では必ず逆転勝利しなくてはならない」

275 TOPへ


 今回のテーマは、TPP(環太平洋経済連携協定、環太平洋パートナーシップ協定)。太平洋周辺の国々の間でヒト・モノ・カネ・サービスの移動をほぼ完全に自由にしようという国際協定です。2006年5月、シンガポール・ニュージーランド・ブルネイ・チリの4カ国が締結した経済連携協定が原型。2009年11月、オバマ米大統領が参加を表明したことから新たな自由貿易の枠組みとして、オーストラリア・ペルー・ベトナム・マレーシアを加えた9カ国によって始まりました。2011年にはカナダとメキシコが参加。2015年をめどに、関税完全撤廃を目標としています。

 自民党は昨年の衆議院選挙では「TPP参加断固反対」を公約にしていましたが、安倍首相はオバマ米大統領との会談で「聖域なき関税撤廃が前提ではないことが明確になった」として参加に大きく舵を切りました。安倍内閣は「重要5品目は除外」を掲げていますが、TPP交渉参加国には合意事項の受け入れが求められ、再協議を要求することはできないとされています。

 TPP参加で強い影響が懸念されているひとつが食糧問題です。日本の食料自給率(カロリーベース)の低さは先進国のなかでも突出しています。農水省発表では米国130%、カナダ223%、ドイツ93%、オーストラリア187%(いずれも09年)に対して日本は39%(12年度)。TPP参加で自給率は27%に落ち込むと予想されています(農水省試算)し、農林水産業だけで3兆円の減と見積もられています。北海道庁は、地域経済に2兆円超のマイナス影響、11万人の雇用に影響を与えるとの試算を発表しています。

 TPP参加に対しては、金融・保険・医療などへの影響も懸念されています。遺伝子組み換え食品や残留農薬の規制緩和、医療保険の自由化・混合診療の解禁による国保制度の圧迫と医療格差の広がり、など。食料品に添加物等の表示が義務付けられていますが、米国の表示内容は限定的です。アメリカには「軽自動車」の概念はなく、こうした非関税障壁への風当たりも当然強くなります。

 TPP交渉における最大の問題点は、交渉内容が秘密にされ明らかにされないことです。TPP発効後4年間は、交渉内容を公表してはならないことになっています。「交渉中は特に相手が何を言ったか、自分が何を言ったかも含めて外には出しませんとの誓約書にサインして入会が認められました」(甘利TPP担当相)。

 国民が蚊帳の外に置かれるTPP交渉。国民主権がないがしろにされています。

275 TOPへ


航空安全会議鹿児島支部は8月2日、今年で16回目となる恒例の「空の安全を語る会」(黒豚BBQ)を霧島市国分の天降川リバーサイドステージで開催しました。晴天に恵まれ、130人の参加者で大盛況でした。

 この会は当初、鹿児島支部加盟労組員間の交流を深める目的で企画されましたが、加盟労組以外からの参加者も徐々に増え、現在では鹿児島空港勤務者全体の一大交流イベントとなっています。鹿児島空港以外からの参加者も増え、今年も東京・福岡からの参加者を迎えて、全国規模で交流を深めることができました。
 楽しい雰囲気のなかで様々な職場の意見を聞き、情報を交換し交流を深めることで、鹿児島空港が少しでも、安全で働きやすい環境となることに寄与できればと思いながら、支部役員は準備を重ねています。

275 TOPへ