phoenix276号 PDF276


■主な記事から■
▼組合つぶしを狙った解雇だった。
▼中国系航空会社で相次ぐ違法行為、中国国際航空で降格・配転を強行
▼冬期燃料手当廃止強行から3年目を迎えるJGS札幌労組の闘い
▼SNW結成から10年。取り組んだ裁判は30件以上
▼ボーイングの予測。パイロット・整備士不足に
▼ウオッチング−消費税増税を中止せよ
▼安全会議、飛行場落雷警報の新設を要請


 日本航空にパイロットと客室乗務員の解雇撤回・現職復帰を求める裁判の控訴審は、9月12日に客乗裁判が、26日にパイロット裁判が東京高裁で第4回口頭弁論が行われました。裁判では原告や日航キャビンクルーユニオン(CCU)、日本航空乗員組合役員など6名の証人尋問で、組合つぶしを狙った不当労働行為だったことが明らかになりました。

 12日の客乗裁判では、原告の小栗純子さんは、2010年9月の会社説明で、休職者などを除いて4120人体制にするため11月3日までに606人削減する計画でしたが、10年12月末時点ですでに4042人体制になっていたのに、客室乗務員を84人が解雇されました。「会社は、人員削減達成の事実を隠し、解雇回避手段をとらなかった。私たちCCUを排除しようとする意図があった」ときっぱり語りました。深田CCU副委員長は、長年、労務担当だった専務ら経営陣が、組合との交渉で、人員削減の人数より「だれ」を削減するかを重視するとしていたことを証言し、「CCU組合員には昇格差別を受けたために年齢の高い一般職が多いことを利用し、会社は年齢の高さを解雇基準にした」と批判し、解雇強行後の人員不足の実態なども証言しました。 原告の大森美央さんは、流産で病欠したことを理由に解雇されました。「解雇当時は健康を取り戻し、子供が生まれた直後で、子供を抱いて泣きました」と訴えました。 久保田統子さんは、シングルマザーとして子供を育て、昇格差別を受けながらも35年働いてきた思いを、「家族を守るためにやめるわけにはいかなかった。解雇を撤回させて尊厳を取り戻したい」と訴えました。


 26日のパイロット裁判では、パイロット原告団の山口宏弥団長と三星日航乗組副委員長への証人尋問が行われ、人員削減計画が超過達成されてたこと、組合つぶしを狙った不当解雇だったことが明らかになりました。

 山口団長は、会社が機長の希望退職による削減目標を130人としていたこと、そして解雇直前の2010年12月に154人が希望退職に応募し超過達成していたと述べ、「整理解雇が組合活動の中心だった機長たちを解雇対象に絞り込んで解雇した。組合の影響力を弱体化させようとして、会社は安全の基盤を掘り崩している」と強調しました。

 三星副委員長は、運航乗務員の人員計画全体について証言しました。 会社の説明では、希望退職や地上職への職種変更などさまざまな方法で826人を削減する計画だったが、訓練生などの地上職への職種変更などが予想以上に多く、削減数が848人と超過達成していました。 三星副委員長は、「会社は、希望退職の応募人数だけ説明して、全体の状況をかくしていた」と述べ、人員削減目標に達成していなかったとする会社主張の不当性を強調しました。

 客乗裁判は4名の証人尋問を経て次回裁判(12月24日)で結審しますが、パイロット裁判では、副操縦士の年齢や病欠を理由として解雇された各当事者の証人尋問を追加するよう要請し、進行協議を行うことになりました。


 JAL不当解雇撤回原告団の全国キャラバン(対象は東京・神奈川・埼玉・千葉を除く43道府県)は、9月末現在28府県で取り組まれました。9月27日は佐賀市役所を訪ね、副市長・市議会議長と航空の安全問題などを話し合いました。10月には熊本県・福井県・富山県・石川県・長野県・岩手県・宮城県で取り組まれます。原告団事務局によると、今後、北海道、沖縄県でのキャラバンが計画されています。

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 中国国際航空の大塚耕作さんは2007年11月、東日本地区貨物営業部部長として入社しました。1年間の契約社員ですが、契約書のサインもないまま、雇用は自動延長されています。大塚さは1年間の契約社員としている会社対応に疑問を持ち、2009年6月にスカイネットワーク(SNW)に加入しましたが、部長職であることから会社への通告は行わず、非公然としました。

 2012年の中国人貨物部門責任者交代後、大塚さんにパワハラがらみの対応がされるようになりました。中国人部長は、大塚さんは一般社員と同列と発言し、座席も一般社員と同じにしたいと示唆しました。大塚さんは納得できず反論しましたが、お互いの主張は平行線のままでした。

 今年5月7日、会社は大塚さんに口頭で、「現在の職を解く」と通知してきました。大塚さんはSNW組合員であることを会社に通知し、同時に団体交渉開催を申し入れました。

 6月3日、第1回団体交渉が開催されました。副支社長は、「大塚さんの肩書は現在は何もない。部長ではない。部長というのは単なる社内での外部向けの肩書である。採用時から会社はそう認識している。大塚さんは上司の言うことを聞かないし、上司として見ない。セールスレポートの書面を変えることに従わなかったなど業務指示を断ったり、業務ミスもたくさんある。その改善もない。支社長からも直接2回叱責を受けた。したがって、貨物に大塚さんのポストはない。そのための解職である。新しい移動先は決まっていない。」などを発言しました。

 組合はそれらに反論したうえで、「新たな職場もない解職だけの発令は認められない。業務指示違反の会社主張には異議ある。異動は本人の希望も踏まえてこれまでの経験が生かせる職場にすべき。結論はもっと組合と団体交渉で話し合うべき」と主張しました。
 その後、組合や本人の反対にも関わらず、降格処分と貨物職場から旅客職場への配転を強行してきたことから、組合は、労働委員会に斡旋を申し立てました。
 現在に至っても会社は主張を変えていません。人事賃金制度を全面改悪する動きもあります。組合は9月の定期大会で、大塚さんの闘いを支援していくことを確認しました。

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 「冬期手当廃止のままで3回目の冬を迎えさせない」。新千歳空港でJALのグランドハンドリングを担っているJGS札幌の労働者。冬期燃料手当を求める闘いは、3度目の冬を前に大きな山場を迎えています。 9月13日に開催されたJGS札幌労組定期大会で斉藤委員長は、「冬季手当はJALの破綻の際、手当をゼロベースで見直すとして2011年に強行廃止された。しかし私たちはめげることなく、冬期手当復活を要求し粘り強く取り組んできた。いまでは南から北まで、JGSグループのすべて労組の一致した要求になった。ゼロベースを強調していた会社も、廃止から3回目の冬を前に、姿勢にも変化が生まれてきた。何としても手当を勝ち取り、冬を迎えよう」と決意を語りました。  JGS札幌労組の冬期手当を統一要求として闘っているJGSグループ各労組(JGS東京労組・JGS大阪労組・JGS九州労組)は9月の定期大会で、冬期手当を求める大会決議を採択しました。航空連定期総会でも同様の決議がされました。大会では冬期手当の闘いをまとめたDVDが紹介され、闘いの意義を全体で確認しました。 各労組の大会決議を踏まえ、冬期手当を求める要求書を提出します。要求書はJGSグループ4労組(札幌労組・東京労組・大阪労組・九州労組)連名で、JGS札幌とJGSに出されます。10月25日の支給に向け、本格的な交渉がこれから始まります。強行廃止に怯むことなく立ち向かって3年、その決意は一層強く大きくなっています。

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 一人でも入れる個人加盟の労働組合としてSNW(スカイネットワーク)が誕生したのは2003年4月。今年で10年目になります。 SNWは、航空の仲間の皆さんやリタイアされたOB・OGの組合員などに支えられながら、多くの働く者の、雇用と労働条件を守ってきました。組合員からは「SNWに加入して雇用が守られた」「SNWに加入し、いま会社と交渉をしている」と、SNWは大いに頼りにされています。 SNWに加入してきた組合員が言っていました。「私は、SNWは怖いから近づかない方がいいと聞いていた。しかし入ってみると、親切な人たちでした」。外国航空会社の辺りでは、「SNWは、やらなくてもいい裁判をやって金を取っている」との噂が流れているという話も耳にします。SNWが企業からうとまれているということは、それだけ、働く者に頼りにされているということの証かもしれません。 SNWが10年間に扱った労働問題は数知れず。労働組合のない職場で働いている実態そのまま持ち込まれます。解雇、雇い止め、退職勧告、希望退職、転籍強制、パワハラ、メンタルヘルス、偽装請負、残業代未払い、年次有給休暇、就業規則改定、降格、手当切り下げなどなど。 一人で企業に立ち向かうには、大変な労力が入ります。法律の保護も、労働組合加盟とでは雲泥の差です。SNWに入ればその時点から、労働組合法の保護の下に置かれます。
 会社との話し合いも、個人では拒否されるところが、SNWの団体交渉開催申入れを会社は拒むことはできません。拒否すれば、法律違反の不当労働行為(団交拒否)となります。SNWは個人加盟という特色を生かし、これらの問題を引き受けてきました。労働組合としての権利を行使して、交渉で改善を図ってきました。労基署への申告もしました。必要に応じて労働委員会や裁判所に訴え、会社の不当な行為を止めさせ、改善を勝ち取る場面もありました。その数10年で33件以上。ほとんどで勝利的解決を図ってきました。

 個人加盟のSNWには、企業の枠を超えた組合員が加入しています。現在36社。20社以上の外国航空会社からの加入がありました。職種も幅広く、役職も多様です。支店長・営業部長という肩書の人もいますし、契約社員の身分の組合員もいます。

 安倍内閣は、日本を、世界で一番企業が活動しやすい国にしようとしています。その一環として、労働法制のさらなる改悪を目論んでいます。これらに反対し、労働環境を改善させる取り組みは、個々の企業における改善と、両輪の輪で進めなければなりません。 SNWはこれまで成果を基に、引き続き、労働組合のない航空の職場で働いている労動者に加入や労働相談を呼びかけていきます。それが確固たる展望であることは、この10年間の貴重な教訓でもあります。

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 欧州航空大手エールフランス・KLMが2014年までにエールフランス航空の従業員2800人を削減する計画を発表しました。報道によると、不採算路線から撤退し、傘下の格安航空会社(LCC)に移管するほか、燃費が悪い航空機を早期引退させます。同社は昨年、13年までに5100人のリストラすると発表済みですが、更に踏み込んだ経営「合理化」を進めるとしています。
 9月18日の労働組合との協議で経営側が通告しました。強制的な解雇はせず、早期退職で実現します。エールフランス・KLMは15年までに年間20億ユーロのコストを削減する経営再建計画をまとめています。しかし欧州債務危機で旅客需要が減ったほか、燃料価格も上昇。LCCや中東系の航空会社との競争も激しく、業績が低迷していました。
 中国で「空の渋滞」が深刻な経済問題になっています。経済発展に伴い各地で乗り入れ便が急増。大気汚染による視界不良もあって、発着が大幅に遅れるケースが続出しているようです。北京や上海など主要空港で定刻通りに飛ぶ確率は3割以下と、国際的にみて最悪水準にあるとのことです。企業活動にも打撃が広がり、経済損失は年間500億元(約8000億円)に達するとの試算も出ています。
 さて、ボーイングは、今後20年間に納入される新たな航空機の数の増加に対応して、アジア太平洋地域における商用航空機のパイロットとメンテナンス技術者の需要が増加するとの予測を発表。

 予測によると、19万2300人の新しい商用航空機のパイロットと21万5300人の新しい機材の整備士が2032年までにアジア太平洋地域で必要となるとしています。

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 2020年のオリンピック・パラリンピック東京開催が決まりました。早くも財界 の皮算用が始まっています。3兆円以上の経済効果、と言われています。 安倍首相は来年4月からの消費税率8%引き上げを固め、10月発表とのこと。本紙が職場に届く頃には発表されているかもしれません。あらためて消費税が持つ問題点を考えます。 「国の借金が1000兆円を超えた今、財政再建はまったなし」「社会保障を維持するためには消費税を上げざるを得ない」。マスコミも一部を除き、消費税引き上げの大合唱。「消費税率引き上げやむなし」の雰囲気ですが、税の専門家でもある全国の税理士140人が「消費税増税の中止を求めるアピール」を出しました。事業者は年間売上高に5%をかけた額から、年間仕入額の5%を差し引いた額を「消費税」として納税します。消費者が税金だと思って負担している5%は価格の一部といえます。消費者が消費税を事業者に預けているのではなく、事業者は自分で計算し納税する、との仕組みです。ですから滞納問題も発生します。 国税庁の調べでは、2011年度の税の滞納額は6973億円。うち消費税の滞納は3220億円。全体の53%になります。これが8%に引き上げられれば、さらに滞納が増えることは容易に予想されます。 一方、輸出企業には消費税相当額の還付金があります。輸出品に消費税を乗せることができないので、仕入れ時に負担した(とされる)消費税は還付するというものです。大企業20社で1兆円、全体では3兆円に上るそうです。8%になれば還付金はさらに膨れ上がります。還付金のため、輸出大企業がある地域の税務署のなかには、消費税の税収がマイナスなっているところもあります。

 欧米では、スターバックスやIT企業が納税を免れるために行っている租税回避が、税負担の不公平として大問題になっています。大企業にも応分の負担を求める動きが強まっています。

 消費税は、所得の多い人には負担が軽く、所得の少ない人には負担が重い、不公平な税金です。消費税増税は中小零細企業にとっても死活問題です。容易に価格転嫁できない一方、たとえ赤字決算でも消費税は支払わなければなりません。強い者に軽く、弱い者に重いのが消費税です。

 不公正をさらに拡大する消費税増税は中止すべきです。

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   気象庁は8月30日から「特別警報」の運用を開始しました。「警報」の基準をはるかに超える、数十年に一度の大災害が起こると予想される場合に発令するもので、住民が災害に危機感を持ち、いのちを守る行動をとってもらうために新設したものです。気象に関する特別警報には大雨・暴風・高潮・波浪・大雪・暴風雪があります。地震・津波・噴火に関する特別警報も運用も始まっています。「数十年に一度」というのはあくまでも府県単位で、全国的に範囲を広げれば、年に数回発生してもおかしくないものです。 雷やマイクロバースト・竜巻などは、航空機の運航に多大な影響を及ぼし、ときには人命に大きな脅威となる気象現象ですが、これらに関しては飛行場情報や竜巻注意情報があるのみです。どれほどシビアーな現象が発生しても、日本では警報等の発表はありません。 竜巻に関しては、アメリカやカナダでは、竜巻注意報・警報・緊急事態等の警報システムが運用されています。日本では昨年5の茨城県つくば、今年9月の埼玉県越谷などで人的被害を出した竜巻が発生しました。 雷では、今年7月27日には青森空港の駐機場で整備士が落雷による感電等の事故が発生。8月11日には、北京首都国際空港で作業員が雷に撃たれて死亡するなどの被害が出ています。 竜巻は発生する場所の特定が難しく、気象庁では情報の発表で注意を促す対応となっています。雷についても同様の対応となっており、警報の発表には至っていません。

 航空安全会議は、航空機の安全運航と作業員の安全確保を目的に、飛行場落雷警報(仮称)の新設を気象庁などに要請しています。

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