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お詫びと訂正
 277号の『安全会議だより』の文中で「7月にサンフランシスコで発生したアシアナ航空同型機の事故も」とありましたが、「7月にサンフランシスコで発生したアシアナ航空B777型機の事故も」の間違いでした。お詫びして訂正いたします。


■主な記事から■
▼13年末闘争 働く者の職場の安全 モチベーション引き上げを
▼全日空、2014年に貨物会社設立。再編、新会社設立で揺れる労働者
▼JAL不当解雇撤回高裁勝利!早期解決をめざす10・25集会開催 1800人集う
▼頼られて10年。「SNWがあったよかった」の声を広げたい
▼IFALPA代表がJAL解雇撤回で国交省要請
▼JAL解雇裁判、日本航空が裁判所も欺いていた真実が明るみに足に
▼特別秘密保護法案


JAL・ANAの第一四半期の営業利益は、JALが計画を100億円上回る一方、ANAはマイナス56億円でした。4月―8月実績は、ANAは前年比105・4%(内際合計)、JALは同103・9%(同)となっています。ANA篠辺社長は、「夏以降風向きが変わり中国線も月を追うごとに回復、9月旅客数は国際・国内ともに前年比4%増。東南アジアや台湾は絶好調」(10月8日日経新聞)と述べています。JALも同様の予想がされます。

こうした好調な企業業績の一方で、労働環境や労働条件の改善は足踏み状態にあります。置き去り感を払拭する積極的取り組みが求められます。
 一時金をめぐる交渉はJALグループの各労組が中心になります。一時金は「3カ月以上」の要求を掲げ生活改善を求めます。破綻で強権的に引き下げられた労働条件を回復させ、後を絶たない退職に歯止めをかけさせるための極めて重要な交渉になります。
 JGS札幌では、一昨年の冬を前に、冬季燃料手当(月約2万円)廃止が強行されました。苦しい生活に、さらなる追い討ちをかけています。冬期手当復活を求める声は労組の枠を越えて広がり、JALグループ社員の共通課題になっています。10月18日のJGS労使懇談会では、経営側から「懸案課題」との認識が改めて示されました。
 JALの運航乗務員の人事賃金制度見直しは上期中に案が示される予定でしたが、10月末まで延期されたことで、年末闘争では、重要案件として労使交渉が行われることになります。

 ANAグループでは、運航乗務員の勤務問題が重要テーマになっています。全日空乗組とANAは10月初旬に勤務に関し合意しましたが、AGPU(全日空グループ乗員組合、エアニッポン乗組など)とは賃金問題など解決すべき課題があり、年末での重点課題になります。

 客室乗務員の雇用については、全日空が正社員採用を決めました。正社員化を広げる交渉が重要になっています。勤務改善も大きな争点です。健康で長く働き続けられる勤務改善は喫緊の課題ですし、確保されない休憩時間問題の解決も重要課題です。休憩問題はJGSでの懸案課題でも、労基署相談も行なわれてます。

 外航では、政情不安を背景に、渡航自粛などで再び日本路線を運休したエジプト航空での雇用問題や、パキスタン航空の人員削減の動きがあり、予断を許さない緊迫した事態を迎えています。

 労働条件は安全を支える基盤です。職場の安全、働く者のモチベーションを引き上げるためにも、労働条件引き上げに向けた年末闘争となります。

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JAL不当解雇撤回高裁勝利を目指す「10.25大集会」(主催、国民支援共闘会議)が東京都内「文京シビックホール」で開催され、原告や航空労働者、全国で闘う仲間など1800人が参加しました。


 集会では、原告弁護団団長の上条弁護士から現状報告が行われ、「支える会」の醍醐東大名誉教授、IBMロックアウト解雇撤回争議団や全国の闘う仲間からの支援挨拶、原告が所属する日航乗員組合・日航キャビンクルーユニオンの両委員長の決意表明、パイロット原告団の山口団長、客室乗務員原告団の内田団長から決意表明、国民支援共闘会議から今後の行動提起が行なわれ、最後に集会決議文が採択されました。 当日は、日本航空に解雇撤回を求めて闘う原告団と国民支援共闘会議による裁判勝利と早期解決を目指す行動も取り組まれ、日航本社前、東京高裁前、国土交通省前、厚生労働省前などで宣伝行動が取り組まれました。

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全日空は中期計画で、2014年度の貨物事業会社設立を打ち出しました。「フレイター事業の早期黒字化に向け、フレイターの増機・旅客便活用・他社便活用によって貨物便ネットワークを拡充」「機材稼動率向上による運航コストの低減と高い輸送品質による差別化を推進するとともに、課題解決に向けた事業運営体制を導入」としています。その一環として、羽田・成田・関空の3空港で貨物事業の横串機能を担うWOC(Warehouse Operation Center)を設立します。これまで空港での貨物業務は、事業会社(ANA)がグラハン会社に業務を委託していましたが、今後はANA↓WOC↓グラハンとなります。
 全日空は2011年12月、国内7大空港(新千歳・成田・羽田・中部・伊丹・関空・福岡)で空港部門(旅客・STC・顧客サポート等)とグランドハンドリンを統合する、一空港一運営会社体制を打ち出しました。この再編は、2014年4月の羽田空港をもってすべて完了します(整備部門はすでに別会社化が進んでいます)。
 羽田空港でANAのグランドハンドリングを担っているAAH(ANAエアポートハンドリング)の労働者は、2014年4月に新会社「ANAAS」に移行することになっていますが、統合を待たずに、別の体制が同時進行していることに戸惑っています。「様々な施策を打ち出すのはいいが、現場がついていけないのでは」との懸念の声が出されています。

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 SNWは10年前、航空で初めて、「航空労働者なら一人でも誰でも入れる」個人加盟の労働組合として誕生しました。結成後、労働組合のない職場に組合員を拡大し、働く者の雇用や労働条件を守る役割を果たし、数々の成果を上げてきました。どんな職種にも、どんな職場にも、どんな問題にもす早く対応してきました。

 このところ労働組合のない職場では、労働基準法が守られていない状態が数多く見受けられます。「ブラック企業」との言葉も一般化し、厚労省も腰を上げざるをえない状況になっています。「有給休暇どころか公休さえ満足に取れない」「残業しても残業代が支払われない」「パワハラが横行している」などなど、大変な労働実態を根本的に解決するには労働組合の力が必要です。SNWは機動力を生かし、問題解決に奮闘していきます。
 TFK分会は10月14日、新入組合員の勉強会を開催しました。9月に3名の組合加入があり、SNWや航空連のこと、憲法や労働基準法などの基本的な事柄を知ってもらうためのものです。講師はSNW羽田支部の相沢支部委員長。

 現在のSNWは、組合員OB・OGが役員の中核を担っています。組合役員経験者が執行部を構成するという、個人加盟組合の特徴のひとつです。一人でも加入できる組織ですから、まずはしっかりした指導部体制が必要で。
 現在、約50名が執行委員会や支部委員会を担いSNWの活動を支えています。組合員は36社に在籍しているので、団体交渉はほぼ全社で開催しています。問題や要求も職場ごとに違うので、それへの対応も必要です。朝は裁判所でビラまき、昼からは団体交渉、夕方からは争議の対策会議と、何件もの掛け持ちになる場合もあります。OB・OGの体制を次世代に引き継いでいくことも課題です。


 SNWには「支える会」があります。これも他の労組とは違うところです。2011年9月に発足し、今年3回目の総会を開催しました。年会費個人一口3000円、団体一口10000円で会員を募り、財政的にSNWを支えています。現在、個人会員110名130口、団体会員8口となっています。

 労働相談用の携帯電話購入と通話料も「支える会」財政から支出されており、相談活動に大きく貢献しています。

 「支える会」代表世話人の藤田哲司さんは総会挨拶で、「SNWの活動を強化していくには人・物・金が必要だ。会の使命はSNWの財政基盤確立を支えるところにある。会を盛り上げるようさらに取り組んでいきたい」と「支える会」加入を訴えました。

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 日本航空の再建をめぐる過程で、グループ会社の中で唯一会社ごとつぶされた日東航空整備(日東整=NTM)の労働者が解雇撤回と日航グループへの復職を求めている裁判は、10月1日に東京地裁で進行協議が行なわれ、大西会長ら8名の証人尋問採用をめぐり大詰めを迎えています。次回口頭弁論で詳細が決定します。

 原告側が証人採用を求めているのは、大西会長のほか、日航の労働組合敵視の歴史を知る労組役員経験者3名と原告2名です。会社側は元日東整代表取締役と日航グループ整備会社管理職の証人採用を求めています。
 日航は、日東整が担っていた、航空機の重整備(格納庫で長期間にわたって行なう定期点検整備)の仕事を別のグループ会社に移し、2011年3月、会社を解散させ従業員144名全員を退職・解雇に追い込みました。
 これまでの裁判では、原告側が提出した日航の内部資料によって、安全のために意見を言う日東整の労働組合を日航が嫌悪し転覆計画を立てていたことが明らかになっています。
 大西会長は、2002年に日航整備本部整備企画部長となり、その後のJAL・JAS統合のさいにグループ会社の再編計画に関与する立場にあり、日東整を会社解散に追い込んだ11年には社長でした。
 進行協議後に開かれた報告集会で、日東整争議団の泉団長は、「証人尋問で私たちの悔しい思いが立証できる。安全を担ってきた日東整を潰したのは許せない」と強調しました。

 次回口頭弁論は11月13日に東京地裁で行われます。

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世界の100カ国10万人が加盟するIFALPA(国際定期航空操縦士協会連合会)合同会議が21日〜23日の日程で都内で開催され、労働問題委員会、法務委員会、本部財務委員会が、それぞれの課題で議論し、個別課題方針の作成、ICAO(国際民間航空期間)への提案、開催国からの特別報告、その他諸問題への対応策を話し合いました。会議には30カ国50名が参加しました。
 会議では、JAL不当解雇が「人間としての尊厳を公然と傷つけるものであり東京地裁判決は間違っている」とする東京宣言を採択しました。

 10月23日には、「東京宣言」とIFALPA代表らによる記者会見も行なわれ、宣言の採択に至った経緯や日本航空の現状について説明が行なわれました。

 記者会見後には、国土交通省航空局要請を行い、JAL不当解雇問題の解決を訴えました。

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日本航空のパイロットと客室乗務員141名が不当解雇撤回と職場復帰を求めている裁判は、9月12日に客室乗務員裁判が、26日にパイロット裁判が開かれ証人尋問が行われ、客乗裁判は12月24日に、パイロット裁判は12月26日の裁判で結審します。東京高裁で行われた6人の証人尋問で、人員削減をめぐる不当労働行為が明らかになりました。日本航空は更生計画の名の下で、組合役員を解雇させるため人員削減数を隠していました。

 会社資料を基に解雇を強行した2010年12月31日時点での在籍客室乗務員数(稼動ベース)を計算したところ、客室乗務員数が4042人になっていたことが分かりました。更生計画では、2011年3月末時点で客室乗務員数を4120人体制にする計画でしたから、計画を78人も下回っています。さらに2011年1月〜3月の間に218人の自主退職者が出ており、退職者は通常2ヶ月〜3ヶ月前に会社に申し出ることから、計画を超える人員削減になることが分かっていたのです。会社はこの事実をひた隠しにし、労働組合との交渉では削減数の必要性を強調し「希望退職者が削減数に達してない」とすることで組合を欺いていたのです。
 パイロット数についても労働組合が試算したところ、2010年12月31日時点で在籍運航乗員数は2864人になっていたことが判明しました。更生計画で2974人体制でしたから110人も下回っていました。ここでもすでに更生計画を下回っていたのに「機長・副操縦士の希望退職者が削減目標数に達してない」と欺いて必要のない解雇を強行したのです。

 会社は、東京地裁で行われた裁判において、自主退職者数や転籍等々による削減数が何人であったかを明確にせず、ひた隠しにしていました。まさに裁判所も欺いたといっても言い過ぎでないでしょう。

 こうした数字が明らかになったのは、控訴後に東京高裁へ提出された会社側の書証や、日本航空乗務員組合と会社との交渉によって明らかになってきました。
 稲盛会長(当時)も認めた必要のない解雇をするしなければならない事情が会社にはあったのです。それは組合の弱体化が必要だったのです。そのために経営破綻・更生会社法に基づく更生計画を隠れ蓑に組合活動家を狙い打ちにする「整理解雇」が、更生計画の期限とする2011年3月31日ではなく、2010年12月31日に強行する必要があったのです。

 会社はだれを解雇するか。長く労務畑を歩み組合の活動家を知り尽くした大村氏が2010年2月〜2010年12月の間の労務担当専務執行役員に就いたことも無関係ではないでしょう。

 JAL不当解雇撤回原告団の長澤さんは、「更生計画による人員削減を否定するものではないが、労働者にとって解雇という最も深刻な事態が、裁判所も労働者・労働組合をも欺き行われたことがはっきりした。この異常な労務政策は日本航空の体質になっている。これを変えるには、私たちが解雇撤回裁判で勝利判決を勝ち取ることで始まる」

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10月15日から始まった臨時国会。安倍政権は特定秘密保護法案の成立を目論んでいます。
 同法案は、「防衛」「外交」「特定有害活動の防止」「テロリズムの防止」の4分野で、「安全保障に著しい支障を与えるおそれがある」ものを「行政機関の長」が特定秘密に指定し、それを漏らした公務員や民間関係者には最長10年の懲役刑を科すというもの。同法案には日本弁護士連合会や日本新聞協会、日本ペンクラブなどから強い批判の声が相次いでいます。同法案に対するパブリックコメントには約9万件の意見が寄せられ、約8割が反対意見(賛成13%)。主な反対理由は「国民の知る権利や報道の自由が侵害される」「特定秘密の範囲が不明確だ」など。

 日弁連は同法案の問題点のひとつに、「(特定秘密の)範囲が広く、曖昧で、どんな情報でもどれかに該当してしまうおそれ」と指摘します。「行政機関が国民に知られたくない情報を『特別秘密』に指定して、国民の目から隠してしまえる」法案と解説します。原発関係の情報も、「テロ対策」の名で特定秘密に指定することが可能になります。何が秘密なのかも秘密とされ、その秘密が「保護に値する秘密」なのかを検証する仕組みもありません。
 罰則も「故意又は過失による漏えい」した者のみならず、「特定秘密の取得行為」も処罰の対象としています。マスコミ関係者は、「報道の自由が侵害される」と危機感を持っています。国民の「知る権利」も「配慮」に止まっています。
 国会議員への秘密情報提供は非公開の秘密会のみ。知りえた情報を漏らせば、国会議員といえども処罰対象になります。
 特定秘密を取り扱う者には、公務・民間を問わず「適正評価」が行われます。対象は本人のみならず、「家族」「父母」「兄弟姉妹」「配偶者の父母及び子」「同居人」にまで及びます。法案は、プライバシーは保護しません。
 法案には、拡大解釈して基本的人権を不当に侵害してはならない旨が盛り込まれています。あえてその点に触れざるをえないところに、法案の危険性が表れています。拡大解釈か否かの判断も、政府の意思に左右されます。

 秘密保護を建前に、国民の基本的人権を大きく制約し、政府がフリーハンドを獲得する――ねらいはそこにあります。

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