phoenix278号 PDF278


■主な記事から■
▼13年末闘争
▼ANA・JAL中間決算から見える経営事情。3期連続上方修正したJAL
▼世界の航空事情 IAM 年金・医療切り下げノー 職場投票で67%が反対
▼ITFグランドスタッフ委員会参加報告
▼子会社潰し、日東整解雇撤回裁判でJAL大西会長の証人尋問が決定
▼JAL解雇撤回裁判、ILOが追加勧告。新規採用するなら復職協議を
▼安全会議だより―下地島空港からこんにちは



JAL・ANAの中間決算は両社共に営業利益は前年比で減収になったものの、営業収入は、全日空は過去最高となる前年同期比5・9%増加の7976億円。日本航空も前年同期比4%増の6593億円となり、3期連続で中間期に通期営業利益を上方修正しました。好調な企業業績を背景に年末闘争は取り組まれました。

 一時金交渉の中心はJALグループ各労組。通期決算を3年連続で中間期に上方修正したにもかかわらず回答は夏と同じ2・2ヵ月。職場からは「3年連続で通期見通しを上方修正しているのに、その頑張りが反映されていないのはおかしい」との声が出されました。全日空経営が「手が届かない」と評するほどの企業体力を蓄積している一方で、社員には置き去り感が蓄積されています。
 13夏闘で上期中の賃金制度見直し案提示を回答させていた日航乗組の闘いは、一時金交渉とあわせ大きく注目されました。日航乗組と日航機長組合に見直し案が提示されたのは1カ月遅れの10月30日。制度見直しまでには至っていないものの、出来高制がより大きく反映される現行制度が、固定手当を厚くする内容に変更されています。日航乗組によると、引き下げられた賃金の回復には及ばないものの、機長で3〜6%、副操縦士で9%〜13%の賃金引き上げにつながります。

 日航キャビンクルーユニオン(CCU)が求めていた787の客乗編成数増要求では、編成外とは言えオントップで1名増員されることになりました。
 日航ユニオンでは、スタッフトラベル制度(自社機搭乗制度)、整備部門の夜勤の改善、単身赴任者の転勤問題で前向きな発言を引き出しています。
 今年末での決着をめざしたJGS札幌労組の冬期手当復活を求める闘いは、JGSグループ労組一丸となって取り組まれました。具体的回答までには至らなかったものの、「案がまとまり次第提示」との言質を引き出しました。


 ANAグループでは、ANA乗員組合(旧ANK乗組)が、@元ANK運航乗務員の将来展望として機長の中大型機への機種移行の約束、Aリ・プロモーション対象者について訓練投入に向けた具体的計画の策定、B不具合事象発生時において一切の不利益取り扱いを行なわず再発防止の観点から対応すること、を方針に11月29日に24時間全面ストを背景に要求前進をめざします。機種移行計画の明示や、副操縦士の機長昇格順位の不利益がないよう整理することとし、新たな山場を設定し要求の前進を目指しました。
 全日空や外航では企業年金問題が労使問の懸案課題になっています。経営側は経費削減を狙い確定給付型から確定拠出型へ制度の見直しを進めようとしています。経営にとっては大幅な経費削減になりますが、労働者にとっては退職後の暮らしを左右する重大な問題だけに、今後の労使交渉によっては緊迫した事態も予想されます。

 政情不安を背景に、渡航自粛などで再び日本路線を運休したエジプト航空では、契約社員にEメールで契約終了を通知する雇用問題が起きています。パキスタン航空でも人員削減の動きがあり、予断を許さない緊迫した事態を迎えています。

 労働条件は安全を支える基盤です。職場の安全、働く者のモチベーションを引き上げるためにも、労働条件引き下げに歯止めをかけ、手を緩めることなく14春闘に向け継続して闘っていくことが重要です。

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10月31日、日本航空と全日空は連結中間決算を発表しました。両社ともに増収減益。事業規模拡大により増収となったものの、円安やB787運休の影響により営業利益は前年比減益になりました(表1参照)。これを受け全日空は通期見通しを下方修正する一方、日本航空は3年連続で通期見通しを上方修正しました。中間決算で見える両社の経営事情を分析します。今回は日本航空をみてみます。

 日本航空は燃油費が予想より減り、旅行業収入などが上振れしたことにより、計画比で、収入で100億円、費用で50億円改善。連結営業利益が150億円上振れしました。通年見通しは、当初計画より収入が140億円増えた反面費用が10億円減ったことで、営業利益を150億円上方修正し1550億円としました。下期は計画通りの収支を前提に、上期の150億円上振れ分がそのまま残る形です。

 事業規模(表2)は、国際線・国内線とも計画より縮小しています。全日空と比べると、国内線の規模縮小が目立ちます。下期は為替レート、燃油価格の見直しをしています。事業規模の伸び率との関係では、上期実績や全日空比で、下期の燃油費の増加率が多めに見えます。自己資本比率は中期計画目標の50%を達成したといえます。

 注目したいのは、発券済みで未搭乗分の航空券代金です。日本航空は、出発前の旅行代金(前受金)は流動負債の「その他」に計上されると説明しています。日航ユニオンの諏訪書記長は、「昨年度上期は1283億円だったものが今年度は1440億円。下期も好調を裏付けるもの。事業予測でも、全日空より低めの見通し(表2)が気になる。機材を小型化して利用率を上げると言うが、需要があれば機材変更することになるだろう」と話します。

 海外整備は増加しています。円安によるコスト増について質問した労組に経営は、「ナショナルスタッフの人件費が十数億円増えた」とし、「増えた分は国内整備で吸収する」と応じました。円高のときは整備は海外へ、円安になるとコスト増は国内整備で吸収。何とも都合のいい言い分です。

 次回は全日空です。

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航空連と組合アライアンスを締結しているIAM(米国、国際機械工・航空宇宙産業労働者組合、組合員70万人)の年金をめぐるたたかいを報告します。

 米西部ワシントン州シアトルにあるボーイング社の工場で働くIAMの組合員約3万人が11月13日、今後8年間にわたる新たな労働協約の締結について職場投票を行い、67%が反対票を投じました。

 新協約はこれまでの年金制度を廃止し、医療保険料を引き上げて労働者の負担を増やす一方で、次世代旅客機777Xを同州の工場で製造するよう保証するという内容でした。同機の製造はおよそ20年間におよぶといわれており、会社側は長期雇用の確保をえさ≠ノ、労働者に年金・医療保険の切り下げをみとめさせることを狙ったとみられます。

 投票結果を受けて、IAM地元支部のトム・ロブルスキ委員長は声明を発表し、「我々は拒否することによって不可侵であるべきものを守り抜いた。我々は、年金プランを手放さなかった。ファイナンシャルプランナーらが米国での年金危機について議論している中、我々は組合メンバーがより快適に尊厳を持って引退できるようにするための手段を維持した」と強調しました。

 一方、ボーイング社は、「今回の契約延長を除き、我々には選択肢はないが、777X型機の競争力を維持するためのプロセス及び全てのオプションを追及するための道は閉ざしていない」との声明を発表しました。

 日本では、企業年金制度を確定給付型から確定拠出型に変更する動きが広まっていますが、「尊厳をもって退職できる」制度をまもる闘いがあってこそまもられます。

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 世界153カ国690組合(組合員450万人以上)が加盟する国際運輸労連(ITF)は11月14と15日の二日間、ロンドンのITFハウスにおいてグランドスタッフ委員会、スイスポート及びMRO(メンテナンス・修理・オーバーホール)ミーティングとFOC(航空版便宜置籍船)計画ミーティングを開催しました。航空連から近村一也議長、赤坂潤一郎副議長、菊池富士夫国際委員、岩田捷男国際委員、星崎陽整備連事務局員が参加しました。

 14日のグランドスタッフ委員会では、今年2月のILOグローバル対話フォーラム、3月のICAO航空運輸会議、9月24日〜10月4日の第38回ICAO総会の各会議に、ITFが提起した課題が会議の結論へ反映され、その内容をフォローアップすることがITF加盟組合に課せられているとの報告が確認されました。また、参加者からは各国の状況が報告され、労働協約締結がストライキを背景に闘われていることなどが報告されました。
 15日のMRO・スイスポートミーティングでは、コスト削減のためにMROの外注化が急速に進んでいる状況や、スイスポートが世界各地で下請け会社を買収し急激に勢力を伸ばしていることに対し、各国で労働条件を下げさせないための取り組みが報告されました。ITFとしては、ETF(欧州運輸労連)を通じて欧州労使協議会を開催するよう、EUに働きかけるとして終了しました。航空連代表は、重整備の夜間勤務や、日本でのスイスポートジャパンの現状を報告しました。FOCミーティングでは、低コスト運航をするために客室乗務員の外注化等の報告がされました。
 赤坂副議長は、「ITFに加盟申請が認められた際には、航空連としてより積極的な発言と協力ができるようになる。労働条件を勝ち取る最大の方法は労働者の連帯であるとあらためて感じた。ITFはフェデックスなどの国際宅配会社も、他の部会でアンチユニオン会社としてマークしており、来年3月に米国でミーティングがあるので参加してほしいと要請された」と語りました。

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日本航空の再建をめぐる過程で、グループ会社の中で唯一会社ごとつぶされた日東航空整備(日東整=NTM)の労働者が解雇撤回と日航グループへの復職を求めている裁判は、11月13日に東京地裁で進行協議が行なわれ、大西日航会長ら8名に対する証人尋問を決定しました。

 証人尋問は来年2月10日に大西日航会長、日航ユニオン藤枝前委員長、同坂井前書記長、元日東整労組野口書記長が、同年2月27日に元日東整椛島社長、JALEC佐藤企画財務部長、原告・泉さん、同・佐藤さんに対し行われます。
 日航は、日東整が担っていた、航空機の重整備(格納庫で長期間にわたって行なう定期点検整備)の仕事を別のグループ会社に移し、2011年3月、会社を解散させ従業員144名全員を退職・解雇に追い込みました。
 これまでの裁判では、原告側が提出した日航の内部資料によって、安全のために意見を言う日東整の労働組合を日航が嫌悪し転覆計画を立てていたことが明らかになっています。
 大西会長は、2002年に日航整備本部整備企画部長となり、その後のJAL・JAS統合のさいにグループ会社の再編計画に関与する立場にあり、日東整を会社解散に追い込んだ11年には社長でした。
 日航の再建計画のなかで企てられた、不当労働行為と子会社つぶしが明らかになります。

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JAL不当解雇事件に対してILOは2012年6月15日勧告を出しました。勧告は、ILO第87号条約が規定する団結権の行使の保障、同98号条約が規定する団体交渉権の保障をあらためて確保するため、「委員会は、従業員の人員削減の過程において、労働組合と労働者の継続する代表者が役割を果たせるように、関連する当事者間で協議が実施されることを確実に保障するよう、日本政府に要請する」「委員会は、労働組合と十分かつ率直な協議を行うことの重要性を強調する」と述べています。この勧告に日本政府は具体的な行動を起こすことはありませんでした。

 この事態を受けて10月31日、ILO結社の自由委員会は、第2次勧告ともいえる見解を表明しました。見解で委員会は、日本政府に東京高裁の判決ならびにその結果生じるフォローアップ策について報告するよう要請しています。さらに、整理解雇を強行した一方で大量の客室乗務員を採用している事実を踏まえ、「経済的理由によって解雇された労働者の再雇用(職場復帰)について、彼らの見解が十分尊重されるため、今後の採用計画において、すべての労働組合と了解し合うことを期待する」としています。
 今回の追加勧告について、ILO条約に詳しい牛久保秀樹弁護士は、「ILO158号の解雇規制条約は、リストラで解雇された労働者には、優先的に再雇用される権利があることを規定しています。そのことは、国際的な常識です。ILOから見ると、解雇された労働者を放置しておいて、日本航空が、新規採用することは、異常な事態と映っているのです。早急に、日本航空には、ILO見解を尊重して、再び雇用(職場復帰)にむけた、労使協議を開始することが強く求められています」
 JAL解雇事件は、国際機関からも、その不当性が指摘されています。
  JAL不当解雇撤回国民共闘と原告団代表らは、「10.25大集会」で採択された決議文を携え、11月13日に東京高裁、国交省、厚労省にJAL解雇争議の早期解決を求める要請行動を行ないました。要請には、大黒全労連議長、金澤全労協議長、伍婦団連副会長、原告代表が参加しました。

 東京高裁要請で共同代表の大黒議長は、「年内結審、年度内には判決という状況を踏まえ10月25日に大集会を開催した。集会は、1800名を超える参加者で会場が埋め尽くされた。この集会の総意として勝利判決の獲得、争議の早期全面解決を求める決議を採択した。この決議を踏まえ、審理を尽くすとともに公正な判断を求める」と要請し、その後参加各氏からの訴え、金澤共同代表が取りまとめる形で締めの要請を行いました。

 国交省、厚労省でも同様の要請とあわせILOからの二次勧告といえる見解を踏まえ、勧告の早期履行及び早期解決に向けて日航への指導を行うよう要請しました。

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 沖縄県の下地島空港。国内唯一のパイロット訓練専用空港です。「空港の知名度はイマイチ」と思っていたらテレビ放映などの影響もあり、最近は離島としての知名度も上向いています。わ<iンバー車も増えました。
 下地島は沖縄県宮古島市に属し、宮古島の西隣にある伊良部島のさらにその西隣に位置します。沖縄本島からみると、離島である宮古島の離島(伊良部島)のさらに離島となります。ここまで書くと辺鄙な島と思われるでしょうが、スーパー・ガソリンスタンド・診療所・居酒屋やカフェ・ゲストハウスなどをはじめ、24時間営業のコンビニもあります。
 島へのアクセスは現在、宮古島からフェリーか高速船の航路のみですが、2015年春には宮古島と伊良部島を繋ぐ「伊良部大橋」が完成予定です。完成すれば島へのアクセスはますます便利になります。
 下地島空港というものの定期便の就航はなく、使用事業等の常駐機もいません。空港を利用する航空機は訓練に来るANAのB763・B735・DH8Dや海上保安庁のジェット機・プロペラ機・ヘリコプターに限られています。しかも近年、空港での訓練機数は減少し、昨年の航空機離発着回数は全盛期の半分以下となっています。ここまで減少した背景としては、JALの撤退や訓練のシミュレーター化に伴う実機訓練数の減少、他の地方空港への訓練移転などがあります。空港管理者である沖縄県は、国内外の航空会社に空港利用の誘致活動に励む一方、有識者による空港活用検討会議を進めています。試験機用の飛行場やプライベートジェット専用空港などが活用案として出されています。

 県内ニュースで「存続の危機」とまで言われている下地島空港ですが、航空需要が増し、パイロット不足も大きな課題となるなか、下地島空港が担う役割や可能性はまだまだあるはずと思っています。

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