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■主な記事から■

▼「シリーズ」客乗連の今
▼働くホットライン―妊娠告げたら雇い止め
▼時短・休日増・賃上げを!14春闘始まる
▼魅力あるグラハン取り戻そう!グラハン連が全国三役会議開催
▼JAL解雇撤回裁判―不当労働行為事件で暴かれたウソと妨害の真実
▼羽田空港増便、課題多い1日1200機の管制


 近年、客室乗務員の労働強化が問題になっています。稼動率向上を目的に勤務基準が見直され、休憩時間なしの長時間乗務はいまや当たり前。評価制度の導入や厳しい労務管理のなか、身体を壊す人も少なくありません。保安任務を担うべき「客室乗務員の今」をシリーズで報告します。

雇用の前進、しかし・・・。

昨年8月、全日空は客室乗務員採用を、これまでの契約制から正社員に切り替えると発表しました。全日空の客室乗務員は約6千人。約4分の1の約1600人が契約制採用です。産経新聞は全日空の正社員採用について、「航空業界は、格安航空会社(LCC)の台頭や海外勢との競争激化が著しい。客室乗務員の正社員化を進めることで、より優秀な人材を安定的に確保し、サービス向上やライバルとの差別化を図る」と報じました。
 全日空の発表を受け客室乗務員連絡会(客乗連)は、「私たちの要求に沿った制度変更であり、空の安全に向けて大きく前進した、評価できる内容」との見解を発表しました。客乗連は1994年の契約制採用導入時から一貫して正社員採用を求めてきました。しかし全日空の職場では、複雑な思いで受け止められているようです。


 全日空の制度では、契約期間3年後に長期社員(正社員)に移行するか、さらに3年間の契約制(計6年間)を続け退職するかを選択できる制度になっています。現行制度でも正社員への道が閉ざされているわけではありませんが、近年の傾向は長期社員(正社員)を選択せず、契約制をさらに3年続けた後に退職するコースを選ぶ客室乗務員が多くなっている状況があります。その理由と背景を客乗連は次のように分析しています。


 「長く働き続けられない正社員の勤務実態や管理体制があるようです。全日空では契約制導入後、2003年にタクシー送迎基準が大幅に改悪され、2004年には乗務時間制限を月間90時間から100時間に拡大しました。2005年には、フライト中の笑顔や対応を評価し乗務手当に連動させる、諸外国には例を見ない評価賃金制度を導入しました。2006年には手当等の見直しで大幅に賃金が下がりました。勤務実態では、羽田↓沖縄↓羽田↓福岡(宿泊)、という12時間を超える拘束でありながら休憩時間の明示はなく、福岡のホテルに入るまでほとんど休めないという労基法違反の働かされ方や、国内線を飛んだ翌日にパリ線に乗務するなどといった、身体の限界を超える勤務を強いられています。加えて、たえず目標に追い立てられる管理体制も正社員を追いつめ、メンタル疾患を患う人が多くなっていると言われています。疲労の蓄積とモチベーションの低下により退職者が多く、平均勤続年数はわずか6年半です。こうした実態が、契約制客室乗務員にとっては、正社員の魅力を薄れさせているのではと考えます」

 客室乗務員が健康で長く働き続ける事がむずかしい職場状況になっているのは、全日空だけではなく、その他の航空会社でも共通しています。

 全日空の正社員採用は、客室乗務員全体にとって大きな意義があることは言うまでもありません。加えて大切なことは、客室乗務員の本来の役割である「保安任務」がまっとうできる労働環境を整え、それに相応しい処遇をするということです。正社員採用を他社にも広げて行く必要性はもちろんですが、労働条件の抜本的な改善も待ったなしの状況と言えます。

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庶民に景気回復感はありません。
 日本チェーンストア協会が1月21日に発表した2013年のスーパーの既存店売上高は12兆7224億円。前年実績を0・7%下回る、17年連続のマイナスとなりました(1月21日日経新聞)。実感なき景気回復を裏付ける数字といえます。

 いまや、「景気回復には賃上げが必要」は多くの人たちの共通認識となっています。連合は1%のベースアップを要求。全労連は時間額120円以上、月額1万6000円以上の賃上げとし、大企業が溜め込んだ270兆円にも上る内部留保を1%取り崩すだけで1万円の賃上げが可能と主張しています。4月から消費税率が5%から8%に引き上げられます。3%の賃金引き上げがなければ生活はダウンを強いられることになります。今春闘は暮らしを守るためにしっかり要求していきましょう。

 航空業界の14春闘は引き続き、競争・生き残りを口実に引き下げられてきた労働条件を取り戻すための重要な場となります。

 全日空は客室乗務員の正社員採用を打ち出す一方で、年金運用リスクを抑えるための企業年金を見直しやユニットコストを削減するための整備体制見直し、パイロットの稼動強化を図るために年4日の夏休みを繰越休暇に切り替える案を労組に提案するなど、リストラを深化させようとしています。グループ会社のAAH(ANAエアポートハンドリング)は「空港運営会社の一空港一社化方針」に基づき4月から新会社に全員出向します。職場からは「社名が変わるたびに労働条件が引き下がる」と不満の声が上っています。

 JALグループでは、2010年の破綻によって強権的に引き下げられた賃金・労働条件を取り戻そうとの機運が高まっています。運航乗務員の賃金は4月から賃金制度の是正により、機長で3%〜6%、副操縦士で9%〜13%アップします。JALグループ各労組は、この賃上げをグループ全体に広げるための取り組みを始めています。働きに相応しい手当の引き上げや、新たな手当てを要求する動きも出ています。

 冬季燃料手当廃止で3回目の冬を迎えたJGS札幌労組は、この春闘で何としても回答を勝ち取ろうと決意を強めています。グループ労組一丸となった力強い交渉が求められます。

 外航のエジプト航空では、運休に伴う雇用問題が緊迫した事態を迎えています。米系航空会社では業績回復の期待感が広がっていますが、一方で路線の見直しも進められており注視が必要です。

 雇用を守り労働条件引き上げには、労働者の団結強化が欠かせません。

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 航空連グランドハンドリング労組連絡会(グラハン連)は1月19と20日の両日、小松市内で全国三役会議を開催しました。グラハン労働者の現状と課題、直面する「14春闘」の要求づくりや攻勢的に闘うための課題などが熱心に話し合われました。会議には7労組・3地連が参加しました。
 

 この冬マイナス21度を記録した新千歳空港。冬期燃料手当廃止から3度目の厳しい冬を迎えているJGS札幌の斉藤委員長は、「冬期手当は、経営者も『懸案課題と認識している』との発言を引き出している。支給を求める署名に取り組んでおり、この春闘では必ず回答を引き出したい。ボーイング737型機の増加で貨物や手荷物のバラ積み作業が増加した。以前は繁忙時期も季節に応じたものだったが、今は通年繁忙。そんななか、作業が落ち着きホッとしたときに航空機損傷事故が起きてしまった。通年繁忙で集中力を持続するのは大変だ」と現状を報告しました。
 JGS大阪労組の鈴木副委員長からは、数年にわたる新規採用凍結の問題点が報告されました。「JGS大阪ではこの数年間新規採用が行なわれていない。入社4〜5年の者はいつまでたっても一番下のまま。若者は先輩から教わったことを後輩に教えることで勉強になるし、自分の技量に磨きをかかる。それがまったくできない状態だ。採用空白期間は会社にとってもマイナスだ」

 成田空港で外国社の地上業務を行っているJAS新労組の村上副委員長は、「昨春闘では若年層に厚くなる賃上げを引き出した。そのことが組合への信頼につながった。労働条件を引き上げないと良い人材の確保ができないし仕事もとれない。ここ数年でグラハンの業務領域も広がり、良質な人材確保は会社にとっても課題になっている」と報告しました。
 基本賃金の引き上げとあわせて、トーイング手当やロードマスター手当、屋外作業手当など技能に応じた手当要求の必要性が話し合われました。組織拡大に向け地域ごとに具体的な目標をもって取り組むこと、人件費削減一辺倒の施策には「魅力あるグラハン」を取り戻すため、労働者自身が日々の安全運航の担い手としてもっと誇りを持ち、その役割に相応しい賃金を求めて行くことなどを確認しました。

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 妊娠を告げたらいじめが始まり、あげくのはては雇い止め。不法行為は許さないとの裁判が争われています。

 スカイマーク(SKY)の旅客兼客室乗務員として働いてきたA子さん。雇い止めは男女雇用機会均等法第に反するとして昨年9月、地位保全の仮処分を千葉地裁に申し立て争ってきました。2月6日の第4回審尋で結論が出される状況となっています。男女雇用機会均等法は、「妊娠・出産・母性健康管理措置・母性保護措置・妊娠又は出産に起因する能率低下等を理由とする解雇その他不利益取り扱いを禁止する」と、妊産婦の不利益な取り扱いや解雇を禁止しています。
 A子さんは2011年8月、SKYに契約社員として入社。研修後、成田空港支店旅客課に配属されますが、2012年2月頃に第一子の妊娠を会社に告げると、A子さんへのいじめが始まりました。
 まず、インストラクターとカウンター業務から外され、航空機とカウンターを行き来する業務に回されました。この業務は、オープンスポットでのステップ装着などがあります。A子さんは日に何度もアサインされ、同僚が「妊婦のA子ちゃんがくるの」と心配されるほどでした。遺失物電話係に回されたときは、9時30分営業開始時間のところ早朝5時30分から出勤を命じられることもありました。妊婦には辛い、1日中立ち仕事のアサインのときもありました。A子さんに、業務の軽減措置や配慮がなされることはありませんでした。そして昨年5月30日、第二子の産休届けを提出したところ、6月30日に「7月31日で契約解除」の通告がされました。

 妊娠出産を理由にした雇い止めであると考えたA子さんは、千葉労働局と雇用機会均等室に相談し斡旋を申し入れます。しかしSKYが「本人の成績が悪い」と主張したため、千葉労働局は「会社は雇い止めは妊娠が理由ではないと明言している」として斡旋を打ち切りました。仮処分を求めた裁判においてもSKYは、「(雇い止めは)妊娠を理由にしたものではない」「本人の勤務成績が悪い。契約社員中最下位」などと主張しています。A子さんはスカイネットワークに加入し団体交渉も申し入れましたが、SKYは「期間満了であり契約に基づいて通知しているので組合と協議の必要はない」と、団体交渉を拒否しています。

 A子さんは、「入社以来仕事上のトラブルなどなく、上司などから仕事上の注意指導なども一切なかった。いきなり成績が一番悪い、と言われても納得できません。お腹のなかで生きている赤ちゃんの命を軽視した会社を許す訳にはいきません。男女雇用機会均等法や労働基準法を守らない、団交拒否など不当労働行為を繰り返すSKYの経営姿勢に抗議の声をあげて下さい」と訴えています。

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日本航空が整理解雇を強行する過程で、当時の管財人代理らが「争議権を確立した場合それを撤回するまで3500億円の出資をすることは出来ない」と労働組合を恫喝し、争議権投票を妨害した不当労働行為事件の裁判は、1月16日と23日に東京地裁で証人尋問が行われました。不当労働行為事件は、11年8月3日に東京都地方労働委員会(都労委)から不当労働行為と認定され、救済命令が出されました。日本航空はこれを不服として、東京地裁に救済命令の取り消しを求めて提訴しました。

 16日の裁判では、「スト権を確立したら3500億円は出資しない」などの恫喝発言をした企業再生支援機構の飯塚ディレクター(弁護士)と加藤管財人代理(弁護士)に対する証人尋問が行われました。飯塚ディレクターは当初「支援機構の見解を説明しただけ」と語りましたが、企業再生支援機構の意思決定機関である企業再生支援委員会では、出資取り消しの可否について「決定も検討もされてない」と証言しました。管財人代理らは、支援機構が決定も検討もしていないものを「支援機構の見解」として組合に提示していたことになります。尋問のなかでは、執行部と説明されていた管財人統括は、出資可否の意思決定にかかわってはいけない人物であることも明らかになりました。加藤管財人代理は、「裁判官はスト権が確立しても認可しないという発言はしていない」と認めました。恫喝発言が組合活動を妨害するためのものだったことが、あらためて明確になりました。
 不当解雇撤回裁判でも、不当労働行為事件の裁判でも、整理解雇が組合役員・活動家排除を狙ったものであることが明白になっています。

 不当解雇撤回を求めた裁判は、客乗裁判・パイロット裁判ともに昨年12月に結審し、客乗裁判は5月15日に、パイロット裁判は6月5日に判決が出されます。
 ◇不当解雇撤回を求めて提訴してから3年目を迎えた1月19日。原告と支援者らによる裁判勝利と早期解決を求める「銀座デモ」が行われました。

 東京高裁前での座り込みは、1月22日まで4日間取り組まれました。毛布や横断幕をひざに、勝利判決と早期解決を訴えました。航空の仲間をはじめ労働団体や婦人団体など、多くの支援者が駆けつけました。座り込み参加者は、のべ500人を超えました。
 原告団事務局の斉藤さんは、「座り込みには毎日100名を超える原告や支援者に参加していただき、この取り組みを成功させることができました。ビラを見た若い人が通り過ぎてから戻って署名したり、『何もできませんが』、と1万円カンパした人もいました。4日間天気に恵まれ光明がさしてきた思いです。多くのみなさんに力をいただきました。ご支援いただいた皆さんにお礼申し上げます」と語りました。

 高裁の勝利判決に向け、全国で、引き続きさまざまな取り組みが予定されています。

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 3月から予定されている羽田空港の年間離発着回数は世界で13番目(2012年ACI国際空港評議会データ)となり、ロンドンのヒースロー空港、ドイツのフランクフルト空港と肩を並べます。いよいよ「世界の羽田空港」へと変貌をとげることになります。
 しかし離発着回数の増加に伴う課題発生も予想されています。「羽田空港周辺における空域の狭さ」はそのひとつです。騒音対策や米軍空域の関係から、飛行可能な空域が主に空港の東から南側に制限されているなかで、1日1200機を超える航空機が飛び交うことになります。混雑にいっそうの拍車がかかることは間違いありません。井桁状に配置された4本の滑走路を使用した管制方式は、出発機と到着機の飛行経路を交差させ、空域の混雑化の一因ともなっています。空域的には、離発着回数増は限界にきていると言えます。
 「航空管制官とパイロットの負担増」も課題のです。1日の離発着数が1100機の現在でも、混雑する時間帯には出発を待つ航空機が長蛇の列をなし、到着機は2分弱の間隔で着陸をしています。3月からは過密時間帯がさらに増えるばかりか、誘導路等の新設に伴い地上における管制指示も複雑さを増すことが予想されます。

 航空機に指示を出す管制官はもとより、その指示に従うパイロットにも負担がかかることは明白です。新規航空会社や新規路線増によって、類似する便名(便名の数字部分が同じ場合など)が増加する懸念もあります。
 国土交通労組は、「航空安全会議が実施する乗員アンケートなどを通じてこのような問題点を抽出し、積極的に関係当局に対し改善を要望していくことで、羽田空港が今後もより安全な空港となるよう活動を強めていきたい」と話しています。

 お詫びと訂正

 279号(1月号)4面、「安全会議だより」の文中で「ボランティアで御巣鷹山の山守をされている西沢さん」とありましたが「ボランティアで御巣鷹山の尾根の管理人、黒澤さん」の間違いでした。お詫びして訂正いたします。

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