phoenix283号 PDF283


■主な記事から■
▼JAL・ANA中期計画を考察。増加する機材投資、置き去りの労働条件
▼後を絶たないパワハラ―『客室乗務員の今』
▼連携を密に団結して―外航連大阪春闘集会開催
▼CCU代表らがITF客乗委員会に参加
▼JAL原告団会議で清水弁護士が講演
▼対官庁要請書を決定。5月、6月は官庁要請

お詫びと訂正
 フェニックス275号ならびに279号に掲載したアリタリア航空日本人客室乗務員の雇用に関する記事および見出しで、一部不適切な記載がありました。不適切な個所については削除・訂正し、あらためて航空連ホームページに掲載します。
 関係されたみなさまにお詫び致します。

  

航空の14春闘は、内航を中心とした先行組が山を越えたことから、産業航空労組や外航労組の闘いへと移行していきます。これから労使交渉が本格化する中日本ヘリコプター整備労働組合(中へリ整労組)役員に春闘をめぐる状況を聞きました。 出席‥中ヘリ労組・丸山委員長、渡辺副委員長、松尾副委員長、中嶌書記長。聞き手‥國澤名古屋地連議長

國澤 中ヘリ整労組の春闘スケジュールはどのようになっていますか。 
中嶌 2月上旬にアンケートを実施しました。3月下旬に集計結果などを基に要求案を作成しました。5月1日の職場集会で要求を決定し、5月2日に要求書を提出します。回答指定日は5月28日の日程です。 
國澤 春闘要求案はアンケートの集計結果が中心でしょうか。
 丸山 中ヘリ整労組では、組合員の声が直接反映されるアンケート結果を重視して、要求案を作っています。今回のアンケート回収率は37.9%でした。
 國澤 先ずはいちばん気になる賃金アップの要求額ですが、今回はどのような要求額になりますか。
 渡辺 アンケート回答を平均すると要求額は10236円でした。10000円前後の回答が最も多く、賃上げを望む理由としては、回答の多い順から、「会社の業績」「定昇分として」「世間一般の基準に合わせて」と続いています。今回は「消費税増税に伴う支出の増加のため」と言う回答も目立ちました。

 國澤 待遇改善などについての意見はどうですか。

 松尾 例年の傾向ですが、出張に関する回答が多くあります。出張日数に関する回答では「妥当↓多い」となっています。出張が多いとの意見では「家族とのコミュニケーションがおろそかになる」「一部の人に偏っている」との意見もありました。

 國澤 中ヘリ整労組は今期から個人評価制度を取り入れた新賃金制度導入に合意しましたが、組合員の反応はどうですか。
 丸山 導入に際しては「賛成」約64%、「反対」36%の意見があり、賛成多数での導入でした。肯定的な意見としては、「不安もあるが期待も有る」「とりあえずトライアルを実施し、悪いところを改善していきたい」等があります。否定的な意見としては「給料が下がった場合、モチベーションがあがらない」「同一業務で賃金格差が大きくならないか不安」「正当な評価は誰がするのか」等がありました。
 現在は、トライアル期間として、導入前の賃金格差がないように調整されていましが、トライアル期間が終了したあとの賃金の変化、評価のあり方について不安を持っている組合員の声が多く聞かれます。
 國澤 中ヘリ整備労組では「奥様アンケート」を実施していますが、アンケート結果についてお聞かせください。

 渡辺 執行部では内助の功の意見≠ニしての奥様アンケートを非常に重視しています。転勤者の奥様からは、「二重生活で大変」「有給休暇制度が意味をなしていない」「もう少し貯金できる余裕が欲しい」「福利厚生倶楽部(会社が加入しているアウトソーシング)は無駄」等の意見が見られました。
 國澤 お忙しいなか、お話をお聞かせいただきありがとございました。

 新賃金制度導入後はじめて取り組まれる14春闘。ベースアップの平均要求額10236円、生活苦やもう少し余裕を持ちたいと訴える「奥様アンケート」に寄せられた家族の声。組合員の期待を背に中へリ整労組の春闘交渉が本格化します。

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JAL・ANA中期計画考察 上

全日空と日本航空は14年度以降の中期計画を発表しました。多額の投資含んだ機材計画や大幅な利益を見込んだ計画になっています。2回にわたり両社の中期計画を考察します。1回目は日本航空です。

 4月8日に中期計画「ローリングプラン2014」の説明会が、14日には経営協議会が開催されました。経営側の説明によると、競争に勝ち抜くために3つの差別化にこだわり、その実現に5つの重点課題を設定し、3つの経営目標(安全運航の堅持、顧客満足NO.1、営業利益率10%・自己資本比率50%以上)を達成するとしています。略称で「3―5―3」と呼ぶそうです。
 これにより、2014年度は営業収入1兆3500億円、営業利益1400億円、営業利益率10・4%、自己資本723うお0億円、自己資本比率52・1%、当期純利益1150億円をめざすとしています。
 機材投資額は大幅に増やし、2014年度は1350億円(前年計画比142%)となっており、組合からの増加内訳の質問には、「為替の影響が4割、エンジンの買い取り、これ以上の個別の内容は言えない」と答えています。2014―2016の機材投資額は4430億円となっています。
 ユニットコストは14年度8・8円(13年度8・7円)と昨年比0・1円増えています。0・1円は費用の100億円相当と述べています。
 予備部品の在庫がないために駐機機材から流用もめずらしくないなか、予備部品在庫前年比14%圧縮を打ち出しています。経営協議会で社長は、組合が「他部門では『パーツがなくて機体がオングランドするのは構わない』と言い、在庫をなるべく持たないようにするとの説明を受けた」との話を紹介すると、「私はその様な生産体制を止めるようなところまで部品を減らせという指示を出した覚えはない」「適正な在庫量というのはどこか常に検討していかなければいけない」と答えました。


 かつては4者還元(利用者・株主・会社・社員)を公言していた時期がありましたが、財務目標は「投資、内部留保、株主還元、それぞれの充実に努める」と、社員福祉置き去りの姿勢を露骨にしています。株主には純利益の20%が配当に充てられ、利益が上方修正されればその分配当額も増えます。かたやベースアップはゼロ、一時金は前年水準。あまりにもバランスを欠いた施策に、「全社員の物心両面の幸福を追求」「経済的な安定や豊かさに加えて、仕事に対する誇り、働きがい、生きがいといった人間の心の豊かさを求めていく」(企業理念)はみられず、空疎な言葉遊びに聞こえます。

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 外航連各労組の14春闘は11労組が闘っています。3月31日を統一回答指定日に設定し労使交渉が進められました。すでに一次回答が示されている労組もありますが、決着には本国との調整も必要なことから、決着までには予断をゆるせません。

 こうした中、外航連大阪集会が4月4日、エル大阪で開催され、8労組22名が参加しました。開催挨拶した赤坂航空連副議長(外航連担当)は、国内産業の14春闘結果に触れベースアップが必要な年であることを強調し、「外航各労組の要求を勝ち取るために各労組が結束して闘い、外航労働者の雇用と権利を守るためにもがんばろう」と訴えました。 
 集会では、中川航空連政策委員から米系やヨーロッパ、アジア系、LCCの主な航空会社の経営分析が報告され、学習を深めました。
 各労組代表からはベースアップや定期昇給、一時金7ヶ月をめぐる交渉状況の報告がされました。また、職場でのパワハラやサービス残業問題などについても報告され、労使交渉のテーマになっていることも報告されました。
 すでにベースアップを引き出している労組もありますが、一方では、特別休暇の削減や勤務条件の改悪など、就業規則の改悪提案されている労組もあり、改悪に歯止めをかけるためにも、連携を密にした対応が求められます。集会ではJAL不当解雇撤回を闘う原告からの訴えなども行われました。集会の締めくくりには参加者全員で、がんばろう三唱で14春闘の決意を確認しました。

 集会後には交流会が開催され、各労組の課題や闘いへの決意が語られ大いに盛り上がりました。

 外航各労組の14春闘はこれからが本番です。

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 契約制雇い止め撤回裁判は2013年10月22日の最高裁判決で、「管理職の退職強要のうち3日間のパワハラが人権侵害行為であり不法行為」と認定され、損害賠償支払い命令が確定しました。業務中に行われた不法行為であり会社も使用責任を負うとされました。この事件は厚労省のHPにも掲載され世間の注目を浴びることとなりました。
この確定判決を受け日航キャビンクルーユニオン(CCU)は、職場でこのような事件が二度と発生しないよう再発防止策を講じることが急務と考え、日本航空に「パワハラ再発防止の協定案」を申し入れています。
 協定案は、「所属長は、常にその所属社員の人格を尊重して、適正な指導監督を行い、率先してその職務を遂行しなければならない」ことを管理職に再度徹底させることや、パワーハラスメントアンケートを定期的に全社員に実施すること、パワハラ相談窓口を社内外に設置し問題の解決及び再発防止に努めること、などの5項目からなっています。

 最高裁判決後、退職強要は起きていませんが、様々なパワハラ行為は後を絶たず、メンタルで休んでいる人も少なくありません。CCUは一刻も早い協定の締結を申し入れていますが、日本航空はその姿勢をまったく見せていません。原告が一番望んでいたパワハラのない職場を作るため、国会追求なども視野にいれながら、取り組みを強化していく方針です。

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 JALには業務姿勢や技量などを評価する「HTグレード」という評価制度があります。そのトップ項目が「身だしなみ」です。
 ショートヘアーのAさんは毎月の整髪が欠かせません。美容室で「ON THE眉毛でお願いします」とお願いすると、美容師さんから怪訝な表情をされます。JALの美容基準は「前髪をあげることを推奨。下ろす場合は眉毛にかからない」ことになっていると説明すると、「それって、似合わない人もいるでしょう」との返答。
 若いCAはマネージャーから「ひたいを出すように」としつこく言われます。職場では「顔の形や年齢によって制服のデザインに合わせた工夫をして行けば済むことなのにね」と皆は話しています。
 HTグレードの説明には「お客様が話しかけたくなる、親しみやすい乗務員」を目標に「一歩前の心のサービスを実践する」とあります。ベテラン客室乗務員は、「画一的な美容基準の押し付けになっているため、自然な笑顔が失われ緊張感が漂う姿になり接客の最も大切な心をお客様に提供できなくなっているのではないでしょうか」と話します。
 この美容基準を使ってパワハラも起きています。「長すぎる。まつ毛を切るように」と言う管理職まで出現しました。評価制度が様々な基準を作りパワハラの温床になっています。

 ANAではこんな事件もありました。
 2001年に最高裁で解雇は無効と認定された全日空客室乗務員の不当解雇事件は、東京都産業労働局のパンフ「職場のいじめ」でも紹介されています。「労災により休職したキャビンアテンダントに対して復職前後の4カ月間に、上司らが30回以上面談を行い(8時間以上になることもあった)「こんな点数でよくあんな顔して帰る」「寄生虫」などと述べ、(中略)最後には解雇した」(抜粋)
 現場では様々なパワハラが横行しています。全国の労働局で受け付けた労使間のトラブルで最も多かったのは、職場での「いじめ」「嫌がらせ」のパワハラです。
 パワハラは人権侵害であり、憲法13条に違反する不法行為として一掃されなければなりません。
 日航キャビンクルーユニオン(CCU)はいま、「パワーハラスメント再発防止のための労使協定締結及び協議」を会社に求めています。

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日本航空による不当解雇撤回と職場復帰を求め、現在東京高裁で争っているパイロット・客室乗務員の両原告団は4月14日、原告団集会を開催しました。集会では北海道テレビ放送や東京佐川急便の再建など企業再建手続きで著名な清水直弁護士による講演が行われました。清水弁護士は長く管財人に携わってきた経験のうえからも、「(更生)計画になっているから整理解雇しなくてはならないというのは間違っている」と断じました。清水弁護士は東京高裁に意見書を提出しています。講演要旨は以下のとおり。

 「管財人という仕事をつづけ、企業再建の究極にあるものは『人権と正義』であると思った。再建はすべての人がその持ち場でそれなりに苦しんでいるのであり、関係あるすべての人の幸せを願い仕事を続けてきた」「更生会社は資本主義の落とし子といえる。更生手続きは債権者の意志によって左右されやすい。しかし、労働者の協力なくしては会社の更生はあり得ない。こういった事情を関係者がどう理解するかが大切である」「会社更生法は私法の分野である。JALは、誕生のときから終始国策的存在であった。私的自治が原則の私法の論理でもって解決しようとしたところに、そもそも無理があり、世間一般は決してJALの会社更生手続きを評価していないと言える。経済の世界に政治や行政が主導権を持って臨もうとすることは資本主義の堕落であり、統制経済につながる」「更生計画案は債権調査・財産評定・事業継続上の改革(人員の合理化を含む)の断行等々を実行した後、集大成として策定されるもの。JALのように、計画になっているから整理解雇しなくてはならないというのは間違っている。整理解雇はその都度、その時点で、真に止むを得ないか真に必要ありやと判断すべきものであり、硬直的に考えてはいけない」


 この間原告団は、高裁での逆転勝利判決を勝ち取るべく、様々な取り組みを行ってきました。裁判所前での座り込み行動は1月・3月・4月に実施され、参加者はのべ1787名を数えました。
 4月8日には、国民支援共闘会議の共同代表と両原告団長が東京高裁第5・第24民事部に、個人署名33万5千筆と団体署名1万1300筆を提出しました。同時に、「解雇の時点で『事業規模に見合った人員体制』は超過して達成していた」「JALと管財人による表裏一体の労務姿勢、信義則違反・不当労働行為の連鎖集中の下に強行された解雇であった」「労組が提案した解雇回避策をJALは一切拒否して、退職強要を行った」「JALは解雇当時のパイロットと客室乗務員の『在籍数』を隠ぺいして、解雇を行った」と、解雇の不当性を訴える公正判決要請書を提出しました。

 3月から行っている「公正な判決を要請するハガキ」は、両民事部にそれぞれ2万5千枚以上が届けられています。

お知らせ

 5月15日の客乗裁判判決は、6月3日(火)15時に変更になりました。         

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航空安全会議は3月25日に開催した臨時総会で、2014年「民間航空の安全確保に関する要請書」を確認しました。要請書を基に5月・6月に航空局・東京航空局・東京国際空港事務所・運輸安全委員会・気象庁・厚生労働省へ要請活動を行います。これら一連の要請活動は、航空の安全性を向上させるため長年にわたり行っている航空安全会議の重要な活動の一つです。要請内容の一部を紹介します。


【航空行政】 
航空法・施行規則や通達など、航空行政全般について安全性を向上させるための要請を行う分野です。無人航空機の安全性、ICAO付属書の改定に伴う安全管理体制の構築、航空機内における電子機器の取り扱い、ボーイング787型機や今後導入される新型機の安全性向上などを要請します。
【航空機整備】
 航空機整備に関わる安全性の向上をめざします。
 「安全上の支障を及ぼす事態」の報告制度を利用して報告した者を処罰の対象としないこと、飛行間点検の問題、技術の伝承、夜間整備、航空機整備の委託などでの安全性確保などを要請します。
【産業航空】
 航空機使用事業など、主に小型機を使用して行う航空事業に関する安全性向上を要請している分野です。
【空港】
 空港施設について安全性向上を要請している分野です。航空局・東京航空局(大阪支部では大阪航空局に要請を行っています)・東京国際空港事務所(各支部では各空港事務所)に要請を行っています。東京国際空港でLDAアプローチを実施する際の滑走路誤認防止対策、鹿児島空港での待機場所の新設、2本目の滑走路が新設される那覇空港での安全性確保、緊急時にパイロットと救急隊員が直接交信できる体制の確立などを要請します。

【空域・航空管制】
 過密する空域や管制方式などの問題解決を通じて安全性の向上をめざしています。空港周辺の軍事空域削減、出発経路と到着経路の分離、次世代航空保安システムの構築、ブラインドエリアの解消などを通じて安全性の向上を要請します。
【運航乗務員】
 運航乗務員に関する安全性向上をめざしています。健康管理、乗務時間制限、勤務基準、要請、訓練、審査に関する安全性向上などを要請します。

【客室乗務員】
 客室乗務員の雇用体系、乗務時間制限、勤務基準、訓練、編成に関して安全性向上を要請します。
【保安体制】
 2020年の東京オリンピック開催を念頭に保安体制の充実を要請します。
【グランドハンドリング】
 サービス物品、貨物や手荷物の航空機への搭載など地上作業の現場における安全性の向上を要請します。

【航空事故調査】

 航空の安全性向上のために事故調査が原因の究明と再発防止のために行われるよう要請を続けていますが、日本においては事故調査と刑事捜査の分離が不十分であるのが現状です。近年においても事故調査報告書が裁判の証拠として採用され有罪が確定した事例があります。このような現状は関係者が事実を明らかにすることを躊躇させ、再発防止のための事故調査に悪影響を与えていると私たちは考えています。事故調査と刑事捜査の分離など安全性向上のための要請を行っていきます。

【航空気象】

 航空気象観測の民間業者への委託が進んでいます。また、新たな業者が入札した時の引き継ぎは業者同士で行われるなど観測データの質の維持が危ぶまれる委託形態となっています。コスト削減策が安全性を低下させないように、さらなる安全性の向上をめざすよう要請します。

【厚生労働省】

 航空の安全性確保のために必要な事項に関して厚生労働省にも要請活動を行っています。感染症対策、航空災害支援体制、労働者のメンタルケア、ドクターヘリの現場での安全確保、労災認定基準の改正などを通じて安全性の向上を要請します。

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