phoenix284号 PDF284


■主な記事から■

▼グラハン労働者の平均睡眠時間5〜6時間が7割。「人員不足」82%
▼ANA中期計画、利益前提の大規模な機材投資、しわ寄せは労働者に
▼FE8名のパイロット訓練を再開せよ
▼仙台空港の民営化―安全・公共性は
▼シリーズ 客室乗務員の今「笑顔に輝きがある」って好み
▼集団的自衛権行使容認の航空労働者への影響
▼6月9日、日東整不当解雇撤回判決が結審


今月、JAL不当解雇撤回裁判控訴審が判決を迎えます。3日には客室乗務員の判決が、5日にはパイロット裁判の判決が出されます。2012年4月の控訴以来2年間、原告団と支援者はできうる限りの取り組みを行いました。

 宣伝行動は高裁、国土交通省、厚生労働省、JAL本社、JALプラザ、そして全国各地での駅頭で繰り広げられました。全国キャラバンにも取り組みました。今年に入ってからは裁判所前、国会前、国交省前での座り込みによる訴えも行いました。高裁へ届けられた個人署名35万筆、団体署名1万5千筆、証人採用要請ハガキ3万通、公正判決を求める要請ハガキ5万通となりました。

 あらためて東京地裁判決の問題点を整理します。
@「解雇の必要性」はあったのか。 
 整理解雇を強行した時点で、人員削減計画を上回る退職者が出ていた。また1400億円を超える営業利益が出ていた。整理解雇を強行する合理性は見当らず、当時の最高経営責任者も東京地裁で「経営上からすれば解雇の必要はなかった」と証言し、解雇の必要性を否定した。

A解雇回避努力を尽くしたのか。 
 地裁判決は、希望退職の募集をくりかえし行ったことや退職一時金の割増、年齢の高い労働者は賃金が高くなり退職金も相応であるとして会社の対応を評価した。組合が提案した解雇回避のためのワークシェア、一時帰休、転籍、出向などをJALが一切行わなかったことについても、実際の頭数が減ったことにならないというJALの主張を認めた。

B解雇人選基準に合理性はあったのか。 
 判決は人選基準の合理性の判断では、「病気欠勤や休職したものを解雇する基準」と「年齢の高い者から解雇する基準」について、いずれも使用者の恣意の入る余地がない客観的基準であるとした。安全運航にあたえる影響については、「安全運航に支障をきたすとするには論理に飛躍がある」とした。

C「手続きの合理性」はあったのか。
 判決は労働組合との交渉回数に着目したのみで、交渉の中身の問題には踏み込まない形式論に止まった。

 控訴審で弁護団と原告団は、東京地裁判決後に新たに入手した資料を綿密に調査・分析し、判決のいう「事業規模の縮小に見合った人員体制」の中身が、解雇時点でパイロットでは110人、客室乗務員では78人も超過達成していた事実を明らかにしました。これに対してJALは、具体的な数字を挙げて反論することができませんでした。

 整理解雇を強行した真の理由も控訴審で浮き彫りになりました。破綻を契機に闘う労働組合を排除するという、不当労働行為です。希望退職募集により、CCUや機長組合・乗員組合の組合員が比較的高年齢層を構成することになりました。その一掃をねらって作られたのが「年齢基準」でしあり、その年齢基準で解雇を強行しました。


【判決当日の予定】
▼6月3日客乗裁判
 13‥30〜14‥15/高裁前宣伝、14‥20入廷、16‥00〜18‥00/報告集会乗員虎ノ門スクエア、16‥30〜記者会見/弁護士会館509室
▼6月5日パイロット裁判
 12‥00〜12‥45/高裁前宣伝、12‥50入廷、14‥30〜16‥30/報告集会/虎ノ門スクエア、15‥00〜/記者会見/弁護士会館508号室

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グラハン連(航空連グランドハンドリング労組連絡会)が3年ぶりに取り組んだ「職場の安全アンケート」(期間/13年12月1日〜31日)によると、36%(45)の人が「安全が低下した」と答え、『作業に適した人員が配置されているか』では82%(77・9%)が「不足している」と答えました。今回は新たに健康状態について聞いたところ、『自覚症状あり』や『不安を感じる』を合わせると62%の人が健康面に不安を抱えている実態が浮き彫りになりました。
 ( )内数字は2009年調査結果、単位%。


■職場の安全
 『この1年間で職場の安全がどのように変化したと思いますか』では、「安全が向上した」20・2%(4・4)に対し「安全が低下した」36・0%(50・6)、「変わらない」36・3%(36・9)となりました。「安全が低下した」と答えた方に低下した原因を聞いたところ「人員不足」89・5%、「教育・経験不足」38・2%、「機(器)材不足」34%、「個人の技量低下・ミス」29・3が上位を占めました。『あなたの職場でこの1年間で事故・イレギュラーが発生しましたか』では「発生してない」27・1%で、約7割の職場で事故・イレギュラーが発生しています。
■人員・器材
 『作業量に適した人員が配置されているか』では「適正だと思う」9・4%(14・8)に対し「不足している」81・9%(66・5)と多くの人が不足と感じています。
■睡眠と健康
 今回アンケートでは健康状態を聞いたところ「自覚症状あり」32%、「不安を感じる」30・3%、「良好」36・5%と、6割の人が健康面に不安を感じています。「自覚症状あり」と答えたひとにどのような症状かを聞いたところ、「疲れがとれない」85・3%、「腰痛」76・5%、「肩・首がこる」52・4%、「ストレスを感じる」41・2%が上位でした。(46)、「雇用不安」36・5%(24・4)が関心事の上位を占めました。症状の原因について聞いたところ、「年齢」51・8、「仕事」51・8、「人員不足」48・8%、「勤務が複雑」41・2%、「労働時間が長い」37・1%が上位を占めました。自覚症状について治療をしているか聞いたところ、「治療を受けている」は12・1%でした。また、平均睡眠時間を聞いたところ、「5時間未満」19・8%、「6時間」50・5%、「7時間」22・5%、「8時間」5・5%、「9時間」0・8%でした。十分な睡眠時間の確保からは程遠い実態にあることがわかりました。

 グラハン連はアンケート結果を今後の活動に役立てる予定です。ご協力いただきました皆さんに御礼申し上げます。

 (回答数/9社・531枚)

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JAL・ANA中期計画考察 下 

JAL・ANA中期計画考察 上

 ANAホールディングス(ANAHD)が4月30日発表した14年3月期決算によると、営業収入1兆円6010億円(前期比8%増)、営業利益659億円(同36%減)、経常利益429億円(同44%減)、当期純利益188億円(同56%減)となっています。事業規模拡大や円安・燃油費増が費用増につながったためとしていますが、第3四半期の通期見通しを上回る結果となりました。株主配当は1株あたり3円としています。15年3月決算見通しについては、羽田国際線の拡大(10路線13便↓17路線23便)による旅客増を受け、売上高1兆7000億円(前期比989億円増)、営業利益850億円(同190億円)、経常利益550億円(同120億円増)、当期純利益350億円(同161億円増)としています。
 ANAHDの「14―16年度ANAグループ中期経営戦略」によれば、現在進めている1000億円のコスト削減については13年度末で520億円の削減を達成し、14年度末までに860億円の削減を実施します。加えて、15―16年度の2年間で新たに500億円の削減策を追加し、「一連のコスト削減額は2011―2016年度の6年間で1360億円となり、ユニットコスト(燃油除く)で1・5円相当の低減が実現」としています。同時に各事業会社への権限と責任の委譲を進め、グループ内取引の適正化、対他社競争力を備えた生産体制を構築、各社の経営目標の達成度を確認する仕組みとして業績評価制度を導入するとしています。

 3月27日には、「2020年の東京オリンピック・パラリンピックや、成長するアジアの需要を中心とした訪日外国人2000万人の達成に伴い拡大する訪日需要、ならびに日本人のさらなる海外渡航需要拡大への備えを万全とするべく」として、70機1兆7270億円の確定発注を発表しました。

 再上場を果たした日航との比較では見劣りするANAの決算ですが、日航は法人税免除だけでなく老朽機の一掃による整備費用削減、中高齢層社員が極端に減少、かつ慎重な事業規模拡大などがあり、直接的な比較は無理があります。そこで、ANA独自の経営分析が重要となります。中期計画の特徴は、「大規模かつ急激な機材投資を続け、その前提となるのが利益計画」と言えます。羽田の国際線の拡大と同時に、成田とのデュアルハブにより、スターアライアンスのルフトハンザとユナイテッドとの乗り継ぎ旅客を取り込む狙いです。そのためには大規模な機材投資が必要です。利益を上げながら借金は増やさないバラ色の目論見ですが、国際線はイベントリスクに弱く、しかも長く影響を受けるので、思い通りに利益計画が達成できるかは疑問です。利益計画は、今般の中期経営計画では、先の経営計画から2年遅れとなっています。すでに職場では、人員増なしの事業拡大、コスト削減が強いられており、利益目標が達成できないとさら更なる「合理化」が懸念されます。

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 日航乗組は、2010年のJAL破綻によりパイロットへの職変訓練が中断され、地上職への職変を余儀なくされたフライトエンジニア(FE)8名の職変訓練再開を要求しています。日本航空は停止していたパイロット訓練のほとんどを再開していますが、FE8名のパイロット職変訓練だけは止めたままです。訓練中断から4年。乗組はこの夏闘で、解決すべき重要な課題として取り組んでいます。

 8名のうち旧日本エアシステム(JAS)出身は7名。JAL出身の1名は私傷病で訓練が遅れたことによります。8名はA300型機やDC−10の乗務員として、10数年間運航に携わってきました。
 機体のハイテク化が進み2名編成の機材が主流となりつつあった2001年、JASの労使交渉で、FEのなかから希望する者はパイロットへの職変が選択できることが確認されました。統合後の2005年からは、JAL・JAS合わせて約40名のFEがパイロット訓練を開始しました。7名はその最後のグループで、2010年春、実用機のシミュレーター審査直前に、破綻を理由に訓練が中断されました。数週間早く訓練が進んでいたならば訓練中断とはならず、すでに副操縦士として飛んでいたはずでした。訓練が遅れた理由は、JAL以外の訓練施設で訓練したこと、航空局の直接の審査を受けてきたこと、FEとしてA300の退役を最後まで支えてきたことなどです。
 7名が結果的に不利益を被ったことに対して日本航空は、「訓練を止める境界の線引きはどこかで行わねばならない。機長昇格、副操縦士昇格、訓練生の地上職変なども同様で、その境界の前と後で不利益が生じることは避けられない」と説明しています。また、「地上職を選択することで雇用を守った」として訓練再開には応じず、差別的扱いをし続けています。現在すべての訓練を再開しているなか、線引きの問題や「地上職変で雇用を守った」ことが、訓練再開をしないという理由にはなりません。
 日本航空は更生計画を上回るスピードで再生し、業績を伸ばし続けています。機長訓練も再開し、4月からは多くの新人副操縦士も飛び始めました。彼らの後輩にあたる訓練生の基礎訓練の再開、さらには訓練生の新規採用も始まりました。世界的にもパイロット不足が叫ばれるなか、LCCのなかにはパイロット不足から欠航を余儀なくされる事態も生まれています。8名の訓練再開に踏み出せない理由は見当たりません。
 日航乗組はFE8名の訓練再開を夏闘の最重要課題の一つと位置付け、早期実現をめざしています。

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 現在、日本には97の空港があります。背景には、1980年代の日米構造協議で対米輸出の貿易黒字を減らすため、内需拡大をめざすとして「収支は二の次」に空港建設が押し進められたところがあります。
 過去、空港の整備・建設を優先するため需要予測は甘く策定され、その結果特に地方空港では、実績が予測を大きく下回ることになりました。航空会社は経営不振を理由に、不採算路線からの撤退を進めました。利用低迷によるしわ寄せが財政面をはじめ地方空港の運営に悪影響を及ぼし、地域住民への重い負担となっています。2008年に政府は「空港整備は配置的側面からは慨成した」として、空港整備法を空港法に改正し、空港整備から運営へと政策転換を図りました。2010年の国土交通省成長戦略では、「民間の知恵と資金」を活用した空港運営の抜本的な効率化を目的として、空港運営の民営化が打ち出されました。2013年6月には関連法案も成立し、空港運営の民営化が本格的にスタートしました。2011年3月の東日本大震災で仙台空港は大きな被害を受けました。完全復旧を名目に、宮城県はいち早く空港運営の民営化に手を上げ、国交省も仙台空港を民営化適用第1号と決めました。現在は国交省が、運営事業者選定のための準備を進めています。

 空港運営の民営化が航空労働者にどのような影響を及ぼすのか、利用者・国民のための空港はどうあるべきかを考えるべく、昨年7月に国土交通労組と航空連が官民の共同提言をまとめました。イギリスやオーストラリアでは民営化が進められている一方で航空大国アメリカではほとんど行われていないこと、市場原理に委ねることによる安全性・公共性への懸念などが紹介されました。民営化が失敗した場合には、さらなる国民負担が生じることも考えられます。

 空港利用者である国民の安全・安心を確保し、航空ネットワークの要となる空港が持つ公共性を維持するためにも、民営化により効率一辺倒とならないよう監視していく必要があります。

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 客室乗務員に対する評価制度は2005年、全日空で「EG制度」として始まりました。上司が個々の客室乗務員のサービス対応や立ち居振る舞い等について評価し、ランクづけする制度です。その後日本航空も「HTグレード制度」として導入しました。

 評価項目は「笑顔に輝きがある」「親しみのある対応」など、主観的な好みが反映されやすいのものとなっています。日本航空ではA〜Eの5段階にランクづけされ、低評価の場合は「教育」させられます。そのことでベテランの誇りが傷つけられ、退職に及んだケースもあります。評価は「絶対評価ではなく相対評価」とされていることから、必ず低評価の人が出る仕組みになっています。

 評価制度の効果としては、@恣意的な評価ができることで、A労働者が不満を出しにくく管理しやすい職場にすることができ、B総人件費抑制につながる、Cあわよくば企業にとって不都合な労働者を自主退職に追い込めることもできる、などが考えられます。労務管理の手法としての評価制度――真のねらいはここにあります。最近ではソラシドエアにも導入され、職場のストレスが広がるとの懸念が出されています。
 人を評価・査定する場合、基準は「客観性」「透明性」「合理性」であることが必要とされています。また評価に納得しない場合、異議申立てのできるシステムが必要とされます。欧米の客室乗務員組合は、評価制度は人権侵害として導入させていません。
 客室乗務員に対する評価制度について厚生労働省所管の労働政策研究機構の担当者は、客乗連に以下の意見を寄せています。「恣意性が多分にあることから、ストレスやメンタル疾患を引き起こしやすい」「チームワーク、一体感をそこねる事で安全性にも問題がある」「上からの一方的な評価はダメ。下からも上司や評価者のチェックをできるようにすべき。また、お互い自分の評価に異議がある場合はすぐに出せるようにする」「客室乗務員は安全の指示を乗客に出す立場なので、必要以上に笑顔を強いるような内容は違和感がある」など。

 これら指摘をふまえ、評価制度は安全問題として取り組む必要があります。航空安全会議は5月の国土交通省との交渉でこの問題を取り上げました。客乗連・CCU・JCCは引き続き官庁への取り組み含め、評価制度の是正・廃止を求めていきます。

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秘密保護法で国民の知る権利を奪った安倍首相。今度は憲法解釈変更で、憲法9条が禁じる集団的自衛権行使容認に向けて踏み出しました。歴代内閣が積み重ねてきた憲法解釈をお友達懇談会の答申で覆す。立憲主義の否定と強い批判の声が出ています。
 5月15日、総理の私的諮問機関である「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)が報告書を提出。それを受けて安倍首相は記者会見を行い、集団的自衛権行使容認と憲法解釈見直しの検討を表明しました。
 会見で首相は、避難する日本人を輸送する米艦船が日本近海で攻撃を受けた場合や、PKOで活動中の日本人が突然武装集団に襲われても自衛隊が救助できないと強調。しかし、それら事例と集団的自衛権行使がどう結びつくのかについては、論理的な説明はありません。例示については、現行法制で対処可能との指摘もあります。「日本が再び戦争をする国になることは断じてありえない」のであれば、集団的自衛権はそもそも必要ありません。
 会見翌日の新聞は、情緒的な事例で本質から目をそらそうとしていると指摘します。「そもそも集団的自衛権の本質は他国防衛の戦争に参加すること」「にもかかわらず、『日本人の命を守る』を繰り返すばかり。いくつも想定される集団的自衛権に関わる事例をあえて一つに絞った。まるでこの事例に限定されるとの誤解を与えるものだった」(16日朝日新聞)。

 加藤自民党元幹事長も、「自衛隊を海外に出し、米軍と肩を並べて軍事行動させようとすることだ……徴兵制まで行き着きかねない」(『赤旗』日曜版)と批判しています。
 安倍首相の記者会見を受けて行われた毎日新聞の世論調査では、解釈改憲による集団的自衛権行使容認に「反対」56%、「賛成」39%。朝日新聞では行使容認に「反対」63%です。

 1999年の周辺事態法以後、航空労働者は主に輸送面で、有事体制に組み込まれています。しかし憲法9条が強制動員を阻んでいます。それが集団的自衛権行使容認となれば、その枠組みも変更されかねません。集団的自衛権行使は自衛隊の問題との認識では将来に禍根を残すことになります。集団的自衛権行使問題は航空労働者の働き方を根本的に変えかねない、私たち自身に直結する問題です。

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日本航空の再建にあたって、JALグループで唯一会社ごとつぶされ全員解雇された日東航空整備の労働者が解雇撤回とJALグループへの職場復帰を求める裁判は、東京地裁で大西賢日航会長や、労働組合役員への証人尋問を行い6月9日、結審します。多くの皆様の傍聴支援をお願いいたします。

 【当日の予定】

 9:00〜9:30/東京地裁前宣伝

 10:00〜東京地裁631号法廷

 裁判終了後、報告集会(日比谷図書文化館4F)

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