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■主な記事から■

▼頑なな経営姿勢 粘り強く職場改善追求

▼日東整解雇撤回裁判、原告2名が意見陳述し結審

▼日航乗組、山場を背景にFE8名の訓練再開に向け前向き発言引き出す

▼ITF民間航空部会がJAL不当判決にコメント。引き続き支援を表明

▼JAL不当解雇撤回裁判、「絶対に諦めない」

▼残業代ゼロ・過労死促進など労働保護ルールの規制緩和に反対
▼シリーズ 客室乗務員の今 普通をとりもどす




2013年度決算で全日空は過去最高の1兆6010億円の営業収入。また日本航空も2010年の破たん以降最高の1兆3093億円の営業収入となりました。両社ともに燃油費の高騰や円安などによって費用増になりましたが、機材投資を拡大するなど中期計画を見直しています。拡大基調の事業計画ににもかかわらず、両社の一時金に労働者の頑張りが反映する形にはなっていません。

 JALグループの夏期一時金は昨夏と同係数の2・2カ月。JAL経営は年間4カ月、夏冬2カ月を基本に社員の頑張りに応え0・2カ月上積みしたことを強調しますが、年度当初の1400億円営業利益は「確保するのも厳しい」どころか期中に二度も上方修正し、最終的には1667億円となりました。ベアゼロに続き、現場の頑張りに報いようとしない頑なな経営姿勢に、社内には失望が広がっています。

 ANAは年間3カ月+期末一時金(1カ月)に、13年度分として特別金0・4カ月(6月支給)が春闘で回答されています。外航では、英国航空労組で年間6カ月(夏3カ月)回答が示されました。ルフトハンザ航空労組には年間7カ月(業績連動1・7カ月含む。2年協約)、ユナイテッド航空労組では3年協定により年間6カ月+αとなっています。

 賃上げ交渉が5月以降となっている労組では、NAFCO労組で職能給1819円アップの回答を引出し、朝日航洋労組では2000円のベースアップ、中ヘリ労組では組合員平均4944円の賃金増を引き出しました。

 諸要求では、日航乗組が勤務問題で一部改善の回答。FE8名の訓練再開問題では、人員が逼迫した際の補完要因に一つに認めさせました。HAC乗組は待遇改善の方向にもっていくとの回答を引出しました。
 JGSグループ各労組では統一要求のLD3コンテナ床のラバーパン撤去の回答。JGS東京労組では熱中症対策として冷水器設置の職場改善を実現しました。注目されている冬期手当は、ギリギリの交渉で粘り強く追求しました。

 外航では、本国との調整を経ながらの交渉になるために長丁場になっています。粘り強く要求前進を目指しています。

 最近の経営側の特徴として、経営目標優先や株主重視の姿勢が露骨になっています。こうした変化をしっかり認識しつつ経営側に対し、安全を支えるのは現場労働者であり、安全を支える基盤は労働条件をあることをきっちり主張し、引き続き労働条件改善をめざすことが大切です。

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JAL不当解雇撤回裁判原告団は6月17日、不当解雇を容認した東京高裁の不当判決を覆すため最高裁に上告して闘う決意を表明しました。客室乗務員原告71名とパイロット原告64名が上告の手続きをしました。裁判闘争は最高裁に舞台を移します。高裁判決の不当性を明らかにします。
 東京高裁では労働法学・倒産法学・会計学の学者や研究者が、地裁判決の理論的誤りを追及する意見書を提出しました。公正な裁判を求める要請署名は全国から35万筆、証人採用要請葉書も1・5万通に及びました。その結果、証人尋問や本人尋問・本人意見陳述が行われ、
 @解雇時点で人員削減目標は超過達成され解雇の必要性はなかった
 A更生手続き開始から解雇までの労使関係の推移のなかに信義則違反や不当労働行為が連鎖・集中し解雇の違法性が浮き彫りになった、ことが明らかにされました。これこそが高裁審理のハイライトでした。

 地裁判決後に組合が入手した会社の内部資料は、更生計画の求める人員削減目標が解雇時点で、パイロット110名、客室乗務員78名も超過達成していたことを明らかにしました。この資料を新たに証拠として提出し、人員削減目標未達成を理由に165名を解雇したことには全く根拠がないことを証明しました。会社はこれを争う証拠を提出せず、また具体的な数字を上げて反論することもしませんでした。会社が解雇の必要性を証明できなかった以上、解雇無効の判決が導き出されるのが当然の道筋でした。

 ところが高裁判決は、「原告側の証明の正確性に疑問がある」(客乗裁判判決)「当初示した人員削減目標の人数は確定的なものではない」(パイロット裁判判決)などと勝手に決めつけ、解雇を有効としました。「管財人に委ねられた合理的な経営判断」による解雇は正当というわけです。判決は管財人を司法の上に置き、訴訟手続きのルールも無視して大企業の前に、ひれ伏しました。

 高裁判決からはもうひとつ、決定的に重要な論点が抜け落ちています。
 日本航空では、更生手続き開始(2010年1月)から解雇(2010年12月)に至る労使関係の推移のなかで、解雇の違法を直接裏付ける信義則違反(同時に不当労働行為)が連鎖集中しました。
 2010年1月21日、管財人は8労組に「いきなり解雇はしない。希望退職のほか、一時帰休、ワークシェアなど雇用継続のための解雇回避策を講じる」と約束しました。当時は、一旦は3分の2に事業規模を縮小するものの、2〜3年後には事業規模の再拡大が予定されていました。ところが2010年9月27日、会社は突然「解雇」を言い出し、人選基準を提示しました。同日付のマル秘文書には、「雇用継続のための解雇回避策は一切講じない。希望退職募集に限る」との方針が明記されていました。対象者に機長組合や乗員組合・CCUの中心メンバーや組合員が集中して含まれていたことは、人選基準が労組対策であることを物語っていました。

 以来、会社は団交でこの方針に固執。労組からのワークシェアなどの解雇回避措置には、一切耳を傾けませんでした。解雇回避措置を約束しておきながら解雇手続きに入ると一切の協議を拒否する。まさに重大な信義則違反です。

 のみならず、解雇人選基準提示と同時に開始された希望退職募集は、基準に該当した組合員に自宅待機を命じ、その心理的圧力の下に個別に呼び出して退職を強制するもので、解雇回避策ではありません。労働契約上の信義則違反であり、団結の足元を崩す不当労働行為でした。そのうえ管財人は、労組が争議権確立投票を開始すると嘘の脅しで不法に介入妨害し、解雇を強行ました(東京都労委は不当労働行為と認定)。 これらの事実は高裁段階でリアルに証明されたにもかかわらず、東京高裁はこれを一切無視して解雇を丸ごと承認しました。
 原告135名は最高裁に上告して、「公正な審理を尽くして高裁判決を破棄すること」を求めます。これまで、国民支援共闘会議、支える会の全国の皆様には本当に力強いご支援を頂きました。これまでに築かれた、団結と運動は、必ず全面勝利解決の展望を開くことを確信しています。

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内田妙子客乗原告団長

 2012年3月30日に不当な判決を受けてから2年2カ月、今日のこの判決に望みをつないできました。
 5月21日に出された大飯原発差し止め判決は、私たちにとっては明るい判決となりました。しかし、高裁判決は一審の時の会社の主張を丸のみで使われた不当判決そのものです。
 大飯原発訴訟の裁判長が出した判断は、住民に寄り添った判決でした。しかし、私たちの高裁判決は何一つ、労働者に寄り添うことのない判断と判決内容になっています。不条理と不正義だらけで、本当に憤りでいっぱいです。更生計画、管財人万能主義一辺倒で出したものです。
 憲法76条では、裁判官はその良心に従い、憲法と法律に基づいて独立した判断をしなければならないと定めています。しかし、今回の判決はあまりにも管財人に偏りすぎて、そこしか見ないものになっている。まさに、憲法をじゅうりんする判決です。
 ILO(国際労働機関)の勧告が2回にわたりだされました。一次勧告では協議が十分になされてないと勧告され、2次勧告では大量の採用があることが指摘され、そうであるなら私たちとさらに協議すべきとしました。政労使の三者で出された勧告であるにもかかわらず、司法は本当に労働者の立場に何一つ立つことなく、判決を出しました。国際的に批判されることは間違いありません。
 解雇から3年5カ月、一審、二審とこれでもか、これでもかとひどい判決を受けてきました。私たちは裁判のなかで、事実と証拠に基づいて立証してきましが、裁判所は会社に対して重大な資料の提出を求めませんでした。
 私たちが出した証拠について裁判所は、「それでも足りない」「それでも足りない」といってきました。私たちがこれ以上どれだけの証拠と事実を出せば、裁判所は認めてくれるのでしょうか。

 私たちは、絶対にあきらめません。上告して、何としても職場復帰を果たすという決意をして、また今日から新たにがんばっていきます。

山口宏弥パイロット原告団長

 
今回の判決が意味することの第一に、更生会社(経営破たんして会社更生法を申請した会社)になった時点で労働者は「人間」から「モノ」になるということです。更生会社になったら、会社は勝手に何でもできてしまいます。
 この不当判決を許してしまえば、雇用全体に悪影響が広がってしまう。これを絶対に許さないために頑張ります。
 第二に、今回の判決は、歴史的な不当労働行為を無視して判断していることです。
 1965年の日本航空乗務員組合の三役の解雇から始まる、一貫した日本航空の分裂・差別、人を尊重しない、人を人と扱わない労務政策の中でやってきたひとつの形であると裁判で証拠を出して明らかにしてきました。49年前の解雇事件の際、ものがいえない職場になってしまいました。航空の安全は、現場の労働者がその基盤を支えています。モノをいう労働者、労働組合の排除は安全運航に直接影響します。このような観点からも、不当判決は許しがたい内容です。

 この裁判は客室乗務員、パイロットの原告団だけでは勝ちきれません。こんな不当判決を許すことは日本の労働者の誇りを傷つけられるということを全国に訴え広げてがんばります。
 日本航空の違法な首切りと、判決の不当性を全国に広げ、道理はわれわれにあるとみんなが確認を持ち、職場と世論と一緒にたたかって勝ち抜きたい。

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 世界153カ国690組合が加盟している国際運輸労連(ITF・組合員400万人)は6月10日、民間航空部会のブログでJAL不当解雇撤回裁判の高裁判決を掲載しました。

 ブログは、東京高裁が地裁判決を支持する判決を下す一方で、会社が経費削減で上げた利益で1820名の客室乗務員を採用しながら被解雇者の再雇用について労働組合との交渉を拒んでいることや、国際労働機関(ILO)結社の自由委員会の勧告を実施していないと述べています。日本航空キャビンクルーユニオン(CCU)の不当判決に対する声明が、「現在の安倍政権の政策に照らして労働者及び組合の権利が基本的に奪われ、重大な危機に直面しているのは明らかで、またそれは労働関係の法律を改正して日本を最もビジネスをしやすい国にすると首相が公言していることからも明らかである」「攻撃を加速するために用いられるこうした反動的な手段を阻止する決断をした。原告団及び日本の支持者は最高裁へ上告し、私たちのキャンペーンをさらに強化していくことを決意した」と述べていることも紹介しています。
 ITF民間航空のガブリエル・モチョ先任書記は、「日本航空が解雇する客室乗務員を選定するのに用いた基準は国際的に受け入れられている基準となっている原則に反している。特に、そこには年齢及び組合活動に基づいて解雇する客室乗務員を選定したという主張も含まれている。私たちはこれが明らかな差であり、ILO条約87号及び98号に明らかに違反していると考える。私たちはこれからも正義を求める日本の仲間の闘いを引き続き支援していく」と語っています。
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  日本航空に会社ごとつぶされ解雇された整備子会社の日東航空整備(日東整)の泉聖二さんと佐藤二郎さんの2名が解雇撤回と日航グループへの職場復帰を求める裁判は6月9日、東京地裁で結審しました。裁判では泉さん、佐藤さんが職場復帰を訴える意見陳述を行いました。
 意見陳述した泉さんは親会社の社員と一緒に新入社員教育を受け、日東整は日航の整備部門として運航会社と一体だったと述べました。
 JALが経営不振の中、日東整にも賃金カットや一時金ゼロを押し付けられました。その中でも整備技術でJALの安全を守っている誇りをもってがんばってきたとして、「整備作業に意識が高かった日東整を会社丸ごとつぶし全従業員とその家族を含めて切り捨てた日航経営のやり方は絶対にゆるせません」と訴えました。
 佐藤さんは、設立当初はミスが多かった日東整で、労働組合が安全問題を取り組む中、信頼を高めてきた。JALとJASが統合日航とする過程で、経営が組合活動に介入するようになったと語りました。
 佐藤さんは、母親の介護がたいへんな時に解雇され、家族に負担をかけていると訴え、「ものを言う労働組合があるというだけで会社ごとつぶした日航は許せない」と強調しました。 2年3カ月に及ぶ裁判で大西日航会長をはじめ8名の証人尋問が行われるなど、日航が整備子会社「日東整」を支配し、そして不当労働行為により日東整を排除・解散に追い込んだことを立証し、解雇の不当性を明らかにすることができました。
 判決は9月22日です。
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 日本航空乗員組合は今夏闘において、ライセンシーFE問題を一歩前進させることができました。山場を背景に「現在の計画よりも人員が逼迫した際の補完要員の一つに、8名のライセンシーFEを認める」との回答を引き出しました。これまで会社は8名の訓練再開については「終わったこと」として一切譲歩しませんでしたが、今夏闘の交渉で前向きな姿勢に転換させることができました。
 経営姿勢が変化した背景には乗員獲得競争による乗員不足のリスクが大きくなったことが挙げられます。具体的には、この3年半でJALグループから約220名のパイロットが流出し、路線の線拡大基調や機材更新、加齢乗員導入の検討開始によるものだと組合では分析しています。そしてなによりも、当該自身が訓練中断から4年という長い期間くじけることなく、粘り強く要求し続けたことが、この時間経過による、状況の変化を作り出したものと考えています。訓練再開の実現にはまだ越えなければならないハードルが残っていますが、早期訓練再開実現に向け、引き続き強い運動を進めていきます。
 この問題について、昨年末闘争の場の直前に開かれた運航本部との交渉の席上、運航本部長は「結果がどうなるかは分からないが、今後もう一度回します」と発言。また、組合からは「ライセンシーFEのJALグループ内でのパイロットとしての活用」を投げかけました。
 しかし春闘では一転「訓練再開の結論には至らなかった」「受け入れ先について、グループ内での前進はなかった」と後退。夏闘ではストライキ態勢を背景に追求するなかで「今中期計画中に、グループ内で一程度の乗員流出等により、必要数増が生じた場合」や「2017年度以降の乗員計画で必要数増が生じた場合」には訓練再開を含めた乗員補充の協議をするという認識を得ました。訓練再開を約束するものではありませんが、これまでの頑なな姿勢からは前進していると受け止め、ストライキは回避しました。

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 毎年大量の人員採用を続ける大手航空会社。日本航空が2010年1月の破綻後に採用した人数は1800人を超えました。全日空はこの4月から客室乗務員の契約制採用を正社員採用に改め採用競争力をつけたといわれていますが、この1年間で約800名を採用し、15年度4月にはさらに500名程度の採用を予定しています。
 他業務に比べ大量に採用し続ける理由について航空連の前田副議長(客室乗員担当)は「近年、航空各社は客室乗務員の稼働強化を進めてきました。勤務をはじめ労働条件が見直され働き続ける環境としては非常に働きづらくなっています。JALの客室乗務員の平均勤続年数は約10年ですが、ANAは約6年半と言われています。平均勤続年数は働きづらさの象徴ともいえます」

 客室乗務員の労働間は、拘束される勤務時間と実際に乗務する時間で組み立てられています。近年、稼働強化にあわせ乗務時間制限が見直され、ANAは月間100時間、JALは月間95時間に延長されました。

 あるベテラン客室乗務員は、「先日、若いCAと話していたら、月に90時間乗務すると、彼氏と逢いたいと思わないぐらい疲れる、と話していました。月間90時間の乗務時間を地上勤務者に例えるのは難しいのですが、国際線長距離路線は1泊3日の勤務で、乗務時間は往復で約20時間。休日は平均的に2日間ありますが、時差を抱えながら何かをするとなると身体を休めて次の乗務の備えることを優先せざるをえません」と話します。

 乗務中にほとんど休憩がとれないことも珍しくないといわれて久しい客室乗務員の職場で、健康で働き続け、普通に恋愛することも難しくなっているのが実情のようです。
 安倍首相の言葉を借りれば「普通を取り戻す」ことが喫緊の課題になっています。

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 第一次安倍政権時代に「残業代ゼロ法案」「過労死促進法」として世論の厳しい批判をあび断念した「ホワイトカラー・エグセンプション」。再度の導入をねらっています。

 政府の産業競争力会議における制度創設の基本的考え方は「労働時間ベースではなく、成果ベースの労働管理を基本(労働時間と報酬のリンクを外す)」としています。6月11日の関係閣僚会議では、対象を「年収1000万円以上」としています。しかし対象とする範囲の拡大は可能であり、経団連の榊原会長は「少なくとも全労働者の10%程度は適用を受けられるべき」と政府に求めています。産業競争会議の竹中慶応大学教授(人材派遣会社「パソナ」会長)は、「小さく生んで大きく育てる」と狙いをあけすけに語っています。

 労働基準法は、「1日8時間」「週40時間」を超えて働かせてはならないと定め、それを超えて働かせる場合や、深夜労働・休日労働には割増賃金の支払いを規定しています。政府・財界はこの規制をなくし、青天井で働かせようとしています。労働者の同意が必要としていますが、企業と労働者という圧倒的な力関係のなかで、同意を拒める状況にはありません。拒めるのであれば、サービス残業やブラック企業、過労死という問題は起きません。労働組合や過労死問題に取り組んでいる団体からは、強い反対の声が出されています。

 航空連は安倍首相と田村厚生労働大臣に、「残業代ゼロ・過労死促進の労働時間制度見直しなど、労働者保護ルールの『規制緩和』に反対する要請」書を6月11日に提出しました。

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