phoenix286号 PDF286


■主な記事から■

▼各社の熱中症対策を検証。グラハン連三役会議
▼客室乗務員の休憩時間を考える。労基法で決められた基準守られていますか
▼国土交通労組が航空政策セミナーを開催
▼JAL不当解雇撤回国民支援共闘共同代表のメッセージ
▼ITF主催フェデックス会議に日本代表が参加
▼那覇空港で第2滑走路建設始まる


航空安全会議は今年も5月から6月にかけて、国土交通省航空局と地方航空局、各空港事務所、気象庁、厚生労働省、運輸安全委員会などに対し、職場からの要望をまとめて作られた「民間航空の安全確保に関する要請書」に基づき交渉を行いました。
 安全管理体制(安全マネージメントシステム)の構築が法制化され、認定事業場およびすべての航空輸送事業者に義務づけられましたが、十分に機能しているとは言い難い状況があります。現場における不安全要素の改善要求は、まさに安全マネージメントを機能させる上で重要な項目であり、今年も交渉の場において現場の生の声を担当者に伝えました。


【航空行政】 無人航空機の軍事利用が世界的に進んでおり、日本でも米軍三沢基地にグローバルホークが配備されました。無人航空機が日本の領空を飛行する以上、民間機に対するニアミスなどの脅威が生じます。何らかの有効な法整備が必要との要請に対して航空局は、「無人航空機は現行の航空法枠内で対応可能」「米軍機に関しては日米地位協定により適用除外」とこれまでと同様の答弁でした。海外では民間機とのニアミスの報告もあり、放置できない課題です。早急に何らかの対応を行うよう求めました。

【航空機整備】
 疲労が溜まる深夜時間帯や長時間の連続勤務の結果、整備ミスが連続して発生しています。各社が運航効率を求め、整備作業計画を夜間に集中していることが業務の確実性、安全性を確保する上で問題になっています。国土交通省に、正常な業務遂行のため深夜の勤務を減らす指導を要請しました。航空局の答弁は「日中帯、夜間帯に関わらず必要な整備業務がなされていることを監査で確認している」でした。
米無人機に地位協定の壁


【空港】
 羽田空港RWY22に、視認性向上の一環として滑走路末端識別灯が設置されます。 羽田空港については、滑走路誤進入を誘発するレイアウトの改善を要請してきました。今回はレイアウトの変更に至らなかったものの、滑走路の視認性向上のため、RWY22に滑走路識別末端灯が設置されます。これまでは「設置基準にないものは設置できない」との答弁に終始していましたが、今回は基準に捕らわれることなく設置するとの回答でした。高く評価できます。羽田空港国際化により不慣れな外航機が増加する今後、その効果が期待されます。

【空域・管制】
 新千歳空港RWY19LにILS(精密進入)が設置されます。
 成田空港の進入経路において経路短縮やSTATが滑走路に接続されておらず、運航乗務員にとって負荷が大きいことを訴え、改善を要請してきました。航空局から「今後運航者を交えて検討していきたい」との回答がありました。予算の問題から一時的に凍結されていた新千歳空港RWY19LへのILS設置については、平成27年度に最終的な設置を行うよう予算請求しているとの答弁があり、設置に向けた動きが再開する見込みです。

【運航乗務員】

 航空局においても、米国・欧州での疲労リスク管理に関する乗務時間・勤務時間の科学的根拠に基づく基準見直しの動きは注目しているとの答弁でした。航空安全会議は長年にわたり疲労の問題を主張してきましたが、調査だけで終わらせることなく、新たな制限の作成まで粘り強く要請を継続していきます。

【客室乗務員】

 8つのドアのB787型機は、国際線では7名、国内線では6名の客室乗務員で運航しています。ドア数に満たない客室乗務員数では、緊急時にドア付近を視認できずに状況を把握できないケースや、旅客が勝手に使用不可のドアを開けてしまうことが懸念されています。航空局は、「製造者と製造国で客室乗務員は50人に1人で十分であるということが証明されている。非常時に必要な人員が確保されている」との認識でした。

【グランドハンドリング】

 ランプ内AED設置について、「羽田空港では工事関係者が入場しているので、空港事務所としても何らかの検討が必要」との回答がありました。羽田空港第一ターミナルの受託手荷物受取場において、旅客が手荷物を受け取らずに誤ってクリーンエリアから出てしまい出口から逆流して受け取りにくる問題について取り上げました。

【気象庁】

 雷警報の新設を要請しましたが、「発表する側だけでなく、警報を受け取る側の対応も含めた全体的なシステムの構築が必要で、気象庁のみで出来る問題ではない」との回答でした。これに対しては、「安全のための避難等のトリガーとなる気象情報を発表することになる気象庁が、特別警報と同等にシステム構築のために各関係機関に対しての働きかけを行って欲しい」と重ねて要請しました。航空気象観測業務の民間委託化については、現場からの観点での問題指摘を行いました。

【厚生労働省】
 運航乗務員の労災認定基準の策定を要請しています。いくら不規則であっても、拘束時間が長い勤務であっても、総合的に判断して勤務時間が「所定時間内」であるために労災の認定には至らないとの回答でした。ドクターヘリについては国としての予算も増額されることから、不十分ながらも一程度の評価できる答弁がありました。
【運輸安全委員会】
 JR福知山線脱線事故の調査情報が関係者に漏えいした問題により有識者会議が立ち上がり、運輸安全委員会の内部改革が「業務改善アクションプラン」という名称で実行されています。交渉の場では、委員会内での改革の進み具合について説明を受け、現在においても有識者会議の管理下にて改革が進められていることが確認できました。事故調査の問題については、2011年に帯広で発生した航空大学校訓練機事故の事故調査報告書について取り上げました。訓練機が「VFRで飛行していたにもかかわらず雲に入ってしまった理由」や「同機が自機の位置を誤認した点」については考察が不十分であるとして、同様の訓練を受けてきた乗員の視点から問題点を指摘しました。

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航空連グランドハンドリング労組連絡会(グラハン連)は7月21と22日の両日、東京都内で全国三役会議を開催しました。この1年間の運動総括と来期方針、未組織労働者の組織化、今後の政策課題などについて討論しました。参加者は16名。グラハン労働者を取り巻く状況について共有化を図りました。

 JAS新労組の本田委員長は、「夏場の機内は40度前後になる。機内清掃の現場はサウナ状態。各社の熱中症対策はどうか。命にかかわる問題だ」として、全体で取り組む必要性を強調しました。
 JGSグループ各労組からは休憩時間取得問題について、実態調査を基にした粘り強い交渉で改善させた成果が報告されました。また、労基署相談などを通して、始業直後や就業前の休憩時間が違法になることが再確認されました。
 JGS札幌労組の加藤執行委員は「冬期手当は今春闘で大きな期待があったが回答にはつながっていない。一方、経営の発言に変化も出ており、早期に要求を実現させたい。郵便貨物に関するイレギュラーが続いている。事故・イレギュラーの背景に人員不足がある。会社はいろいろ効率化を進めているが、問題も多い」と報告しました。
 大阪地連の平井事務局長は大阪でのSNWの活動報告や近畿地区でのJAL解雇争議の運動について報告。「グラハン労働者の一層の支援が必要」と強調しました。

 各労組の報告を踏まえ、職場実態やJAL解雇争議、経営課題とのかかわりについて掘り下げた討論が熱心に行われました。
 未組織労働者の組織化では、経営側の出方や各労組がかかえている現状の共有から始まり、率直な意見交換が行われました。「遠慮せず、まずは若年層への積極的なアプローチが拡大の第一歩」を再確認しました。国際線をめぐる視点の重要性や「グラハン労働者のあるべき働き方」の研究などについても検討課題と提起されました。グラハン労働者の低賃金・過密労働の実態から、グラハン企業のブラック化を指摘する声もあります。グラハン連は、労働者自身が日々の安全運航の担い手としてもっと誇りを持ち、その役割に相応しい賃金をはじめとした労働条件を求めていきます。
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 皆さんの職場は休憩がきちんと取れていますか。「休憩時間になってもなかなか休憩場所に行けない」という声も聞かれますが、客室乗務員(CA)の職場は休憩時間そのものがありません。
 理由は何だと思いますか。@もともと例外扱いの職場だからA客室乗務員は体力ありそうだからB休む場所がないから。どれも「×」。正解は、国内線と近距離国際線を運航するすべての航空会社が労働基準法を守ってないから。
 「え〜っ!?ホントはCAも休む時間をとらないといけないんだ!」と、客室乗務員からもビックリされそうです。そう、労働基準法第34条施行規則32条にはちゃんとそれが記載されています。
 もちろん例外もあります。6時間を超える長距離国際線は法律上「例外扱い」なので、やむなく上空でレスト(休息)をとっています。でも、国内線と近距離国際線では「休憩時間に相当する休み時間(みなし休憩)」を会社は客室乗務員に与えなくてはいけません。

 ここを少し説明しましょう。条文では、「休憩時間を与えることができないと認められる場合において、その勤務中に『停車時間』『折り返しによる待ち合わせ時間』その他の時間の合計が(中略)休憩時間(注:6時間を超える勤務では45分以上、8時間を超える勤務では1時間以上)に相当するときは、休憩時間を与えない事ができる」となっています。ちょっとわかりにくいですね。

 法律でいう「休憩時間」とは、事業所を離れられる全く自由な時間を言います。しかし、飛行機の到着と出発の間のインターバルで機体を離れることのできない客室乗務員は、いわゆる「休憩時間」が取れないので、インターバル中に「休憩時間に相当する休み時間(みなし休憩)」を取ること、となっているのです。

 「毎日きつい勤務でフラフラ…」と言っているあなた。さっそく法律を守るよう会社内や組合で取り組みませんか。労基署も味方になってくれますよ。

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 国土交通省で働く労働者を組織する国土交通労働組合は7月27日、東京都内で「第2回航空政策セミナー」を開催しました。セミナーでは、「LCCに関わる課題」と題して航空連の中川政策委員が基調講演し、その後、各分野から、「客室乗務員の勤務全般に関わる課題について」と題して航空安全会議・開副議長が、「沖縄の軍事空域に関わる課題について」と題して国土交通労働組合沖縄航空支部・鈴木書記次長が、「空域〜その問題と提言〜(官民航空労働者からの提言)」と題して国土交通労働組合航空部門・伊藤事務局長が、現状と課題について報告しました。

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最高裁で東京高裁の不当判決を覆すために、一層のご支援を訴えます。JAL不当解雇撤回国民支援共闘会議共同代表からのメッセージをご紹介します。

■全労連・大黒作治議長
 二つの東京高裁判決は新事実にふたをして、日本航空と管財人の言い分に輪をかけた、極めて不当で乱暴な判決です。
 高裁の結論は第一に、人員削減が超過達成されていたとする原告の主張は不正確とし、その一方で正確な数の認定はしていません。原告の主張は不正確と断定するのなら、被告側に証拠を出させて検証すべきです。
 第二に、裁判所が選任した管財人の判断は合理的であり、裁判所が認可した更生計画は正しいという前提に立っています。これは会社更生法を悪用し、解雇された労働者の人権や裁判を受ける権利さえも奪うものです。
 第三に、行き過ぎた人員削減でベテランを失い不安全事例が続発し、その後も離職者が後を絶たないという日本航空の深刻な実態から目をそらし、危険性に警鐘すら発しないという、安全軽視の姿勢は断罪されなければなりません。

 高裁は新たな証人尋問を行ったが、当初からまともな審理を行うつもりはなかったと言えます。

 原告は最高裁に上告しました。国民支援共闘会議は、原告団を励まし、さらに多くの国民の皆様に支援を訴えて活動を広げていきたいと思います。そして全国の争議団と連帯し、労働法制の改悪で解雇自由をねらう政策を許さない闘いと結合して、運動したいと思います。引き続き皆様の支援と連帯をお願い申し上げます。


■全労協・金澤壽議長
 この争議を国鉄闘争のように24年間もかけて解決させるわけにはいきません。裁判所には公正な判決、労働者救済のための判決を出してくれと要請をしたり、数度にわたる座り込みをしてきました。この解決に大きな影響力を持つ監督官庁に対しても、早期解決の指揮を要請してきました。
 しかし結果は、経営責任の免罪という残念なことになりました。これから最高裁で闘うことになるわけですが、これまで闘ってきた総括を振り返り、闘いを再構築することの必要性をこの集会で確信しました。35万筆の個人署名は大きな力となっていますが、当初の目標である100万筆をめざす取り組みを再度強化しなければなりません。同時に、支える会の会員拡大も行わなければなりません。

 安倍政権による労働法制の改悪が行われています。2000万人を超えたといわれる非正規労働者にとって労働法制の改悪は、ますます雇用の不安と生活の不安を生んでいます。そうしたところへの理解と運動も広げながらこの運動を展開して、世論の高まりを造らなければなりません。細かく行動計画を立てて、一日も早く原告団を職場に戻すために力を注がなければなりません。


 今年も原告団と支援共闘会議は、JALと京セラの株主総会宣伝行動に取り組みました。JAL株主総会では、発言しようとした山口・内田両原告団長の挙手を一切無視しました。京セラの株主総会では解雇撤回を求めた株主に山口社長は、「管財人が切った」と発言し、その直後に稲盛名誉会長が「解雇は裁判所が決めたこと。政府に頼まれ義侠心でオニギリ食って頑張ったんだ」と発言しました。相次ぐ経営トップの無責任発言は、解雇の不当性を裏付けるものです。

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国際運輸労連(ITF・世界154カ国700以上の労組加盟・組合員約460万人)主催のフェデックスミーティングが5月20・21日の両日、ロンドンのITF本部で開催され、日本からはフェデックス労組の赤坂委員長が参加しました。会議はグローバルデリバリーネットワーク企業(DHL・UPS・FDX・TNT・GENPOSTなど)の労働者の組織化や労働条件向上をめざすことを目的に開催。日本や韓国・フランスなど世界9カ国のフェデックスの労働組合代表が集まりました。
 会議はITFのアラン・クリフォードとデビット・ハンセン・ミルターのフェデックス分析プレゼンで始まり、各国代表の報告が続きました。プレゼンでは、米国フェデックスがアマゾンやウォルマートに依存しており、通販なしで生きていけない状況にあることや、3Dプリンターが発達すると物流に大きな変化が起きることなどが報告されました。
 各国からの報告では、組織率の状況やアウトソーシングの実態、ストライキを決行した際の経営側の対応策などが報告されました。また、秘密裏にしていた個人情報が経営側に漏れていたことや、成績が悪いことを理由に降格させられた実態、オーバータイムが支払われず休憩時間を短縮させようとする圧力があることも報告されました。韓国代表からは2000年のストライキを理由に執行部が解雇されことなどが報告されました。参会者からは、さまざまな闘いを教訓に、共同の取り組みや情報共有、ITを活用した情報発信などが提案され、次回の開催を確認し終了しました。

 「ITFにより初めてフェデックスで働く労働者の国際会議が開催されたことで、フェデックスが各国で行っている労務政策を知ることができた。労働法制がしっかりしている国ではフェデクスも悪さができないが、労働法制の弱い国では労働者いじめが行われていると感じた。労働者のフェデックスへの不満は共通するものがあり、今後フェデックスやITF全体で統一した行動をどのように構築していくかが課題と考えている。今後もITFと協力して日本の労働条件維持向上を図っていきたい」(赤坂委員長)

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多くの方々がリゾートや観光を目的に訪れる沖縄。その玄関口、那覇空港の現状をお伝えします。
 那覇空港は沖縄の玄関口として国内外を結ぶ拠点空港であるとともに、県内離島と沖縄本島を結ぶハブ空港としても重要な役割を担っています。生活物資の輸送や農水産物の出荷等を通じて沖縄県の経済を支える重要な社会基盤でもあります。滑走路1本の空港としては国内2番目の利用度(2012年度)にあり、観光シーズンを中心に増便がなされてはいるものの、希望する便の予約が取れない混雑が生じることもあります。2012年10月にはLCC専用ターミナルが開業。今年2月には新国際線ターミナルビルが開業し、利用度はさらに増します。
 旺盛な需要に適切に対応することと、将来的に国内外の航空ネットワークにおける拠点性を発揮することを目的とし、今年3月1日に第二滑走路着工式が行われました。工期は5年10カ月。護岸工事、埋立工事、舗装工事、進入灯工事(空港施設工)を経て2020年春の供用開始をめざしています。安全で快適に利用できる空港をと願っています。

 現在の那覇空港は便の増加や自衛隊との共同利用、米軍基地などの関係で混雑しており、時間帯によっては遅延が慢性的になっています。潜在的な不安全要素も増加しています。PARアプローチ中に強い降雨があり、レーダーロストで進入復行を行う航空機が多くみられるときもあります。ILS進入があればこのような事態も回避できるのにと、新滑走路への期待に思いを馳せました。

 問題点をひとつでも多く改善しより良い空港となるよう、沖縄支部としても、ユーザー側の意見を行政当局にしっかりと伝える必要があるとあらためて感じています。

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