phoenix287号 PDF287


■主な記事から■
▼東京地裁、JAL再建下で行われた管財人らの不当労働行為を認定
▼客室乗務員はつらい。感情を押し殺し業務を遂行
▼JAL不当解雇撤回裁判、より大きな運動で最高裁で逆転勝訴必ず
▼米航空会社が第2四半期好業績あげる
▼最賃引上げで浮き彫りになったグラハンの低賃金
▼鹿児島安全集会、海上保安庁の航空機運用を学ぶ



 大会には日本からはITF加盟の労組代表が参加。航空からは日航キャビンクルーユニオン(CCU)、航空連合、航空連(オブザーバー)の各代表が参加しました。大会は10日の開会式に始まり11日には全体会議。12日から14日は民間航空や港湾・船員などの各専門部会総会を開催。15日には専門部会総会を踏まえた全体会議が開催され16日に閉幕しました。大会では、日本から参加した糸谷全国港湾委員長が、JAL不当解雇撤回争議に対する連帯スピーチをしました。
 民間航空部会総会では、CCUが提出したJAL不当解雇撤回に向けた以下の緊急動議が採択されました。

 緊急動議は、@84名の客室乗務員と81名の運航乗務員が解雇され、解雇無効を求め東京地裁、次いで東京高裁にそれぞれ訴訟を起こしたことを認識する。東京高裁が東京地裁判決を支持し、解雇は有効との判決を下したことにも留意する。
 A東京高裁が2012年6月並びに2013年10月に出されたILO勧告について客乗判決では一切触れず、乗員裁判で「何らかの具体的措置を我が国の国家機関に要請するものではなく、労働組合において中心的役割を担ってきた者を解雇してはならないという内容のものとはいえない」と述べていることに留意する。
 BJALの当時の最高経営者が「経営上解雇の必要がなかった」と証言し、「人員削減目標を達成していた」との被解雇者側の立証の当否が明らかにされないままに、裁判所が更生計画を根拠に解雇有効との判決を下したことに留意する。
 C人員削減策に関し裁判所による十分な証拠調べが尽くされず、事実認定を誤るような場合には、労働者の基本的権利が侵害され損なわれる可能性があることを憂慮する。
 D裁判所が整理解雇基準として「年齢」と「病歴を合理的と判断したことについて留意する。
 E被解雇者のなかに現職委員長及び労働組合活動家が含まれ、実質的に労働組合の弱体化を招いていることに憂慮する。
 FILO結社の自由委員会から日本政府に対して「会社と労働組合が復職について交渉をするよう指導する」勧告を出されていることに留意する。
 G不当解雇以降1820名の客室乗務員を採用し、現在新人パイロットの公募を開始する一方、被解雇者の職場復帰にむけた労働組合との交渉が実質的に行われないことに留意する。
 H大会は日本政府に対してはILO勧告の履行を、JALに対しては早期全員の復職を求める被解雇者の闘いを引き続き支援することを決議する。

 世界大会に参加したCCU代表の内田妙子さん(JAL不当解雇撤回裁判客乗原告団長)は大会参加と航空連加盟承認の成果を語ります。

 
 「4年に1回開催される43回目の世界大会は、これまでで最大規模の約1800名の参加者。全体会議、各部門会議とも大変活発な議論が交わされた、熱気あふれた大会でした。私は、JAL不当解雇撤回闘争をアピールし、世界のITFの支援を求める緊急動議採択という重要な任務を背負って参加しました。大規模な参加者と忙しいスケジュールのなかで任務を果たせるか不安もありましたが、開会式前にILOガイ・ライダー事務局長と懇談できたことや、大会開催中に4回(全体会議初日と最終日・民間航空部会総会・女性委員会)もスピーチできたことは大変ラッキーでした。スピーチのたびに大きな拍手と、連帯と支援の声かけがあり、感激のし続けでした。日本から持参の英字の横断幕には心のこもった署名がギッシリつまっています。肌で感じた世界の労働者との連帯や、成果を今後の解雇撤回の活動に生かしていきたい」

 
航空連の近村議長も決意を語ります。

 「ITF加盟が承認されたちょうどそのとき、私たちはILOのガイ・ライダー事務局長と面談をしていました。その直後にITF東京事務所の瀧代表から、加盟申請が承認されたとの知らせが届きました。その後コットン書記長はじめITFの役員の方々や、航空連とは組合アライアンスを結んでいる米国のIAM副議長であり、ITF執行委員でもあるパントーヤ氏をはじめとしたIAMメンバーから一様に祝福の言葉をいただきました。なかでも今世界大会でITFを引退するコックロフト前書記長は、『ついに、ついに、ついに、この日がきましたね』と、わがことのように喜んでもらえたのは大変印象的でした。ITF今世界大会のテーマは『グローバル危機からグローバル正義へ:交通運輸労働者の反撃!』となっています。グローバルな労働者の連帯を築くことが運動方針の中心となっています。これからは、ITFの活動は航空連の運動のあらゆる分野とつながりを持つことになります。これを支える体制をみんなで築いていきたい」

287 TOPへ




東京地裁 東京都労働委員会が、日本航空が整理解雇を強行する過程で、当時の管財人らが「争議権を確立した場合それを撤回するまで3500億円の出資をすることは出来ない」と労働組合を恫喝し、争議権投票を妨害したことは不当労働行為と認定(2011年8月3日)した事件で、日本航空が不当労働行為認定取り消しを求めた裁判の判決が8月28日、東京地裁でありました。判決は、日本航空の訴えを棄却する決定を下しました。判決によって日本航空は、東京都労働委員会(都労委)に続き東京地裁でも不当労働労行為を認定されたことになります。

 この裁判では、今年1月に証人尋問が行われ、「スト権を確立したら3500億円は出資しない」などの恫喝発言をした企業再生支援機構の飯塚ディレクター(弁護士)と加藤管財人代理(弁護士)に対する証人尋問が行われ、飯塚ディレクターは当初「支援機構の見解を説明しただけ」と語りましたが、企業再生支援機構の意思決定機関である企業再生支援委員会では、出資取り消しの可否について「決定も検討もされてない」と証言しました。管財人代理らは、支援機構が決定も検討もしていないものを「支援機構の見解」として組合に提示していたことになります。尋問のなかでは、執行部と説明されていた管財人統括は、出資可否の意思決定にかかわってはいけない人物であることも明らかになりました。加藤管財人代理は、「裁判官はスト権が確立しても認可しないと発言はしていない」と認めました。恫喝発言が組合活動を妨害するためのものだったことが、証人尋問でも明確になっていました。


287 TOPへ


 飛行機が到着し、機内準備がひと段落してふとギャレイを見ると、新人のA子さんが名刺大の紙に一生懸命何かを書いています。何枚か書き溜めるとそれを持ってお客様の席に行き、お渡して頭を下げています。
 ベテランCA (新人CAに)「何かありましたか」
 新人CA 「破たんした会社なのに選んでご搭乗頂き感謝の気持ちを伝えたかった。この様なメッセージをお渡しするのも一案と訓練所で教官が仰っていましたので」
 ベテランCA 「破たん後の入社で破たんに責任はないのに本当に偉いわね」「訓練所で言われなかったらどうしましたか」
 新人CA 「わかりません」
 ベテランCA 「お客様は実に敏感でサービスする側の本心を見抜きます。少しでも気持ちの中に虚構があるとそのサービスは受け入れてもらえません。で、如何するかというと別人格を自分の中に入れるのね。お客様の目の前にいる私は自分の感情を決して表には出さず常に礼儀正しく明朗快活にふるまい相手の言い分をじっくり聴き的確な対応サービスを提供する人格。客室乗務員の仕事が感情労働と言われる所以はそこにあってそれを周りの人が見ているなかで行うのでアクター(役者)に似ている。その場合の注意点は、『その行為を行う自分は本当の自分ではない』ということを意識しておくこと。そうでないとメンタルバランスを崩しかねない」
 新人CA (目を輝かせ)「目からうろこです。もっと話を聞きたいし自分でも勉強してみたい」

 感情労働という言葉があります。「相手(=顧客)に特定の精神状態を創り出すために、自分の感情を誘発したり、逆に抑圧したりすることを職務にする、精神と感情の協調作業を基調とする労働」。日赤看護大学の武井麻子教授は「会社などから管理・指導され、自分の感情を加工することによって相手の感情に働きかける職務」と解説します。本来の感情を押し殺して業務を遂行することを求められる仕事のことです。

 感情労働に従事する職種としては客室乗務員が典型とされていましたがホテルのドアマン、銀行店舗の案内係などのサービス業も感情労働に該当します。最近では看護師などの医療職、介護士などの介護職、コールセンターのヘルプデスク、官公庁や企業の広報、苦情処理、顧客対応セクション、マスメディアの読者や視聴者応答部門なども幅広く注目されるようになり、メンタルヘルスの分野で課題として、社会問題に提起されマスコミでも取り上げられています。

 非正規雇用の拡大に伴い、派遣労働や業務委託・アルバイトなどが企業の窓口として顧客へのサポートや謝罪などに従事させられるという、不合理・矛盾・弊害が指摘されています。会社の管理や思惑で若い世代をマインドコントロールするのはブラック企業だけではありません。自分の働く職場にもその片鱗がないか、点検していくことはとても大切なことです。

287 TOPへ


  東京高裁6月、日本航空が行った整理解雇を有効と認める判決を出しました。裁判で原告団は、必要性のない解雇であったことを会社資料から立証しましたが、裁判所はその真偽を会社に求めないという裁判の基本ルールを無視してまで解雇を有効としました。この判決は、解雇後4年が過ぎた原告たちにとって、憲法で保障されている個人の尊厳、法の下の平等、生存する権利、働く権利、労働者が団結する権利、そして裁判を受ける権利を踏みにじるまったく不当なものです。「不当判決を放置していては、労働者は安心して働くことができない」「首切り自由の国になってしまいかねない」などの声が全国から寄せられています。
 現在、日本航空の職場は人員不足が著しく、長時間勤務や年休が満足に取れない状況にあります。不安全事例も後を絶ちません。整備の職場では昨年から整備ミスが続いたため、今年3月には重整備を5日間ストップさせて安全点検をしました。客室の職場でも、緊急脱出用シュートが開く事例やサービスカートの転倒などの不安全事例が後を絶っていません。「ベテランがいなくなり、安全に対して意見を言う人がいない」「きつい勤務と管理強化で疲労困ぱい。安全に自信が持てない」などの不安の声が上がっています。

 現在原告団は、上告審に向けて準備を進めています。上告審には「上告の提起」と「上告受理の申し立て」の2つの種類(※)があり、その両方の書面作成を行っています。
 あわせて原告団は、高裁で握りつぶされた事実や裁判官の怠慢、企業との親密な関係などを社会的に明らかにする大きな運動を計画しています。
 署名へ取り組みや集会への参加などを、引き続き訴えています。※
 上告の提起‥憲法違反又は法律に定められた訴訟手続に関して重大な違反があることを理由とする場合。

 上告受理の申立て‥高等裁判所の判決に最高裁判所の判例と相反する判断がある場合やその他の法令の解釈に関する重要な事項を含むものと認められる場合。

 ◇

 JAL原告団の解雇撤回を求める取り組みは、最高裁判所前でも始まりました。7月、8月の宣伝行動では、40名の支援者、原告が集まりました。最高裁に向けて、高裁判決の誤りをただし、憲法に立脚した人間の尊厳、労働者の権利を守れとアピールしました。また9月は4回の要請行動も予定されており、多くの方々の支援が求められています。


◆全国キャラバンのお知らせ

 JAL原告団の活動を支援するキャラバン隊が全国各地で計画されています。今回は、9月17日から兵庫の姫路駅前宣伝と安全シンポジウムからスタートします。翌18日には大阪地区の各駅前宣伝と政党、航空局などへの要請行動も行われます。その後、和歌山、奈良、京都、滋賀を回り、9月27日に東海地区へバトンをタッチする予定です。

 上告審で闘う原告団の声を全国に広げ、一日も早く職場に戻る重要な活動となっています。

287 TOPへ


 米系航空会社の第2四半期の業績が過去最高規模の業績を上げているようです。
 報道によると、昨年12月にUSエアウェイズと合併したアメリカン航空が自社年金への拠出額の拡大や1980年以来初めてとなる株主への四半期配当を決定しました。昨年デルタ航空が配当の更新や株式の買戻しを行ったのに続き、アメリカン航空やユナイテッド航空も10億ドルの株式買戻しを明らかにしました。

 アメリカン航空のパーカー社長は、「約8か月前には破産状態にあったことが信じ難いほどに、我々は今日、過去最高の四半期利益を計上し、負債を削減し、年金への拠出額を拡大し、配当を株主に還元を発表することができた」と語りました。

 ジェットブルー航空、アラスカ航空、サウスウェスト航空も第2四半期に好調な業績を上げています。

 航空アナリストは、「先週の米系航空各社による好調な業績報告は、航空各社がこうした高い利益を生みだすような高い運賃を消費者が喜んで支払っているということの表れである。そんな状況で航空企業が値下げしようと思うだろうか?

 彼らは収入と利益との両方を最適化しようとしているのだろう。」
 エアライン レポーティング社によると、昨年消費者が支払った国内往復航空運賃に支払ったコストは2010年の第1四半期に比べ平均で88ドル以上増加しており、また、アイデイアワークス社によると、昨年消費者が手荷物料金や機内飲食料金、マイレージ関連料金などのいわゆる付帯料金として支払ったコストは2007年に比べ平均で9ドル多く支払っているとのことです。

 最近の航空運賃の高騰が続く傾向のもう一つの原因には航空企業間の統合の増加があり、こうした傾向が競争性を低下させ、運賃の高止まりをもたらしているとも言われています。

 こうした好決算の一方で、日本国内では米系航空会社で人員削減が提案されています。

287 TOPへ


 厚生労働省の諮問機関、中央最低賃金審議会の小委員会が2014年度の地域別最低賃金について、全国平均で時給16円増の780円とする目安をまとめました。各都道府県の上げ幅の目安は13円〜19円としています。これにより、最低賃金で働いた場合の手取り収入が生活保護を下回る、逆転現象が起きている5都道県すべてで逆転が解消されるとのことです。とはいえ、生活環境は消費増税や物価高で厳しく、満足できる水準ではありません。

 航空連・グランドハンドリング労組連絡会(グラハン連)調査によると、「近年の生き残りや競争激化を理由にした労働条件引き下げにより、グランドハンドリング労働者の賃金はワーキングプアと言われる水準まで引き下げられている」といいます。JALグループのグラハン会社の初任給を時給換算すると、13年度は東京都の最低賃金(時給)をわずか2円上回っただけでした。あるグラハン労働者は、「入社10年目になるが、ようやく時給が1000円を超えた」と話します。「賃金が手当類を含めた給与体系になっているため、自分の基本給を認識していない労働者もいる。手当を除いた賃金が最低賃金を下回っている実態も報告されている」(グラハン連事務局)。

 JALグループのグラハン会社ではこの4月から時間短縮が行われました。それにより時給単価も引き上がりました。しかし最低賃金引き上げとの関係でみるならば、最低賃金ギリギリの水準は依然として変わらないことになります。
 最低賃金が引き上げられたとはいえ、それで人間らしく生活ができるかといえば、それには到底及ばない水準です。賃金底上げを求める働く側の期待に応えたものにはなっていません。
 グラハン連は、グランドハンドリングで働く最低時給を1000円以上にするよう取り組んでいます。

287 TOPへ


 航空安全会議鹿児島支部は7月28日、鹿児島空港国内線ターミナルビル3階エアポートホールにて、「空の安全を守る航空労働者の集い・安全集会2014」を開催しました。

 今回の集会は、海上保安庁の航空機運用にスポットをあてました。
 講師は、鹿児島空港をベースとする第10管区海上保安部鹿児島航空基地より業務統括管理官の日野芳則さんをお招きし、「海上保安庁における航空機運用と安全対策について」との題目で講演をしていただきました。
 海上保安庁での航空機運用では、民間航空会社の「危険に近づかない」という鉄則が、業務内容の特殊性から必ずしも適用できない点に難しさがあります。海上保安庁では民間航空会社でいう「利益」を「業務の遂行による成果」と捉え、安全と「利益」=「業務遂行による成果」のバランスをとることで航空機のオペレーションの最適化を図っているようです。
 また、我々にも馴染み深いCRMの定着を目指して啓発活動を行い、継続した安全意識の醸成に取り組んでいます。
 我々民間航空会社より更に厳しい環境下での航空機運用に関する考え方や実情を伺うことができ、その相違点や類似点から、各人が安全運航を再度考える契機となりました。

 第10管区海上保安本部は、日本全国11の管区に分けた海上保安庁の組織の一つで、鹿児島、熊本及び宮崎の3県とその周辺海域を管轄区域とし、南九州周辺から東シナ海に及ぶ南北約700キロメートル、東西約1000キロメートルの広大な海域を担当しています。

287 TOPへ

ページ先頭へ 前へ 次へ ページ末尾へ