phoenix290号 PDF290


■主な記事から■

▼「劣化するグランドハンドリング」下―フライトに合わせた細切れ労働
▼こんなのあり!?稼働一辺倒では壊れてしまう
▼人事評価、不満があったら苦情申し立てを
▼秋の京都に響き渡る「JAL解雇撤回」の声
▼安倍政権の2年間を問う衆院議員選挙。12月14日は投票に行こう
  

JAL・ANAの中間決算は好調なものでした。営業収入は、全日空は過去最高となる前年同期比9・1%増加の8548億円。日本航空も前年同期比3・7%増の6837億円となり、4期連続で中間期に通期営業利益を上方修正しました。好調な企業業績を背景に年末闘争は取り組まれました。

一時金交渉の中心はJALグループ各労組とNAFCO労組です。日本航空は夏(2・2ヵ月)以上を求める強い職場世論に2・4ヵ月の回答。JALFIO要求(2・3カ月)を上回る回答となりました。NAFCOでは2・75ヵ月+2・5万円+1・95万円の回答が出されました。 
 日航乗組の闘いで現行賃金制度の固定給を厚くする内容に改定させた日航乗員の賃金。当初は4月賃金改定としていましたが、会社が機長を争議権対象から外すよう圧力をかけ改定を6月に遅らせていた問題では、不当労働行為として第三者機関への訴えも辞さずとの交渉のなか、日航経営は4月改定として、あわせて遅らせたことへの謝罪と遡及を引出しました。注目されたライセンシー8名の訓練再開については、「過去の経緯にはこだわらない」ことを確認しました。JAL・JEX統合に伴う機長養成のセニョリティー問題では別途協議の場を設けることを約束させました。

 CCU(日航キャビンクルーユニオン)では、強い要求だったB787の編成増でCクラスの増員を勝ち取りました。

 日航ユニオンは、施設設備関係の下期予算に1・5億円の増額と担当組織の増員、職場要望125件中95件の実施を決めたとの発言を引出しました。

 JGS大阪労組は、器材やロードマスターと誘導業務兼務問題、人員問題で前向きな発言を引出しました。

 NAFCO労組は、制限区域深夜作業手当新設(750円/日)の回答を勝ち取りました。

 JGS札幌の冬期手当は「少しでも早くできるよう今後も取り組む」(会社発言)に止まり、具体的回答を引き出すには至りませんでしたが、JGSグループ各社での労使交渉に加え、日航内の労使交渉や植木日航社長が出席する経営協議会の場でも追及することができました。冬期手当はJGS経営の懸案課題にとどまらず、JAL経営の認識にもなっています。要求実現に向けさらに大きな連帯と運動が求められます。

 今年末闘争の特徴のひとつに、日航乗組とCCUがJAL不当解雇撤回を掲げ山場にストライキで臨んだことが挙げられます。この運動に呼応し、JALグループ各労組が全体として山場にストライキ方針で臨んだことは、経営破たんにより守勢を余儀なくされた流れが、職場要求の実現に向けた運動の積み重ねによって、攻勢的運動へと転換したと言えます。

 しかし、破たんを機に労働強化された職場状況からすれば、まだまだ納得できる水準ではありません。改悪された職場改善は喫緊の課題です。

 労働条件は安全を支える基盤です。職場の安全、働く者のモチベーションを引き上げるためにも、労働条件引き下げに歯止めをかけ、手を緩めることなく15春闘に向け継続して闘っていくことが重要です。

 世界の運輸労働者を組織する国際運輸労連(ITF)の民間航空部会は11月13・14日の両日、ロンドンのITF本部でグランドスタッフ委員会とスイスポートミーティング及びMRO(航空機整備・修理・オーバーオール)ミーティングを開きました。


 グランドスタッフ委員会には世界各国から50名が参加。航空連からは近村議長と島田幹事・菊池顧問・岩田国際活動委員が、航空連合からは島副事務局長と中山副事務局長が参加しました。
 グランドスタッフ委員会は航空連のITF正式加盟後、最初の会議となりました。近村議長は発言の冒頭、加盟承認とJAL不当解雇撤回闘争への支援への感謝とお礼を述べました。
 「航空連は8月の第43回ITF世界大会に先立ち開催された執行委員会でITF加盟を承認されました。ITFの正式メンバーとして皆様にご挨拶できることを大変うれしく思います」「JAL不当解雇撤回闘争に対する皆様のこれまでの支援に航空連議長として、また裁判を闘っている原告の一人として、この場をお借りしてお礼申し上げますとともに、引き続きご支援をお願い申し上げます」
 議長は引き続き、航空連が1985年9月に結成され来年で30周年を迎えること、パイロットやキャビンクルー・整備士・グランドハンドラーなどの労働者を組織していること、航空連には日本乗員組合連絡会議(日乗連ALPA Japan)が主要なメンバーになっていることなどを紹介。「航空連には幅広い労働者層と経験があり、航空産業とそこで働く人々に対する豊富な情報源を持っています。このことは航空政策を作り上げるうえでの強みとなっています。今の時代はより包括的で、先見性のある物の見方に基づいた政策が求められています。航空労働者間の連帯を強化して、国際分野での航空産業とそこで働く労働者を守ることも重要です。私たちは多少なりともそのような国際運動のお手伝いができることを真に願っております」と挨拶を締め括りました。

同委員会では昨年の委員会報告書の採択、スイスポート及びMROミーティングについての報告が行われました。8月に開催された第43回世界大会で採択された決議「15‐18年の作業計画」や第16回グランドハンドリング国際会議、第12回ICAO航空運輸規制パネルミーティングも報告されました。
 14日にはスイスポートミーティング及びMROミーティングが個別に開催されました。島田幹事からは、日本のグランドハンドリングの現状について、日本航空と全日空のそれぞれの100%子会社が成田空港や羽田空港でグランドハンドリングを実施している状況や独立系企業の特徴について報告されました。日本でのスイスポートジャパンの現状については、「資本金5000万円、従業員総数は667人。関西国際空港には326人、中部国際空港には166人、成田国際空港には161人を配置している。2013年の売上高は50億円。関空に配置されている従業員の一部は組織化されている」と報告しました。

 各国の参加者からは、会社統合や合併の際に従業員が新会社に移転できていない問題や入札問題やサービスの競争ではなく低料金の競争になっている実態(カナダ)、業者の国籍・国レベルでの組織化の重要性(ドイツ)、契約が更新される毎に賃金・労働条件が低下している、ターンアラウンドでの作業が厳しくなっている(グアテマラ、アルゼンチン)などが報告されました。
 グランドスタッフ委員会のエドガルド・リャノ議長(アルゼンチン航空従業員組合)は、「(航空連が)ITFファミリーに入られたことを歓迎します。皆様のこの不当解雇の裁判で私たちもできるだけの支援をしたいと思っています。この委員会でもこのようなことが二度と起きないよう努力していきたい」「組合あるいは労働者との協議に関心のない会社が多い、労働者を犠牲にして成功を図ろうとする会社にどう対応するのかが課題」と語りました。

 初の国際会議参加となった島田幹事は、「同時通訳はありましたが、少しわかりにくく、理解にてこずりました。しかし作業内容を聞くと、国は違えど同じような状況下で働いていることがわかりました。スイスポートについては、各国の進出の状況を把握することができました。労働者を保護する法律のある国では安いコストだけではシェアを拡大できません。労働者を守るためには組織化が展望につながることをあらためて確信しました。ITFはそのための準備も進めています。労働運動の原点は組織拡大にあることを再確認しました」と感想を語ります。

290 TOPへ


 成田空港でグラハン業務を行うA社は、海外エアラインとの契約解除による収入減を理由に、契約社員の契約更新を行わないことにしました。現場には人員不足がしわ寄せされます。「契約社員の穴埋めのため月1回は休出になる」と労働者は話します。
 成田空港では、運航会社の幹部社員が退職後に立ち上げた会社がいくつかあります。貨物の荷役業務や旅客関係業務、航空機の整備補助業務など多岐にわたります。現役時代の人脈を使い業務を受託しますが、内情は厳しく、そこで働く労働者の働き方もすさまじいものがあります。
 貨物上屋で荷役作業を行うB社は、航空貨物の仕事が減ると航空外に仕事を求めていきます。採用された労働者は航空業界で働けると思っていたものの、現実の違いに戸惑うようです。
 スカイネットワーク(SNW)成田支部の高木書記長は「新規に設立された会社は航空業界のニッチ産業といえる。そこで働く労働者の働き方は、フライトに合わせた細切れ労働になっている。これでは労働者のスキルは上がらない。今は退職したベテランを採用して仕事をこなしているが、5年、10年先を考えたら、スキル向上を図れない企業は行き詰まるのではないか」と話します。

 グラハン会社は、運航会社からの契約引き下げにより有期社員の採用を増やしていますが、低賃金や労働時間などを理由に退職が後を絶ちません。

 全日系のグラハン会社では約400名の契約社員が働いています。社員登用制度があっても応募は期待されるほど多くないと言われています。社員になることで賃金が下がることが理由のようです。

 成田空港でJALのグラハン業務を行うJGS東京。機内クリーニングの現場では多くの有期社員が働いています。ベテラン労働者は「7名編成で機内クリーニングを行っているが4名が有期社員。外国人も多く4、5カ国の人たちが働いている。コミュニケーションをとるのも大変。車両の資格者が休みを取れば車両を移動させるのも一苦労」と話します。

 JGS東京労組によれば、4月〜9月に羽田空港で採用した有期社員の3分の2が退職したとの。人員を安定的に確保できない状況は社員の意欲低下につながりかねないと指摘します。

 「各社は利益追求の一方で、際限なくコスト削減を進めています。労働者の不満を削ぐために意識改革教育を進めていますが、労働者の置かれた実態とのギャップは広がるばかりです。運航の安全に大きく寄与するグラハン労働者を軽視すれば、そのツケを経営者自らが負うことになることを認識すべきです」(グラハン連事務局)


 「劣化するグランドハンドリング」は適宜掲載していきます。みなさまからの情報提供をお願いいたします。

劣化するグランドハンドリング 上 は こちら 

290 TOPへ


全日空では今年度から客室乗務員(CA)を正社員採用に切り替えました。これまでは日本航空同様、1年契約を3年間続けてようやく正社員になるシステムでした。契約制客室乗務員も順次、正社員に切り替えられました。しかしそのときに聞いた契約制CAの声は「正社員になったら勤務がきつくなる。今でも激務なのに」「正社員になったらマネージメントの習熟に入り、それがずっと続き仕事に追われる」という複雑なものでした。手放しで歓迎、というわけではないようです。 もともと全日空の平均勤続年数はわずか6年半。日本航空は10年を超えています。全日空のスケジュールを日本航空のCAに見せると「こんなのあり!?」と驚かれます。休日の固定はあるもののその勤務実態は、国内線1泊2日の翌日(3日目)からパリ2泊4日のフライト(6連続パターン)。また、国際線往復乗務が続くなど、限界を超えるスケジュールパターンとなっています(別表)。

 CAの月間乗務時間制限は全日空100時間、日本航空95時間となっています。1995年当時は全日空も90時間制限でした。日本航空は06年までは月間85時間でした。両社とも月間10時間も乗務時間制限が引き上げられ、年間では100時間以上も稼働がアップしています。
 客乗連絡会は、CAの乗務時間制限を、当面EU並みの年間900時間にするよう航空局に働きかけています。労働基準法34条施行規則32条で、国内線と近距離国際線は8時間を超える勤務の場合は1時間、6時間を超える勤務では45分の休憩を付与しなければなりません。使い捨てではなく人間らしく働ける勤務にしていくため、取り組みを強めたいと考えています。

290 TOPへ


 今回は給料や昇進などの処遇を決定する、人事考課制度についての話です。某航空会社に勤めるAさんは、今年の給与の通知で4000円のマイナスとなっていたので不思議に思い上司に確認したところ、「あなたは、人事考課査定で最下位評価のEだった」と説明されました。
 Bさんは考課査定の内容には大いに不満でした。減給だけではなかったので人事賃金制度の内容を詳しく調べてみると、制度の中には、「一般職は2回連続者を等級見直しの対象者とする」と書いてありました。最下位の評価が2年連続となれば、下位給職に降格されることになり、さらに賃金が下がることが分かったのです。Bさんは、来年の人事考課ではどんな査定がされるのか、不安な毎日を過ごしています。
 こうした事例はBさんだけにとどまりません。航空関連に勤めるCさんは、3年連続最下位の考課査定だったために、一段下の級職に降格され4万円もの大幅な賃金ダウンになりました。

 こうした、考課査定の評価によって、賃金切り下げや降格が出来るのは、能力主義賃金とか成果主義賃金といわれる人事賃金制度によるものですが、この賃金制度の弊害は査定が最下位の労動者だけに止まりません。査定が「普通評価」なら安心か、というとそうでもありません。制度は、最上位のAを連続して取らなければ昇進・昇格はできず、普通評価では賃金は頭打ちになり上がりません。低い賃金のまま定年まで働かされることになる仕組みになっています。

 人事評価に問題や不満があれば労働組合を通して伝えることもあれば、苦情処理制度やフィードバックの面談などにおいて申し立てることが唯一の手段となります。社内の再調査では「人事考課は適正に行われた」といった回答がなされることもありますが、最大に活用することも大事です。

290 TOPへ


JAL不当解雇撤回裁判の原告団は11月も勢力的に全国を回り各地で、訴えました。

 10日は京都市左京区の国立国際会館前での宣伝行動。この日は同会館で稲盛財団による京都賞授賞式が行われました。この行動には京都支援共闘会議や京都総評をはじめ各団体の皆さんと7人の原告団が参加。「不当解雇を撤回せよ」と訴えながら、授賞式に参加する人たちにビラを配りました。その後要請団を結成し、京セラに「稲盛会長は発言に責任を持ち争議の解決を」との申し入れを行いました。
 今年の授賞式には大西日本航空会長の姿もありました。原告団が幾度となく話し合いを求めてきたのもかかわらず、一切の対応を拒否してきた日本航空の経営者の一人です。2人の原告団長はチラシを持って大西会長に駆け寄り、歩きながら訴えを行いました。
 「現役パイロットが170人も退職している航空会社がどこにあるのか。解雇された165人の人生設計と生活を破壊した不当な解雇には大西会長も責任がある。話し合いに応じ、解雇を撤回し職場に戻すべきだ」(山口乗員団長)「毎月、要請文を持参して直接面談を申し入れているが、毎回垣田氏に対応させ門前払いの繰り返しとなっている。客室乗務員を1800名以上も採用しながら、解雇した84名を戻さないのは不条理である。ILOは二次勧告で、職場復帰させるための協議を求めている。交渉過程で起きた不当労働行為が東京地裁判決でも断罪された。解雇問題について解決する決断を下すべきである。当時の社長であった大西会長の責任は大きい」(内田客乗団長)

 大西会長は終始無言で、うつむいたまま会場に向かいました。


 11月1〜3日の3日間、東京・夢の島公園で開催された「赤旗まつり」に原告団として参加しました。初日はあいにくの雨でしたが、2日と3日はさわやかな秋の空気に包まれました。政治・文化プログラムなどはどこも盛況で、交歓の輪が広がりました。原告団のテントでは支援物品の販売と署名活動が活発に行なわれました。模擬制服姿の原告らを見つけ立ち寄った方々からは、「いつも応援しています」「一日も早く職場に戻ってね」「頑張ってますね」と励ましの言葉とともに、たくさんのカンパと約10000筆の署名が寄せられました。

 2日には日本航空やソニー・日本IBMなど、解雇・雇い止めと闘う労働者が登場するトーク集会「STOP! ブラック企業・ブラックバイト、安倍政権の雇用大破壊」が行われ、内田客乗団長が出演しました。内田団長は「私たちは空の安全を守るため、会社に対しておかしいことはおかしいと言ってきました」「東京高裁で解雇を認めるひどい判決がでましたが、国際労働機関(ILO)が解決をうながす勧告を出し、世界中の労働者から応援を受けています」と舞台上から訴え、参加者の拍手に包まれました。

290 TOPへ


安倍首相は11月18日、衆議院解散・総選挙に踏み切りました。投票日は12月14日。
 2日前に内閣府は、7月〜9月期の国内総生産(GDP)実質経済成長率が年率換算1・6%減、2四半期連続マイナス成長と発表しました。大方のエコノミストが「2%程度のプラス成長率」を見込んでいただけに、衝撃をもって受け止められました。マイナス成長の主な要因には、4月の消費税率8%への引き上げと、目減りを続ける賃金があります。これが消費行動を控えさせ、GDPの6割を占める個人消費を「足踏み」させました。「増税不況」との声もあります。安倍政権の2年間が問われます。
 安倍政権が最初に打ち出したのが「大胆な金融緩和」「機動的な財政政策」「民間投資を喚起する成長戦力」のアベノミクス3本の矢。円安誘導により大企業を中心に収益は大きく改善し株高が進んだものの、中小企業は輸入原料の値上げで厳しい経営を強いられています。輸入コスト高は製品値上げにつながり国民生活を直撃しています。
 その一方で強引に進めたのが、憲法をないがしろにする特定秘密保護法の制定や集団的自衛権行使容認の閣議決定、そして武器輸出三原則の緩和。平和憲法の下、歴代自民党政権が堅持してきた基本政策を投げ捨てました。軍事国家へ、大きく歩み出しました。

 社会保障制度改革を掲げていましたが、中身は医療や介護の切り捨て、雇用では生涯派遣を可能にする労働者派遣法改悪等、問題だらけです。「政治とカネ」の問題も出て二人の大臣が早々と辞任しました。福島原発事故処理や東日本大震災後の復興が進まないなか、原発再稼働と原発輸出には前のめりです。沖縄の辺野古への米軍新基地押し付けは沖縄県民の強い反発を招き、11月16日の沖縄知事選では新基地建設反対のオナガ氏が圧勝しました。

 その他、農業をはじめ様々な産業に多大な影響を及ぼすTPP(環太平洋連携協定)、若者を使い捨てするブラック企業問題など、安倍政権の下で政治・社会の矛盾は激化しています。その行き詰まりが、総選挙に踏み出さざるをえなかった背景のひとつにあります。

 総選挙で与党が過半数を維持すれば、安倍政権は「信任された」として暴走を加速させることが予想されます。政治の流れを変える大事な選挙です。

290 TOPへ

ページ先頭へ 前へ 次へ ページ末尾へ