phoenix294号 PDF294


■主な記事から■
▼〈新企画〉御巣鷹山事故から30年〜事故を風化させない
▼休めない。公休なのに「休暇届け」、なぜ。慢性的な人員不足が原因
▼JAL不当解雇撤回アタック行動、デモ・JAL本社前行動に 550名が参加
▼航空連代表がITFキャビンクルー会議に参加
▼航空局、成田空港の同時平行出発方式を見直し
▼労働時間規制を緩和。露骨な企業寄り政策だ 

15春闘は3月19日の航空の山場を前に、日本航空で2000円、全日空で1000円のベースアップ回答を引き出しました。日本航空は14年ぶり、全日空は7年ぶりのベースアップです。内航労組の闘いが山場を越えたことで、15春闘のメインは外航や産業航空労組に移っていきます。先行組の成果と課題、特徴的な闘いを報告します。

 「日本経済の回復のカギは賃上げ」との共通認識で始まった15春闘。連合の集計(3月14日)では、ベースアップと定期昇給を合わせた賃上げは798組合の加重平均で7497円。国民春闘共闘委員会では219組合の平均は5679円で、非正規雇用では80組合で回答を引出し、引き上げ額の平均は時間15・5円となっています。連合は「企業規模の大小にかかわらず、月例賃金引上げが不可欠であることを繰り返し主張していく」としています。
 日本航空、全日空ともに好調な企業収益をあげるなかで始まった春闘交渉。相も変わらず、経営側は厳しさ≠強調しますが、社会的な賃金引上げ要請や生活改善、職場改善を求める継続的な闘いで日本航空では14年ぶり、全日空では7年ぶりのベースアップ回答となりました。夏季一時金では、JALグループでは昨夏を0・1ヵ月上回る2・3カ月が示されました。

 外航ではUA労組が1年目8200円、2年目8800円、3年目9000円の賃金引上げ回答を勝ち取っています。

 諸要求では、全日空乗組がパイロット採用を50名から10名上積みした60名の回答を引出し、APU(エアニッポン乗組)では28名の機長養成の回答を引出しました。

 JALグループでは、昨年はグループ全社員に波及するスタッフトラベル制度(ST制度=社有機利用制度)や特定目的積立制度で前進回答がありましたが、今年のST制度改善は日本航空のみで、グループ会社との格差回答となりました。

 日航乗組では成田―フランクフルト線の2泊化、ロッカーの改善などの回答を引出しました。日航ユニオンは定年後の再雇用制度で、整備業務については成田・羽田以外での提供開始、社宅制度の期間・費用負担の見直し(15年度中に提示)、雨着の改善など13項目で回答を引出しました。CCU(日航キャビンクルーユニオン)では関空ーロス線の改善(冬ダイヤより)、休日固定化・産前地上勤務などで前向き回答がありました。

 JGSグループのベア回答は日本航空と同じ2000円。冬期手当は、昨春闘で「人事賃金制度において課題があることを認識しつつ、今後も引き続き制度全般に関し様々な観点からレビューを行ない、その結果に基づき対処していきたい」と回答されたものの、その後はレビュー結果の時期さえも明らかにされず、労使交渉はデットロック状態でした。春闘では「15年度上期中にレビュー状況をお伝えする」との回答を引出しました。

 JJ労組は165名の解雇撤回を統一要求とし、会社を追及しました。

 今春闘では、「景気回復には賃上げが必要」「内部留保を取り崩して賃金引き上げを」との共通認識がさらに深まりました。

 今年は御巣鷹山事故から30年を迎える節目の年でもあります。安全を支える労働条件がどのようになっているか。引き続き夏闘にむけて、職場の安全と生活改善をめざし、攻勢的な取り組みで要求の前進をめざします。

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1985年8月12日、群馬県の御巣鷹山にボーイング747型機が墜落し520名が死亡する、単独機では世界最大の惨事となった日航123便事故(以下「御巣鷹山事故」)。この事故から今年で30年になります。「絶対安全」を誓った日本航空を検証します。

 御巣鷹山事故は、日本航空の異常な労務政策の象徴ともいえる「羽田沖事故」からわずか3年後の事故だったこともあり、日本航空の労務政策が批判の的となりました。事故後経営陣は刷新され、86年に就任した新経営トップは「絶対安全」「現場第一主義」をスローガンに、機付整備制度の導入や労使問題の改善に取り組みました。このとき、機長管理職制度の下、組合活動の自由を奪われていた機長が「機長組合」を設立し、今日に至っています。副操縦士の地上業務中止、客乗昇格差別の一部是正などの前進が図られたのもこのときでした。しかしトップはわずか1年たらずで更迭され、日本航空の労務姿勢は87年11月の「完全民営化」を経て、再び分裂労務政策へと回帰していきました。
 日航経営者は1998年に事故機の残骸の破棄を計画しました。この計画に遺族は強く反発し、また航空労働者も強く反対し、保存を求めました。2005年9月、日本航空は残骸保存を発表しました。
 御巣鷹山事故の前に日本航空は、「2万人体制」「儲かる整備」などを掲げ、「合理化」を推進していました。重整備の点検項目を削減あるいは簡略化でした。当時日航労組(現日航ユニオン)はその危険性を訴えましたが、会社は耳を傾けようとしませんでした。しかし事故後、オーバーホールに近いM整備を新設し、運航整備では「機付整備制度」を発足させました。コスト削減一辺倒の整備制度を改めざるを得ませんでした。

 御巣鷹山事故は、航空機の設計思想や整備方式についても、見直しの必要性を航空労働者に痛感させました。航空機製造に関わる安全設計思想の中心だった「フェール・セーフ」にも疑問が投げかけられました。

 こうした問題提起や新たな施策も時間の経過とともに色褪せていきました。バブル崩壊、競争激化、生き残りを理由に、現場では人員削減、勤務改悪、自社整備から別会社化など「合理化」はとどまることなく進められました。その結果、2004年後半から2005年にかけ安全性低下の事例が相次ぎ、日航は国交省から事業改善命令を受けます。事故から20年目のことでした。日本航空は利用者の信頼を失い業績悪化を招き、その5年後に破綻しました。

 2010年の破綻を機に日本航空は、新たな企業理念「JALフィロソフィ」と「部門別採算制度」を両輪とする経営方針に見直しました。それは、経済性追求を前面に出したのでした。

(つづく)

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 航空の現場で働く人の多くは9時17時勤務の常日勤とは違うシフト勤務です。シフト勤務者の公休は「4勤―2休」とか「3勤―1休―4勤―2休」といったパターンに組み込まれているため、パターンが決まると公休も決まる、というのが基本です。しかし人員不足が広がるなか、その基本が崩れ始めていることがわかりました。

 TFK(株式会社ティエフケー)の職場では、自分の公休を「休む」ために、なんと「休暇届け」を出さなければならないとのこと。しかも、届けを出したからといって必ずしも休める保障はなく、人がいないと「ダメ」。別の日に公休が振り替えさせられます。組合は、「公休はパターンどおりになぜ休ませないのか」と会社に迫ります。会社の答えは「必要な作業の人員を確保するためです」。しかし労働時間と月間休日数は決まっているため、先送りされても月内には消化しなければなりません。そのため、押し詰まって3連休とかになることもあります。有給休暇も「人がいないからダメ」ということが多くなります。
 一番の原因は慢性的な人員不足にあります。その原因を解決しないで、小手先の対処を繰り返していても事態は深刻になるばかりです。

 こうした状況は安全面にも悪影響を与えます。長時間勤務後の組み込み残業での作業中に航空機損傷事故を起こした事例がありますが、当事者は「疲れていた」と、事故当時の心身の状況を語っていました。 人員不足を改善し、公休や休憩時間はきちんと休めるようにして、働く人が心身ともに健康で安心して働き続けられるよう、経営方針の舵を切り替えるときです。

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 JALに不当解雇撤回を求める司法の場での争いは、2月4日と5日の上告棄却という不当な最高裁決定により終結しました。これを受けて原告団は2月に全員参加の原告団集会を3回開催し、不当な最高裁決定に屈することなく、全面解決に向けて全力を挙げて闘う決意を固めました。

 集会には弁護団も参加し、最高裁決定を説明しました。参加者一人ひとりから発言があり、今後の運動方針について意見交換を行いました。
 国民支援共闘会議をはじめ、各地の支援組織や労働弁護団などからの力強い声明文が発表され、JALに解雇撤回を求める国民の声はますます大きくなっていることを実感させました。
 2月27日の最高裁前抗議行動「アタック!今こそ・最高裁」には600人の支援者が集まりました。最高裁周辺は、西門から正門手前まで支援者と幟旗であふれ、オレンジ色のリボンを手に付けた「オレンジライン」で最高裁を包囲しました。
 主催の支援共闘代表からの挨拶に加え、全国各地から駆けつけた支援者からの抗議のリレートークが最高裁周辺に響き渡りました。

 「この棄却は、独立すべき司法がかつてないほど政権や大企業の横暴な論理に迎合している危機感を感じる。安倍政権は安心安全な国民生活を根底から覆そうとしている。この流れを断ち切らなければいけない。判決に関わらずJALの無法・不当解雇の事実は変わらない」「命と生きざまをかけて闘った原告団、この棄却は絶対に許さない。労働者をボロキレのように使い捨てる事を追認する最高裁、司法の自殺行為だ」


 3月12日には「アタック!今こそ・JAL本社」行動が行われました。北品川の聖蹟公園に夕刻に集合したJAL原告団と支援者は370人。JAL本社のある天王洲までパレードを行い、解雇撤回と職場復帰を求めるアピールを行いました。

 本社前の抗議行動に移ると、待ち受けた参加者とあわせ550人が集結。支援共闘代表で全労連の小田川議長は、「会社側は、裁判が終わったとして、私たちに宣伝を慎め≠ニ言ってきた。冗談ではない。裁判のなかでも、人員削減の具体的数字は明らかにならなかった。職場は人手不足なのに、解雇者を戻そうとしない。私たちの要求は不当ではない」と訴えました。

 春闘団交後に駆け付けた古川CCU委員長は、「会社は『総合的に判断して解雇者を戻さない』と言っている。しかし年間600人の客室乗務員が退職し、スケジュール問題の交渉で会社は『(休日を)組むのが限界にきている』と言っている。(被解雇者を)一日も早く職場に戻すべきだ」と早期全面解決を求めました。

 原告団と支援団体は、今後も決して手綱を緩めることなく院内集会の開催やJAL社長あて解雇撤回要請ハガキ、シンポジウムの開催などの運動を展開し、JALに解決を迫っていきます。

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 2月26・27日、ロンドンのITF本部でキャビンクルー委員会が開催され、欧州、アメリカ、アフリカ、南米などから50名が参加しました。航空連からは萩原幹事が参加しました。

 萩原幹事は、JAL不当解雇撤回の闘いに対する支援へのお礼と、2月4日と5日に最高裁での上告が棄却されたこと、解雇後に2000人ものキャビンクルーが採用されているにもかかわらず84名の解雇者が職場に戻れていないことなどを報告し、解決まで、今後も取り組みを強めて闘う決意を述べ、一層の連帯と支援を要請しました。
 会議では各組合から報告や要請などが発言されました。カタール航空では休日も会社に常に監視されたり、寮の門限を破ったら解雇、結婚したり自国に帰国する際にも会社の事前許可が必要などの人権侵害が行われており、それらの実態が告発されました。アメリカのIAMからは、デルタ航空のキャビンクルー2万人を組織化する取り組みの紹介と、組織化にあたっての支援要請がありました。昨年9月に開催されたICAO客室安全グループミーティングの報告とICAO航空運輸規制パネルミーティングに向けた議論、国際女性デーの取り組み要請もされました。

 萩原幹事は感想を次のように話しています。

 「一人での初参加。同時通訳もなく、英語だけの会議で緊張しました」「皆さん真剣で、自分たちの抱える問題を何とか解決したいと、真摯に会議に臨んでいました」「他国の組合の問題も他人事とせず応援してくれます。国は違っても労働者としての連帯、団結が力強く感じられた会議でした」「会議ではコスト削減に向けた委託化、労働者の未組織化、労働条件低下への危険性も指摘されました。フィンエアーでは路線が香港やシンガポールに移管されキャビンクルーも現地採用。労働条件の詳細はつかめておらず本国のキャビンクルーのリストラが危惧されています」「自分たちの条件を守るためにも、国際的な問題に航空連が積極的にかかわっていく必要性を強く感じました」

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安倍政権の企業寄り政策は日に日に露骨になっていまますが、厚生労働省は、政府の労働政策審議会(労政審)の「労働基準法等の一部を改正する法律案要綱」の答申を踏まえて法律案を作成し、今国会に提出することを明らかにしました。長時間労働による「過労死」促進、「残業代ゼロ」制度の創設など、労働基準法の改悪を進めようとしています。

 「残業代ゼロ」制度は、「高度プロフェッショナル制度」の名で、一定の年収(1075万円)の労働者を労働時間規制の対象外とし、何時間働いても規制はなく、残業代や夜間・休日出勤の手当もなくすものです。経済界のかねてからの要求でした。
 「成果」で評価するとしますが、労働時間規制がなくなれば「成果」に関わりなく労働者が働かされることは容易に想像ができます。
 同時に盛り込まれようとしている「裁量労働制」の対象業務の拡大や、「フレックス制度」の規制緩和も長時間労働の押し付けにつながります。
 働き方に重大な影響をおよぼすにもかかわらず、決め方にも問題がありました。
 労働分野の政策は、政府委員(公益委員)、労働者委員、使用者委員で協議して決めるのが国際労働機関(ILO)などで国際的に確立されたルールです。労政審も公労使の3者で構成されています。にもかかわらず労働者側がどんなに反対しても政府案が通るというのは、労政審の存在自体に関わる重大問題です。

 「労働基準法の規制をなくせば働き手は早く帰れる」論を声高に主張する人たちがいますが、8時間労働は、働き手の生活を守るためにそれ以上働かせてはいけないと、使用者に対して求められた規制です。それをとっぱらえばどうなるかは容易に想像がつきます。「仕事を成果で」などの目くらましは許されません。

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 安全会議成田支部の主な活動は定例幹事会の開催(月1〜2回)、学習会・講演会、空港会社やCAB・気象台への要請行動など。幹事一同、和気あいあいながらも精力的に取り組んでいます。

 4月からは年間離着陸回数が30万回へと拡大されます。しかし、その増枠した交通量に対応するための新しい運用方式は案外知られていません。すでに成田空港では「同時平行出発方式」が2011年10月から導入されていますが、4月からはその方式をさらに変更することで増大する航空需要に対応することになります。出発機が離陸後レーダーで捕捉されるまでの間、安全間隔の設定は管制官の目視による監視に頼っていたところを、4月以降は目視監視から、WAMと呼ばれる位置捕捉システムによる監視に変わります。航空機のトランスポンダーから発せられる信号を地上アンテナ4局以上で受信することにより、航空機の位置を特定するというものです。これまでの方式は管制官の目視のみによる監視であったため、目視ができる良好な気象状態のみでしか実施できなかった制約がありました。一方、WAM方式では幾分悪い気象状態でも実施が可能となり、地上で出発機が混雑滞留する頻度が減少することが期待できます。
 このように、何かと新しい運用方式が導入されることが多い成田空港ですが、様々な空の職場で働く職員の目線で、それを安全かつ確実なものにするために、安全会議成田支部はこれからも日々奮闘していきます。

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