phoenix301号 PDF301


■主な記事から■

▼15年闘争本番。年末一時金、職場改善目指します。回答指定日は11月4日
▼安倍さんの「新3本の矢」の狙いはどこに
▼JAL解雇問題でILOに追加情報を報告。ILO「皆さんを支援します」
▼アリタリア航空マタハラ裁判で原告が意見陳述
▼ライアンエア、カタール航空に航空労働者が反撃
▼航空安全定例総会―過重勤務、空域問題などを議論。総括方針を確認


 JGS(JALグランドサービス)は10月6日、15春闘で「上期中にレビュー結果を伝える」としていたJGS札幌の冬期手当と、JGSグループ各社の「45歳賃金頭打ち」問題について、労働組合に具体案を提示しました。また、JGSグループの羽田・成田運営体制の見直しとして、JGSとJALグランドサービス東京(JGST)の会社統合を明らかにしました。いずれも実施日を2016年4月1日としています。


 JGS札幌の冬期手当再支給を求める闘いは、2011月4月の強行廃止以降粘り強く取り組まれ、15春闘で「上期中にレビュー結果を伝える」との回答が示されました。10月6日の内容は、「冬期手当を支給する考えはない」としつつ、賃金制度を見直すものでした。JGSグループ各社と比較して低かった基本賃金(本人給)を一律4850円、住宅手当を有扶養者4375円、単身970円引き上げるとしています。この見直しにより、有扶養者で月額9225円、単身者で5820円の引き上げになります。JGS札幌労組の試算では、単身世帯主で一時金を含め9万3000円、扶養者で一時金を含めると約15万円の年収アップにつながります。同労組は、「社員の生活苦を改善すべく、航空連各労組共闘し、8回の集会、GHUによる4回のJGS札幌経営要請で社員の生活苦を訴えてきました。
 こうした粘り強い取り組みが賃金引き上げにつながりました。実施は来年4月なので、このままでは5年目の冬も燃料代が家計に重くのしかかる。年末交渉ではこの冬からの実施を求めていく」と年末交渉への決意を述べています。

 JGSグループ各社の「45歳賃金頭打ち」問題については、15春闘のJGSグループ4労組によるJGS要請で、JGSは「課題として、これから労使で認識していく問題」と答えていました。
 見直し案では、本給の昇給年齢の45歳頭打ちを54歳まで引き上げ、級職給(班長職・係長職)の昇給年数の10年停止を15年まで延長します。本給の引き上げ額は46歳〜50歳は定昇「970円」、51歳〜54歳は定昇「485円」。級職給は班長職11年〜15年は「970円/年」、係長職は11年から15年は「1940円/年」となります。頭打ちによって定昇がなかった社員は、制度見直しによって〈本人給+級職給〉の合計額が引き上げられることになります。各労組は、引き上げ額が低いながらも「45歳賃金頭打ち」が見直されたことは評価しています。すでに引き上げ年齢に達している者の是正措置や55歳以降の定昇にも引き続き取り組んでいくとしています。
 JGSとJGSTの会社統合は、羽田・成田空港の新たな運営体制を構築するとして「新JGS」とされます。承継会社はJGSです。
 新JGSでは、現所属会社にあわせ「グローバルエキスパート職(現JGS社員)」と「エキスパート職(現JGST社員)」に分け、それぞれの基本賃金を継承します。手当類は、シフト手当が定額から時間単価に見直され、技能手当が若干引き上げられます。JGS東京労組の試算では、シフト手当が定額になることで、JGS社員の早朝出勤・遅番退社のシフト勤務者は年間で約10万円ダウンすることがわかりました。労働時間や年間休日数はJGST水準とされています。これによって休日は最大13日減になります。特別休暇や福利厚生制度等はJGSを適用し、育児休業制度では時間短縮が有給から無休と引き下げられています。再雇用制度では、再雇用機会の領域拡大が示されました。「在籍中の経験を十分に活かせる環境を整備する」とし、ほぼ全職域が対象になります。時給も最高で1500円程度まで引き上げるとしています。
 今回の会社統合にJGS東京労組は、「会社統合を理由にした引き下げは許されない」として、引き下げられた処遇の改善を求めていきます。

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15年末闘争は、各労組の一時金や職場要求も出揃い交渉も本格化しています。本号が手元に届くころにはJAL・ANAの好調な中間決算が発表されているでしょう。15年度は計画を上回る好決算が予想されています。

 一時金をめぐる交渉はJALグループの各労組が中心になります。日航内のJJ労組(日航機長組合、日航乗組、CCU、日航ユニオン)は、整理解雇の撤回やグループ各社との契約問題など4項目を統一要求とし、一時金はアンケートや職場の繁忙状況や好調な決算などを勘案し日航機長組合、日航乗組が「3・5カ月+10万円」、日航ユニオンは「3・1カ月+5万円」を要求していきます。JGSグループ4労組(JGS札幌労組・JGS東京労組・JGS大阪労組・JGS九州労組)は「3・1ヵ月+5万円」の一時金要求を決定しています。
 全日空は年間利益目標を達成すると年間一時金は5・4ヵ月+αになります。日本航空がこの水準に追いつくには、年末一時金は3カ月以上(夏期一時金2・3ヵ)の回答が必要です。企業業績は日航が全日空を引き離しているにもかかわらず一時金では全日空が日航を上回っている、というのでは社員感情としては納得できません。
 職場改善や諸手当の引き上げも重要な課題です。整備現場では夜勤の改善や資格者不足など改善を求める声が強まっています。人員不足による稼働強化は様々な問題の背景要因になっています。職場改善はまったなしです。年休がとれない、休憩が取れないは多くの職場の共通課題になっています。日航では、便の運航維持のために必要な対応として、年休制限を正当化しています。年休取得問題は年末年始手当の引き上げとあわせ争点の一つになっています。
 女性の働きやすい職場にするための改善も今年末での課題の一つです。ハラスメントがないか、稼働強化で健康を害してないか、丁寧な職場点検をもとに改善を求める必要があります。
 外航では、賃上げ交渉の長期化のなか、粘り強い交渉が続けられています。日本路線の見直しや運休が相次ぐなかで雇用問題も起きていますが、エミレーツ航空では法廷闘争を含め果敢に闘いが進められています。経営側の動向に注視が必要です。
 航空連合系では、一時金は春闘で年間要求を決めていますが、JALの整備業務を行う労働者で組織しているJALEC労組は、春闘時の要求を見直し2・7ヵ月に引き上げました。JAL労組(JALFIO)、グラハンの連合体「JALグランドサービス労働組合連合会(JALGSG)」は要求の見直しをしていません。(10月28日現在)
 労働条件は安全を支える基盤です。がんばりに見合った一時金要求、職場改善を勝ち取り、働く者のモチベーションにつなげましょう。

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9月19日に安保法制(戦争法)を強行採決した安倍首相。直後の9月24日の記者会見では「新3本の矢」を発表しました。その内容は、@希望を生み出す強い経済A夢を紡ぐ子育て支援B安心につながる子育て支援、というもので、名目国内総生産600兆円、希望出生率1・8、介護離職ゼロなどの実現を表明しています。アベノミクスの第2ステージとされています。
 安倍首相の母方の祖父である岸信介政権は1960年の安保条約改定をめぐり、国民の強い反対を押し切り強行採決で成立させました。直後、岸内閣は退陣。自民党は池田政権の所得倍増論に舵を切り、高度経済成長時代に突入していきました。「新三本の矢」には、経済政策に国民の目を向けさせることで内閣支持率を回復したい、そんな期待が込められているとの見方がされています。
 しかし、安倍首相の意気込みとは裏腹に、「最初の三本の矢はいったいどうだったのか、数字による検証は全くされてない」「目標の物価上昇率2%は達成されず……株高と円安で大企業が潤ったと胸を張るが、これは経済成長によるものではない。実態とかけ離れたバブルに近い」(10月20日朝日新聞「経済気象台」)。
 「公約と膏薬は張り替えるほど効く」と語った政治家がいました。検証もなく、ボロが出る前に次の政策を打ち出し目先を変える。なんとも国民を馬鹿にした話です。
 安倍首相の思惑は外れ、戦争法成立後も「反対」「廃止」の声は衰えていません。毎月19日を統一行動日とし、その流れで来年7月の参院選を迎えようとしています。

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 日本航空乗員組合(JFU)とキャビンクルーユニオン(CCU)代表らは10月3日から9日までの日程で、スイス・ジュネーブにある国際労働機関(ILO)本部の労働者活動局を訪問し、不当解雇に関する第3次勧告に向けた追加情報を報告しました。JFUから飯田パイロット原告副団長、CCUから内田客乗原告団長、牛久保弁護士が参加しました。
 追加情報の中心は、JAL再建過程で管財人代理(弁護士)がJFUとCCUに行った恫喝が、東京地裁に続き東京高裁も不当労働行為と認定する判決を下したこと、加えて高裁判決は管財人の行為は憲法28条で保障した団結権を侵害する行為と結論づけたこと、さらには国会での大臣発言等です。労働者活動局高官は説明を興味深く聞き入りました。様々な議論が行われ、多くの指摘や判断が示されました。
 「追加情報は大変参考になりました。内容はよく整理され大変わかりやすく、状況の進展があったということが伝わってきました。皆さんが直接ILOに来て状況説明を行う事事態も、ILO内部での論議を行う上で大きな意味があります」「国会発言をよく読むと、国としても黙っていられなくなった、という認識が出ていることを読み取ることができます」「次なる勧告が出される条件は、すべて整っていると聞いています。年末の交渉は昨年とは全く違い、大切な交渉になるでしょう。労使ともに、実質的なきちんとした交渉にすることがとても重要です。ILOは解決するまで皆さんへの支援を続けます」と高官は語りました。

   ◇ 千葉県新浦安駅周辺での宣伝行動が10月17日に取り組まれました。朝からの小雨も上がり秋の気配が深まるなか、JAL不当解雇原告団と支援の皆さんによる宣伝ビラとパレードが行われました。新浦安にはJAL植木社長宅があります。宣伝は12時から新浦安駅南口と北口の2カ所で行われ、宣伝ビラ1400枚の配布とあわせ、原告・支援者らがマイクで住民に訴えました。

 マイク宣伝後は、南口から植木社長宅周辺までパレードしました。駅を過ぎるとマンション群が建ち並ぶ住宅街になります。パレード隊は「日本航空の植木社長はJAL不当解雇を撤回せよ」「日東整子会社つぶしと不当解雇を撤回し原告をJALグループで採用せよ」「マタハラ裁判を速やかに解決し、真の安全・安心なJALにしよう」とアピールしました。車から「頑張って」と声をかける人もいました。

 11月は年末闘争にあわせ、JAL本社前での座り込みとデモが取り組まれます。

●JAL本社前座り込み

11月5・6・9・10・11日/12時〜17時

集中宣伝時間/12時〜13時、16時半〜17時

●JALデモ&本社要請

11月12日

18時/デモ出発・聖蹟公園(京急新馬場駅下車、北口徒歩5分)

18時半/JAL本社前

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アリタリア航空(AZ)で契約制客室乗務員が妊娠休職中に雇い止めされた裁判が8月24日と10月5日に行われました。

 AZは当初、Aさんに2つの警告処分があるからという理由で雇い止めを通告しました。それは、フライト前のブリーフィングへの遅刻と、ステイ先で体調を崩し欠勤したというものです。Aさんの説明追及に対し、会社はさらに経営不振と5名の復帰予定者を大きな理由として説明しました。しかしその後数か月の間に、Aさんの入社1カ月後以降に入社した同期8人全員の契約が、警告処分歴の有無にかかわらず更新されたことで、Aさんは「嘘の説明をされた」との憤りの気持ちを持つことになりました。
 結果として、契約が更新されず雇止めを言い渡されたのは、当時妊娠休暇中であったTさんと原告Aさんの2人だけでした。Aさんは、雇止めは妊娠を理由としたマタニティハラスメントと受け止め、提訴に至ったものです。Aさんは提訴を機に、会社の契約社員に対する不公平な権利濫用がなくなり、誰もが堂々と意見を言える職場環境へ改善されることを強く期待しています。そしてAZには、マタハラの事実を認め、理不尽な雇い止めを撤回するよう強く求めています。
 AZは裁判で、雇い止め理由の一つに「妊娠の報告の義務」を怠ったと主張しています。しかし就業規則にその義務についての記載はありません。Aさんは、スケジュール変更で同僚に迷惑をかけたくないとの思いで、会社に妊娠を告げる時期を若干遅らせただけにすぎません。主治医の了解も得ていました。
 AZは入社時に配布した「業務の手引き」にその記述があると主張していますが、Aさんにはその書類は受け取った覚えも返却した覚えもありません。このことについて同期も、「業務の手引き」なるものは受け取っていないという陳述書を提出しました。

 次回裁判は11月9日13時30分から東京地裁631号法廷で行われます。

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世界の航空労働者の闘いをご紹介します。 前回・前々回、FOC(便宜置籍船)問題を取り上げました。デンマークの航空労働者は、このFOC問題を引き起こしているライアンエアとの闘いを進めています。

 客室乗務員とパイロットを組織するデンマークの乗務員組合(ITF加盟)は、デンマークの労働法制に基づきライアンエアに団体協約締結を要求しました。しかしライアンエアは、同社がアイルランドの法律のみ適用されると主張したため、当該組合を中心とするデンマークの労働組合は本件をデンマークの労働裁判所に提訴しました。2015年7月1日、組合の主張を認める判決が下されました。
 判決内容は、ライアンエアはデンマークの同社の拠点にデンマークの法律が適用されることを認めなければならない、デンマークの労働組合は、団体協約に関する労使合意に達しない場合は直接行動(二次ボイコットを含む)を取ることができる、というものです。
 ライアンエアが協約締結を拒否したことに対して、デンマーク労働者がストライキを構えて闘いを継続したところ、同年7月17日にライアンエアはデンマークの拠点を閉鎖しました。「労働者は、その国の労働法制によって守られる」という当たり前のことを確立することがFOC問題への対応のカギとなります。航空連もデンマーク労働者に対し、支援と連帯のメッセージを送っています。
 カタール航空では、客室乗務員が結婚や妊娠をすると解雇になるという信じがたい規則が存在していました。この人権侵害規則を改善させるため、ITFは世界の加盟組合にWEBを使ったキャンペーンを張りました。カタール航空がスポンサーとなっているスペインのサッカーチーム、FCバルセロナのホームページにアクセスし、カタール航空の実態を伝え、スポンサーとしてふさわしくないとのメッセージを送るというものです。
 2015年8月、カタール航空は当該規則を削除しました。航空連もこの取り組みに参加しました。おびただしい数のメッセージがFCバルセロナに送られたものと思われます。
 署名・ビラまき・ストライキという従来の闘い方に加え、WEBを使い、不当なエアラインに影響を与えうる組織に対し働きかけを行うという新たな手法は、今後大いに参考になると思われます。

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 航空安全会議が連続事故を教訓1996年に発足してから、まもなく50年。この10月に第50期という節目を迎え、その定例総会が10月1日・2日の両日、羽田のフェニックスビルで開催されました。総会では、49期の運動成果の確認や新しい50期の運動方針が承認されました。

 総会では最近の特徴的な問題として、人員削減による過重勤務と疲労が航空の安全に影響を及ぼしている実情、空港整備や空域の再編計画と交通の過密化の問題、技術の進歩によって対応が複雑化し対策が後手に回っている航空保安の問題について活発な議論が繰り広げられました。いずれも、国内外の航空需要が大きく拡大するなか、それに伴う航空事業やインフラの無理な拡大や安全コストの削減が懸念されること。その弊害がすでに形となって職場のいろいろなところに現れ、それが航空安全を阻害していると指摘するものです。問題が深刻さを増していることを、代議員が生々しい実例を挙げて紹介する場面もありました。
 航空安全会議は、半世紀にわたる活動を振り返り、今後の活動を展望する節目としてのイベントを企画しています。同時に本部と7支部の組織を充実させ、活動を活発化させつつ安全を脅かす日々の問題にも取り組んでいきます。
 航空安全会議では、航空機整備士・航空管制官・運航乗務員・客室乗務員・グランドハンドリング・気象予報官など、専門性の高い各職場の労働者が一堂に会して情報を出し合い、活発に論議し、力を合わせて不安全要素の排除に取り組んでいます。七田大新議長からは、この活動が今まで以上に充実するよう取り組むとの決意表明がなされました。

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