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明けましておめでとうございます今年もよろしくお願い致します

■主な記事から■
▼要求実現。JAL、客室乗務員の正社員採用を発表
▼全日空、1月から有資格者整備士の飛行間点検廃止
▼JAL解雇争議、解決の年にしよう
▼各地連メッセージ
  

 2015年は戦後70年の節目として、様々なイベントが開催されました。新聞には戦後70年特集が掲載され、中心テーマは「平和」でした。

 安倍政権は、圧倒的多数の憲法学者や元最高裁判所判事・元内閣法制局長官らの「憲法違反」との指摘を無視し、自衛隊の海外での武力行使を可能にする安全保障関連法(戦争法)を強行成立させました。憲法53条に基づく、野党の臨時国会開会要求も、政府は安倍首相の外遊を理由に拒否しました。
 その一方で、「立憲主義を守れ」の声も広範に沸き起こりました。戦争法成立後は、戦争法廃止に向けた運動が力強く展開しています。
 アベノミクスの「三本の矢(異次元の金融緩和・機動的な財政出動・民間投資を喚起する成長戦略)」によって回復するはずだった消費や賃金は低迷を続けています。15年10月の完全失業率は3・1%と低水準でしたが、増えているのは低賃金・低労働条件を強いられている非正規労働者の雇用です。非正規労働者は8カ月連続増加し、全労働者の約4割、2000万人を越えました。これでは消費が盛り上がるはずはありません。安倍政権下、拡大した格差問題は、深刻な社会問題になっています。

 沖縄辺野古新基地建設問題でも、沖縄県民の民意を無視する安倍政権への反発は強まっています。経済人も参加した「オール沖縄会議」が結成され、新基地建設反対行動はさらに強化されていきます。

 航空各社の16年3月期決算は好決算が予想されていますが、安全面や労働環境で課題を抱えているのも共通です。

 15年10月にはIBEXエアラインズが、整備を適切に実施しなかったとして事業改善命令を受けました。整備不具合は大手航空会社でも後を絶たず、背景には人員不足や勤務問題があります。

 JAL・ANAでは航空機の稼働を上げるため、整備をできるだけ夜間に集中させています。そのため勤務は夜間偏重になり、人員不足とあいまって整備士の疲労を高め、不安全要因になっています。全日空は1月から飛行間点検に有資格整備士を配置しない運航体制を計画しています。

 客室乗務員の労働環境改善も喫緊の課題です。全日空は1000人規模の採用を発表していますが、毎年大量の退職があり、大量採用しなければ運航を維持できないのが実情です。退職の背景には過酷な勤務や、パワハラなどの労働環境が指摘されています。

 グランドハンドリングの人員不足も深刻です。ANAグループのANAASでは100名を超える人員不足を認めており、ある職場の上期年休消化率は平均2日間とのことです。成田空港のグラハン会社では人員確保のため、派遣会社数社から人員採用しています。JALグループのJGSでは、10月以降の人員確保が計画通り進まず、組込残業や間接応援・委託業務の内製化などでしのいでいます。不安全要因は増すことはあっても減ることがないのが現状です。「休みが取れない」「決められた休憩がとれない」は職種の違いを超えた共通の課題です。

 迎える2016年。

 JAL不当解雇撤回闘争は、ILOが政府・日航に第3次勧告を出し、意義ある対話と解決を求めています。日本航空の社会的責任が内外で注目されています。

 直面する16春闘は、15年末闘争の成果を土台に、さらなる職場改善に向けた取り組みが求められます。利益至上主義から安全第一、公共性重視に転換させるとともに、職場に誇りと活力を取り戻し、安全安心の航空産業を築く取り組みを強化しなければなりません。私たちはあらためて、「労働条件は安全を支える基盤」であることを確認し、安全運航の担い手にふさわしい労働条件に引き上げさせましょう。

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 将来的な整備士不足が予想されています。ICAOは、2030年にアジア太平洋地区で約29万の整備士が必要と試算しています。航空会社にとって、整備士養成は喫緊の課題になっています。こうした整備士不足への対応からか、航空各社は整備方式や運航体制の見直しを進めています。
 全日空は2016年1月から新フライトオペレーション(新FO)を導入する計画です。有資格者で行っていた飛行間点検を、全機種・全空港で実施しない運航体制に移行し、有資格整備士が担っていた到着・出発時の業務はまずは一般整備士が行う体制に移行し、最終的にはグランドハンドリング担当者が担う体制への移行を計画しています。
 グランドハンドリング担当者が担う体制については、まずは羽田空港で全機種に展開したうえで、順次全空港に展開していくとしています。国際線運航のB777と国際貨物便として国内線区間運航のB767Fは今回の対象とせず、今後の検討としています。16年4月からグランドハンドリングに移行したいとの考えにあるようですが、計画どおりに進むかは不透明です。
 飛行間点検に有資格整備士を配置しないER0(イーアールゼロ)は、B737NG型機やB787型機の整備方式としてメーカーがセールスポイントとして推し進めてきたものです。2年ほど前に、日本航空が導入に向けトライアルを実施した経緯があります。

 日本航空での導入に向けた労使交渉で日航ユニオンは、「飛行間点検による不具合の発見や、有資格整備士を配置しないなかで不具合発生時の対応に時間を要する」など、安全性や定時性の観点から問題提起し、「ER0は導入すべきでない」と主張してきました。導入に向けたトライアイルでは会社が思うような結果が得られず、ER0方式は残したものの、飛行間には必ず有資格整備士が航空機の状況を確認にいく運用に変更しました。ベテラン整備士は、「トライアルで組合から指摘された問題点が確認されたことから、会社は提案を修正せざるを得なかったようだ。B787は飛行間点検ゼロがセールスポイントだが、日本航空は飛行間点検に整備士2名を配置している。4月にJALの整備を行うJALECとJ―AIRの整備部門が統合するが、大幅な遅延や欠航を防止するため、これまで配置していなかった空港にも整備士を配置していく」と話します。
 全日空は社内向けのパンフで、「(不具合またはその可能性)確認のために整備士を呼ぶ際、整備士の機側到着にタイムラグが発生するため、結果として遅延になる可能性がある」ことをデメリットとしてあげています。安全性低下よりも遅延を心配する、経営の姿勢が透けて見えます。飛行間点検がなくなることによる、技量低下を懸念する声も出ています。

 瀧本航空連副議長(整備連担当)は、「航空経営は、言葉では整備士の有効活用とか品質向上を言うが、ER0は整備士減らしコスト削減でしかない。運航便を担当するライン整備士は、運航便を通して身に着く知識や技能がある。ER0はこれらの低下を招くことになる。整備士を配置しないことで被害を受けるのは誰なのか、経営者は考えるべきだ」と強調します。

 将来の整備士不足が予想されるなか、全日空は飛行間点検を行わない運航体制へとかじを切ります。有資格整備士は有形無形の役割を担ってきましたが、今後は誰がそれを担うのでしょうか。

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 日本航空は12月15日、来年4月から客室乗務員の契約制採用を廃止し正社員採用とする、在籍している契約制客室乗務員は正社員化すると発表しました。日航キャビンクルーユニオン(CCU)は1995年の契約制客室乗務員導入時から一貫して、契約制に反対し正社員化を求め続けてきました。20年来の要求実現です。全日空は2014年4月から正社員採用と契約制客室乗務員の正社員化に見直しています。

 日本航空からCCUへの説明では、やりがいや働きがい感じて乗務することで、安全運航と高品質なサービスを提供し続ける役割を担ってもらうため、とされています。具体的には、@2016年4月に在籍するすべての客室乗務員を正社員とし、2016年度以降は入社時の雇用形態を正社員とする。A仕事に対するやりがいや高いモチベーションを保ち高い目標に向けて活躍できる環境を整えるため、2016年4月を目途に人事賃金制度を見直す。Bスケジュールの安定化に取り組む。C国際線における先任乗務のあり方を検討する、というものです。
 契約制客室乗務員の正社員化、コロコロ変わるスケジュールの固定化などはCCUが一貫して要求してきたものです。契約制客室乗務員に対するパワハラや雇止めは裁判にも発展し、日本航空は社会から厳しい批判にさらされました。
 CCUの古川委員長は、「20年という長い時間がかかりましたが悲願の要求が実現しました。提案当初、全国で反対運動を展開するなか、航空や全国の多くの仲間に支えて頂きましました。改めて感謝いたします。保安要員である客室乗務員は正社員で、と訴えてきた正しさが認められたものです。今回の決断を機に、日本航空は解雇問題も解決すべきです。CCUは安全基盤の強化に向け、安心して長く働き続けられる職場環境をめざし、今後も奮闘します」と話します。

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 2010年12月31日にパイロット・客室乗務員165名の整理解雇が強行されてから5年が経ちました。これまでに2度に渡って出されたILO勧告に対して、日本航空の経営は無視する姿勢を続けてきました。この様な状況のもと、ILO結社の自由委員会は、新たなフォローアップ見解(以下、第三次勧告)を出し、ILO理事会の承認を受け第三次勧告は2015年11月12日に正式に出されました。

 三次勧告は3つの柱≠ナ貫かれています。

  『…、雇用を終了された労働者を再び雇用する事(職場復帰)に関する意見が考慮されるよう、会社の新規採用活動の枠組みの中で、全面的かつ率直な協議を行うよう、要請した』―これは労使協議で解決する≠ニいう二次勧告までの方向性を堅持し、更に、二次勧告の確実に実行されることを期待する≠ニいう表現から『全面的かつ率直な協議』とし、より強い形での勧告となっています。

  『…、最新の展開に鑑み、会社と当該労働組合との意義ある対話を維持する事の重要性を、今一度強調する』ILOの結社の自由委員会は、労使交渉の実行に対しては、意義ある対話≠ニいう一歩進んだ表現を使い、解決に向けた実のある交渉にすることを強く要請しています。
 

 結社の自由委員会は三次勧告の最期の項目で、今までは日本政府に対し従来は勧告を出す前に求めてきた政府見解を三次勧告が出された後に要請しています。これは今までにILOの高官が発言してきた早期解決が重要、今がその時である≠ニいう発言を現実的に示したものと云えILOとしての早期の解決を求める強い意思を示しています。


 三次勧告の中では、今では見られなかった、日本航空経営の発言を分析しています。その中で希望退職者と特別退職者が全部で5700名いたことが被解雇者の救済の支障になっている(要旨)≠ニの経営の主張を取り上げています。しかし、ILOにはリストラされた労働者の解雇については、雇用終了とされた労働者に再雇用時の『優先的雇用権』という根本的なポリシーが存在しており、今後、解雇問題の解決に向けて一つのポイントになっています。

 結社の自由委員会は9月に日本航空乗務組合と日航キャビンクルーユニオンから出された「追加情報」に注目して来ました。その中でも6月に出された行政訴訟の判決を注目し、それは単に管財人の行った行為が支配介入の発言≠ニいう事に留まらず、根本的に労働組合を弱体化させる為の行為≠ニ捉え、ILO97号条約との関係で大きな問題であると捉えています。また、ILOとして更生計画が行われた全体の流れの中で判断しようという姿勢が観られる点は注目されるべき点となっています。

 これまでのILO本部の訪問で高官からのこの解雇問題が長期化することは、企業活動そのものを停滞させる要因となっている。解雇問題が解決するという事は、現在、日本航空が抱えている多くの問題の解決につながる≠ニいう指摘は、ILOの歴史と重みを示す重要な発言となっています。同時に、この様な冷静な判断は、今後、日本航空で働く者の全体で共有されるべきものである、と言えるでしょう。

 日本航空の経営はILO勧告に則り、解雇問題の早期解決に向けて意義ある交渉≠速やかに行う決断が、今こそ求められています。

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「2016年を攻勢的に」−各地域でがんばる地連の抱負紹介。


〈北海道地連〉 懸案課題だったJGS札幌労組の「冬期手当」を勝ち取る闘いは、冬期手当を勝ち取ることはできませんでしたが、賃金制度見直しを勝ち取ることで、以前に支給されていた「冬期手当」相当分を勝ち取ることができました。16年は、千歳空港で働く人たちの従業員駐車場問題や空港に働く労働者との交流に取り組んでいきます。

〈成田地連〉 成田空港に働く未組織労働者への取り組みをはじめスカイネットワーク(SNW)と連携しながら学習会の開催や宣伝活動に取り組んでいきます。

〈名古屋地連〉 若い世代を地連幹事として選出して活性化をはかります。また、安全会議との連携を強化しながら活動を進めていきます。

〈大阪地連〉 新議長の下に運動を強化し、JALやエミレーツ航空の不当解雇を撤回させ早期解決の年にしたい。また、2020年までに伊丹空港のターミナルの大改修工事が行われますが、航空労働者の働きやすい空港への取り組みを行います。そして、若い人たちとのコミニィケーション=食討などを行っていきます。

〈福岡地連〉

 地連としての幹事会体制を確立させ、活動の活性化に取り組みます。

〈沖縄地連〉 JTA乗組の就業規則変更無効確認請求(賃金カット)裁判の勝利解決と、那覇空港第二滑走路建設に伴う諸課題への対応、そして空港に働く人たちとの交流などを進めていきます。

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