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■主な記事から■


▼シリーズ客室乗務員の今−LCC安価な運賃の裏側。自己犠牲の働き方見直し急務
▼アベノミクス「道半ば」というけど。28兆円の経済対策でどうなる日本の将来
▼エジプト航空松山さんの解雇裁判が和解
▼御巣鷹山事故から31年、本社前などで解雇撤回宣伝
▼3年連続の富士登山。山頂で解雇撤回叫ぶ
▼TWU・IAM連合がAA地上職22%の賃上げ
▼鹿児島空港「空の安全を語る会」に 140名集う

労働条件は安全に直結 適切な指導を要請

グラハン連、航空局安全部と面談 職場実態・アンケート結果を説明

観光立国としてバックアップ

 7月29日、航空連グラハン連は航空局安全部を訪問し、グランドハンドリングをめぐる現状と課題、労働条件と安全問題について意見交換し適切な指導を求めました。島田グラハン連事務局長、丸山航空連事務局次長(同事務局兼務)、白石・飯岡同事務局員が出席しました。航空局安全部からは航空事業安全室、運航安全課航空事業安全監査室、空港安全・保安対策課の各担当者が対応しました。


 グラハン連からは2015年12月に取り組んだグランドハンドリングの「職場の安全・健康アンケート」結果の特徴について説明しました。この1年間で「安全が低下した」は47・1%で前回調査(36%)から11ポイントの増加。原因については「人員不足」86・6%、「社員の減少」42・1%、「教育・経験不足」39・5%を訴えています。今の健康状態については「自覚症状あり」と「不安を感じる」で62・4%に上っています。また、3人に2人が自分の職場で「事故・イレギュラーが発生」と答えています。健康状態では、「自覚症状あり」と「不安を感じる」を合わせると62・4%に上ります。1日の睡眠時間は6時間以下が66・7%に上っていたことから、睡眠不足を抱えた状態で作業にあたっていることが推測されます。「労働条件と安全」の観点から航空局として事業者に対する指導が必要と訴えました。

 安全部担当者からは、人員不足について監査に入った会社からは「コスト削減のための人員削減ではなく、人員が集まらないと聞いている」として、「観光立国として、局もグラハンの状況を認識しバックアップをしていきたい」との返答がありました。「アンケート回収は二次・三次下請けも入っていますか」との質問もありました。

 意見交換では、グラハン連から@15年度のランプ事故実績A局として事業者にどのような要請なり対策を求めているかB安全監査を通した安全面の課題について聞いたところ、ランプ事故資料(安全部提出資料)を基に、「航空会社からの事故報告は人身事故と対航空機事故の重大インシデントのみ。細かな件数の把握は空港管理者が行っている。掘り下げた事故分析は企業が行っている」「監査時に教育等の記録を確認しているが、教育時間が適正かどうかは各社の問題」とし、国として教育基準を設けることについては、世界各国の調査をしなければならず膨大な作業になることなどを理由に否定的な見解が示されました。

 人員不足がオーバーワークにつながりヒューマンエラーを引き起こしていること、低労働条件が定着化の妨げになり様々な問題を引き起こす要因になっていること、SMS(安全管理システム)の観点からみて各社の安全対策が不十分であること、2020年のオリンピックに向けた人員対策などについて局の考えを質したところ、SMSについては各社が掲示等で啓蒙活動に努めているとし、オリンピック向けた対策として「テロ対策として身分等確認の仕組みはしている」に止まりました。

局は生の実態把握を


 グラハン連は最後に、現場や労働者の実態をつかむ目的で、こうした場を定期的に開催することを求めました。

 今回の意見交換について島田事務局長は、「局としては監査等を通して会社から実態を聞いているとは言うが、それで十分とは言えない。運航に関わる不具合事例が連続して発生しても、個別事例としては運航に重大な影響を与えていないとして局には報告されないケースもある。アンケート結果や職場実態から見えてくるものは、減らない事故・トラブル、後を絶たない退職があり、グラハンのブラック化とも言える。局は監督官庁としてグラハンの生の実態の把握に努め、安全で働きやすい職場づくりにつながる適切な指導が必要だ。国際的には『疲労と安全』が注目されており、グラハン企業でもSMSを導入している。名ばかりのSMSでなく、実効性のあるSMSにしていく必要がある」と語りました。

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シリーズ 客室乗務員の今

自己犠牲の働き方見直しを LCC 高稼働で懸念される健康

休憩取れない、サービス残業も 安全配慮・労基法の遵守を

 「長く働ける環境ではない」。こんな声が客室乗務員から寄せられています。全日空に続き日本航空が客室乗務員の採用を契約制から正社員採用に見直しました。しかし働き方は改善されず、健康被害が報告されています。働きに見合った賃金や勤務改善を求める声も広がっています。2回にわたり客室乗務員の働き方について報告します。

 国内LCCに勤務する客室乗務員のAさん。高稼働が続くと月間乗務時間が95時間に達する時もあります。昨年のある月は有給休暇を4日取得しましたが乗務時間は80時間に上りました。1日4便乗務する日が月に数回あり、1日の勤務時間が12時間になることもあります。乗務中はほとんど休憩が取れません。

 「勤務終了は到着時間から20分後になっていますが、沖スポットであればお客様が降機し全てが終わるまでに35分ぐらいはかかります。毎回15分程度はサービス残業です。機内販売の金額が合わず自分で負担した事もあります」とAさん。

 早朝便乗務で公共交通機関で間に合わないときは、空港近くのホテルに前泊できます。通常は会社がホテルを確保していますが、呼び出しによるスケジュール変更でスタンバイ日に乗務が入り前泊する際は、自分でホテルを予約しなければなりません。このようなときは休日が移動日になってしまいます。5連続勤務のあとの1日の公休が移動日になることもあります。

 Aさんの会社では、新入訓練の後に実施されるOJT(インストラクターが同乗する訓練乗務)がわずか1日しかなく、その後は単独乗務になります。訓練は終わったものの、責任と不安のはざまで仕事をこなせる自信がもてずに退職する新人もいます。

 客室乗務員が1人でも加入できるジャパン・キャビンクルー・ユニオン(JCC)の木谷委員長は、「LCCのCAは過酷な労働を強いられています。変則勤務による加重度合いを加味すれば、乗務時間95時間は200時間の労働時間に相当します。休憩時間もきちんと確保されていません。労働基準法の遵守、安全配慮義務が求められます」と話します。

 LCC元年といわれた2012年から4年が経過しました。安価な航空運賃で注目を浴びていますが、労働者の善意や犠牲に寄りかかった運航では、いずれはそのツケを払うことになるのは明らかです。

(つづく)

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  シリーズ watching

後は野となれ山となれ 28兆円経済対策で膨らむ借金

 8月3日、第3次安倍改造内閣が発足しました。新聞報道では「新鮮味に乏しく、『側近』で守りを固めた」との評。安倍首相は参院選の最大争点は経済政策「アベノミクス」としていましたが、改憲勢力が3分の2議席を確保したことで、秋の臨時国会で両院の憲法審査会で論議を始める意向を明らかにしています。選挙中は隠して選挙後は改憲を前面に。これまでの特定秘密保護法や安全保障関連法を押し通してきた手法と同じです。

 安倍首相自ら「道半ば」と認めたアベノミクス。新聞報道では「世界経済の鈍化に加え、円高・株安が進み企業の設備投資は伸び悩み、消費を中心にした内需は力強さを欠いている」。

 日銀は新たな緩和策として、株価指数連動型の上場投資信託(ETF)の買い入れペースを年間3・3兆円増から6兆円増に2倍に引き上げました。ETFは株価に連動して価格が変動します。日銀が買い入れを増やせば株価の値上がりにつながります。企業業績や景気に無関係で株価が上がるゆがんだ金融市場になってしまいます。

 安倍首相は「未来への投資を実現する」として28兆円規模の経済対策を打ち出しました。リニア新幹線の前倒しや港湾整備など、内容は旧来型の公共事業バラまきの復活です。

 一方、国債と借入金、政府保証債務を合せた国の借金は6月末時点で1053兆4676億円(3月末比約4兆円増加)になったと財務省が発表しました。国民1人あたり約830万円の借金を抱えていることになります。2013年に1000兆円を突破して以降も増加に歯止めはかからず、財政の健全化は険しさを増すばかりです。「後は野となれ山となれ」からの転換が求められます。

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ご支援ありがとうございました 運航再開時には再雇用

エジプト航空松山さん解雇裁判が和解

 解雇撤回を求めていたエジプト航空松山さんの裁判は、運航再開時には再雇用することで和解が成立しました。

 エジプト航空日本支社には2003年には40名を超える日本人客室乗務員が在籍し、多くの社員がSNWに加入しました。しかし2011年、エジプト政情不安から2回におよぶ路線の運航停止を経て、2013年10月に日本路線の運航停止、その後日本支社の撤退、全員の解雇予告が示されました。組合は団体交渉を重ねましたが解雇撤回にはいたらず、裁判で争った数名を除く組合員は自主退職となりました。退職に応じなかった松山さんは2014年5月に解雇。解雇撤回を求めて東京地裁に提訴しました。

 裁判は、日本支社が撤収したため東京地裁からエジプト本国にアラビア語での裁判書類を送達するという、日本の裁判でもあまり例のないものとなりました。粘り強い闘いにエジプト航空もついに日本人弁護士を立て、2016年1月から実質裁判がスタートしました。裁判進行中にもエジプト航空機が墜落するなど厳しい情勢もありましたが、6月16日に和解が成立しました。和解内容は「運航が再開したら再雇用する」というものです。

 松山さんは「これまでご支援ありがとうございました。引き続き運航再開までがんばります」と語っています。

 松尾SNW委員長は「外航は、本社の経営戦略や本国の事情によって減便や運休になることは珍しいことではない。常に注意を怠ることなく備える必要がある。

 この解雇裁判は、エジプト航空の日本支社が撤退し、交渉相手がなくなったことで、どう解雇争議を解決するか困難を極めた。和解は本人が最後まで頑張った成果と言える。また、多くの皆さんにご支援・ご協力をいただいたことに感謝申し上げます」とお礼を述べました。

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御巣鷹山事故から31年、JAL本社など3か所で宣伝行動

「絶対安全の確立」争議の1日も早い解決訴えるJAL不当解雇撤回闘争

 御巣鷹の尾根に散った520名もの尊い命。123便事故から31年目を迎えた8月12日、「2度と事故を起こさない」「絶対安全の確立」「そのためにも争議の1日も早い解決」をと、日航本社前、伊丹空港、福岡空港の3カ所で宣伝行動が取り組まれました。

 福岡空港では手作りのゼッケンを首から下げ、17時半から19時まで空港利用者に宣伝ビラを配布しました。伊丹空港では18時過ぎから約1000枚の宣伝ビラを配布しました。事故発生の18時56分には、「この時刻に群馬県上空で迷走するジャンボ機を必死でパイロットは操縦していました」との声に合わせ参加者全員が黙祷しました。

 日航本社前ではトランペット奏者の松平さんが「見上げてごらん夜の星」「上を向いて歩こう」など3曲を演奏。糸谷支援共闘会議共同代表(全国港湾委員長)、全労協全統一・佐々木書記長、野村全労連副議長、植松東京国公事務局長、前田CCU副委員長、山口パイロット原告団長の各氏が挨拶しました。植松氏は、当日の毎日新聞に掲載されていた御巣鷹山事故関連記事から、犠牲に遭われた旅客が家族に宛てたメモを紹介し、あらためて安全運航を訴えました。

国民・利用者の声をJALへメッセージカード1100筆突破

◇ 「日本航空の不当解雇撤回をめざす国民支援共闘会議」(JAL不当解雇撤回国民共闘)は争議の早期解決をめざす一環として、利用者・国民の声を日本航空社長に届ける「メッセージカード」に取り組んでいます。7月末で1100筆を超えました。メッセージカードは日本航空に提出する予定です。一部を紹介します。

 「私はJALを利用します。仕事をするベテラン客室乗務員の姿を拝見するとホッとします。ベテランパイロットや整備士の存在は安全運航に欠かせません。利用者が命に直結する公共交通機関に求めるのは安全です。一日も早く争議を解決してください」(岩手)

 「違法な『整理解雇』で社員や家族を犠牲にするのはやめてください。空の安全のためにもベテラン社員を職場に復帰させ、真のナショナルフラッグJALの姿を見せてください」(神奈川)

 「人を大事に育てられない職場に未来はありません。人の尊厳を大切にしない職場に安全はありません。安心して利用できるJALであり続けてください」(京都)

 「岡山空港からはJAL、ANAが東京へ飛んでいる。原告の人たちに『JALを利用したくない』と言うと、『私たちはJALが好きです。ぜひ利用して下さい』と言われました。首を切られてもJALを愛し続ける人達をどうして職場復帰させないのですか?一日も早くJALに戻して下さい」(岡山)

 「御巣鷹山の事故を再び繰り返すことがないよう安全第一で。そのためにもベテランパイロット・CA・整備士を大切にすること。今のJALの経営姿勢をみると、再び事故を起こすのではないかと気が気でなりません」(高知)

【9月の宣伝行動】

■9月8・9日10‥30〜13‥00、JALプラザ前宣伝・座り込み(9日11‥00〜13‥00座り込みのみ)

■9月25日10‥00〜「ツーリズムEXPOジャパン2016」宣伝


富士頂上から解雇撤回

3年連続の富士登山 辛さ乗り越え最高の気分

 初めて富士山に登ったのは解雇から4回目の夏を迎えた2014年8月。JAL解雇撤回争議を支援者する仲間から誘われてのことです。その後は毎年夏に富士登山をしており、今年で3度目になりました。

 今年は娘と二人での富士登山。7月31日午前6時過ぎに横浜の自宅を出て、電車とバスを乗り継ぎ須走5合目の登山口(2000m)に着いたのは10時半頃。準備を整え富士登山開始です。

 梅雨明け直後のさわやかな風が吹き、7合目あたりまでは高山植物も見られます。人気の吉田口からの登山とは少し違った感じです。眺めも素晴らしく、休みながら6時間程かけて8合目の山小屋に着きました。このあたりまで登ってくると高山病の症状と思われる頭痛が少しありました。

 翌朝4時45分頃、幻想的で素晴らしいご来光を山小屋で見てから頂上をめざします。急な登り坂や岩場が多くなり、頭痛と酸素不足で一歩足を出すのも辛い状態で登らなければなりません。8合目から頂上にかけては自分との闘いです。 登り始めて3時間半、ようやく頂上に着きました。辛いながらも頂上に着いたときは最高の気分です。初めて富士登山した娘がつぶやきました。「富士山に登れたら何でもできる気がする」。私たちの争議も富士山頂をめざす気持ちで、あきらめることなく最後まで闘っていきたいと思います。

 JAL不当解雇撤回争議団客乗原告 下村京子

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ITFニュース

TWU・IAM連合が賃上げで暫定合意 アメリカン航空の地上職22%アップ

 航空連とアライアンス関係にある全米最大労組のIAM(国際機械工航空宇宙産業労働組合)はアメリカン航空地上職の賃上げに向け精力的な交渉を行っています。 IAMは8月5日「3万人の地上職に対する業界一の賃上げにTWU―IAM連合とアメリカン航空が暫定合意」と発表しました。TWU―IAM連合は、地上職組合員約3万人の業界トップとなる賃金と退職金獲得をめざしアメリカン航空と交渉していました。両者は未解決の問題の解消のため合同契約交渉を継続する予定です。

 合意が達成されると2016年11月から平均で約22%の賃上げになります。(連合の)メカニック及び関連労働者は同様の職種区分であるデルタ航空及びフリートサービスの労働者より3%高く、また、倉庫・資材ロジスティックスペシャリスト及びメンテナンス訓練スペシャリストの賃金はユナイテッド航空と比べ1%高い賃金になります。賃金格差を埋めるための組合員に対する一時金の支払いは2016年11月までに行われる予定です。

 シト・パントーヤ連合議長とハリー・ロンバルド副議長は、「アメリカン航空で働く連合の組合員は彼らにふさわしい業界最高の賃金を獲得するだろう。アメリカン航空とUSエアウエイズのようなメガキャリアが合併した後の合同交渉は厄介で時間がかかるものだ。連合の組合員は彼らの交渉委員会が頑張っているので、会社が上げた利益の適正な配分を待つ必要はないだろう」「私たちの要求を届けてくれた交渉委員会と連合の組合員ならびに話の分かるパートナーであるアメリカン航空に感謝したい。賃金の加給と退職補償を求めていくことも含め、契約のすべての部分の向上を求めてこの合同契約交渉を継続していきたいと思っている」と述べました。

 TWU―IAM連合は運輸労働者組合(TWU)と国際機械工航空宇宙産業労働者組合(IAM)のアライアンスです。この連合はアメリカン航空とUSエアウエイズの合併に伴って2013年に結成され、アメリカン航空の約3万人の地上職の契約交渉を2015年12月に開始していました。

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●安全会議だより(91)

鹿児島空港の夏の風物詩 空の安全を語る会に140人集う

 航空安全推進連絡会議鹿児島支部は8月5日、恒例となっている「空の安全を語る会 黒豚BBQ」を霧島市国分天降川リバーサイドステージでて開催しました。連日のように発生する積乱雲による豪雨が心配されましたが、当日は好天に恵まれ滞りなく開催することができました。

 黒豚BBQは今年で18回を数えます。当初は、鹿児島空港で働く安全会議加盟労組(国土交通労働組合・JAC乗員労組・JAC客乗組合)が、職場の枠を超えて情報交換や親睦を深めるために企画されたものです。その後、加盟労組以外からの参加者も増え、グランドハンドリング等を担当している南国交通や、鹿児島空港に拠点を置く使用事業航空会社の職員も参加するようになりました。7月になると各職場から「今年はいつやるの」との声が聞こえてきます。黒豚BBQはいまや、鹿児島空港の夏の風物詩となっています。今年は140名以上が参加となりました。

 今回は、今期2回目の全国幹事会が鹿児島で同時に開催されました。そのため、安全会議本部や各支部の幹事も参加することができました。

 職場の枠を超え「空の安全」について語り交流する機会は黒豚BBQ以外なかなかありません。私も鹿児島空港の航空管制官や技術官と、日頃疑問に思っていることを質問しあったことがあります。フライト中に顔が見えない管制官や技術官と話をする機会は貴重です。

 鹿児島支部は、「今後も、参加してくださる方にとって有意義な場になるよう創意工夫を続けていきたい」と語っています。

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