phoenix315号 PDF315


■主な記事から■
▼ITFアジア総会に参加して。トピックス紹介
▼JAL・ANA、経営戦略と社内事情
▼JAL解雇争議、地域で全国で連帯強化。「釧路・根室の会」が結成される
▼安全会議だより 94
▼不当判決に負けられない



空の安全、争議解決

貧困と格差是正の2017年に

 1月20日、米国大統領就任式が行われます。ドナルド・トランプ氏がどのような政策を掲げ実施するのか、世界は注目しています。トランプ氏が選ばれたことと英国EU離脱の背景に共通性が指摘されています。グローバル化の進展は貧困と格差を拡大させ、分断を招いています。一方、欧州ではまともな生活を取り戻すため、緊縮財政に反対する幅広い市民運動や選挙を通して多国籍企業の横暴や格差の貧困を是正させる社会変革が生まれています。

 国内に目を転じれば、安倍政権は経済政策「アベノミクス」で異次元の金融緩和や機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略を進めてきました。株価上昇と円安で大企業は大きな利益を上げ、大企業の内部留保は300兆円を超えましたが、庶民の暮らしに光は差し込まず貧困と格差が一段と拡大しました。給与所得者数を所得階層別にみると年収2千万円以上と5百万以下が増加、5百万円〜1千万円の中間層は減少しています。非正規労働者は2千万人を超え、年収2百万円以下の労働者は1千万人を超えました。日本の子供の貧困率は16・3%とOECD(経済協力開発機構)34カ国中ワースト6位。「貯蓄ゼロ世帯」は30・9%と、この20年余りで3倍に増えました。富裕層はますます富み、中間層は疲弊し貧困層が増大――安倍政権下で深化した日本の姿です。

 安保関連法(戦争法)強行成立で、PKOで海外に派遣された自衛隊員の生命の危険性が高まっています。沖縄辺野古新基地建設問題でも、沖縄県民の民意を無視する安倍政権への反発は大きく強まっています。求められるのは米国のメガネを通した外交経済政策や軍事協力からの転換です。欧米では社会変革をめざす幅広い市民運動が新たな潮流になっています。そのうねりは日本でも広がっています。

 航空各社の17年3月期決算は、収入を下方修正したものの好決算が予想されています。安全面や労働環境で課題を抱えているのも共通です。

 JAL・ANAではエンジントラブルが相次ぎました。ANAではB787の、JALではB777のエンジン不具合が相次ぎ、影響は今なお引きずっています。両社は航空機の稼働を上げるため、整備をできるだけ夜間に集中させています。そのため勤務は夜間偏重になり、整備士の疲労を高め不安全要因になっています。全日空は、国内線で有資格整備士による飛行間点検を配置しない「新フライトオペレーション(新FO)」を導入し1年が経過しました。最初に導入された羽田空港では整備士の配置はなくなり、グランドハンドリング担当者が整備業務を担います。運航乗務員の負担増加や安全性低下が懸念されています。

 日本航空では、パイロット不足が抜き差しならない状況にあります。会社はいっそうの高稼働をねらい、安全運航のために定められた年間乗務時間制限の延長を提案。労使の緊張が高まっています。客室乗務員の職場では、改悪勤務が適用される客室乗務員と適用されないCCU組合員が混在乗務しています。労働強化のなかで健康被害が報告されています。毎年大量の退職があり、大量採用しなければ運航を維持できない実情です。背景には過酷な勤務やパワハラなどの労働環境が指摘されています。

 外航では、路線の見直しや「合理化」によるコスト削減が相次ぎ、雇用問題が起きています。

 グランドハンドリングの人員不足も深刻です。ANAグループのANAASでは、16年度は毎月ように新規採用を重ね6カ月間の累計は500人を超えています。成田空港のグラハン会社では、派遣会社6社から人員採用しています。JALグループのJGSでは10月の労使交渉で、「成田・羽田の計画人員はマイナス34名」が明らかなりました。17年度内定者を前倒しで研修生として受け入れていますが退職は後を絶たず、人員不足解消の見通しは不透明です。

 迎える2017年。

 JAL不当解雇撤回闘争は9月23日に最高裁で日本航空の不当労働行為が確定。この問題は国会でも取り上げられました。3労組統一要求も日本航空に提出され、交渉が開始されました。早期解決に向けた日本航空の決断が求められます。

 直面する17春闘は16年末闘争の成果を土台に、さらなる職場改善に向けた取り組みが求められます。利益至上主義から安全第一・公共性重視に転換させるとともに、職場に誇りと活力を取り戻し、安全安心の航空産業を築く取り組みを強化しなければなりません。私たちはあらためて「労働条件は安全を支える基盤」を確認し、安全運航の担い手にふさわしい労働条件に引き上げさせましょう。

315 TOPへ


重視されるアジア太平洋地域 I TFアジア太平洋地域総会

62の労働組合代表が参加交通運輸の未来を俯瞰労働環境改善めざし討論

 昨年11月28日〜30日、東京ビックサイトで国際運輸労連(ITF)のアジア太平洋地域総会(APRC)が開かれました。東京開催は19年ぶり。アジア太平洋地域から62の労働組合代表など、総勢約250名が参加しました。航空連からは近村議長をはじめ17名が参加。航空連国際委員会責任者の和波さんにトピックスを紹介していただきました。

 総会はアジア太平洋地域における活動計画を定めて組織体制を改編することと、現状を全体で共有し、交通運輸の未来を俯瞰しながら労働環境を改善することを目的としています。組織状況については、同地域の加盟が増えており、ITF全体に及ぼすアジア太平洋地域の影響がますます重要であると強調されました。加盟組合代表からは、当該地域における労働者が貧困のあまり加盟費が払えず、加盟できない労働者が多数存在していることが報告され、組合の力を強化することの難しさも浮き彫りにしました。

「職場の自動化」に注視

 総会では「第4次産業革命」というテーマが出されました。これは「職場の自動化」を意味しており、それが職場や雇用に与える影響について議論されました。交通運輸やロジスティックス産業の労働組合にとって、こうした変革がもたらす課題は現実のものであり、港湾への自動クレーンの導入や倉庫での自動ロボットの稼働など、その影響がすでに起きています。自動化で雇用喪失の問題が浮上する恐れがあり、労働組合の対応の遅れが指摘されました。

 タクシー業界では、UBER(ウーバー)システムが開発されたことで職域や安全が脅かされるおそれがあるとの報告がなされました。ウーバーは2009年にサンフランシスコで設立され、60カ国300都市以上で利用されています。このシステムはスマホなどの活用で、移動ニーズのある利用者とドライバーをマッチングさせます。日本では2014年からタクシー・ハイヤー会社と提携してサービスを展開していますが、ここに「白タク」が入り込んでタクシー業務が脅かされるという指摘です。

 旅行業界からは民泊の問題と、アプリケーションを使ってホテルの予約・支払い決済などが可能となったことでフロント業務が不要となり、人を介さずにホテル事業が展開され、職域や宿泊施設の安全性に影響を与える恐れがあるとの指摘が出されました。

 これらの指摘に共通するのは、自動化の発達に伴いユーザーと対面する人間が不要となり、職域と職場の安全管理がおろそかになる恐れが生じるという点にあります。

 パキスタンの河川で運搬業務をしている代表からは、地球温暖化に伴い河川の水位が減少し、船による運搬業務ができなくなる恐れが報告され、ITFとして対策を打ち出すべきとの指摘がなされました。

 総会ではITFのステイーブン・コットン書記長とJAL争議団の懇談が実現しました。懇談には近村議長、山口・内田両原告団長、岩田国際活動委員が出席。これまでの支援へのお礼を述べ、10月19日にILO追加情報を提出したこと、日本航空の不当労働行為が最高裁で確定したこと、3労組(日航機長組合・日航乗務員組合・日航キャビンクルーユニオン)が年末交渉で統一要求を提出し交渉が開始されたことを説明しました。コットン書記長からは「統一要求に賃金があるが、現在、どうなっているのか」「整理解雇と不当労働行為の判決について弁護士はどう言っているのか」「なぜ会社は被解雇者の職場復帰を拒否するのか」「具体的にITFにどうして欲しいのか」との質問があり、一つ一つ丁寧に答えました。

 総会参加は国際活動を身近で体感できる絶好の機会でした。ITFは2018年にシンガポールで第44回世界大会を開催します。世界の動きに日本も無縁ではいられないことが非常に多く、今後とも航空連は国際情勢を把握し、日本での取り組みに活かすべく活動を進めていきます。

315 TOPへ


争議解決を!地域から全国から力強い連帯 JAL不当解雇撤回闘争

釧路・根室で支える会結成 大田区では展望を確認する集会

国交大臣 日航の不当労働行為は遺憾 

 羽田空港をかかえる東京都大田区の仲間による「JAL争議の到達点と今後のたたかいの展望」を確認する集会が12月16日、大田区消費者生活センターで開催されました。会場一杯に、区内の市民団体や労働組合、原告など180名が集まりました。

 集いは小林JAL大田実行委員会事務局の、集いの趣旨と大田での共同行動の意義の挨拶で開会。続いて津恵JAL国民支援共闘会議事務局長が「JAL争議の到達点と今後のたたかいの展望」と題する基調報告。山添拓参議院議員(共産党・国土交通委員)は、日本航空の不当労働行為が最高裁で確定した後に行われた国土交通委員会でのJAL争議を巡る審議状況を報告。石井国交大臣や越智内閣府副大臣の「遺憾に思う」との発言を紹介しました。前田CCU(日航キャビンクルーユニオン)副委員長と飯田日航乗組副委員長は変化する職場からのたたかいを報告。堀弁護士(東京南部法律事務所)、粟飯原(あいはら)大田区職労委員長、五十嵐雪谷民商会長、横田新婦人大田支部事務局長から連帯挨拶がありました。山口パイロット原告団長と内田客乗原告団長は、集会開催のお礼と争議の早期解決を目指す決意表明をしました。

 ◇ JAL不当解雇撤回闘争を支援する共闘組織は全国に28あります。12月21日には29番目となる、「不当解雇とたたかう日本航空労働者を支える釧路・根室の会」結成総会が釧路市内で開催され、客乗原告団から内田団長と鈴木副団長・小栗原告が、パイロット原告団から山口団長と清田事務局長が参加しました。結成総会には約70名が参加しました。

 原告団は結成総会に先立ち、北海道釧路総合振興局長を訪問。JAL解雇撤回闘争の現状や、管財人が整理解雇を巡る労使交渉で恫喝した不当労働行為が最高裁で確定したこと、それを受けた国会での審議状況などを説明しました。

 「釧路・根室の会」は、組織の枠を超えた幅広い団体が集まり結成されました。今後を展望する画期的な出来事です。

 結成総会で原告団は、「争議は年を明けると7年目に入ります。9月23日に最高裁は日本航空の上告を棄却し、不当労働行為が確定しました。これは、当時、解雇回避に向けた労使交渉がまともに行われてなかったことを意味し、争議解決に向け交渉を行うことを求めたといえます。10月に日航機長組合、日航乗員組合・CCUの3労組が統一要求を会社に提出しました。大きな情勢の変化を迎えた今、北の大地で支援する会が結成されことは私たちに大きな力を与えます。立ち上げにご尽力していただいた皆さま、本当にありがとうございました。原告団は新たな情勢の中、解雇争議の早期解決を目指し、奮闘してまいります。皆様の力強いご支援を宜しくお願い致します」と感謝と更なる支援の訴えを行いました。結成総会の模様は翌日の北海道新聞で報道されました。

 2010年12月31日に日本航空のパイロットと客室乗務員165名が不当解雇され6年が経過しました。解雇者を職場に戻そうとする運動はさらに広がっています。

315 TOPへ


JAL・ANA経営戦略を考察

発着枠配分の差が業績に反映

急激・大規模拡大のANA 成長戦略がみえないJAL

 国際航空運送協会(IATA)の長期予想では、20年後の世界の航空旅客(16年は38億人予測)は2倍に膨れ上がります。旺盛な航空需要の牽引役はアジア太平洋地域。経済成長が著しいこの地域では、人口増加と可処分所得を有する中間層の拡大により、航空を利用した旅行客が増加すると予測されています。国別では、中国・インド、インドネシアは急成長市場とみられています。日本の航空旅客数増加率は穏やかなものとされ、現在世界第4位の市場は2035年には世界第7位へとみられています。一方、日本政府は「明日の日本支える観光ビジョン」の新たな目標として、訪日外国人旅行者を2020年4000万人、2030年6000万人を掲げています。国土交通省は目標達成に向け、首都圏空港の機能強化や規制の見直しなどを具体化し進めていく計画です。こうした内外情勢のもとで国内大手航空各社が打ち出す経営戦略を考察します。

 全日空は16年1月に「2016―2020年度中期経営戦略」を発表しました。エアライン事業ではフルサービスキャリアとLCCの両ブランドを拡大させます。国内線の20年度末の生産量(座キロベース)は15年度末比で96%。国際線は成田の夕方、羽田の午前・深夜と、首都圏で1日3つの乗継ぎダイヤを構築し、生産量は15年度比で151%に。LCC事業は15年度比で318%を計画しています。新規事業として乗員訓練事業や機体整備事業の推進をあげています。機材戦略では258機体制(15年度末)から300機体制に拡大します。財務目標は、15年度営業収入1兆7900億円を20年には2兆1600億円に、営業利益は15年度1250億円を2000億円に拡大します。機材投資は過去最大規模の2兆円(カタログ価格・15年5月発表)を計画しており、関係者から「野心的すぎるのではないか」といった声もあがりました。

国交省の監視対象で慎重なJAL

 日本航空の2017年度以降の中長期経営目標は「収益性と安定性を兼ね備えつつ、航空需要の伸びに適切に対応し常に成長し続けることで企業価値の向上を目指す」とし、@今後想定される首都圏空港発着枠拡大に対応する事業運営体制の整備、A中長期的な経営課題への「打ち手」の検討・実施、B新世代航空機(B787、A350、MRJ等)の円滑な導入、と述べるのみ。具体策は17年2〜3月発表予定としています。その背景には、国土交通省が中期経営計画中(16年度末まで)の新たな投資や路線計画を監視対象とした「8・10ペーパー」があることが推察されます。

 「8・10ペーパー」とは、日本航空の再上場を目前にした2012年8月10日に、国土交通省が日本航空に出した「日本航空の企業再生への対応について」と題する文書です。内容は、12年度から16年度までの中期経営計画中の新たな投資や路線計画は国交省の監視対象におかれる、というもの。文書失効後も公正な競争環境を損なうとの理由で横槍が予想されることから、日本航空は慎重にならざるを得ないのかもしれません。

 このペーパーがどのような効果を発揮したか、発行後の発着枠の配分をみてみます。2012年11月に羽田空港国内線発着枠1日25枠の配分はANA8枠・JAL枠・他4社14枠。2014年3月の国際発着20枠はANA11枠・JAL5枠。2016年4月には、日米航空協議合意に伴う昼間時間帯5便(5便のうち4便は深夜早朝時間帯からの移行)はANA3便・JAL2便となりました。累計ではANA22枠に対しJALは10枠。この優位性をANAがフルに活用した結果は、計画を上回る利益を上げ続けていることからも、絶大な効果は疑いありません。一方、イベントリスクや社内事情も抱えており、計画見直しを迫られることも考慮すべきでしょう。

両社が抱える社内事情

 ANAは過大な投資を含む事業計画を進めており、とりわけ国際線の拡大はイベントリスクを伴います。「国際線を拡大したJALを彷彿させる」と指摘されています。つまずけば経済的な打撃も大きく、経営を揺るがす事態になります。

 機材計画では、2020年には現行の258機体制から300機体制に拡大します。首都圏発着枠拡大などと勘案すると、パイロットは250名規模の増員が必要との試算もあります。一人の機長養成に10年程度かかるとされ、世界的にもパイロット不足が騒がれるなか、250名規模のパイロット確保は容易ではありません。確保のため規制を緩和する動きがありますが、健康問題による乗務中断者が増加傾向にあるなか、規制緩和は新たなリスクを抱えることになりかねません。

 昨年1月導入の、国内線有資格者整備士による飛行間点検廃止を伴う新フライトオペレーション(新FO)も課題を抱えています。性急な進め方への疑念や、専門的な知識と経験に裏付けされた整備業務をグランドハンドリング(地上支援業務)担当者が担うことへの懸念など、不安の声が広がっています。社内では整備業務の見直しが意欲低下を招きかねないとの指摘もされています。効率化追求によるリスク要因拡大が懸念されます。

 JALが抱える問題も一筋縄ではいきません。今後の成長戦略をどのように描くのか。植木社長は「採算性に見合わなければ規模を拡大しない」と強調しますが、税法上の恩恵がなくなり様々な費用増加も加わるなか、収入増が図られなければ利益は縮小します。羽田での、全日空に比べ見劣りする利便性をどのように挽回するかも重要な課題です。人件費削減や行き過ぎたコスト削減は人心の荒廃につながります。ANA同様、パイロット確保は今後の事業計画を考えれば必須条件ですが、退職に歯止めがかかりません。経営側は解雇争議を抱えていることからパイロット不足とは一切言わず、安全運航のために設けられた年間乗務時間制限を、あれこれ理由をつけて延長しようとしており、パイロットの不信感を増大させています。

 客室乗務員の勤務見直しをめぐる対応も酷いものです。会社は勤務基準の見直しについて、緩やかな「4日勤務―2日休日」でのスケジュールの安定化として、航空連合傘下のJALFIOと勤務協定を結びました。ところが実際に乗務してみると、2日連続の国際線日帰り乗務後の翌日から国際線長距離乗務だったり、乗務後の休日が年休に置き換わっていたりと、新協定で乗務するJALFIO組合員から悲鳴があがっています。一方、日航キャビンクルーユニオン(CCU)は検証の結果、様々な問題があることから協定を結んでいません。これにより客室乗務員は、組合所属別勤務協定でそれぞれ乗務することになりました。植木社長は「少しでも長く皆さんに働いてもらいたい」と述べますが、CCUの調べでは、JALの客室乗務員はこの1年間で600名が退職しています。

 財務面強化の陰で、現場力を低下させ安全を脅かす不都合な真実が侵食し始めています。現場に寄り添った施策への転換が必要ではないでしょうか。

315 TOPへ


安全会議だより(94)

導入できるか?気象観測を完全無人化する 「自動METAR/SPECI報」

 国内の航空気象観測に新たな方式が導入されようとしています。

 それは、現在は人間が行っている空港の航空気象観測を完全自動化する「自動METAR/SPECI報」(以下、自動MS)の導入です。

 気象庁のHPによれば、新たな観測技術と理論の開発・活用などにより、現在と同等以上のレベルを達成して、航空気象観測の合理化を図ろうとしています。12月から関西国際・福岡・与論・与那国の4空港の一部配信をこの自動MSで行う試験運用を開始しています。

 しかし、気象観測や気象データを利用する運航乗務員の職場から、この試みに疑問の声が上がり始めています。

 この自動MSでは、散在している霧など、特定の気象現象が観測できず報じられません。例えば、竜巻などの運航に重大な影響を及ぼす現象も、機械では観測できず報じられません。また、特に冬場の降水現象(雪やみぞれなど)は、機械にとって液体か固体か不明確なため、分類して報じることができません。冬期運航に安全上の大きな影響を与える固形降水の種類も、実際は飛行禁止の気象現象が存在しているのに、知らずに運航してしまうのではないかとの声が上がっています。

 このように自動MSでの配信報は現在の通報式とは、大切な項目が通報されないなど、導入する気象庁自体がその差異を認めており、専門家である気象観測者のみならず、運航乗務員の職場からも、あえて気象観測の質の後退を前提とする合理化だとの批判があります。

 気象庁HPによれば、試験運用が始まったばかりにもかかわらず、今年3月には本運用を開始するとされています。少なくとも、これほどの変更に対し運航乗務員への周知は全く不十分です。この自動MSがどのように推移していくのか、現場の航空労働者が安全確保の観点から注意深く監視していく必要があります。詳しくは、航空安全会議ホームページをご覧ください。

315 TOPへ


不当判決に負けられない 裁判所は弱者をなぜ切り捨てるのか!

日東整原告、上告棄却に抗議 猪俣労災裁判は最高裁へ上告

 日本航空の再建の過程で、唯一会社ごとつぶされ全従業員の雇用が奪われた整備子会社の日東航空整備(日東整)。2名の労働者が日本航空に不当解雇撤回と雇用の確保を求めていた裁判で、最高裁は原告2名の上告棄却の不当な決定をだしました。2名の原告は「上告棄却に断固抗議する。日東整争議団は、JALに争議の早期解決を求めてこれからも闘っていきます」との決意を表明しました。

 この裁判は、日東整の労働組合を嫌った日本航空経営が、委託していた航空機整備の仕事を徐々に減らし、破綻を利用し委託していた全ての仕事を同じ整備子会社のJALエンジリアリングに移したため、日東整は清算に追い込まれ全従業員が解雇されました。2名の労働者が解雇は不当として、解雇撤回と雇用の確保を求め裁判を闘っていました。争議団は、JAL解雇争議やJAL客乗マタハラ裁判と一緒に、争議の早期解決を求め羽田空港では毎月2回、成田空港では毎月1回、東京・有楽町JALプラザ前でも毎月1回の宣伝行動で、JALを利用するお客様や働く皆さんに支援と協力の訴えを行っています。

 ◇ くも膜下出血で亡くなったのは過重な労働が原因として、スカイマークの整備士だった猪俣さんの奥様が訴えていた過労死認定裁判で東京高裁は11月25日、控訴棄却の判決を下しました。奥様は支える会の仲間とともに、東京高裁の誤った判決を正すため最高裁に上告しました。

 東京高裁では、変則勤務が与える疲労について、多くの航空労働者から陳述書や、1千通を超えるアンケートを基に分析した勤務と疲労に関する学者からの意見書が証拠として提出されていました。しかし裁判ではこうし証拠を真摯に検討しませんでした。「裁判支える会」会長の奥平さんは、「裁判所は、勤務や仕事による夜勤やタイムストレス、出張等の負荷をバラバラに捉え負担がないとしたが、これらは複合的に絡み合い疲労を蓄積させたと見るべきです。裁判所は意図的に小分けにして過重な負担は無かったと判断している」と判決の誤りを厳しく指摘します。

315 TOPへ

ページ先頭へ 前へ 次へ ページ末尾へ