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■主な記事から■
▼グローバル化には国際連帯で対抗。ITFがDHLと協定を締結。好影響を期待
▼ソラシドエアで違法行為。組合介入、差別人事が明らかに。JCCが抗議
▼JAL解雇争議。各地の宣伝行動にのべ1600名が参加。JAL包囲に 700名
▼JAL客乗マタハラ裁判、4名の証人尋問決定
▼「2018年問題」って何?有期雇用制度の大転換。申し込みで無期雇用へ
▼JFU倉町労災裁判が結審。1月25日判決

16年末闘争

JALグループ昨年下回る2.5ヵ月

不満引きずる一時金格差

こだわりの諸要求で前進回答

 アベノミクスで広がる貧困と格差。富裕層は株高で儲け、大企業の内部留保は300兆円を超えています。全日空と日本航空の中間決算は売上が前年比を下回りましたが順調に利益を上げ、全日空は中間としては過去最高の895億円の営業利益を上げました。通期予想は据え置き営業利益1450億円としています。日本航空は計画を下回ったことから営業利益を1700億円に下方修正しましたが、それでも全日空を大きく上回っています。株価引き上げを狙った300億円規模の自社株買いも発表しました。2社ともに内部留保は積み増し全日空は6997億円に、日本航空は1兆2億円と1兆円を超えました。一方、現場は人員確保や職場改善が遅々として進まず、安全低下が懸念されるなかで年末闘争は取り組まれました。

 一時金交渉の中心はJALグループ各労組とNAAファシリティー労組(NAFCO)です。

 JALグループ各労組は3・3カ月以上の要求を掲げ2・5カ月回答を引き出しました。昨年末より0・2カ月引き下げとなり年間一時金は5カ月になりました。全日空は春闘で年間回答をしており年末一時金は2カ月(夏季一時金同係数)ですが、年間利益目標達成時には期末分含め年間で6ヵ月+αになり、日航を1カ月分以上上回ることになります。JALグループ労働者からは、企業業績と比較し納得のいかない回答水準となりました。NAFCOは2・75ヵ月の回答を引き出し、年間で中期達成金15万円含め5・25ヵ月+18万7500円になりました。

 諸要求では、全日空乗組が60歳以上のシニア制度について建設的な協議を続けていきたいとの発言を引き出し、ANAカード廃止に伴う海外傷害・疾病補償措置は補償範囲の認識と利便性で前進が図られました。ANA乗組(旧エアニッポン乗組)では、乗員養成について一定度評価できる具体案が示されました。

 日航乗組では、新賃金制度の問題点や訓練生の賃金の問題点について認識させました。厚生制度に特化した交渉も約束させました。日航ユニオンはパーデイアムからの無料朝食減額問題で、自己申告に基づき減額しないとの回答を引き出しました。サービス残業問題や運航整備の休憩時間問題で改善に繋げる対応を引き出しました。CCUではアメリカ乗務時の休日、関空―LAX線で休日改善、早出サービス残業では実態を会社に認識させ改善につなげました。

 JGSグループ各労組は採用競争力強化に向け労働環境の改善について継続検討を確認しました。JGS大阪労組では器材・器具の改善に関する発言、休憩・残業管理に関する労使確認、女性の労働環境改善に関する会社認識を確認しました。

 外航では日本路線の見直しや運休が相次ぐなか、新たな「合理化」問題が報告されています。雇用問題に発展しないよう早めの対応が求められます。キャセイ航空労組では17年度の賃上げ交渉が始まりました。

 JAL解雇争議は、最高裁で日本航空の不当労働行為が認定されました。

 最高裁決定はILOへの追加情報として提供されました。国会では、国土交通委員会(10月20日)と厚生労働委員会(11月8日)で審議され、委員から争議解決が求められました。争議解決を求めた3労組(日航機長組合・日航乗員組合・CCU)統一要求が提出され交渉が開始されました。11月には各地で争議解決に向けた集中行動が展開され、のべ1600名が参加し、争議解決に向けた日本航空の決断を迫りました。

社内に不満 300億円 自社株買い

 航空連は、年末闘争は一定の区切りをつけ闘いは17春闘へと移行していきます。一方で継続課題も多く、日航内ではパイロットの年間乗務時間制限の延長問題や客室乗務員の勤務改悪問題は引き続き労使交渉が続けられます。日本航空は株価引き上げのために300億円を拠出する一方で、年末一時金は昨年末より0・2カ月引き下げました。全日空との一時金格差は職場に不満を蓄積させています。

 労働条件は安全を支える基盤です。職場の安全、働く者のモチベーションを引き上げるためにも、手を緩めることなく17春闘に向け継続して闘っていきましょう。

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グローバル化には国際連帯で対抗

ITF、DHLと協定を締結

スイスポート委員会で日本の現状を報告

ITF会議に参加して

 グローバル化の進展のなか労働組合の国際連帯は欠かせません。10月後半から11月初旬にかけて、ロンドンの世界運輸労連(ITF)本部でグローバルデリバリーネットワークミーティングとグランドスタッフ委員会が開催されました。グローバルデリバリーミーティングには赤坂副議長(外航担当)が、グランドスタッフ委員会には島田副議長(グラハン担当)が参加しました。それぞれの成果を伺いました。

■グローバルデリバリーネットワークミーティング

 グローバルデリバリーネットワークミーティングはITFの陸上輸送部会と、DHL・UPS・フェデックス―TNT・日本郵政やフランスの郵便局であるジオポストなどの労働者で組織するUNIグローバルユニオン(サービス産業労組の国際組織)の共催で10月24日〜26日に開催されました。CGT(フランス)・ユナイト(イギリス)・FNV(オランダ)・チームスター(アメリカ)などの代表も参加しました。私(赤坂)自身は3回目の参加です。

 会議の大きな成果はDHLに関する報告でした。世界各国で事業展開するDHLはその先々で労働争議を引き起こしています。トルコではDHLの従業員が組合を作るたびに活動家が解雇されています。ITFは数年前から問題視し正すため、ETF(ヨーロッパ運輸労連)と共同でEU議会に訴えたりOECDに報告するなど、「DHLキャンペーン」を展開してきました。こうした粘り強い闘いによって、ITF/UNIとDHLが協定を結ぶという画期的な成果を勝ち取りました。協定内容は、@OECDのガイドラインにそった労使環境を整える、AITF/UNIとDHLは年に4回の会議を開催する、Bローカルの問題は各国の法律に照らし合わせて各ローカルで話し合う、というもの。会議ではDHLの責任者からプレンゼンテーションが行われ、参加労組から今後の対応を問われたHR(人事担当)責任者は、「各国の請負業者は数字化してDHLのスタンダードに合わせる。マネージメントの教育も行っていく」と答え、各国の法令遵守を約束しました。ITFがグローバル企業と世界規模の協定を結んだことは、グローバル企業に働く者にとっては労働環境の改善につながる大きな成果です。

■グランドスタッフ委員会

 グランドスタッフ委員会は11月8日と9日に開催されました。会議ではルフトハンザテクニックの労働組合とITFが行ったミーティングの報告や、世界最大規模のグランドハンドリング会社であるスイスポートに関する各国の報告、そして組織活動に関する報告が中心でした。ITFがルフトハンザテクニックとの交渉を重視している理由は社会的なダンピングを阻止するため、との報告は印象的でした。私(島田)からは日本でのスイスポートの現状について事業規模や従業員数、そして作業品質面で必ずしも高い評価を得ていないことを報告した。作業品質については各国代表からも、「スイスポートの労働者は、低労働条件のため帰属意識が低く、良い労働条件の会社があればすぐに転職してしまう」との報告がありました。労使交渉などで経営側はスイスポートを例に引き出しさらなる「合理化」を進めようとしますが、スイスポートの作業品質には問題がある≠ヘ世界のグラハンでは共通認識になっているようです。ITFはスイスポートを買収した中国企業と交渉を持つための準備を進めています。

 英国を発つ日にわずかな時間でしたが、英国最大労組のユナイトと意見交換し、今後も交流を深めることを確認できたことも大きな成果です。


ソラシドエアで違法行為

組合介入、差別人事明らかに

JCC、抗議と交渉を申し入れ

 ソラシド航空で不当労働行為(組合への介入)が行われています。同社にはジャパン・キャビンクルー・ユニオン(JCC)の組合員がおり、これまで職場の切実な要求を掲げて会社と交渉を重ね、有給休暇枠拡大や勤務(休憩、4レグ等)、宿泊ホテルなど改善させる成果を上げてきました。

 10月頃からチーフ職の客室乗務員が配下の乗務員に、「組合に入っているの」「組合の人が何か言ってきたら教えてね」「あなたのことを思って言っている。組合には入らないように」などと発言していることが報告されています。こうした行為は、一般職であっても上位職としての立場を利用した組合への支配介入にあたるとしてJCCは直ちに会社に抗議文を送付。その後客室本部長より、「一般職同士の会話等について会社は調査する立場にありません。よって、貴抗議並びに要求書については対応致しかねます」との返信がありました。組合敵視発言は何人もの上位職から発出されているにもかかわらず、一般職同士の会話にすり替え矮小化しようとする姿勢自体、会社が上位職を通して組合に介入していることを示唆するものです。JCCは再度、抗議文と質問書を送り早急に団体交渉を行うよう申し入れました。

 また会社は、ある組合員に対してGC(班長)にさせない露骨な差別を行っています。これは不当労働行為であり、是正を求め交渉を続けています。特定の組合員をターゲットにした昇格差別は、職場で行われている不当労働行為と一体化したものであり絶対に見過ごすことできません。

 組合員への差別や組合つぶしは法違反であるだけでなく職場が分断され、客室乗務員にとって大切なチームワークが阻害され、安全運航にも影響を及ぼします。ものの言えない職場をつくり出し労働環境が悪化することで、いのちと健康にも大きくかかわってくる問題です。

 JCCは引き続きソラシドエアに対し、不当労働行為を直ちに中止し法律を遵守するよう強く求めていきます。

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JAL不当解雇撤回争議

各地で宣伝行動1600名が参加

JAL本社を700名で包囲

 解雇争議解決を求める日航内3労組(日航機長組合・日本航空乗員組合・日航キャビンクルーユニオン)統一要求の実現を目指す交渉が開始されました。原告団は11月に年末闘争と結びついた集中行動を各地で展開。行動にはのべ1600名が参加し、解雇争議の早期解決を迫りました。集中行動直前の10月30日には、恒例となった植木社長宅近くの新浦安駅前宣伝行動。80名の参加で駅前宣伝と植木日航社長宅周辺までの行進で近隣住民へアピールしました。

 集中行動スタートは1日と2日の東京有楽町のJALプラザ前宣伝行動と座り込み。日東整争議団、JAL客乗マタニティハラスメント裁判を支える会、JAL解雇原告団の3争議合同の取り組みでした。2日間の宣伝・座り込みにはのべ130名が参加しました。

 4日はJAL本社包囲行動。日航の不当労働行為を断罪した9月23日の最高裁決定に従い、争議解決を求める支援者らが天王洲の日航本社を包囲。参加者は過去最高の700名にのぼりました。当日は大阪でも大宣伝行動が取り組まれ、伊丹空港の出発ターミナルから到着ターミナルまでのJALターミナル全体を包囲する大宣伝行動には、大阪・京都・兵庫・和歌山・滋賀・愛知から支援者ら102名が駆けつけました。

 7日〜11日は連続5日間のJAL本社前での座り込み。寒風吹きつけ、ときに雨まじりの天候でしたが、原告団や支援者らが連日駆け付けました。最終日には新日本婦人の会の笠井会長が参加。3労組統一要求支持要請書を原告団に手渡し、支援と団結を確認しました。座り込みにはのべ360名が参加しました。

 7日は16年末闘争の勝利と団結を確認するJJ集会が開催、92名が参加しました。JAL不当解雇撤回国民支援共闘会議の小林共同代表(MIC議長)も参加し、航空の仲間に激励と連帯の挨拶をしました。

 9日は京都支援共闘会議の総会。10日〜12日に稲盛財団の国際賞の授与式に合わせた宣伝行動が取り組まれ、稲盛氏や記念式典への参加者に解決に向けた支援を訴えました。日本航空の不当労働行為を断罪した最高裁決定は、事件発生当時の最高責任者だった稲盛会長の責任も明確にしました。稲盛氏が果たすべきは、争議解決に向けた責任ある行動です。京都共闘会議はのべ80名の参加で、稲盛氏居住地近辺での宣伝行動にも取り組みました。

 25日は、JALが毎年ディズニーランドで行うJAL感謝デーに合わせた宣伝行動が最寄り駅の舞浜駅前で取り組まれ、JAL利用者に理解と支援を訴えました。

 29日には東京都内6カ所で一斉宣伝行動が取り組まれました。福岡県では28日にJR小倉駅前で、29日には福岡空港とJR博多駅前で宣伝行動が取り組まれました。

 6月から取り組まれている「国民・利用者からJALへの一言メッセージ」は4000通を超えました。11月9日に開催された植木社長出席のJALの経営協議会で、3労組統一要求支持要請書400団体(第1次)分と合わせメッセージ4009通が日本航空に提出されました。

3労組統一要求

1.被解雇者に関する職場復帰の要求

2.希望退職者・特別早期退職者の再雇用に関する要求

3.解雇問題の円満解決に関する要求

4.労使関係正常化に関する要求

JAL本社前はJAL包囲行動に参加した支援者らで埋まりました。11月4日

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1月20日、4名の証人尋問決定

●●●JAL客乗マタハラ裁判●●●

労基法65条3項の適用が争点

CAの不利益の実態証言へ

 会社都合で一方的に休職発令され、無給とされたことは違法として、日本航空に休職期間中の賃金と慰謝料を求めているJAL客室乗務員マタニティーハラスメント裁判。第7回口頭弁論が10月26日、東京地裁で開かれ、新たに証人尋問することが決定しました。証人尋問は1月20日に行われ、被告会社側からは元客室業務部グループ長1名。原告側証人は原告が所属している日航キャビンクルーユニオン(CCU)委員長と産前地上勤務経験者の客室乗務員(CA)、そして原告の3名です。

 この裁判の争点は、@CAの労働契約が職種限定で地上業務がないとする場合に労基法65条3項の適用が及ぶと解釈されるのか(=会社主張が通るのかどうか)、A産前地上勤務者に与える業務がJALの地上職の業務の中にあると認められるか、の2点です。原告は、「会社が認める場合に限る」という文言があるために、就業したくとも休職せざるをえないJALの現行の産前地上勤務制度は、労基法65条3項違反に当たるとしています。

 これに対して会社は、@CAの労働契約は乗務であり地上勤務は労働契約にはないので、妊娠中の女性労働者に軽易な業務に転換させなければならないという労基法65条3項の適用は及ばない、A産前地上勤務制度は65条とは別に会社がわざわざ作った恩恵的な制度であり、地上業務をしているCAは個別の労働契約をもってなされている、B産前地上勤務を全員に適用するポストはないし新たに創設する義務はない、と主張しています。原告側証人3名は、組合がこの問題で交渉してきた経緯や産前地上勤務をする業務はたくさんあること、そして産前地上勤務に入れなかった者の不利益などを証言します。

 次回裁判は12月28日10時30分から、証人尋問の時間配分等を決定します。証人尋問は1月20日9時40分から東京地裁527号法廷。

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働くホットライン

2018年問題 有期雇用制度が大転換 労働者の申し込みで無期雇用に

 インターネットで2018年問題と検索すると、「日本の18歳人口が2018年ごろから減少し始め、大学進学者が減り大学運営が危機に直面する問題」と出てきます。雇用問題でも、2018年は有期雇用制度が大きな転換期を迎えます。総務省の労働力調査では、全雇用者数(5502万人)に占める有期契約の雇用者数は25・9%になっています。

 2012年8月に「労働契約の一部を改正する法律」が公布され、3つのルールを規定しました。@18条「無期労働契約への転換」A19条「雇止め法理の法定化」B20条「不合理な労働条件の禁止」です。

 @の内容は、有期労働契約が反復更新されて通算5年を超えた場合には、労働者の申し込みにより、期間の定めのない無期労働契約に転換できる、というものです。ただし、2013年4月1日以後に開始する有期労働契約が対象で、それ以前に開始した有期労働契約は通算期間に含まれません。「通算5年を超えて」は、2018年4月以降に発生しますので、有期雇用における2018年問題とされます。

 有期労働契約の通算期間が5年を超え無期転換の申し込みをすると、使用者が申し込みを承諾したものとみなされ、無期労働契約がその時点で成立します。無期に転換されるのは、申し込み時の有期労働契約が終了する翌日からです。

 しかし雇用形態が有期から無期に転換されても、労働条件は別段の定めがない限り、有期と原則同一です。無期雇用の効果としては、突然の雇止めや更新の心配をしなくてよいといった、不安定な雇用形態を改善できる点が挙げられます。無期雇用を望まない経営者が5年未満で雇止めにすることも危惧もされますが、19条で「雇止めの法理」が明文化されたことで簡単には認められない情勢になっています。

 2018年を待たずに、すでに大手生命保険会社などでは、有期雇用のパート社員や契約社員を無期雇用や正社員化する動きも出ています。航空業界では、客室乗務員を契約制で採用していたANAでは2014年度、JALでは2016年度にすべて正社員で採用することに切り替えました。これらの背景には、雇用安定で定着性を図り、優秀な人材確保したいとの狙いがあります。

 すべての働く者が安心して働ける労働条件を確保する上でも、有期雇用から正社員化することが求められています。

東京高裁 原告が意見陳述し結審

国の主張に反論、地裁判決の誤り正す 勝利判決必ず  来年1月25日に判決

JFU倉町労災裁判

 日本航空乗員組合(JFU)の倉町公爾組合員が緊急脱出訓練中の事故で発症した腰痛の労災期間をめぐる裁判の控訴審(口頭弁論)が10月31日、東京高裁で開かれました。控訴審では原告倉町さんの陳述が行われ結審しました。判決は来年1月25日です。

 口頭弁論で倉町さんは、今年7月15日の東京地裁判決で「『復帰の時期を探り、先延ばししていた』という国の主張は、最終準備書面で突然現れ、私には反論の機会が無いまま、判決に採用された」と判決の誤りを指摘し、「パイロットは職人であり、長期間仕事を離れれば、勘が鈍り技量が下がるだけでなく、その間の制度変更や機材更新などの変化に取り残されてしまいます。事故当時、私は、機長昇格の訓練期間に入っていました。やっと念願の機長昇格が見えてきた大事な時期であり、徒に休みを続けることは、自分の首を絞めるだけの行為で、経済面でも不利になります。私は少しでも症状が良くなるごとに、リハビリの運動を増やし、積極的に職場への復帰を試みてきました。それにもかかわらず、『復帰の時期を探っていた』などとは、的外れもはなはだしいだけでなく、腹立たしい限りです。症状改善は、ペインクリニックの治療と、私の努力の賜物です。どうか裁判官におかれましては、公正な判決を下していただけますようお願い申し上げます」と力強く陳述しました。

 この裁判のあらまし。2004年10月6日の緊急脱出訓練中の事故で腰痛を発症した倉町さんが大田労基署に労災申請しました。大田労基署と東京労働局労働者災害補償保険審査会は不支給としましたが、不服審査によって労働保険審査会は2008年4月に1カ月間(2004年10月6日〜11月5日)のみを労災と認めました。しかしあまりに労災認定期間が短いことから、同年10月に不支給部分の取り消しを求める裁判を起こしました。裁判所は2010年12月24日、倉町さんの訴えを認める判決を出しました。

 判決を踏まえ大田労基署は労災認定の期間を見直しました。しかし、倉町さんが求めた、地上業務可との診断書が出された2009年2月3日までではなく、2度目の手術で移植した骨が癒合した2007年7月20日までとしました。倉町さんの腰痛は裁判前に労災と認められ、裁判中も大田労基署は認め続けていましたが裁判に負けた大田労基署は、「裁判後に労災と認めたのは腰痛ではない。手術で移植した骨さえつけば労災は打ち切りだ」と、それまでの主張をひるがえしました。

 そのため倉町さんは、地上業務可の診断書が出された2009年2月3日までの労災期間延長を求め、再び東京地裁に提訴していたものです。今年7月15日、東京地裁は倉町さんの訴えを棄却する判決を下したため、公正な判決を求め東京高裁に控訴しました。

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