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■主な記事から■
▼JCC組合員の取り組み実る。ソラシドエア、出退勤前後を勤務扱いに
▼有期雇用、2018年4月から変わります。知って得する無期転換ルール
▼安倍「働き方改革」―過労死水準の基準見直しを
▼JAL争議―関西で頑張る原告。3月は28か所を訪問
▼パキスタン航空労組組合員がパワハラで提訴
▼安心できる再任用制度に取り組む国交労組

7割が「人員不足!」 安全管理システム機能していない!

航空連春闘統一アンケートより

生活苦・健康不安も5割以上

 5割が生活苦を感じ、6割が仕事に繁忙感を覚え、7割が人員不足を訴えています。4人に1人がヒヤリハットを経験し、4割が「安全が低下した」と感じ、関心事のトップは「健康不安」。航空連春闘統一アンケート(2106枚)でこんな実態が浮き彫りになりました。生活や職場の安全、健康面でのリスク回避は喫緊の課題です。

 生活実感は「かなり苦しい」20・2%と「やや苦しい」34・4%を合わせると54・6%。5割超が生活苦を感じています。業務実態は「忙しくなった」37・8%、「相変わらず忙しい」21・1%。6割が忙しさを訴えています。人員は「不足している」72・3%に対し、「足りている」14・8%と7割超が人員不足を訴えています。関心事(3つ選択)の上位は「健康不安」54・4%、「労働条件切り下げ不安」39・8%、「技術力・スキル低下」31・2%。安全は「向上している」5・0%に対し「低下している」は41・1%。ヒヤリハットを「経験した」は24・9%で、4人に1人がヒヤリハットを経験していました。

 安全管理システム(SMS)を研究している奥平航空連顧問は次のように指摘しています。

 「ヒヤリハットの一言欄には多くの声が寄せられました。各現場で特有の事故・インシデントが作業ミスや判断ミスによって発生する危険性が高まっていると言えます。パイロットの職場では管制上のエラー、操縦操作に関するエラーを指摘するコメントがJAL・ANAとも(出されたコメントの中で)40%前後占めています。客乗職(JAL)ではドアモード切り替えのエラー、カート転倒の危険性を指摘するコメントが50%近くに急増しています。整備の職場(JAL)では、誤作業、誤操作に関する指摘が多くなっており、書類記入漏れやツール紛失のコメントも昨年に引き続き出されています。これらヒヤリハットを引き起こすハザード(危険要因)は、各職種のコメント全体を見渡すと、背景に人員不足、無理な作業計画、勤務条件、疲労の問題が横たわっていることが見えてきます」「同種のヒヤリハットが継続、あるいは増加するなど、各会社におけるSMSがきちんと機能していないことも見えてきています。グランドハンドリングの職場や客室乗務員職のように大量退職、大量採用を繰り返すことは、安全を向上させるうえで良い状態とは言えません」

 過労が原因と見られる乗務中断者が増加傾向のパイロット。連続夜勤など夜間偏重勤務の整備士。新勤務導入で体調不良者相次ぐJAL客室乗務員。人員不足で年休や休憩時間が確保されないグランドハンドリング。各職場における稼働一辺倒の勤務は確実に働く者の健康を蝕み、安全への悪影響を増加させています。

 疲労が回復できる勤務と休日、乗務中の休憩時間の確保、保安要員としてふさわしい労働条件と賃金など疲労による人的リスク増を回避するための勤務改善は喫緊の課題です。航空各社は事業計画全体を、安全と労働者の健康が守れることを基本に見直すべきでしょう。

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シリーズ客室乗務員の今

ソラシド 出退社前後は勤務扱いに

JCC組合員の取り組み実る 全客室乗務員を調査・検証

 客室乗務員(CA)はフライトに備えた準備作業やフライト後の後処理など、フライトに関わる付随業務が多岐にわたります。そうした業務は通常、労働時間として扱われ賃金が支払われるのがルールです。ところがほとんどの航空会社では労働時間として扱われていません。この未払い賃金問題でJCC(ジャパン・キャビンクルー・ユニオン=客室乗務員であれば誰でも1人でも加入できる組合)が大きな成果を上げました。

 ソラシドエアのCAは始業数十分前に出社し、制服への着替えや業務連絡の確認、フライト前の準備などを行います。フライト後はスポット(駐機場)からクルーバスで事務所に戻り、機内販売の売上金の提出や着替え等を行うため、終業時刻を過ぎることもありました。ところが、こうした地上業務には賃金が支払われていませんでした。これを是正させるため1月、JCC組合員らが大田労働基準監督署(大田労基署)に「勤務時間前後のフライトに関わる業務は勤務時間であり、時間外手当を支払う」ことを申告しました。組合員らは会社にも未払い賃金の支払いを求める文書を提出するなど、積極的に取り組みました。大田労基署は申告に基づき会社に事実確認。指導に入りました。

 3月31日に会社から、「主基地出退社に関し出勤時10分、退勤時5分を(時間外手当の)再計算の対象とする」との回答が当該組合員に示されました。支払いの遡及期間は2年間。会社は「すべての客室乗務員を対象に調査・検証を行い、不足分があれば遡及支払いの対象とする」と述べています。勇気ある組合員の一歩が大きな成果につながりました。当該者たちは、「回答された(5分、10分の)時間では収まりきれていないので、引き続き労基署にも相談しながら会社と交渉し、是正を図っていきたい」と語っています。

 LCCでは過酷な勤務が問題になっています。ジェットスタージャパン(JJP)では、マニラ―成田深夜便明けの翌日にまたフライトが入るという、非人間的な勤務がまかり通っています。「こんな勤務では疲れが取れない」「このままでは会社に殺されてしまう」と言って退職した人が多くいます。JCCは4月7日、JJPに「成田帰着の国際線深夜便乗務、及び成田―香港線の往復乗務の翌日は休日とする」ことを求める要求書を提出しました。今後、改善を求め交渉を行っていきます。

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有期契約 知って得する無期転換ルール 2018年4月から開始

 有期労働契約から無期労働契約への転換が2018年から可能になる「無期転換ルール」。雇用における2018年問題と呼ばれています。 「労働契約法の一部を改正する法律」が2013年4月1日に施行されました。改正された法律の一つに「無期労働契約への転換」(第18条)があります。これは、同一の使用者との間で有期労働契約が通算で5年を超えて反復更新された場合は、労働者の申し込みにより期間の定めのない無期労働契約に転換できるというもの。この無期転換を申し込む権利が来年4月から発生します。法改正の趣旨は、安心して働き続けることができる社会を実現するため。

 有期労働契約とは「1年契約」「6カ月契約」など期間の定めのある労働契約のことをいいます。通算契約期間のカウントは2013年4月1日以降に開始する有期労働契約が対象。無期転換の申し込みをすると使用者が承諾したものとみなされ、無期労働契約がその時点で成立します。ただし、有期労働契約とその次の有期労働契約の間に空白期間が6カ月以上

あると、空白期間より

前の有期労働契約は通算契約期間に含まれません。注意が必要です。これをクーリングといいます。

 厚生労働省は労働契約法が改正される段階から、「無期転換ルールの導入に伴い、有期雇用労働者が無期労働契約への転換前に雇止めとなる場合が増加するのではないかとの心配がある」との認識を示していました。

 使用者が契約更新時に、無期転換を申し込まないことを契約更新の条件とするなど、あらかじめ労働者に無期転換申し込権を放棄させることはできません。法の趣旨から、そのような意思表示は無効と解されます。

 しかし現実には、「4年11カ月を超えて契約を更新することはない」との不更新条項のある契約書にサインをさせられたり、無期転換を免れるために1年ごとの契約更新を最大3回までに制限するなど、労働者を使い捨てにするケースが全国で後を絶ちません。不更新条項について厚生労働省は、雇止めを恐れる労働者に無期転換の放棄を強要しかねないとして、 「法第18条の趣旨を没却するもの」と指摘する通達を出し、「公序良俗に反し、無効と解される」としています。

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シリーズwatching

安倍「働き方改革」の真相 過労死水準を合法化か

 「わたしの仕事8時間プロジェクト」ってご存知ですか。8時間働いたら帰る、暮らせるワークルールをつくろうと始めたプロジェクトで、航空連も参加する「雇用共同アクション」が取り組んでいます。WEB署名や賛同者を募集しています。「わたしの仕事8時間プロジェクト」を検索いただき、取り組みにご参加下さい。

 安倍政権「働き方改革」の続報です。

 3月28日、政府は「働き方改革実行計画」 を発表しました。労働時間への対応策も盛り込まれていますが、「過労死の悲劇を二度と起こさない」と安倍首相が宣言した方向とは真逆の、過労死を促進しかねない内容となっています。

 @残業の上限は休日労働を含め、単月で100時間未満、2〜6カ月の平均で80時間以内、年間で960時間。

 A特に長時間労働が著しい自動車運転業務・建設業務・医師は、法の施行後5年間は現状のまま。5年後の見直しも長時間労働が前提。研究開発業務は規制を適用しない。

 B終業と始業の間の休息時間を保障するインターバル規制は努力義務にとどめる。

 C労働時間の規制をほとんど適用除外する「高度プロフェッショナル制度」を創設する。実労働時間はカウントせず、みなし労働時間で働く裁量労働制の拡大を行う。

 政府や働き方改革実現会議に参加した人たちはこの実行計画を、「青天井と批判される今の労働基準法に初めて罰則付きの上限規制を導入する、歴史的な大改革だ」と評価しています。

 一方、家族を過労死で亡くした遺族の方は、「過労死ラインを超える月80〜100時間もの残業を合法化し、死ぬことがわかっている労働時間まで働かせたあげく死なせることがあれば、まさに殺人」と訴えています。

 法制度づくりの本番はこれからです。労働政策審議会と国会という二つの公開の審議の場があり、私たちの意見を反映させる機会があります。

 過労死するほどの残業を合法化するなど、ありえない話です。政府案を抜本的に修正させ、時間外労働の大幅な削減を毎年着実に進める「プログラム法(手順や日程などを規程した法律)」にさせましょう。プログラム法に掲げる目標は、すべての労働者に1日8時間労働の原則を基本とする働き方を保障し、やむをえない場合の例外としての残業は、「健康被害の起きない範囲に規制する」というものです。

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JAL解雇争議

「ええか、争議はな、義理と人情や」 関西でがんばってます!3月は28カ所を訪問

 JAL解雇争議を支援する共闘組織は全国で29結成されています。各地では支援共闘会議と一緒に原告らも活動しています。関西地域では神瀬さん、西岡さん、小森さんの3名の客乗原告が活動しています。労組回りや集会参加など、月平均で5〜20カ所を訪問し争議支援を訴えています。3月は28か所に上りました。

 大阪地裁前では、毎月定例で大阪争議団共闘共催の宣伝行動が取り組まれます。神瀬さんは仕事前に立ち寄り、短時間でもJAL解雇争議の支援と解決を訴えています。「いつも関西在住原告を励ましていただき感謝です。900人が集まった『カジノあかん大阪集会』では物品販売をさせていただきました。大きな集会があるときは必ず声をかけていただいています」「活動は客乗原告の3人を中心に、パイロット原告の久村さん、遠藤さんも仕事の合間を縫って活動参加しています。お二人の活動にも励まされています」と話します。

 3月28日には兵庫連絡会の仲間と国会議員要請を行いました。要請にはエミレーツ航空解雇争議原告も参加。議員事務所4カ所を訪問しました。国会開催中で議員本人は不在でしたが、秘書が丁寧に対応しました。「会社はなぜ皆さんを戻さないのですか」「(解雇後に約3000名を採用して)ベテランは職場に必要でしょう。そんなの普通に考えても変ですよ、理解できないですよ」と語りました。

 活動当初は地上げ屋と間違えられたこともあったという西岡さん。同行者と一緒にオルグ先の労組事務所を探してうろうろしていたところ、近所のおかみさんの鋭い視線を感じました。西岡さんが「○○労組の事務所はどこですか」と声をかけたらホッとした様子だったようです。「争議団としての心構えなど、いろいろ学ばせていただきました。『ええか、争議はな、義理と人情や。こっちが支援したくなるような、そんな原告団にならなあかん。何処へでも原告団のノボリ持って、支援のお願いに、とにかく行け』。おかげさまで最近は『JAL(争議)は何処にでも来るなぁ』と言われます」と話します。

 京都を中心に活動しているのは小森さん。四条烏丸では京都共闘会議の毎月定例街頭宣伝が取り組まれます。京都うたごえのみなさんや、社保庁分限免職と闘う仲間、京都市立病院内青いとり保育園不当解雇争議、明治乳業争議など、京都で闘う仲間と合同でマイク宣伝やビラ配布を行っています。「解雇争議を知らない方はまだまだ多くいます。それでも、京都や元町、空港で、立ち止まって私たちの話を聞いて下さり、『がんばって』『負けたらあかんで』と励ましの言葉をいただきます。カンパをくださり、自分のことのように親身に声をかけていただくと暖かい気持ちになり、頑張ろうの大きな力になります。必要のなかった整理解雇で仕事を奪われ、何もかもが中途半端なままのこの状況に、今年は必ずケジメをつけたい」。

 解雇当初の宣伝行動では「恵まれた人が何言ってるんだ」との声もありましたが、今は「何かできるとこありますか」「署名があればやりますよ」などと変化しています。航空関係で働きたいと話す高校生は、「解雇についてもっと教えてほしい。自分が働くとしたらベテランにはいてほしい」と声をかけてきました。2010年12月大晦日の整理解雇から6年4カ月。各地での粘り強い取り組みは、市民の理解を深め支援の輪を広げています。

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PK組合員 会社の嫌がらせは許せない!

パワハラ・賃金カット是正求め提訴

 パワハラや賃金カットによって不利益を受けたとして、パキスタン航空労組組合員が4月6日、東京地裁に未払い賃金の支給と慰謝料などを求め提訴しました。

 組合員は、パキスタン航空日本支社成田空港旅客課で20年以上働いています。2013年の人員削減によって業務量は大幅に増加し残業で業務をこなしていました。2014年5月には貨物業務を行う社員の退職に伴い同業務も行うよう指示されました。組合員は、会社に残業に伴う時間外割増賃金の支給を求めましたが支払われませんでした。やむなく成田労基署に割増賃金の未払い違反として申告しました。その後会社からの嫌がらせが始まりました。

 申告後も割増賃金は支払われず、定期昇給および賞与は50%カットされました。「旅客業務と貨物業務を適切に遂行していない」とする警告書が発行され、毎週水曜日に東京支社貨物業務(都内)に就くよう命令されますが、成田―都内の交通費は支給されていません。さらには成田空港IDカードを取り上げ、空港内の車両修理の見積もりをするよう指示されるなど数多くの嫌がらせを受けています。

 組合員は「会社の嫌がらせは許すことはできない。経済的なダメージを受け生活も厳しい。会社にはきちんと賃金を払ってもらいたい。何としても正したい」と語ります。

 4月19日、航空連は報道各社向けにパキスタン航空で起きたパワハラ・賃金未払い事件として情報提供しました。

 パワハラや賃金未払いは社会問題にもなっています。会社の違法行為を許さないためにも多くのみなさんのご支援をお願いいたします。

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安全会議だより(98)

増す業務量 低下する環境適応力 課題多い管制官の再任用制度

 近年における日本の航空交通量は、政府方針による訪日外国人観光客の誘致により右肩上がりに増加しています。それに伴い、航空管制官が取り扱う航空交通量は今後さらに増加し、業務の繁忙度は増していくものと予想されます。

 航空管制業務は記憶力、瞬時の判断力、集中力が求められます。しかし、加齢に伴う環境適応能力の低下は誰にでも起こり得る自然な現象です。欧米諸国では、航空管制業務は高齢期における困難職種と位置付けられており、それを理由に航空管制官の退職を50〜55歳と定め、50歳代から年金支給を開始している国もあります。

 日本の航空管制官の定年は、公務員の枠組みのなかで原則60歳と定められおり、現行の年金制度では支給開始年齢が62歳となっていることから、60歳以降の航空管制官に対しては再任用制度(再雇用)が実施されています。この制度については、全国的に業務の繁忙度が増すなか、航空管制官としての技量維持に対する不安や、夜勤を含む輪番勤務の身体的負担等を理由に希望する者が多くありません。また、再任用後も、65歳満期まで再任用を継続することが難しい状況も発生しています。

 現在、国土交通労働組合では航空管制官が定年後も安心して暮らせるよう、「航空管制官の年金支給開始年齢の引き下げ」を求めています。60歳前後では体力や能力に個人差があり、勤務する職場によっても状況が異なることから、定年後に引続き勤務を希望する者には雇用の確保を、勤務継続が困難な者には60歳から年金を支給するなど、定年後の働き方について選択肢を広げる必要があります。要求実現までの間は国に、年金支給開始年齢までの雇用が確実に実施されるよう、これまで培ってきた知識や経験が生かせるような高齢期の働き方を整理させる必要があります。

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