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■主な記事から■
▼参議院国土交通委員会で客室乗務員の勤務問題を審議。疲労軽減急務
▼「働き方改革」に続き、今度は労働基準監督業務を民間委託。社労士が兼業か
▼JAL解雇争議。炎天下の宣伝行動、原告がILOのガイ・ライダー事務局長と面談
▼エミレーツ航空解雇裁判。証人尋問で解雇理由崩れる
▼JALマタハラ裁判一判決は9月1日。勝利判決必ず
▼安全会議、八尾空港の老朽化対策を要請

17春夏闘

ベア1000円、夏季一時金2.5カ月回答

55歳以降の昇給昇格・再雇用で回答

グループ各社は未回答、格差に不満

 ベースアップなど賃金引上げ回答を中期計画以降としていた日本航空。新中期計画発表から4週間あまり経過した5月23日、JALグループ各労組にベースアップ1000円、夏季一時金2・5ヵ月、期末一時金に関する回答が示されました。17春闘は、外航や産業航空などの闘いに移っていますが、外航では本国を交えた春闘交渉が継続しています。6月1日は航空連の夏闘回答指定日です。春闘からの継続要求や夏季一時金、職場改善をめぐる労使交渉が本格化しています。

 好調な訪日旅客と原油価格下落を背景に、全日空と日本航空は好決算が続いています。(表参照)両社は、売り上げが前年度を下回ったものの全日空の16年度の営業利益は過去最高の1400億円となりました。日本航空の営業利益は全日空を上回る1703億円を上げました。

 16年度決算の確定により全日空は期末手当が確定し、16年度の年間一時金は6カ月+10万円(グラハンのANAAS=6・2カ月+17万円)になります。日本航空の年間一時金は5カ月ですから大きな差がつけられたことになります。

 17年度は、全日空は春闘で年間6カ月+α(利益目標達成時。夏冬2カ月+期末2カ月)の回答を示していす。JALグループは前述したとおり夏季一時金2・5カ月が示されました。また、第3四半期決算で営業利益目標(1420億円)を上回ることが見通せた場合は期末一時金の協議を開始との回答が示されました。

 諸要求では、55歳以降の昇給昇格の実施(2018年4月より)、再雇用(JSLから自社採用に変更)の骨子が示されました。一方、JGSグループ各労組には、ベア・一時金は日本航空同様の回答が示されましたが、55歳以降の昇給・昇格、再雇用に関わる回答はありませんでした。グループ内格差は新たな火種を抱えることになります。営業利益目標が見通せた場合の期末一時金に関する回答は、日航内に内在する全日空格差に対する不満をそらす狙いがあると思われます。航空連傘下のJALグループ各労組は夏季一時金3・1カ月以上を要求しており、今後はベアなど賃上げ回答と夏闘要求を合わせた交渉が本格化します。
 全日空乗組は夏闘で、出向や勤務問題、60歳以上の雇用制度などの改善を求め要求の前進をめざします。

 外航では、キャセイ航空労組が年間6カ月、英国航空労組が年間6カ月(条件付き。2年協定)、ルフトハンザ航空労組は年間7カ月(業績連動1・7カ月含む。2年協約)、ユナイテッド航空労組は年間6カ月+α(3年協定)、シンガポール航空労組は年間6・5ヵ月(夏冬2・5ヵ月+業績1・5ヵ月)となっています。

 日航内では、稼働一辺倒の勤務から休息がとれ健康が守れる勤務改善が喫緊の課題になっています。客室乗務員の勤務問題は国会でも取り上げられており、体調不良者続出する勤務の見直しはまったなしです。またJAL解雇争議の解決を求める統一要求の前進にむけた取り組みは、5月に全国で一斉宣伝が取り組まれました。5月12日には訪日中のガイ・ライダーILO事務局長と面談することができました。

現実化する人的リスク

 JAL・ANAは新中期計画(2017−2020年度)を進めていますが、16年度(日航は前中期計画)の振り返りで安全目標が未達成(全日空は空港部門)としています。原因を全日空は空港人財の質的・数的不足をあげています。15年度決算短信で「人材確保に関するリスク」を掲げ、国家資格を有する人材の育成や空港ハンドリング等の人材不足をあげていましたが、リスクは現実化しています。安全を支える基盤は労働条件であることをきっちり主張し、労働条件改善をめざしていきましょう。

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シリーズwatching

労働基準監督業務も民間委託 社労士が兼業で監督業務!?

 残業代未払いや違法な長時間労働・過労死をなくすためには経営側の意識改革とあわせ、日常的な監視や取り締まりが欠かせません。こうしたなかで、政府は労働基準監督業務の民間委託を検討しています。2回に分けて民間委託の問題点を考えます。

 残業代未払いが相次いで報じられています。ヤマト運輸の残業代未払いは「対象者が4・7万人、2年分で少なく見積もっても190億円」。東本願寺の2人の僧侶には650万円。エムケイタクシーを運転手12名が訴えた未払い裁判では、東京地裁は2100万円の未払いを認める判決を下しました。音楽業界のエイベックスでは、昨年6月から今年1月の間に社員1500人の約半数に適切に残業代が支払われてなかったとし、総額は数億円に上ります。エイベックス社長は昨年12月、「法律が現状と全く合ってない」とブログに書き込んだそうです。法律を守る姿勢は感じられません。

 こうした摘発は氷山の一角であり、「労基法違反を取り締まるには労働基準監督官の増員が必要」と指摘されています。政府は監督官を増員する方針ですが、一方で監督業務を社会保険労務士などに任せる民間委託を検討しています。現在、6月の答申に向け「労働基準監督業務の民間委託タスクフォース」で検討が進められており、厚労省などからヒヤリングを行っています。労働行政に携わる職員で組織する全労働省労働組合(全労働)は民間委託について、@監督業務の実効性が確保できない。A適切な権限行使の機会が奪われてしまう。Bさまざまな深刻な弊害が生じる。C労働基準法やILO条約に反する、と4つの問題点を指摘しています。

 安倍政権は「働き方改革」と称して、過労死ラインとされる月間100時間の時間外労働を法制化しようとする一方で、取り締まる監督業務の民間委託を検討しているのです。社労士の中なかには、労働基準監督官対策を掲げ営業活動をしている人もおり、監督業務が変質させられる恐れもあります。次回では全労働が指摘する4つの問題点から民間委託を考えます。(つづく)

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シリーズ 客室乗務員の今

参議院国土交通委員会 客室乗務員の疲労管理急務

 5月16日、参議院国土交通委員会でJALの客室乗務員の勤務が審議されました。質問に立ったのは山添参議員(日本共産党)。客室乗務員は航空法上、安全を担う保安要員と規定されていることを明確にしたうえで、事故の要因となっている疲労を管理するため、ICAO(国際民間航空機関)が発行した「疲労リスクを適切に管理するためのガイダンス」を客室乗務員にも早急に適用する必要があると訴えました(現在はパイロット対象に法制化を検討中)。石井国交大臣は、「客室乗務員は運航の安全確保に係る重要な役割を担っている。必要に応じて客室乗務員を対象とした疲労リスク管理のあり方について検討していきたい」と答弁しました。

 質疑では、日本航空キャビンクルーユニオン(CCU)が取り組んだ新勤務に関するアンケートに1200通を超える回答が寄せられ、「疲労によりじんましんが出たり腰痛にも悩まされている」「中国線乗務で夜9時に帰宅した翌日は4時起きのグアム往復で、睡眠時間すら十分に確保できない」「命を守るため会社を辞めようかと思っている」などの声が紹介されました。

 1996年、香港ステイ中にくも膜下出血で倒れたJAL客室乗務員の岩本章子さんの労災認定裁判については厚労省審議官が、「客室乗務員の業務はスケジュール変更などの不規則性が高い。長距離線乗務など拘束時間が長い。深夜、徹夜、時差への対応などから心身の負担が大きい。保安業務やサービス業務などで身体的、精神的ストレスにさらされやすい業務であり、それが6ヵ月以上継続したことから、業務と脳・心臓疾患に相当因果関係があると判示したもの」と説明しました。

 山添議員は、就業規則内でも業務負荷が高くないとは言えないとした判決であり、現在は当時の乗務時間制限が改悪され、さらに昨年11月から休養時間が削られた新勤務基準となり過酷な状況にあると追及しました。国交大臣は「今後も日本航空に対する安全監査等を通じて、乗務割等を含め必要な指導監督を行い、安全運航の確保に万全を期していきたい」と述べました。

 続けて山添議員は、勤務開始1〜2時間前の早出が常態化している実態を写真を示しながら指摘しました。厚労大臣政務官は、「今年1月に作成したガイドラインで、労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間のことをいい、使用者の明示または黙示の指示により労働者が業務に従事する時間は労働時間に当たるとしており、使用者の指示により就業を命じられた業務に必要な準備行為を事業場内で行った時間については労働時間に該当する」と明確に答えました。このガイドラインに則れば、違法状態は明らかです。

 法違反をただし、安全と健康を守るため、国会質疑を活かして取り組むことが求められます。

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JAL解雇争議

ILO ガイ・ライダー事務局長と面談

「勧告の実現」を表明

 ILO(国際労働機関)のさらなる勧告とアシスタンス(ILOの援助施策)の要請で、1月末にILO本部を訪問して4カ月が経過しました。
 整理解雇事件と不当労働行為事件をILO条約違反として申し立てた2011年3月以降、過密スケジュールをおして何度も面談の機会を作ってくれたガイ・ライダー事務局長の5月来日の情報が入り、その準備に取りかかりました。滞在は10日から13日までの4日間。12日のフォーラム開催に合わせて、会場前でのアピール行動を企画しました。

 ガイ・ライダー事務局長の基調講演が14時開始というものの、到着時間がわからないまま会場の国連大学前に12時に集合。ビラ配布を開始し、待ちました。熱中症になりそうな炎天下の宣伝行動に33名が参加。青山通りに面している会場前は学生や外国人が多く行き交い、日本語ビラ・英文ビラの受け取りはよく、350枚と70枚を配布しました。

 1時間半が経過したとき田口ILO駐日代表とガイ・ライダー事務局長が到着。集合写真の撮影も快諾され、事務局長の満面の笑みに参加者一同感激。

 ジュネーブ訪問以降、多くの関係者のご尽力で面談も実現し、申し立て組合から篠崎JFU委員長と古川CCU委員長、争議団から飯田乗員原告副団長(JFU副委員長)と内田客乗原告団長・森原告、航空連から津惠事務局長とILO条約の批准を進める会の廣岡氏が出席しました。

 面談の際には、ガイ・ライダー事務局長は組合の訴えに頷きながら逐一メモを取り、特に不当労働行為判決の最高裁決定について強い関心を示しました。JAL案件を熟知しているガイ・ライダー事務局長に要請と思いをきちんと伝えることができました。

 ILO条約違反申し立て代理人の牛久保弁護士はILO対策会議で、「ガイ事務局長との面談が実現したことは大変重要なことです。国会でのILO議員連盟の皆さんとの特別セッションで、ガイ・ライダー事務局長はJAL案件と公務員の労働基本権の問題について、勧告の実現に向け、今後も最も適切な方法によって工夫していく、と表明されたとのことです。ILOの勧告は、解雇の後に再び雇用される(職場復帰)労働者に関して、彼らの見解が十分に重きをおかれることを目的として労使協議されるべきことを求めています。1月のジュネーブ訪問で要請した争議解決に向けて、ILOが担当者を派遣することも十分に考えられるところにきています。ILOの活用にあわせて、組合・原告団・支援の皆さんが職場、地域、国会で運動を広められることを期待します」と面談の意義と今後について語りました。

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JAL客乗マタハラ裁判

回答は裁判の取り下げが条件 JALの差別体質を露呈

4月26日結審 判決は9月1日の予定

 日本航空の客室乗務員が妊娠中の地上業務配転を拒否され、無給休職を発令されたのはマタニティーハラスメント(マタハラ)だとして、休職期間中の賃金と慰謝料を求めているJAL客乗マタハラ裁判は4月26日、東京地裁で結審しました。判決は9月1日を予定していますが、裁判所は結審後に和解の進行協議を行いました。進行協議は5月17日にも行われました。

この裁判のおかげ 職場で感謝されて

 26日の結審で最終陳述した原告の神野さんは、裁判中に、妊娠した客室乗務員全員が地上勤務に転換できる制度運用に見直されたと述べ、「この裁判のおかげだと職場で感謝されている。今は短時間勤務のみなので今後は、不十分な点を改善させ、フルタイムと短時間勤務を選べる制度を確立したい」「妊娠出産で不利益を受けている多くの人が救われる判断をお願いします」と訴えました。

 原告代理人の竹村弁護士は、「妊娠したら収入を絶たれ、社宅を追い出される不利益を課せられていいのか。日本航空が行ったことは、仕事と妊娠出産の両立という労働基準法、男女雇用機会均等法の理念に反する。会社が用意しようと思えば地上勤務は用意できることは立証された」と強調しました。

和解協議のさなか

 裁判は和解協議が並行して行われていましたが、協議のさなかに日本航空は、原告が所属するCCU(日航キャビンクルーユニオン)とは別のJAL労組(JALFIO)に対し、制度運用の改善として「妊娠中の地上勤務について、短時間勤務とフルタイムを選択できる」旨の回答をしたことが判明しました。後に日本航空は、CCUに裁判の取り下げを条件に同様の回答をしてきました。団体交渉のなかで抗議し条件付きは撤回されましたが、脅しとも見られる対応は、日本航空が苦しい状況に追い込まれていると見ることができます。

 日本航空の旧態依然とした差別体質は、未だ変わらず続いています。

 5月26日には「勝利判決を勝ち取る集会」が開催され、100名の仲間が参加し勝利判決を確認し合いました。

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エミレーツ航空解雇裁判

ひどい職場実態と組合嫌悪

解雇は「組合対策」

証人尋問で明らかになった3人の解雇理由

 エミレーツ航空がスカイネットワーク(SNW)組合員3名を不当解雇した事件は、中央労働委員会と大阪地裁で闘われています。大阪地裁では5月10日に証人尋問が行われ、解雇の必要性がなかったことと解雇が組合対策であったことが証明されました。

 大阪地裁809号法廷で行われた裁判は、原告を支援する113名が傍聴するなか、原告側2名、会社側2名の証人尋問が行われました。証人尋問はすでに提出されている、証人の陳述書を含む書面に基づいて行われました。

 会社側証人の1人であるニック・リース日本支社長は、反対尋問で意外にも正直な供述をし、会社の不誠実さを浮き彫りにするものとなりました。会社は3名の解雇を日本地区の赤字を理由にしてきましたが、リース氏は28期連続黒字のエミレーツ航空は国ごとの独立採算制を採っておらずグローバルな利益体系であると述べました。また、会社側は裁判当事者のみが閲覧できる簡単な日本路線収益表を提出していましたが、それに付随していたリース氏の宣誓供述書は会社代理人に宣誓したのみだと述べ、また収益表は本社からのデータを編集したものだと供述。信憑性がないことが明らかになりました。経費のうち人件費は1割にも満たなかったとも供述し、3名の人件費を削る意味がなかったことが見えてきました。

 もう1名の会社証人、田中和久西日本支店長は、自分には支店の労務管理の義務はなかった、パワハラや未払い残業は聞いたことがないなどと供述。逃げる姿勢に終始するのみで、証人として意味をなしませんでした。36協定書に彼の署名捺印があったのを原告は確認しています。

 原告の井出と石田組合員は、パワハラでうつになって退職した同僚の話や、それを機に労働組合を結成して職場環境を改善していこうと会社と交渉しながら前進や改善もあったものの、会社の組合への軽視姿勢と次第に嫌悪されていった経緯を証言しました。

 ひどい職場実態と会社の組合嫌悪が露わになり、解雇が組合排除目的だったことが明らかになった証人尋問でした。結審は7月24日です。

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安全会議だより(99)          

八尾空港エプロン老朽化対策を要請

30年度整備計画提示受ける

 航空安全推進連絡会議は航空機使用事業などの産業航空の安全についても取り組んでいます。
 大阪支部は大阪府にある八尾空港への要請行動を毎年行なっています。今年も4月11日午前に要請行動を行いました。要請行動は松岡空港事務所長が留任していたため、友好的な雰囲気で行われました。主な要請の内容は次の通りです。

 誘導路やエプロンの老朽化対策では、航空局の土木維持担当から「平成30年度の整備工事計画」などが示されたことが披露されました。機材(特にヘリコプター)の大型化に対する「エプロンの拡張、スポットの増設」要請には、「機材の使用頻度を調査し、来年度からスポットの振り分けを行っていく」との回答を得ました。RWY27(主滑走路)の停止位置標識の設置要請には、滑走路上に停止線の表示は難しいことから停止位置表示を設置したとの回答がありました。停止位置表示はパイロットの視線からは見えにくいことを伝えると、「情報官がFLTPLANを提出するタイミングにパフレット等で伝える」ことで改善する旨の回答がありました。要請後、八尾空港のタワーを見学しました。

 利用するパイロット・管制官・使用事業者の意見を反映させながら要請書を作成しましたが、実際に見て説明を受けると現状が認識できました。八尾空港は事務所長以下17名の所帯で各部署の風通しは良く、現状を正確に把握し対応をして頂けたと思っています。
 大阪支部は小型機やヘリコプターを含めた全ての航空機の安全に取り組んでいくという観点から今回初めて、大阪空港と八尾空港の空域の問題も提起しました。 要請を通じて、航空機の安全な運航に対する提言・要請の必要性を実感しました。

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