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■主な記事から■
▼17夏闘ー高まる疲労リスク、増す不安。人員不足解消・勤務改善急務
▼労働基準監督業務の民間委託は労基法・ILO条約に反する一全労働
▼全国各地でJAL争議の解決迫る大行動。30番目の支援組織オホーツクの会」誕生
▼TISA≠ツて何?ITFが懸念する貿易協定
▼安全会議一航空安全求める対官庁要請始まる

航空機の安全運航を支えるには不充分

アンケート結果、職場実態を説明 航空局担当者 実態に驚きの表情

グラハン連

 6月12日、航空連グラハン連は航空局安全部を訪問し、グランドハンドリングをめぐる現状と課題、労働条件と安全問題について意見交換し適切な指導を求めました。島田副議長(グラハン連事務局長兼務)、丸山航空連事務局次長(同事務局兼務)、佐々木幹事(同事務局兼務)、飯岡グラハン連事務局員が出席。航空局からは航空事業安全部、空港安全・保安対策課および航空ネットワーク部空港事業課の各担当者が対応しました。

 グラハン連からは昨年12月に取り組んだ「職場の安全・健康アンケート」結果の特徴について説明しました。この1年間で職場の安全が「低下した」は55・9%と前回調査(15年12月)より8・8ポイントも増加。過去3回の調査で最も高い水準となった。4人のうち3人が職場で事故・トラブルがあったと答えており安全性低下を裏付けました。再発防止策が有効と「思わない」も、37%と前回比10ポイント増加。現場は再発防止策に懐疑的であることを示しました。業務量に適した人員配置については「不足している」が77%と、前回同様約8割が人員不足を感じています。健康状態では、「自覚症状あり」と「不安を感じる」を合わせると62・4%となり、6割超の労働者が健康不安を感じている実態が浮き彫りになりました。自覚症状では「腰痛」9割、「ストレスを感じる」が5割。「眠れない」15・1%は前回比2倍になりました。1日の平均睡眠時間は「5時間未満」「6時間」を合わせると67・8%。前回同様、約7割が睡眠時間に問題を抱えた状態で作業にあたっていることが推測されます。5時間程度の睡眠が継続すると睡眠のバランスが崩れ脳・心臓疾患のリスクが高まるとの研究結果もあり、航空局として人員不足解消や状態悪化に歯止めをかける有効な対策を早急に打ち出すことが求められると訴えました。

 意見交換ではグラハン連から、@16年度安全監査でのグラハン指摘事項Aランプ安全に関する現状認識BLCCや海外エアラインのグラハン作業に対する安全監査などについて質問。安全部から、「28年度の安全監査で、委託管理面で不適切な所があった」として、「委託管理がちょっと弱い。教育関連が規定通り行われず、訓練記録に上司の確認印がなかった。技術資料が保管されず最新状態でなかったものもあった」「安全を高めるためにSMSの積極的な活用を促している。安全監査ではSMSが機能しているかを重視し確認している。局としてもSSP(航空安全プログラム)を導入し、安全目標を設定し取り組んでいる。事故(トラブルが)が繰り返し発生する、事故隠しや意図的な不具合には処分を行う」との発言がありました。海外エアラインに対してはランプ・インスペクション(立ち入り検査)を行っていることを明かしました。アンケートで示された再発防止策が「有効でない」約4割、「人員不足」8割の結果に関心を示しました。

 グラハン連は「ANAASでは16年度と17年度の採用総数が1350名に上り社員全体の約4割を占めている。16年度の事故・トラブル件数が大小合わせ108件で、新フライトオペレーションをめぐり重大トラブルが発生している」「JGSでは、会社が定めた定配員が年間通して確保できていない実態にある」など、羽田空港のグラハン会社の実態を示しながら、増加する事故・トラブルなどを具体的な件数や事例含め説明しました。安全部の担当者は、初めて聞く内容に、ときに驚きの表情をみせながらしっかりメモしていました。

 グラハン連は、引き続き職場の安全、働きやすい職場環境を求め航空局に働きかけていきます。

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17夏闘

一時金回答前年並み諸要求で前進引き出す

人員不足の解消 勤務改善急務 高まる疲労リスク 増す不安
春闘後半戦 3労組に賃上げ回答

JALグループ グラハン 格差回答に 置き去り感

 JALグループ各労組では賃上げ回答が新中期計画(2017―2020年度)発表以降となったことから、従来とは異なる変則的な闘いになった17夏闘。JALでは夏闘前段で遅れていたベア回答1000円があり、同時に夏季一時金2・5カ月(前年と同係数)が示され、JGSグループ各労組にも同様の回答が示されました。ANAは春闘時に一時金は年間6カ月+α(利益目標達成時)が回答されています。JALの回答水準は昨年と同水準だったものの、企業業績が反映されない一時金と鮮明になったANA格差に不満が蓄積されます。諸要求では前進回答を引き出す一方で、改善されない勤務問題は過重労働をより深刻にさせ人的リスクを高めています。

 好調な訪日旅客と原油価格下落を背景に、全日空と日本航空は好決算が続いています。両社の売り上げは前年度を下回ったものの、全日空の16年度売上高は1兆7652億円、営業利益は過去最高の1400億円。日本航空の売上高は1兆2889億円、営業利益は全日空を上回る1703億円を上げました。

16年度決算を踏まえた全日空と日本航空の内部留保は全日空が7749億円、日本航空は1兆692億円に積み増しました。17年度の決算見通しは、全日空は売上高1兆9100億円、営業利益1500億円。日本航空は売上高1兆3390億円、営業利益1420億円を計画しています。

 全日空は春闘で一時金年間6カ月+α(利益目標達成時。夏冬2カ月+期末2カ月+α)を回答。全日空乗組(ACA)は夏闘では出向問題、勤務に関する要求、満60歳以降の雇用制度に関する要求の前進を求めました。納得できる回答には至らず、継続課題になっています。

 JALグループ各労組は新中期計画発表から遅れること4週間、5月23日にベア回答1000円と夏季一時金2・5カ月が示され、あわせて、第3四半期決算で年度営業利益計画(1420億円)を上回ることが見通せた場合、期末賞与を協議。55歳到達以降の昇給昇格の実施、7月1日より再雇用者の直接採用と条件骨子が示されました。こだわりのあった中期計画達成一時金に回答はありませんでした。

 日航ユニオンは整備部門の勤務改善を厳しく追及。具体的な改善は示されませんでしたが、見直しに向け検討が進められていることが明らかになりました。好調な決算に比して労働者の処遇改善が遅れています。疲労を緩和させる勤務改善の課題も残されています。

 日航では昨年11月の新勤務導入以降、客室乗務員に体調不良者続出。国会でも勤務問題が取り上げられました。CCU(日航キャビンクルーユニオン)の勤務改善要求に対し会社は見直しを表明しました。コロコロ変わる勤務は変則勤務に関する法に照らし未払い賃金を発生させています。改善が見られないことからCCUは、未払い賃金請求として労基署に申告をしました。妊娠した客室乗務員の産前地上勤務については、マタハラ裁判提訴以降、原則全員が産前地上勤務可能に改善されました。夏闘では働く時間選択(フルタイム、短時間)の制度改善が図られました。

 JGSグループ各労組では、ベア・一時金ともにJAL同様の回答が示されましたが、JALで回答された55歳以降の昇給・昇格、60歳以降の再雇用者の自社雇用に関する回答はありませんでした。グループ会社置き去りに、不満の声が広がっています。JGS経営の発言は、検討課題の具体化を図っていきたいとの趣旨にとどまっています。

 NAFCO労組はベースアップ1000円、夏季一時金はこれまで同様水準の2・7カ月+38900円の回答を引き出しました。経営問題が発覚し、企業買収によって新たな経営者との交渉になったJAS新労組は人材確保のために賃上げと一時金が必要との要求を掲げ、ベア1000円と一時金年間2・3カ月の回答を引き出しました。

 産業航空の中日本ヘリ整労組はベースアップ5887円(2・15%)回答を引き出しました。外航では、賃上げ回答が本国との調整が必要なことから、長期交渉になっています。

 航空産業は首都圏発着7・9万回増に加え、2020年の東京オリンピック・パラリンピックンが控えています。全職種に広がる人員不足は、今後の事業計画を進めるにあたって航空経営にとっても喫緊の課題です。人員が確保できない状態で事業運営を続けば労働強化は避けられず、安全を脅かすリスクは高まらざるをえません。職場の安全を支えるのは現場労働者です。安全を支える基盤は労働条件をあることをきっちり主張し、引き続き労働条件改善をめざしていきましょう。

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シリーズWatching

労働基準監督業務の民間委託 労基法やILO条約に反する 全労働

 政府は労働関係法令の違反を取り締まる労働監督業務を社会保険労務士(社保士)などへの民間委託を検討しています。労働行政に携わる職員の労働組合である全労働省労働組合(全労働・組合員1万6千人)は、民間委託について4つの問題点をあげています。

〈その1〉監督業務の実効性が確保できない。

 監督官が労働関係法令の違反状況等を確認する場合、強制力を背景に職場への立ち入り、関係書類の閲覧、関係者への尋問等を行い実態を明らかにしていきます。権限のない民間人の調査では事実関係の確認が困難なことから、一方的に話しを聞くだけで終わってしまうおそれがあります。義務しかない社労士等とこれらの情報を共有することは不適切です。

〈その2〉適切な権限行使の機会が奪われてしまう。

 監督業務では、即時に権限(使用停止、立ち入り禁止等の行政処分や捜査への着手)を行使しなければならない場合も多く、それをしない場合、労働者の安全・権利を確保できない。場合によっては監督官による臨検監督が予告され、記録の隠蔽等を許すこととなり、有効な権限行使の機会が失われます。

〈その3〉さまざまな深刻な弊害が生じる。

 社労士等が企業に赴く場合、営業活動(事務代行等の受託等)と一体化するおそれがあります。また、一部の社労士等は監督官対策を掲げて積極的な営業活動を行っており、同じ者が監督業務を担うことで著しい利益相反が生じます。また、こうした検討が監督官を増員しないことの口実とされるなら、それ自体が大変な弊害です。民間委託に要するコストを監督官の増員に充てるべきです。

〈その4〉労働基準法やILO条約に反する。

 労働基準法は中央・地方の監督機関を国の直轄機関とすることで監督業務の実効性を確保しています(労基法99条)。また、監督官の資格や分限手続き(身分保障)を法定し、公正な権限行使を担保しています。ILO81号条約(批准)も、監督職員は不当な外部圧力と無関係な公務員でなければならないとし、必要な資格を考慮して採用し、訓練を施すべき(条約7条)と定めています。監督業務の民間委託は労基法やILO条約の趣旨を大きく損ねることになります。

 このように、労働基準監督業務の民間委託は、多くの問題をはらんでいます。

全労働ホームページ
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JAL解雇争議

全国各地で「解雇争議を解決せよ」各地のJAL支店に要請

支援者・原告ら796名が参加 

全国で30番目「オホーツクの会」結成される

 JAL解雇争議の解決を迫る全国統一行動が全国各地で取り組まれ、各地のJAL市内支店や空港支店に争議解決を迫りました。行動には述べ796名が参加しました。

 全国統一行動は北は北海道から南は九州福岡県まで、14のJAL空港支店と5つの市内支店、10空港での宣伝行動、19カ所での街頭宣伝が取り組まれ、約6000枚の宣伝ビラを利用者・市民に配布しました。宣伝行動に合わせ146団体への支援要請も行われました。

 最初の宣伝行動は北海道。5月13日〜15日は女満別・北見。14日には北見で、全国で30番目となる支援組織「オホーツクの会」が結成されました。15日〜16日は札幌空港支店要請とJR札幌駅前での宣伝。18日は帯広空港支店要請。19日〜21日は根室での街頭宣伝と釧路空港支店要請を行いました。地域団体への支援要請では「今までなぜ来なかった。遅いではないか」と叱咤激励の言葉もありました。

 東北・中部地方の宣伝では、5月14日〜15日は、「安全第一!JALは解雇した165名を職場に戻せ」とプリントされたTシャツを着た「愛知の会」による、中部国際空港での練り歩き宣伝が取り組まれました。JAL空港支店要請で対応した社員は、「解雇のことは知っている。見解を述べる立場にないので社長に伝える」と応じました。新潟では新潟支援共闘とJAL争議を支える会が初めて合同で宣伝要請。新潟市・長岡市・上越市内の60カ所にオルグを行いました。秋田では、秋田県議会議員の同行でJAL空港支店と市内支店要請が行われました。静岡ではJR清水駅・草薙駅・藤枝駅・焼津駅・静岡駅の5カ所で宣伝行動を取り組みました。

 関西地区宣伝では、5月22日、大阪支援共闘会議による伊丹空港宣伝と空港支店要請が取り組まれ、京都支援共闘会議と合わせ71名が参加。1540枚の宣伝ビラを配布しました。参加者の一人は妻が客室乗務員という外国人から、「羽田でも宣伝していた。頑張ってください」と声をかけられました。23日には関西空港での宣伝行動が取り組まれました。27日には兵庫連絡会が38名で伊丹空港宣伝・空港支店要請を行いました。

 中国・四国宣伝では、5月16日、広島市内支店前での宣伝と支店要請に13名が参加。24日にはJR岡山駅前宣伝がJAL不当解雇撤回岡山県共同実行委員会で取り組まれ12名が参加、1200枚の宣伝ビラを配布しました。

 同日、松山空港支店要請と空港宣伝が取り組まれ35名が参加しました。対応した松山空港支店副支店長は「社長に伝える」と応じました。27日は「徳島の会」が徳島空港支店要請と空港宣伝を行い、横断幕やのぼり旗を持ってアピールしました。38名が参加しました。

 首都圏宣伝は5月18日の成田空港宣伝と27日の羽田空港宣伝。130名が「不当解雇NO!」のプラカードを掲げ利用者にアピールしました。

 福岡宣伝では、5月29日〜30日、福岡支援共闘会議による福岡空港支店要請や空港宣伝が取り組まれ、利用者に支援を訴えました。JR博多駅と小倉駅前での宣伝では620枚の宣伝ビラを配布しました。

 原告団は、「JALへの要請、空港での宣伝行動、各地での集会開催など、全国で支えて頂いたみなさん、ご支援本当にありがとうございました。原告団はJALが解決を決断する日まであきらめずに闘います」と決意をあらたにしています。

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ITFニュース

TISA≠チてなに?
雇用や労働条件への悪影響懸念

 ITFが現在最も力を入れて取り組んでいる課題の一つに「TISA(サービス貿易協定)の導入阻止」があります。日本の航空労働者にとっては聞き慣れない概念ですが、労働条件や雇用に重大な影響を及ぼすものであり、ITFから加盟組合に対し、各国政府にTISAからの離脱を働きかけるよう要請が来ています。ITFのニュースを引用し、TISAがどのようなものかを連載で紹介します。

〈TISAとは〉

 TISAは、欧州連合と他22カ国が交渉を進めている非常に広範かつ秘密裏に進行している国際貿易協定のこと。発効すれば、雇用や貿易法に関する権限を多国籍企業に委譲することになり、労働者の権利と保護が奪われるだろう。交渉の参加国は、TISAに調印し、今後数十年にわたり、サービスやテクノロジー面で規制を設ける権限を進んで手放す可能性がある。そうしてすべてが自由貿易競争の名の下に進められていく。

〈私たちにどのような影響があるのか〉

 特に航空、海運(港湾と船員)、路面運輸、郵便・配送サービスの4つの交通運輸産業で労働者の雇用を脅かす。発効すれば、企業は競って保護の薄い請負労働を求めるため、力なく搾取に弱い労働者を生み出すリスクを孕む。一方、民営化や規制緩和を通じ、巨大多国籍企業は命令を下す力を得るだろう。また、雇用を守り、国益を守ろうとするいかなる試みも、「反競争的」の名の下に禁じられ得る。

〈TISAに反対しているのはどこか〉

 世界では、労働組合や市民運動など、労働者の権利や安全を守ってくれる組織は反対しているが、彼らは全て交渉から外されている。

 TISAの最大の特徴は、労働者の権利や保護が奪われる仕組みが、労働者のいないところで秘密裏に画策されていることです。

 次回は、どのような国々と企業がこの秘密会議に参加しているのかをご紹介します。

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安全会議だより(100)

対官庁要請はじまる

照明問題で新千歳空港事務所に要請

 航空安全会議の対官要請が今年も始まりました。安全会議幹事会や、年末に日乗連と合同で行っているアンケート(今回は430枚回収)などの意見を集約し、臨時総会にて承認された要請書を基に行っています。今年は5月10日の厚生労働省を皮切りに、東京国際空港長・東京航空局・気象庁・運輸安全委員会・本省航空局への要請が行われました。また、札幌・成田・名古屋・大阪・福岡・鹿児島・那覇の各支部でも対官要請が実施されています。札幌支部ではここ数年、対官要請が実施できていませんでしたが、今回再開することができました。

 現時点ですべての要請が終了していませんが、これまでの要請では、どの要請においても、要請先担当者の答弁が今までにも増して丁寧であることが指摘できます。各職場の安全意識が高まったことに起因し、職場からの具体的な意見や多くのアンケートへの回答が得られ、要請書に反映できたことが大きな要因ではないかと考えています。

 対官要請は、航空に携わる人々の安全の向上と不安全要素の排除を目的に行っています。そのためには、現場の意見が最も重要な役割を果たします。職場での安全に関する疑問や不安点がある際には所属組合や航空安全会議までお問い合わせ下さい。詳しくは航空安全会議のホームページをご覧下さい(「航空安全会議」で検索)。

 要請の具体的な内容については、次回以降報告します。

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