声明 110311


ベテランを職場に戻し、安全と公共性を重視した真の日本航空の再建を(声明)

客室乗務員連絡会


 2010年12月31日、日本航空は客室乗務員84名、運航乗務員81名、合わせて165名の解雇を強行しました。「安全運航」を使命とする航空会社がベテランのパイロットと客室乗務員を切り捨てるという、世界でも例のない暴挙に対し146名が提訴しました。 本日3月11日、客室乗務員の第1回目の裁判が行われます。


 この裁判では、日本航空は165名を解雇する必要性が本当にあったのか、解雇を回避する努力が尽くされたのか等、整理解雇4要件にてらしての違法性が問われることになります。同時に、経営破たんの真の原因と責任を明らかにし、「利益最優先」ではなく「安全」と「公共性」を中心にすえた日本航空の真の再生を求めていくことになります。


 今年2月8日の日本記者クラブの会見で、稲盛会長は「業績は日を追うごとに良くなっている。160名を残すことが経営上不可能かというと、そうではない」と発言しました。この発言は、解雇の違法性を自ら認めるものです。残すことが可能であったなら、ただちに全員を職場に戻すべきではないでしょうか?


もともと人員削減目標は日本航空本体で1500人でした。これに対し1733人もの方が希望退職に応じました。客室乗務員は662人の削減目標に対し786人が退職し、人員削減目標はすでに達成されていました。日本航空は、「休職者は何人辞めてもゼロカウント」としていましたが、休職者には翌月復帰の可能性のある人達も含まれています。解雇の根拠とされた「稼動ベースではまだ削減目標に達していない」という説明は、ごまかし以外の何ものでもなかったことは明瞭ではないでしょうか?


 また、2010年度4〜12月までの日本航空の営業利益は1586億円にもなり、更正計画目標である641億円を大きく上回っています。これだけの利益を上げている会社が整理解雇を断行した例はこれまであったでしょうか?


「整理解雇4要件」にある「解雇の回避努力」についても、組合が提案したワークシェアや、全日空が恒常的に応募している無給休暇制度等について、日本航空は検討すらしませんでした。再建中の会社だから整理解雇4要件は無視していいのでしょうか?これについては、これまでの国会答弁や最高裁判例で「更生会社であっても4要件を満たす必要がある」とされています。


 では、「日本航空はパイロットや客室乗務員のコストが高いから経営破たんした」のでしょうか? 2008年度の主要航空会社の運航営業費の国際比較(2010年4月号「経済」)では、営業費用に占める人件費の比率は、日本航空15.6%、アメリカン航空25.9%、ユナイテッド航空19.6%、デルタ航空21.3%、英国航空27.5%、となっています。


 年齢を基準にした解雇は、差別を禁止している憲法、労基法、国際人権条約、ILO条約等に違反しています。また、病気による休職者を解雇したことで、体調不良でも無理をして飛ぶ職場環境になり、安全運航に影響することが懸念されています。 


 日本航空における違法な解雇が認められてしまえば、今後どこの会社、産業でも、‘経営が傾けば、その後どんなに利益が出ようが正社員を解雇できる’‘整理解雇4要件を満たさなくても、会社の判断で解雇できる’ということがまかり通る社会になってしまいます。そのような雇用不安大国日本にさせてしまっていいのでしょうか?


 現在、日本航空の職場では、ものを言えるベテラン層を追い出したあと、労働条件の改悪が次々に行なわれ、法違反も放置されたままとなっています。旅客搭乗中、機内の客室乗務員を1名ゲート  に配置し地上業務を行わせている状況は、機内の保安業務の軽視であり、また職安法違反との指摘もされています。労基法34条施行規則32条で義務づけられている「休憩時間」をまったく与えず、機内清掃を行わせている状況は、法違反と同時に、疲労と安全の観点からも問題です。また、1ヶ月変形労働制をとりながら始業・就業の明示をせず、勤務変更や休日変更が頻繁に行われている実態も、あきらかに法違反です。この他、サービス早出業務も日常的に行われています。これらの状況を是正し、安全を基盤にした真の再建を果たしていくためにも、一日も早くベテランの客室乗務員と運航乗務員を職場に戻すことが求められています。

 165名のパイロットと客室乗務員を職場に戻すとりくみは、日本の労働者全体の雇用にかかわる重大な問題であり、同時に空の安全を守るたたかいです。現在、原告団に対し、各国のITF加盟組合やパイロットの国際組織、国内の労働団体、弁護士、婦人団体等、多くの団体から支援と励ましが寄せられています。


 私たち客室乗務員連絡会は、今後、更に広くこの問題を訴えながら、一日も早く165名が職場に復帰できるよう、全力で支援していきます。

                            2011年3月11日

                          客室乗務員連絡会


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