第29回政策セミナー


第29回航空連政策セミナー

航空労働者からの提言

羽田国際化・経営危機・アライアンスなど

現状分析を基にあるべき方向性を提言

 1月29・30日に開催された『第29回航空政策セミナー』に向けまとめられた「航空労働者からの提言」(通称「政策パンフ」)の今回の特徴は、羽田空港の国際化を控え、働き方が大きく変わろうとしていることから、労働環境と航空安全に焦点をあてています。規制緩和の進む米国では、労働条件悪化と航空安全との関わりを国家機関も指摘しており、航空連の政策がそうした状況への対策として大いに力を発揮する状況が生まれています。2回に分けてその概要と特徴をお知らせします。

第T章 航空情勢と問題点

 この章では4項目に焦点を定め情勢分析し解決方向を示しています。

 1、航空産業のかかえる課題と問題点

 経営状況の特徴は、世界的な経済不況と新型インフルエンザ流行など航空需要への影響はビジネス客や貨物輸送の大幅な落ち込みや燃油費高騰など費用の高騰、収入減により、世界の航空輸送は大幅な赤字を計上する状況におかれました。これに対応して各社は運航規模の縮小と人件費削減を推し進め、旅客獲得のための運賃値下げを行う一方でサービスの有料化施策を進めています。米国大手航空会社では燃料費高騰も影響し満席になっても利益が出ない異常な状況が生まれています。そのため国内は低コストの運航会社を自社便として飛ばし、国際線で利益を上げようとしています。

 78年の航空自由化開始以後の米国の状況を、米国のシンクタンクの「デモス調査研究所」は『「盲目飛行」航空の規制緩和を再考する』と題した報告書の中で、「規制緩和は失敗した」と明確に結論付けています。航空産業は容赦ない経費削減にも拘らず、2000年以降莫大な損出を計上し、一部の消費者は安い運賃を享受したが、その代償は全ての航空労働者が払い、労働条件が大きく後退し、ニューヨークのハドソン川に奇跡的に着水した事故の機長は、「安全が大きく後退している」と警告を発しています。

 世界中でアライアンスが、航空自由化の下で深化しようとしています。業務提携はおろか、国境を越えたグループ化の中で、買収や労働諸所条件の低水準化や責任体制が不明確になり、国際的機関により明快、厳密な基準の導入が求められています。

 2、日本の航空政策の問題点

 空港整備の変遷と問題点を指摘しています。空港建設を賄う財源として、諸外国に比べ異常に高い公租公課がかけられ、また、旧国鉄の赤字救済のため引き上げられました。これが無駄な空港建設をはじめ、今日の日航経営破綻のひとつの原因となっています。

 また国内は軍事空域に囲まれ、容量拡大の障害になっており、民間優先の空域の拡大が求められる状況になっています。行政に対して国民の声を反映させるために、審議会等の人選も透明性の高い人選が求められています。

 3、日本航空と全日空をめぐる状況

 特に、日航の経営に関して、公的資金が投入されましたが、その真の原因究明には、今のところ手がつけられていません。航空行政、米国からの経済問題を理由にした経済要求、日航自身の放漫経営、などの実態を明らかにしています。

 4、産業航空の現状と課題について

 今回はドクターヘリの実態に焦点を当て安全運航のためのインフラ整備の必要性を訴えています。

前号からの続き。第29回政策パンフ「航空労働者からの提言」紹介です。今回は、航空安全の現状、現場実態、「航空安全労働法」制定に向けて、についてです。特に航空安全労働法は新たな提言として、国交省に働きかけています。


第U章航空安全の現状

事故の発生率は減少しているものの、09年は、ナイアガラでのコンチネンタル機の墜落、オランダでのトルコ航空機墜落、成田でのフェデックス機の炎上、大西洋でのフランス航空機の墜落など大きな事故が発生しました。

 米国では航空事故と疲労との関連が大きくクローズアップされ、勤務制限を強化する状況が生まれています。

 規制緩和の下、安全違反が引き続き発生する状況から、監視体制の強化の動きがでています。

 一方日本では、08年「安全基準アップデートプログラム」が策定され、安全規制の見直しが一気に進められてきました。日航、全日空の整備体制は大きく変わり、整備子会社への移管や、共同事業体設立など、低労働条件労働者拡大などで、技術の伝承が難しくなっており、規制強化への見直しが必要な状況となっています。

 米国議会では、規制緩和の結果、サービスも品質も下がっている状況から、再規制を求める証言がされています。米国客乗組合の委員長は「規制緩和の結果、航空会社の従業員の生活水準は、サービス品質の低下と共に悪化してきた」と語り、ハドソン川不時着機長は「規制緩和で進められたリストラが安全を脅かしている」事を議会で証言しました。


第V章航空労働者の現場実態

 運航乗務員の項では、関連や産業航空に従事している乗員に焦点を当てました。こうした乗務員は大手に比べ、長時間拘束で、一層過酷な労働条件にさらされています。客室乗務員は、雇用が大きな問題となっており、正社員になるのに選別と差別が行われ、多様な不安定雇用が安全性の低下に繋がっています。労働条件も正社員と比べ契約制客室乗務員は不当に安く働かされており、誇りを持って働ける環境が急務となっています。

整備の職場では、完全別会社化やジョイントベンチャーやグループ整備会社への移管で、技術の伝承が難しくなっており、教育訓練も十分に行われていません。グループ社員は賃金格差が大きく、結婚も子供も育てられない低労働条件で働き甲斐のない状況となっています。

グランドハンドリングや旅客カウンターでは、運航会社からの留まることを知らないコスト削減要請によって、労働時間延長や、賃金制度改悪などで労働条件は悪化し続けています。下請け化が進み2次下請企業では低賃金、長時間・過密労働で定着率も悪く技術の伝承も進まず、スキルの低下が安全性にも影響がでています。


第W章「航空安全労働法」の制定に向けて

 航空輸送産業は一般製造業と異なり、輸送の安全に直接の責任を持っており、航空法で具体的に、乗務時間や人員配置労働条件が具体的に規制されていますが、その規制は不十分な内容に留まっています。労働基準法も、航空の安全を前提にした労働環境を確保するには不十分な実態です。

羽田空港の24時間か進めば一層労働環境の悪化が危惧されます。

こうした問題を解決するため新たな法規準を制定し航空の安全を確保する必要があります。

その内容は

@安全運航の維持・向上を図るため労働時間の最低基準を設け時短を行い、過密労働を規制する。

A人間らしく働くため基本的人権を保障し、差別・不利益変更を禁止する。

B安全衛生制度を確立し、労災・職業病を防止する。

C最低賃金制を設定する。

D直接・常用雇用原則の正社員化かを図る。

E労使対等の協議機関を設ける。というものです。

 詳細は本パンフを是非お読みください。必ず力になると確信しています。お近くの組合執行部又は航空連事務局に問合わせください。      (おわり)