緊急要請


2011年3月30日

航空連発第25−B−78号


内閣総理大臣

菅 直人 殿


航空労組連絡会

議長 近村 一也

震災からの一刻も早い復興に向けて、日航の不当解雇問題の即時撤回を求める緊急要請

 かつて経験のない規模の震災に見舞われ、未曾有の国難に対処されている貴職におかれては、そのご心痛いかばかりであるかと拝察申し上げます。

私たち航空労組連絡会も、この度の震災で痛ましい犠牲になった方々に対し、謹んで哀悼の意を表すると共に、被災者の皆様に心からお見舞いを申し上げます。航空産業に従事する者として、復興に向け、全力を挙げて取り組む所存でございます。

 今、この国難に対処するためには、物心両面の支援が欠かせない事は言うまでも有りません。しかしながら、去る2010年末に強行されました日本航空における「不当解雇問題」は、「要請の趣旨」で述べている通り全く合理性がないだけでなく、「物心両面の支援」の足かせともなりかねず、この事態に至ってなお一層、直ちに解決されるべき状況であると申し上げます。

そこで、日航の不当解雇問題を直ちに解決する指導力を発揮していただくため、ここに緊急に要請いたします。



1.日本航空の不当解雇問題を直ちに解決し、被解雇者を職場に戻すよう、日本航空を指導すること

要請の趣旨

<未曾有の利益を挙げる中、人員削減目標は超過達成していた>

 日本航空の状況は、2010年4月〜12月の営業利益は1586億円と、2010年度末における利益目標641億円の2.5倍と大幅に上回り、日航本体の希望退職による人員削減目標1500名を大きく超える1733名が既に応じているなど、更生計画の目標はクリアーしています。しかも、人員削減施策は「更生計画」によれば「平成22年度末」までの実施とされているので、3ヶ月猶予期間がある中での大晦日の解雇強行となりました。

<稲盛会長自身が解雇の必要性がないと自白>

 例え会社再建中であっても、「整理解雇4要件」の法理は厳格に適用されることは過去の国会答弁や最高裁判例などからも明らかなのですが、本件の場合、既に経営のトップ自らが「必要性はなかった」と自白しています。

2011年2月8日、日本記者クラブにおいて日本航空の稲盛会長は「業績は日を追うごとに良くなっている。160人(実際は165名)を残すことが経営上不可能かといえば、そうではない。しかし、金融機関、債権者などに約束した更生計画は反故にできない。」と発言しました。

<債権者は「整理解雇」など約束していない>

 しかしこの「債権者との約束」ですが、3月9日の国土交通委員会で共産党の穀田議員から「銀行から整理解雇しろと言われていたのか」との質問に対し、参考人として招致された企業再生支援機構常務取締役の水留浩一氏は「個別具体的に整理解雇に対して要望を聞いたことはなく、銀行から何かコメントをいただいたことはない」と答弁しました。銀行が「融資をしてほしければ、整理解雇をしろ」と約束などないことが明らかで、稲盛会長発言と矛盾があるのです。

<復興に向け、全てを集中させるとき>

 解雇争議は本年1月19日に開始されたばかりですが、経営自らが「解雇は必要なかった」と発言し、「債権者との約束」も存在していないことから、解雇の合理性が全くないことは既に明らかとなっており、この先審理を行う意味はもはや有りません。

国民全体が復興に向けて一丸となろうとしているこの情勢において、既に合理性のない解雇の問題に対し、貴重な国費と膨大な時間とエネルギーを費やす必要がどこにあるのでしょうか。

<航空労働者が全力で復興に取り組める体制が必要>

 道路と鉄道が寸断されている被災地において、大量かつ迅速な被災者の搬送及び物資の輸送を実現できる「航空」は、今最も貢献すべき産業となっております。さらにいえば「国民の足」として巨額の税金を投じてまで再建させることになった『日本航空』は、今こそ身を粉にして働くべき時であると言えます。

スターフライヤーとエアージャパンでは、福島の原子力発電所の状況を見た外国人乗員が乗務拒否または日本を離れてしまったため、運航に大きな支障を生じさせております。

一方、被解雇者は今すぐでも被災者のために尽力する用意があるにも関わらず、その場を与えられていません。

 貴職におかれましては、大局的観点に立ち、今こそ、この国ですべきことの優先順位を明確にされ、政治によるリーダーシップを持って、直ちに解雇問題を解決させ、国難に当たらせる指導力を発揮していただくべき時であると拝察いたします。

以上